異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します 作:hoyohoyo
校舎の修理が終わるまで(といっても今回は軽微な上、セラヴィーとどろしーが馬車馬のように働くので)、課外授業…つまり遠足に出る事となったうらら学園の生徒たち。
春の海なのに全員泳ぎ出す姿に「みんなアホか…」と思いながら荷下ろしの準備をしていると、パッパラ海岸にこの時期出没する一つ目クラゲにしいねちゃんとリーヤが刺されてしまう。
救護室で回復魔法を掛けるアーリンだが、どうも効きが悪い。
「高熱が少し下がった程度…この毒には相性が悪いのかしら」
治すには星の入江にある『ナオリ草』が必要という事で、チャチャ、マリン、お鈴ちゃん、ラスカル先生、そしてアリーナとリナが行くことになった。
(物語通りならあの入江には海坊主の妹が居るはず…歪みも現れるかもしれない)
(アーリンとルナはあの2人の介護で戦力は半減だけど仕方ない)
意を決して星の入江に向かうアリーナとリナ。
隠密行動のはずが、チャチャのほうきに強引に2人乗りをしようとしたマリンによってあっさりバレてしまい、入江の先にあった渦から髪の毛が飛び出してチャチャとマリンを海に引きずり込んでしまう。
お鈴ちゃんが鎖鎌で2人を助けようとするも、チャチャしか助けれず、マリンは渦の中へ。
何とか助けたチャチャが「マリンは人魚だから多分大丈夫…」とへばりながら言った瞬間、渦の中から大きな人影が。
「妖怪かー!?」
ラスカル先生の叫びと共に現れたのはピンク色の妖怪…海坊主の妹、海坊子。
ナオリ草の本当の効果(一つ目クラゲの毒消しは副産物的な効果で、本当は惚れ薬の一種だそうだ)をぺらぺら喋る海坊子の後ろでマリンがそそくさと星の入江の洞窟へ。
海坊子の相手はラスカル先生、チャチャ、お鈴ちゃんに任せてアリーナとリナは歪みを探す為に海坊子の攻撃を適当にあしらいながら物語を進めていく。
ナオリ草を全部海の中に沈められ、マリンと一緒に捕まり、危機一髪のところを海坊主が現れ海坊子を説得、そのまま2人は海へ還っていく。
「ナオリ草…全部無くなっちゃった…」
毒が治せないと分かり号泣する3人。
(物語を知ってても辛いわね…)
(ぐすっ、ボクまで泣きそうになるよ…)
そんな3人を遠くで見守るアリーナとリナ、そこへ大魔王の手下がチャチャたちに襲い掛かってくる。
「我こそは魔界の海の覇者、キングクラーゲ!」
チャチャたちの身長の数倍はある巨大なクラゲがチャチャを襲う。
本来、キングクラーゲの色は白に近い透明なのだが…。
「赤茶色…!間違いなく歪みの影響よ!」
アリーナが武器を構えてチャチャの前に立つ。
「アリーナ先生!」
「気を付けて、あの触手に当たったら命がいくつあっても足りないわよ!」
「クラーゲェ!」
キングクラーゲの咆哮とともに触手の塊が鞭のようにチャチャとアリーナを襲う。
触手が砂に当たり、その部分が焼ける。
焦げた臭いが辺りを漂わせた。
「チャチャ、右によけて!」
「ひぇぇぇ!」
「お鈴ちゃんは左!」
「いやーん!」
「マリンは…海の中か!」
アリーナが的確に回避する方向を指示し、何とか致命的な一撃は避けられるものの…
(この2人を指示しながらだと攻撃出来ない!)
飛んでくる触手を斬り飛ばすのが関の山。
「『覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)』!」
「稲妻は我の好物ぞ!」
リナが黒魔法で攻撃するも、逆に吸収されてしまう。
「ちっ、電気クラゲ系か!」
さらにリナの魔法で強化されたクラーゲの触手に走る青白い雷光が空気を焦がそ、塩の匂いに焦臭さが混じる。
「あつっ!」
アリーナの剣を通して、電流が駆け抜ける。
手の感覚が一瞬、痺れて鈍る。
(これ…武器が逆に危ない!)
