異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します   作:hoyohoyo

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~仲間との再会、そしてしいねちゃん、涙の再会~

洞穴の中は明かりが殆どなく、視界はかなり狭い。

ところどころ蜘蛛の巣が張られ、油断すると絡まりそうになる。

「こういう時は、松明を使うのも手よ。前に障害物があってもこうやって燃やせる」

アーリンが松明に火を付け、前にかざすとそこにあった蜘蛛の巣が一瞬で燃え上がり、視界が広がる。

「後は道に迷わないようにこうやって壁に印を付けるのも大事よ」

ルナは鉄の鋲を取り出すと壁に矢印を付けていく。

「おお、先生たちすげーな!」

「ほんとほんとー!」

「サバイバル術、ってやつですね」

「はいさっさと先に行くわよ?」

「わたしはしんがりから進むわね」

そしてどんどんと奥に進む一行。

 

「あ、あそこに人影が!」

チャチャが指を差した場所、岩の上にピンクのヴェールを掛けた女性の後ろ姿が目の前に。

「誰?」

「ひょっとして、お母さん…?」

「しいね?」

名前を呼ばれたことで確信したのか、思わずその場を駆けていくしいねちゃん。

「しいねちゃん!本当にお母さんなのか確認しないと!」

アーリンの静止させようとする声を無視して走る彼、その後を追う他の面々。

「しいねちゃん!」

チャチャはその女性が手を持ち上げ、何かをしようとしている瞬間を見てしまった為、慌てて止めようとする。

しかし一歩遅く、その女性がおもむろに立ち上がると振り向き、両手を上にあげて、前に突き出す。

そこから飛び出る白い液体。

「うわあああ!」

しいねちゃんは反応が遅れ、その粘液に絡まり、蜘蛛の巣となった粘液に捕らわれてしまうのだ。

「何だこれはー!」

絶叫する彼の上を飛び越え、チャチャたちに立ちはだかる女。

「私はこのクモノース監獄の女獄長、スパイディアよ。あなたたちが来るのを待っていたわ」

見下すような表情を浮かべるスパイディア。

「あんたがチャチャね…気に入らないね、お供の男の子も可愛いじゃない」

そう言ってリーヤも蜘蛛の巣に取り込んでしまう。

 

「女同士でケリを付けましょう、そして後ろのお邪魔虫は私の可愛いペットとじゃれあっておきなさい」

「…!?」

アーリンたちの背後から光る影が。

「ちっ、蜘蛛の怪物か!」

全身を固い甲羅に覆われた蜘蛛がアーリンたちに飛び掛かる。

「取りあえずは応急手段だけど…戦の神マイリーよ、その力を持って邪を払う武器となれ!『ディバインウェポン』!」

アーリンの手から光り輝く大剣の形をした力場が現れる。

「良い呪文ね、それ!」

「ただ長持ちしないから、本当に切羽詰まった時しか使えないのよこの魔法!」

そう言いながらアーリンは蜘蛛に向かって斬り付ける。

前足を切断され、体液を流しながら不快な叫び声を上げる蜘蛛。

「甲羅は…駄目ね、固いわ」

ルナも飛び掛かり、蜘蛛の甲羅に剣で斬るが…カーンと表面で弾かれる。

「アーリンだけが頼りね!わたしは結界で攻撃を防ぐわ!」

その言葉に飛び出してジャンプ斬りを放つアーリン。

甲羅ごと叩き割ろうとするが、表面を傷つけるに留まる。

しかもその甲羅がみるみるうちに元の姿に盛り上がってしまうのだ。

「ちっ、再生能力もあるのか!」

「今のわたしたちだと時間が掛かるわね…こういう時にアリーナとリナが居れば…」

敵の攻撃は結界で防げるので実質ノーダメージだが、こちらの攻撃も相手に決定打を与えられない。

 

奥の方ではスパイディアとチャチャが戦っていたのだが、こっちの深刻な状況に比べるとふざけた感が強くなる。

スパイディアの魔界に伝わる奥義『蜘蛛の手八裂拳』に対して、チャチャはもちもち山に伝わる奥義『うさぎさんの遊園地入場拳(券)』を繰り出す。

もちろん全く対抗出来ず、チャチャは逃げ纏うばかり。

その時、糸に掠めた腕が一瞬で拘束される。

「…!?」

慌てて振りほどき、走ってくるスパイディアに召喚術を唱える。

「出でよ!ムカデ!」

しかし出てきたムカデは一撃の元で吹き飛ばされる。

「出でよ!殺虫剤!」

次に召喚した殺虫剤は大きすぎて噴霧先がスパイディアの頭上。

それでも何とか逃げるチャチャを見てリーヤとしいねちゃんが蜘蛛の巣から脱出しようとするが、強固に絡まった蜘蛛の糸から逃れられない。

その時である。

「いーとーまきまき、いーとーまきまき」

洞窟の奥から出てきたのはローブに身を纏った2人の男女…と。

「誰だお前…それとアリーナ先生にリナ先生!」

そう、アリーナとリナも一緒に付いてきたのだ。

「わたしはただの通りすがりの糸巻きおじさんです」

「私はただの通りすがりの糸巻きおば…お姉さんよ」

「道中で知り合ってそのまま同行したよ…」

(まぁ、本当はセラヴィーとどろしーなんだけどね。帰って来たらクモノース監獄にみんな行きましたので一緒に後を付いていきましょう、って言われて)

