ゆうしゃ様とまおう様~勇者と魔王の再国譚~「えっ?社畜の俺が魔王の国を復興させる!?無理無理っ!」 作:「団栗珈琲。」
「なに?ここどこ?」
俺は今何が起こっているのか理解できなかった。
ちなみ、ここはどこ。わたしはだれ。みたいな感じになっているが、俺は別に記憶喪失じゃない。
い、いま起こった事をありのまま話すぜ……。
白い光が見えたと思ったら、その光の中に人がいて、実はそいつが魔王だった。
さらにそいつに死の宣告をされた後、いきなり異世界に連れてこられた。
なにを言っているのかわからないと思うが、俺も何を言っているのかわからない。
だがこれだけは言える。夢とか映像とか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。
最も恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
というか、異世界って実在したんだな。
どんな本読んでも、この物語はフィクションです。実際の事件、団体とは一切関係ありません。って書いてあるから現実じゃないのかと思ってたのに、現実にも存在したんだな。
だが、本と違う点がある。それはこの国が中世ヨーロッパ風の街並み、所謂《いわゆる》「なーろっぱ」じゃないことだ。
なんか「異世界」というよりは、「森」といったほうがしっくりくるぐらいだ。
自然が豊かなところなんですね。
せっかく異世界に来たのなら剣と魔法のなーろっぱがよかった。
まあ、そんなこと言っても叶わないから、別にいいけど。
話は変わるが、俺は死んでいないらしい。
いや、死ぬよって、言われたのに死んでないってどういうことだよ……。といったところではあるが、実際のところ死にそうだった俺の体を、現代医学じゃ解析不可能な技で、なんかいろいろして、いろいろして超回復させたらしい。
なので、厳密に言うと俺は死んでない判定らしい。
ちゃんと説明されたが、意味が全くと言っていいほど理解できなかった。
何かよくわかんないけど、死ぬ死なないって誰が決めてんの?
まあいいか。そんなこと聞いてもな……ってところはあるしね。
それより、俺は、この国の復興を手伝え。みたいな名目で来たんだよな。
「とりあえず、何をすればいいんだ?」
ルナにそう聞く、何もしないと、何も始まらないからな。
なんだよそれ、小泉構文かよ……。
「さぁ?何をすればいいんだろ」
さ・あ?
おいおいまじかよ…。(絶望)
「とりあえず。あなたには勇者として、魔王の国
……?。勇者?。
勇者と魔王って敵対関係にあるんじゃなかったの?いつから仲間になったの。
「え?勇者と魔王って敵対関係にあるんじゃないのか?」
俺の質問に対し、ルナはなにを言ってんのかわからない。といった表情をした。
いやいや、なにいってんのかわかんないのはこっちのほうだから。
その後、何か合点がいったのか、「ポン」と手を叩き。
「そうだった!。君の世界ではそれが一般的な考え方だよね」
……一般的?
「魔王と勇者が敵対関係になるのは、場合によるよね」
場合による?
ちょーっとなに言ってんのかわかんないな。
「私のおばあちゃんとかはそうだったね、それはもう暴れまくっていたらしくて、私たち魔族を軽視したやつをボコボコにしたら、いつの間にか世界問題に発展して、「人間VSおばあちゃん」になってたらしいんだよね、私が産まれてなかったからよく知らないけど」
「で、ルナのおばあちゃんを倒したのが、勇者って訳だな」
「そういう事」
一人の力だけで世界問題を起こせるぐらいの化物を倒せるって、勇者ってどんな化物《ばけもん》だよ。
「そのあとから私たち魔族は恐れられ、忌むべき対象になったんだよ」
「で、ルナが俺の世界に来たように、俺の世界に来れるこの世界の人が俺の世界の人にその話を教えて、今みたいな「勇者VS魔王」が根づいてるわけだな」
「そう」
ルナは頷く。
まあ、わかりやすいんじゃないだろうか、恐ろしい出来事は初対面の人でも、話せるからな。広まるのも納得だろう。
それはさておきだいぶ話がずれている気がするのだが。
復興の話はどこに行ったのだろうか。
「で、どうしたらいいんだ?」
復興手伝えとか言っておいて、何させたらいいかわかんないとか、意味わかんないことをいうやつに俺は簡潔にそう聞く。
「ちょっと!タメ口?私これでも、あなたの国では神様として崇められていたんだから」
え。何言ってるの?この子。
っていうか、さっきまでタメ口だっただろ。
いきなり何なんだよ。
「それってのなんの神様?名前は?」
冗談だろうが一応聞いてみる。
「ふふふ。聞いて驚くなかれ、私は天照大御神と呼ばれていたんだよ」
は?天照大御神?
「お前が天照大御神だったら今いくつだよ」
「言っとくけど、私二万年は生きてるからね」
二万年!?まあ、本当に魔王ならありなくもない話か。
いや、魔王だからって長寿って決めつけるのはよくないな。
まあでも魔王本人がそう言っているんだから、そうなのだろう。
まあ、証拠はないしどうしようもないからな。
「そういえば、ルナのおばあちゃんって何年ぐらい暴れてたんだ?」
「ん~?三千年くらい」
ワイルドなおばあちゃんだな。
そりゃあ、世界問題にも発展するな。
というか人間側もよく三千年も戦ったな。
終わりの見えないものほど恐ろしいものはない。
仕事だってそうだ。
やっても、やっても、増えていくばかり。
もう、バグだろこんな世の中。
無限回復並みにゲーム性崩壊するぞ。
まあ、仕事にゲーム性求めているほうがおかしいんですけどね。
でも、そうでもしないとやってられない。
何度上司を心の中で殺したか。軽く数千は越えてるんじゃないか?
でも、口に出してはいけない。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ、毒《ポイズン》。
というか、ルナが本当に天照大御神だとしたら、日本人が長年崇めてきた神様、異世界の魔王だったよ。
神と魔王って真逆の存在じゃないのか?
一人二役とは、二足の草鞋を履きおってからに……。
……。なんか日本語変だな。
「でも、三千年も暴れていたら、もう許してもらえないんじゃないのか?」
「いや、もうほとんど許されているよ」
ほとんど?
ていうか三千年も大暴れしたんだろ?
なんで許されているんだよ。
「もう、おばあちゃんが暴れてから、二万年は経つからね。その出来事を忘れている、もしくは学校でふんわり教えられる程度だからね」
魔王の存在は知っていても、別に憎んだりしているわけではないと。そういうことか。
「そうそう」
俺は何も言っていないのに、俺の思ってることわかってそうなのどうしてなんだ?。
表情から読み取ったりしているのか?
それとも、テレパシーみたいな能力が使えるのか?
どっちにしろ。
口に出さなくても思っていることがわかるっていうのは、俺が考えることをやめたくなるのでやめて下さい。
「で、」
で?
「そういうわけだから」
そういうわけだから?
「私と契約して勇者になってよ」
ルナはそう、どこかのインキュベーターが言っていそうな、セリフを吐いた。