異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します   作:hoyohoyo

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~同窓会~

日は変わってうらら学園。

アーリンたちは講堂内を行ったり来たりと大忙し。

「大魔王倒しに行くのに同窓会とか、いいのかなぁ」

アリーナが片手で積み重ねたテーブルをもう片手で所定の場所に置きながらぼやく。

「物語の都合とはいえ、流石に人使い荒すぎでしょ」

「そう言いながらリナは何でゴーレムの上に乗って楽してるのかなぁ?」

ぴこぴこリナちゃん(運搬型)の頭上に乗りながら椅子のセッティングをしているリナに半ばキレ気味のアーリン。

アーリンは脚立に乗って天井の飾り担当である。

「はいはい、ちょっと休憩がてらにこれ食べてこの後も頑張りなさいな」

ルナが空いたテーブルの上に軽く摘まめる軽食を置く。

なお彼女は今回の同窓会パーティの飲食物担当でもある。

「明日が同窓会だからね、今日中に間に合わせるわよ!」

「おう!」

アーリンが他のみんなに発破を掛けるのだ。

「あらあらあら、順調そうね~。流石アーリン先生たちだわ~。特別ボーナスは出さないけれども~」

様子を見に来たうらら学園長の言葉に一同肩を落とす。

「殆どあたしたちで頑張ってるんだから、報酬くらい弾んで欲しいわよ…」

「ラスカル先生たちは魔導郵便製作で手が離せないからなぁ…」

そう、他の教師陣は今年卒業した生徒たちの魔導郵便を昨日から不眠不休で送っていたのだ。

地味にブラックな学園業務だったりする。

 

なんやかんやで無事セッティングも完了し、次の日を迎える。

校舎にどんどん集まってくる去年の卒業生たち。

と言っても卒業したのは数ヶ月前なので、久しぶり的な感じであり、あちこちで笑顔と笑い声が聞こえてくる。

アーリンたちも職員室の窓から生徒の様子を見ながら笑顔を浮かべる。

「やっぱり教え子たちが誰一人欠けずに出席するのはホッとするわねー」

「みんな元気な証拠だよ」

リナの言葉にアリーナが答える。

 

そしてチャチャたちもやって来て―マリンに絡まれる。

主にリーヤ関係だけども。

危機回避能力を身に着けたリーヤはマリンに気付かれないように狼に変身する。

「しかし…いつになったらあの子はリーヤが狼の子だって気付くのかしら」

「はは…」

苦笑いのアーリン。

次に絡んできたのはやっこちゃん、こちらはセラヴィー絡みだけども。

セラヴィーの妻になった妄想を振りまき、「お背中お流ししましょうか?」とか一人芝居をする始末。

「おーい、弟子が暴走してるぞー」

「…今だけ師匠の看板外したい」

アーリンの突っ込みにリナが頭を抱える。

そしてしいねちゃんの影からにょきっと現れたのはお鈴ちゃん。

「初々しさがあっていいわね~」

ルナの表情が蕩けっぱなしだ。

「姉ちゃんはしいねちゃんとお鈴ちゃん派なの?」

「もちろん!いいじゃない、あんな純情カップルとか」

「こっちはこっちで脳内春爛漫じゃないの…」

アーリンとリナがため息を付く。

 

とりあえず生徒たちに会いに校庭に出ると、先に着いていたラスカル先生とバラバラマン先生が喜びのあまり暴走、チャチャたちをもみくちゃにしている姿が。

うらら学園長も一緒になって滂沱の涙を流し、クラスメイトたちもやって来る。

(いつものバナナ組の光景ね…でもそれがまた良いわね)

アーリンも嬉しそうだ。

 

同窓会が始まる。

華やかな飾りつけにテーブルに所狭しと並ぶ豪勢な料理(ルナ曰く『そんじょそこらの三ツ星レストランに引けは取らない』とのこと)、そして仲間たちのお喋りと笑顔、笑い声がBGMとなり素晴らしいものとなっていた。

「皆さん楽しんで下さいね!後でクイズ大会とか、バラバラマン先生とラスカル先生の漫才とか…私とアリーナ先生のナイフ投げとか、色んな余興もやりますからねー!」

そう言って何本ものナイフをお手玉をしながら操るうらら学園長のあいさつに生徒たちから歓声が上がる。

「アリーナ、あんたも余興に参加するの?」

「いやー、うらら学園長のナイフ投げが気になってちょっと教えて貰ったんだ!」

「うわー、見てみたいようなそうでもないような…」

アリーナがうっきうきな様子に対して少し引き気味のリナ。

「あ、余興その2としてナイフに10分の1くらいの赤竜の魂込めてみました。赤く光るよ!」

同じくルナも満面の笑みでアリーナが使う予定のナイフに赤竜の魂を込めている。

「姉ちゃん、魂を込めちゃったナイフって壊れないの?」

「ほんの少しだからね、赤く光る程度なら全然」

リナが興味津々とその様子を見つめている。

「うわぁ…凄く、魂の無駄遣い」

きっと赤竜神も思っているに違いない、というか罰当たりじゃないのか?と心底思うアーリンだった。

 