「リナ!どーすんのこれ!」
強化されてしまったキングクラーゲの攻撃を何とか躱して叫ぶアリーナ。
「仕方ないわね!大技をぶっ放すからそれまで何とか耐えて!」
リナが叫んだ瞬間、地面に刺さった触手から広がる電撃にお鈴ちゃんが触れ、そのまま彼女は悲鳴を上げて気絶してしまう。
「きゃっ!」
白い砂に転がる小さな体。
(まずい、守りが崩れた!)
アリーナの判断が一瞬遅れた隙に、触手が巻き付く。
「ひぎゃっ!」
「しまっ…うぐっ!」
身体が宙に持ち上げられ、圧迫される。
息が詰まる。
動けない。
(くそっ、こんな所で!)
隣ではチャチャも吊るされている。
「さぁチャチャとちょこまか動いてた人間め!いよいよ最期の時だな!ボルテージを最大にしてお前たちの身体に流し込んでやるラゲ!あっという間に黒焦げ頭巾と丸焼け人間ラゲ!」
(くっ!密着してると『竜破斬』が撃てない!)
その様子を見たリナの表情が崩れる。
そしてキングクラーゲが2人にトドメを刺そうとしたその時…!
「チャチャさん!」
「チャチャ!」
セラヴィーによってマリンのナオリ草を巻き上げ…もとい頂き、それを仲良く分けて食すしいねちゃんとリーヤ。
毒がすっかり抜け、元気になった2人がチャチャの傍に寄る。
それと同時にチャチャのプリンセス・メダリオンが、リーヤのブレスレットが、しいねちゃんの指輪が光り、ホーリーアップが始まる。
同時にチャチャとアリーナを縛っていた触手の拘束が弾け飛んだ。
何とか受け身を取って着地したアリーナの肺に海風が流れ込む。
「はぁっ…!」
生還の実感が遅れて押し寄せる。
「マジカルシュート!」
チャチャの一撃でキングクラーゲはバラバラになり…
「リナ!あそこ!」
アリーナが指さした先にはバラバラになった一つ目クラゲの群れ、その中に1匹真っ黒な瘴気を放つクラゲが。
そして詠唱を終えたリナがクラゲに向かって攻撃魔法を放つ。
「『竜破斬(ドラグ・スレイブ)』っ!」
一瞬、時が止まったように感じられた。
次の瞬間、リナの手から放たれた赤い光がそのクラゲを飲み込み、そして空中で大爆発を起こす。
「おーおー、見事に吹っ飛んだねぇ…って本当に危なかったんだからね!」
「ごめんごめーん…まさか魔法を吸収するとか思わなかったんで」
「リナの場合シャレにならないんだから!」
正座させられるリナとお説教が続くアリーナ。
その様子を見ながらチャチャたちは笑みを浮かべるのだった。
「月が綺麗ねー」
月夜の晩、星の入江で歌うチャチャたちを見ながら黄昏るアリーナたち。
ラスカル先生のギターの音色とチャチャたちの歌声が波音と混じり、月光が海面を銀色に染める。
「おーい、そっちは大丈夫なのー?」
帰りが遅いのを心配したのだろう、アーリンとルナがやって来る。
「ごめんごめん、色々あったけど無事解決したわよ」
リナが心配する2人の頭を撫でる。
「というか一番厄介だったのが味方だったよ…」
「この前のアンタも大概よ?妖刀に乗っ取られてえらい目に遭ったんだからね」
「まぁまぁ…これだけ軽口叩けるなら心配いらないわね」
言い争う2人を止めながらアーリンが苦笑する。
燦然と輝く月はアーリンたち、そしてチャチャたちを照らし続けるのであった。
その裏で何かが蠢いているとも知らずに…。