カフェSchaleの管理人になった先生の友達   作:松花 陽気

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当番に来た生徒との邂逅:アビドス編

どうもみなさん、影島次郎です。つい最近、私は職を失ったのですが、友達のいるキヴォトスに来たら、困ってそうだったので友を助けるついでに職を手に入れました。今は、シャーレの副顧問兼カフェシャーレの管理人となった。

ここにきて早数日。最初は早瀬さんや生塩さん、あとゲーム開発部という部の子達が来て、一緒にゲームで盛り上がりました。

ただ、アリスちゃんという人から「先生より弱そうです」って言われた。まあ、大島よりも頼りない顔をしている自覚はある。それでも、アイツよりは仕事ができる為『舐めるなよ。私はこれでも24年(半年以上先)生きた男だ』と返して『おー!なんだか強そうなセリフ!』と少し盛り上がった。てな感じでとりあえずは良好だった。

 

「ん。あなたが先生の友達?」

 

「うん。そうだけど……なぜ僕は縛られてるんですかね?」

 

今日の当番は、アビドス高等学校の二年生である砂狼さん達が来ているのだが、会って早々「大島先生じゃない」ということで縛られた。まじでなんで???ここに僕がいる事はこの前の会見の時にも話したし、ニュースにもなっていた。それを見ていないというのは……。

 

「いやぁ〜びっくりしたよねぇ?来たら知らない大人がいるんだから」

 

ピンクの長髪を伸ばした小柄な少女、小鳥遊ホシノが呑気そうに言う。こんな成りだが最上級生なんだと。他のみんなよりも身長が無くいわゆる幼児体型という奴だろう。可愛いから頭を撫でたくなるが、内にある警戒とさらに奥に秘めた殺意が怖いのでやめておく。

 

「でも先生より弱そうだし。この人は先生みたいなバリアがないからすぐやれる」

 

「やってはダメですからね!」

 

「でも、もしなにか変な事するなら、その時は絶対許さないから!」

 

「セリカちゃん。そんな怖い顔したら、影島先生への第一印象が悪く成りますよ〜」

 

順番に砂狼の言葉にツッコミをする奥空アヤネさんと僕に対し警戒を表にしている黒見セリカさん。そして、明るく包容力のありそうな十六夜ノノミさんが僕に言う。

 

「あの、とりあえず解いてもらえませんか?これじゃあ仕事ができないのですが?」

 

「ん〜……その前に一つ聞きたいんだけど?いいかな?」

 

「なにか?」

 

「ホシノ先輩、なにを?」

 

小鳥遊さんには、どうやら僕に聞きたいことがあるらしい。……一応、僕もアビドスの事情を知っている。副顧問になる以上、知っておいてほしいとのことだった。まあ、当然だ。大島は、彼女達の部活『アビドス廃校対策委員会』の顧問なのだから。であれば、副顧問である僕もまた知るべきことだった。

だけどさ、せめてみんなには話した事を知らせておいてほしかったなあ。

 

「さっきは冗談でシロコちゃん銃を向けたけどさ、君は全然ビビらなかったよね?……どうして?」

 

そんなことか……。

 

「まあ、そりゃ。最初は驚いたさ……でも、僕は先生だ。だから、死ぬとわかっている相手に生徒がそんな事をしないと信じたから。撃たないと信用した。ただ、それだけだよ」

 

まあ、流石に向けた最初はビビったけどね。と後から付け足して。

 

「先生みたいな事言うんだね〜。うん、いいよ。解いてあげよっか」

 

「よかったよかった〜」

 

ようやく縄から解放され、僕は体を伸ばした。

 

「ねぇ先生、大島先生はどこにいるの?」

 

「今はトリニティに出張中で多分、後一週間は帰ってこないな〜」

 

因みに、今トリニティで行っていることも聞いた。なにやら、点数不振の子達がいるらしくその人達が退学しないよう勉強を教えてほしいという、すごく先生らしい依頼だった。ただ、それを話した大島はため息を溢していたが……それだけ頭が悪いのだろうか?結構苦戦しているようだ。因みに、テストは三回あるらしく最近その一回目が終わったとか。一回目で合格すれば依頼もすんなり終われたらしいが、あの様子だとまあダメだったんだろうな。

 

「それにしても、影島先生の体は大島先生よりも大きいねぇ。もしかして、鍛えてたりするの?」

 

背伸びをしたからか、シャツ越しに透けて見えた腕の筋肉を見て、五人が私を見る。大島と僕の身長はそう変わらない。大体170前後だ。まあ、鍛えてはいたので大島よりも少し体が大きいのは必然だった。

(細マッチョの体型でよーく見ないと鍛えている事はわからない)

 

「昔からの癖でね。毎朝しっかりジョギングと筋トレをしてるんだ」

 

「確かに力がありそう。私と勝負しない?」

 

「いいけど、なんの勝負?」

 

「腕相撲で勝負。勝ったら私とライティングに行く」

 

「ちょっとシロコ先輩!?どさくさに紛れて何を言ってるのよ!」

 

「うん。いいよぉ〜」

 

「いや軽!!?」

 

「ただし、仕事が終わったらね」

 

「ん。最高速度で終わらせる」

 

「早いのはいいですが、丁寧にやらないとダメですよシロコちゃん☆」

 

「ほら、ホシノ先輩もやるよ!」

 

「うへ〜。おじさんは先生の顔を見に来ただけなのになぁ〜」

 

□□□

 

なんやかんやあり、アビドスの人たちのおかげで仕事は昼前に全て終わった。

 