「そういえば…物語の続きはどうなるんだっけ?」

「何か大きな羽根の魔族が出てきてどうこうした気がするんだけど…あまり覚えてないのよね」

「大きな羽根って、あれの事?」

アーリンとリナの会話にルナが肩を叩き、指を差す。

舞台会場の真ん中に磔台が置いてあり、そこに両手両足を拘束された魔族―ハーピィが暴れようとしていた。

「なんであんなところに…」

「ラスカル先生がナイフ投げのアトラクションの人と思って引っ張ってきたみたい。あ、ボクも出番だから行くね!」

アリーナの説明を聞いて他の面々は戸惑いの表情を浮かべる。

「ま、まぁ何かあったらすぐに動けるようにしましょう…」

物語のギャグ補正というものは存在するんだなぁ、と遠い目をする3人。

 

しかし、磔台の上のハーピーは、笑っていなかった。

その目だけが、ぎらりとチャチャを睨んでいたのだ。

「チャチャ…ゆっくりと、壊してやる」

誰にも聞こえない声が、彼女の口から漏れていた。

 

「あらあらあら~、それじゃ行きますよ。秘技『うららナイフ投げ、当たったらごめんなさい投法』~」

おおきく振りかぶったうらら学園長が投じたナイフは、亀が動くスピード並みに遅かった。

「おお、凄い…この遅さでナイフが落ちない!」

横でアリーナが目を輝かせてその動きを見つめる。

 

ふよふよふよ…ストン!ストン!ストン!

3本のナイフがハーピーの身体ギリギリのところに刺さる。

「うわぁぁぁぁ!」

滝のような汗を流して叫ぶハーピー。

「セラヴィー先生すごーい!」

ハーピーを『チャチャたちを鍛えるために変身魔物セットで変装したセラヴィー』と信じ込んでいるチャチャはうらら目になりながら拍手する。

「じゃあボクも…秘技『アリーナナイフ投げ、目にも止まらぬ早業だから当たったらごめんね投法』!」

適当な名前を付けて今度はアリーナがナイフを投げる。

名前の通り、豪速球クラスの赤く光るナイフがハーピーの身体数センチ横に刺さる。

「こりゃ拷問だぞ…」

リーヤの額から汗が流れる。

二投目三投目とうららとアリーナが交互にナイフを投げる。

うららは超スロースピードのナイフを。

アリーナは超ハイスピードのナイフを。

ハーピーは絶叫を上げながら何とか身体をよじらせて躱すも、アリーナのナイフがお尻をかすめてしまう。

「いだだだだ!」

「痛いんだよな、ああいうの…」

そう言いながら自分のお尻をさするリーヤ。

「お師匠様~」

「セラヴィー先生頑張って~」

力を込めて応援するチャチャたちの後ろで―

「どろしーちゃんと私がどうかしたんですか?」

その声に振り向くと、そこには変身魔物セットを着たセラヴィーとどろしーの姿が。

驚くチャチャたちに「やっぱり分かりました?安物は駄目ですね」とどろしーのセンスの無さを呟くセラヴィー、それに噛み付くどろしー。

「でも、2人がここに居るという事は…」

しいねちゃんがハーピーの方を向くと、うららとアリーナがナイフを全部投げ終えたところだった。

喜ぶ2人、拍手喝采の周囲。

そして―ブチギレるハーピー。

「人の事をおもちゃにしおってー!許さーん!」

赤いオーラを出して怒りに震えるハーピーが拘束を力づくで外す。

「あ、あれは!」

「知ってるのセラヴィー?」

「ハーピーです!王家に怨みを持つ、恐ろしい女です!」

セラヴィーが厳しい口調で言う。

「確かこの前の昇給試験で出てたわね、国王をたぶらかそうとして逆に返り討ちに遭った魔物の名前は?ってやつ」

「あー、この魔族がそうなのね」

リナの言葉にルナが返す。

「というか、魔力の放出が始まるわよ!早く結界張らないと、生徒たちが危ない!」

アーリンはそう言うとホーリープロテクションを生徒側の前に広げる。

「早く逃げるんだ!」

ラスカル先生とバラバラマン先生は生徒たちを安全なところに避難させる。

その瞬間、ハーピーの魔力が解き放たれた。

「うわっ!これも効果薄い…!神の力に似ているタイプか!」

「違うわ、これは…わたしの、神力!?」

ルナが自分の力と同じものを持っている敵の能力に思わず叫んでしまう。

「何故ハーピーがルナの神力を持ってるの?」

アーリンも困惑した表情を隠さない。

 

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