ゆうしゃ様とまおう様~勇者と魔王の再国譚~「えっ?社畜の俺が魔王の国を復興させる!?無理無理っ!」   作:「団栗珈琲。」

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第3話 魔王との契約

 そういうわけだから。私の勇者になってよと言われても前後の意味が全く成り立っていないんだが?

 

 それに、勇者ってそんなに軽々しくなれるものなの?

 

 だれでもなれる職業だとしたら、ものすんごいショックなんだけど。

 

「まあ、いいけどさ。勇者ってそんなに軽々しくなれるものなの?」

 

 俺は、重要な質問をする。

 どのぐらい重要かと聞かれたら、冷戦時のロシアとアメリカの会談ぐらい重要。

 

「え?そんなわけないじゃん」

 

 よかった。

 

 そう俺はホッ。と胸をなでおろす。

 

 もしこれで農夫のおっちゃんでも勇者になれるとかだったら、俺の中での勇者のイメージ変わりまくって大変なことになるところだった。

 

「じゃあ、どういう基準で選ばれるんだ?」

 

「運」

 

 いや、うん。じゃないから。

 絶対俺の話聞いてなかっただろ。

 

「いや違う、違う」

 

 何が違うんだ?

 俺の話を聞いてなかったことか?

 え?

 

「だから、運。いってみればルーレットみたいなもの」

 

 ああ。運か。

 ちゃんと話聞いてたのね。すみません。

 

 

「はい。質問タイムしゅーりょー」

 

 ああっ。

 質問タイム終わっちゃった。

 

 で俺、いま何の茶番に付き合わされているの?

 

「よし。契約をしよう」

 

 まじでなんなの?どんな話の進め方なんだよ。

 というか、あれだよな。この契約をすることで魂宝石《ソウルジェム》に魂を封じ込められたりしないよな?

 

「これ使って。」

 

 ルナはそういうと鈍く、そして鋭く光る針を投げる。

 

 刺さったらどうするの!と心の中でルナに説教しつつ、危なげながらもなんとか針を受け取る。

 

「で?これでどうしろと」

 

「その針で指を刺して」

 

 ……え?

 何言ってるの?この子。

 正気?

 

「いいから早く。」

 

 いや、あのですね。

 そんなに急《せ》かすように言われてもですね。

 

 流石に指に針をぶっ刺すとなると、躊躇いもするでしょ。

 

 い~や~だ~。やりたくない~。

 

 上司の失敗を俺に擦り付けられた時と同じぐらい嫌だ。

 いや、さすがにそれは言い過ぎか。

 

 もういいや。やってしまおう。

 

 男は度胸……。漢は度胸……。

 

 いっけぇ!

 

「ブスッ」

 

 俺の勢いとは裏腹に地味な鈍い音がなる。

 

 ていうか、痛い。

 普通に痛い。

 痛い。

 いったあぁぁぁぁぁぁぁい!!!。

 

 俺、死んだ。

 そんなことを思っていると、生温かい何かが俺の指に当たる。

 というか、なんかしっとりしてるというか、液体が絡んでいるような……。

 

 何事かと思い、指を確認すると、なぜかルナが俺の指を舐めていた。

 

「え?」

 

 いや、ほんとになんで?

 

「なにしてるの?お前?」

 

 やばい。

 何がやばいって、驚きすぎて結構まじな口調で言ってるのがやばい。

 

 そうすると、ルナは舐め終わったのか、俺の指から舌を離した。

 

「なに?なにって。契約以外の何物でもないけど。」

 

 契約ぅ?どこが?

 

 契約に使うものなんて、直筆のサインとか印鑑じゃねえの?

 

「血の契約だよ知らない?」

 

 なにそれ。初耳。

 初耳すぎて、初耳学にでても知っている人がいなさ過ぎて、場がしらけるレベル。

 

 

 ……こうして俺は魔王と血の契約を結んだ。

 いや、血の契約ってなんだよ。

 

   ✕   ✕   ✕   ✕

 

 血の契約についていろいろ説明されたけど、さっぱりわからなかった。

 

 なんか、相手の血を吸うことで、相手の遺伝情報を自分に取り込むことができて、その情報を自分の中に保管できるらしい。

 

 で、その契約方法、昔の日本にもあったらしい。

 すごい!伝統的な方法だね!……。ってなるか!

 

「で、「ちーとのうりょく」の話なんだけどさぁ」

 

 ん?チート能力?

 

 何も知らないのにさも当たり前のようにそういう単語出すのやめてもろて。

 

「なんだ?それ」

 

「やっぱり説明が必要?」

 

 当たり前でしょ。

 

「まず大前提として、人は潜在的特殊能力を持っているんだけど」

 

 ……まあ、でもなんとなくはわかるから、質問はしないでおく。

 

「君がさっきこの世界に来た時のように、世界と世界を移動するときに発生するエネルギーで、潜在的特殊能力が活性化して、ちーとのうりょくが使えるようになるんだ」

 

 へー。

 

「じゃあ、俺もチート能力が使えるってことか?」

 

「まあ、そういうこと」

 

 ひゃほう。魔法が使えちゃうぜ☆。

 

「だから。とりあえず能力一覧開示(アビリティリストディスクロージャー)って心の中で唱えてみて」

 

 え?

 

能力一覧開示(アビリティリストディスクロージャー)

 

 これであってるよな?

 

 そうすると、目の前になにかディスプレイのようなものが映し出される。

 

 なんか。でたぁ。

 

「それの「現在(ザカレント)」って部分を見てみて」

 

 えー。なに?「万物製造(ポゼッションメイキング)」って書いてある。

 

 で、だから何って話なんだけど。

 

「なんて書いてある?」

 

万物製造(ポゼッションメイキング)って書いてあるぞ」

 

「えー。なにそれ」

 

 知らないのに聞いたのかよ。

 

「その下に能力説明(アビリティエクスプラネーション)が書いてあると思うから見て」

 

 ほんとだ。何か書いてある。

 えーと。なになに。

 

「万物を製造することが可能。但し脳内に製造したいものを正確に想像し、必要な材料を手に入れない限りは製造は不可……なんだよこれ」

 

「へー。」

 

 と、ルナが何か声を上げている。

へー。じゃないんだな。へー。じゃ。

 えーと、要約すると……。

 

 一、この世のすべて物が作れる。

 

 二、頭の中で作りたいものを確実にイメージする。

 

 三、必要な材料をそろえる

 この上の工程をすべて終えれば、製造時間をかけずに一瞬で物を作ろことができる。

 

 すっすげぇ!

 ……すごいんだけど……。

 

「なんか、地味な能力だね」

 

 あー。ルナさんそういうこと言っちゃうんだ。

 

 こういう能力って、想像しただけですべてのものが作れるとかそういうものじゃないの?

 

「え?チート能力ってこんなのばっか?」

 

 これは果たしてチート能力と呼んでいいものなのだろうか。

 

「いや、そんなことはないんだけどなぁ……」

 

 じゃあ俺だけってこと?

 不幸だね。つらいね。

 

「例えば、ほかにはどんな能力があったんだ?」

 

「えー?。使用制限はあるけど万物を斬れるとか?」

 

 裏山(うらやま)

 俺もそういうのがよかった。

 

 まあ、魔法が使えるだけありとするか。

 

 でも、結果が結果だからなぁ……。

 あんまり素直に喜べないや。

 

 でも、復興に役立つという点では重宝されかもしれない。

 

 きっとそうだ。

 

 そうに違いない――――――!。

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