「ふぅ〜終わった終わったー!」

 

「お疲れ様です、影島先生」

 

「うん、みんなもお疲れ。お陰で私の仕事も丁度よく終われたよ」

 

今日の仕事量は比較的量が少なかった。いつもは大体山一つ分以上は来るのだが、僕の仕事ペースがまあまあ早いのか、やるべき仕事が減って問題が減っているのだろう。あと、大島の代わりにいくつか依頼もこなしている。前にミレニアムに行った際にC&Cこと通称メイド部と言われている組織と共に、任務の指揮をした。どうやって指揮したのか?舐めるなよ、これでも僕は大島とタメで将基を打てる実力者だ。それでもアイツが勝ち越してはいるが、まるで勝てないわけじゃない。あとは、簡単な依頼なのもあり被害が少なく済んだのも良いと言える。

でも、メイド部の一ノ瀬さんに会った時の、「今日のご主人様だ!」って言われた時は焦ったよ。

 

「そろそろお昼なわけだけど、どうせだし一緒にどうかな?」

 

「まあ、それは名案ですね!」

 

「ん。確かに、先生ならもっと私たちと親睦を深めるべき」

 

「そうですね。これからも関わることになるので、その方が良いですね」

 

「おじさんも賛成〜!先生の友達って言うし、色々話せそうだし」

 

「よし!決まりだな……それじゃあ、移動しようか」

 

そう言ってみんな引っ張り執務室を後にする。

向かう先はもちろん……。

 

「あの……ここって?」

 

「うへ?どこに行くのかと思ってたけど。久しぶりに来たなぁ」

 

「ん?ここって」

 

「カフェ……ですよね」

 

そう、僕が連れてきたのは僕が管理しているシャーレにある生徒の憩いの場所。カフェSchaleだ。

 

「ねぇ。お昼食べるんでしょ、なんでここに来たわけ」

 

黒見さんが訝しげな目で僕を睨む。僅かにだが、背後のオッドアイからも視線が向けられており、背筋が少し凍り付いたが、平常心で応えた。

 

「実はここの管理を任されていてね。最近ようやくレイアウトが完成したから。ご飯を食べるついでに、君たちから感想をもらおうと連れてきたのさ」

 

「そう言うことだったんですね。では、私たちはそれを審査すれば良いんですね」

 

「そういうこと。いろんな生徒に居心地の良いところを提供したいからね。これで人が集まれば、いろんな学園の生徒達がここで交流を深められるキッカケにもなるしさ」

 

「わかった。でも、ここって飲み物しかないよね?食事はどうするの?」

 

もっともな疑問を砂狼が投げかけた。僕はそれに指を鳴らして彼女を指差した。

 

「良い質問だ砂狼くん!確かに以前までのカフェには飲み物を自由に飲めるようにしかしていなかった。だがしかし、カフェなのに飲み物だけなのは寂しい……ということで、料理スペースとお菓子を入れる棚とかを用意してきた。ある程度の材料を確保しているから、作ろうと思えば作れるのさ。因みに、今日は僕が料理をするので食事については心配ご無用さ!」

 

自信満々に鼻を鳴らして答えて見せると、なにやら五人は不安そうな顔で僕を見た。なんだ?まさか男は料理できないとでも思ってんのか??

 

「ケッケッケっ!!……舐めてもらっては困るな。私の腕を解くとご覧入れよう!期待していたまえ」

 

「なにその笑い方。気色悪っ!」

 

「えぇ……」

 

僕の悪い癖笑いが、気持ち悪い……。まあ、実際そう思ってるけどそんなド直球で拒絶しなくても良いじゃん。

 

「………………おじさんもやめてほしいかな。それ」

 

なんか知らないけど小鳥遊の目がより鋭く変わったような気がする。そんなに気持ち悪かった??……そうか。

 

「あはは。……そ、それでは行きましょうみなさん」

 

奥空さんの気遣いで停滞していた空気が進んだ。

ありがとう奥空さん。

というわけで、入ってきた対策委員のメンバー達は、変わったカフェに目を丸くしながら辺りを見渡していた。

 

「すごーい!あんなに何にもなかったのに、色々置いてある」

 

「ん。しかも、スペースも分けられてる。こっちは台所と椅子や机がある」

 

「こっちにはクッションもあるよ!ご丁寧に大きなマッドもあるし、オモチャ棚やゲーム機なんかもあるね。見た感じ、子供スペースってやつ?」

 

「壁紙や床もオシャレですし、今の時期にぴったりな爽やかな色合い……とても良いです!影島先生、これは文句無しに良い所ですね!」

 

皆、各々に違った反応で楽しそうに感想を言われ、心の中が凄く嬉しい気持ちになる。

 

「ふふふ。よかったよかった!よーし、先生張り切って良いもの作るぞ!」

 

そう言って私は料理を開始する。待っている間に、大島先生のことや僕のことをみんなから少しずつ質問されたが、邪魔にならない範囲でのことだったため、良いものが作れた。因みに、感想としてはとても美味しかったとのこと。

これだけでこの仕事して良かったと思えるな。その後、しばらくカフェに滞在してから夕方になって対策委員会達は帰ったのだった。

 

ちなみに、腕相撲の勝負は秒で負けた。

 

□□□

 

今回の当番

アビドス廃校対策委員会のみなさん。

小鳥遊ホシノ

砂狼シロコ

十六夜ノノミ

黒見セリカ

奥空アヤネ




生徒達の解像度が低いかもしれません。
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