リナが本当の事を胸の中でそっと呟き、そしてリーヤとしいねちゃんに付いていた蜘蛛の糸をセラヴィーとどろしーが魔法の糸巻き棒で絡み取っていく。

「さぁチャチャと力を合わせてスパイディアをやっつけるんです」

「ありがとう、糸巻きおじさんと糸巻きおばさ『お姉さん!』」

最後にどろしーが文句を言いながらその場を去っていくセラヴィーたち。

「さて…スパイディアは2人に任せるとして、あたしたちはアーリンを助けるわよ」

「了解!」

奥で戦闘を繰り広げるアーリンたちを見てすぐに駆け出すアリーナとリナ。

 

「あー!再生能力が速すぎてこの魔法じゃ追いつかない!」

「せめてわたしの武器が赤竜の魂を込めれる武器だったら…」

焦りそうになるアーリンとルナだが、それでも守りの方はしっかり固めていた。

と、遠くから聞き覚えのある声が。

「アーリン、どいてぇぇぇぇ!」

突如現れたのは、日本刀を持ったアリーナと、全身から濃密な魔力を放つリナ。

「ボクの、村正の一撃を、喰らえぇぇぇぇ!」

「アリーナ!狙うのは装甲が薄い腹よ…ってこの脳筋が!」

リナのアドバイスもどこ吹く風、高速の速さで敵まで一気に差を詰める。

アリーナが抜刀すると、戦場に冷たい殺気が奔った。

巨大な蜘蛛の怪物の装甲を、まるで紙のように村正が断ち切る。

「こ、の…ボクの、いう事、聞けぇぇぇ!」

同時に刀に広がる瘴気を強引に抑え込んで再び鞘に仕舞う彼女。

「…はぁ、はぁ。この刀、やっぱり一筋縄じゃいかないね。妖刀村正…斬れないものは無いけど、制御が難しいんだ」

汗を拭うアリーナの後ろではスパイディアのペットの蜘蛛は哀れ、真っ二つになってその場に崩れ落ちていた。

 

そして天井が砕け、青空が見える。

向こうでスパイディアが正体を現し、チャチャたちに襲い掛かるのだ。

巨大な蜘蛛の化け物、先程アーリンたちが戦った蜘蛛の数倍の大きさ。

そんな敵に対して即座にマジカルプリンセスに変身するチャチャ。

 

吐き出す蜘蛛の糸をウイングクリスで切り裂き、相手が隙を見せた瞬間、バーニングフラッシュで胸板ごと赤い、浄化の光で貫く。

その聖なる力にスパイディアの身体は耐えきれずに崩壊し、消え去るのだ。

 

スパイディアが消滅したと同時にクモノース監獄は消え去り、荒野が残るのみ。

「クモノースの監獄が消えてしまった…」

戸惑うしいねちゃんの向こうから聞こえてくる歌声。

慌ててそっちに向かうと―

 

ひとりの女性が歌っている。

 

おやすみなさい 私の赤ちゃん

あなたの つぶらな瞳に 私も安らぐ

あなたの声を 明日は聞かせて

だから今は おやすみ 私の赤ちゃん

 

子守歌―その歌っている姿を見て確信を持つしいねちゃん。

「しいねちゃん」

「行けよ」

2人に後を押されて駆けていくしいねちゃん。

 

(お母さん、お母さん、お母さん!)

「おかあさーん!」

「しいね!?」

 

見つめ合う2人。

「しいねなのね…!」

「おかあさーん!会いたかった、お母さんに会いたかった!」

涙を流して抱きしめ合うしいねちゃんと母親。

 

「しいねちゃん、よかった…。よかったね、リーヤ」

「ううううう」

母子の再開にチャチャとリーヤは感涙する。

そんな様子をアーリンたちも見守るのだ。

「無事で良かったわ…って、アリーナにルナも、何泣いてんの?」

「だって、感動しちゃうじゃないか…」

「ぐすっ、わたしもこういうのはうるっと来ちゃうのよ…」

「はいはい、ほら2人ともハンカチ」

ジト目で号泣するアリーナとルナに持ってきたハンカチを渡すリナ。

 

後日、セラヴィーの家。

アクセスとしいねちゃんの母親は失われた体力を戻す為に静養に出る旅に。

その背中を見つめて一抹のさみしさを覚えるしいねちゃん。

「お父さんー!お母さんー!」

それでも、いつか必ず戻ってくる。

しいねちゃんの心の中は今までに感じたことの無い、安堵感があふれ出していたのだった。

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