ゆうしゃ様とまおう様~勇者と魔王の再国譚~「えっ?社畜の俺が魔王の国を復興させる!?無理無理っ!」 作:「団栗珈琲。」
「国家予算ってなに?」
「一定期間に置ける、国の活動に必要な金銭の収入、支出の計画を総合的に取りまとめたもの。のことだ」
「うーん。難しい言葉が多くて分かんない……。」
まあ、ある程度予想はしてた。
「端的に言うと、国のために使えるお金幾らある?。ってことだ。」
「なるほど!」
流石にこれはわかるんだな。
「でも、そんなものないよ?」
なんで疑問形?
そんな不思議に思うところあるか?
ないこと自体が不思議ってこと?
いや、お前が管理してるんだろ!
「え?ないのか?」
「うん!びっくりするぐらいお金がない!。」
ルナは誇らしそうにそういう。
いや、全然誇れないからね。
なんなら恥じるべきだからね。
で、解決策を出すのが俺になりそうなんだが……。
「よし!解決策を考えよう!」
おお。予感的中。
「つっても、俺国の為に何かやったりしたことなんてないぞ?」
なんてったって、大学出てからは会社という名前の監獄に閉じ込められていたからな。
もちろん閉じ込められているから、労基に相談なんてできやしない。
PCも仕事しかできないようにプログラムされているし、携帯は没収されているし、なんなら、有給という神制度を知ったのが入社三年目だぞ。
すげえなあの会社。常識にとらわれないという点では。
まあでも、この世界に来てよかった思う。
五徹とかしなさそうだし。
ただ、学生時代から追っていた長編漫画だけは読み終えたかった。
異能力物のやつ……。
あ、異能力といえば。
「ルナって何か特別な能力とかって使えるのか?」
「普通の人は無理だね。世界と世界を跨《また》ぐときの移動エネルギーによって能力が活性化するからね。」
普通の人は?何か別の意味を言外に含んでそうな言い方だな。
「じゃあ、ルナには何か特別な能力はないのか?」
「いや、あるよ。魔王は特別だから。」
いや、あるのかよ。
じゃあさっきの説明いらなかっただろ。
「ちなみに私の能力は「魔王《マオウ》ノ力《チカラ》」だよ!」
いや、そんな自慢気《じまんげ》に言われても……。
「悪い。凄さが全くと言っていいほどわからない。」
「だよね……。ちなみに能力としてはなんでもできるって感じだね。」
なに?その超ざっくりした説明。
まあ、要するにチートってことですね。
「ただこの能力ものすごい欠点があってね。」
ルナはそう困ったように言う。
「ものすんごい疲れるんだよね。」
あまりにもつまらない欠点だったため、肩透かしを食らった。
「なんだ。そんなことか。」
「ちょっと!そんなことって何?さすがに酷くない?」
いや、もったいぶって言ったお前のほうが悪いと思う。
「この世界に魔法って概念は浸透しているのか?」
「うん。浸透しているよ。でも使えるのは、大賢者クラスの人だけだね」
大賢者クラスって何?名にその格好いい響き。
「そういえば、君たちの世界の建造物……。そう!ピラミッド!あれも魔法で作られているんだ。」
へー。だから何年学者が頑張ろうが、謎は解明されないのか。
「ヒュッ」
風の斬る音が聞こえる。
「バシッ」
俺の真横にナイフが突き刺さる。
え?なに?
俺が戸惑っているとルナが険しい顔でぶつぶつ何かを言っている。
「これは、インスリカ製のナイフ……。間違いない」
そうすると、ルナはこちらに顔を向け。
「クロス。敵襲だよ」
✕ ✕ ✕ ✕
「クロス、このナイフはインスリカ製。刃の形と柄《え》が独特なのがインスリカ製ナイフの特徴だよ」
え?何?敵襲?
「しかも、風魔法まで使ってる。大賢者クラスとまではいかないけれどかなりの強者だよ」
相手も魔法が使えのか?
「インスリカめ……。宣戦布告は何回かしていたけれど、まさか本当に刺客を送ってくるなんて……」
というか、インスリカ?なにそれ?国?
「あ、言ってなかったね、インスリカは古くからある伝統的な国で、魔王。もとい…私のおばあちゃんが暴れていたことを、こんなことは二度と起こしてはならないと教育してるんだ」
日本でいう戦争みたいなもんか。
「だから、「魔王大暴走」これを二度と起こらないようにするには……」
「子孫ごと根絶やしにするのが一番手っ取り早いって訳か」
「そう」
まあ、手っ取り早いっちゃ手っ取り早いが……。
「ヒュッ」
「クロス!!危ない!!」
ルナのその声で俺は体を捩《よじ》る。
「バシッ」と音を立て、俺との距離、僅か1cm(適当)。
身を捩らなければ、体に穴が開いていたのではないかと思わせるぐらい容赦のない攻撃だった。
俺が怯えていると、ルナは小高い丘を睨み。
「『バーストファイア』―――――!!」
そう叫ぶと、紅蓮の業火は丘めがけて飛んでいく。
ルナは魔法を放ったのだ。
すると、丘から人影が見える。
あれが刺客か、でもルナよく見えたな。
あの丘、俺から見ると緑のおにぎりにしか見えないのだが。
「へえ、魔王ってそんな芸当もできるんだね」
そう、刺客とみられる男は言う。
金髪で整った髪。
ルナとは違う、濁った紅い目。
そして、鼻につく如何《いか》にも金がかかってそうな衣装。
というか重そう。
「誰だお前」
流石に二度も命を狙われた俺にとって、それは重要な質問だろう。
「……「エネミル=ウォード」だ。よろしくするつもりはないけどね」
言外にそうじゃないという意味を込め、睨み返す。
「あれ?違う?じゃあ……。刺客かな」
飄々《ひょうひょう》とそういう男になぜだか俺は腹が立つ。
「別に僕は、魔王を恨んでたり、憎んでいたりするわけじゃないけれど……」
よくない雰囲気がする。
身の毛がよだつというか、鳥肌が立つというか、悪寒がするというか。
まあ俺、命狙われていたしね。
「国からの最重要指令だからさ。申し訳ないんだけど……」
バルメントは息を吸う。
「死んで」
彼は悪びれもせず、さも当たり前のことかのように、そして明らかな殺意をもって、そう言った。