異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します   作:hoyohoyo

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~自分たちとの戦い~

そんな愉快な戦いを繰り広げる中、アーリンたちはというと―

「アーリン…」

「分かってる」

背後から強大な魔力が伝わってくる。

「大魔王の手下にしては強すぎる魔力…歪みかしら?」

その割には特有の混ぜられている感触は無い。

「とにかく広い所に出ましょ、ここじゃ分が悪い」

 

そして開けた場所に着いたと同時にくるりと振り返り、剣を抜くアーリンたち。

「!?」

目の前に居た姿に思わず目を開く。

『チャチャたちに合流しようと思ったが、本物に出くわすとはな』

『構わん、先にこいつらを始末しよう』

『この力なら…チャチャどころか、大魔王様にも匹敵する』

『まずは、力試しと行こうか!』

自分そっくりの偽物が目の前でアーリンたちに襲い掛かったのだ。

 

「ここの魔物の特殊能力かしら!?」

偽アーリンの剣を自分の剣で受け止めながら叫ぶ。

火花が散る。

少しでも触れれば肉が裂け、骨が砕ける程の打撃音が響く。

「くっ…!自分と相手するなんて初めてよ!」

自分の剣筋が、全て読まれている。

『ふふふ、お前の性格も分かるだの!お前は仲間を守る事も考えて剣を振るっている!』

少し離れたところで魔法合戦をしているリナに向かって偽アーリンが剣を振るおうとしていた。

「させない!」

回り込んで上段から振りかぶった剣を自分の剣で受け止める。

「ぐぅっ、重い…!」

『そりゃそうだの!お前の力なのだから!』

高笑いする偽アーリン。

 

「どりゃりゃりゃ!!」

お互い止まらない拳の連撃。

アリーナと偽アリーナは得意の打撃戦に持ち込んでいた。

拳と拳がぶつかる。

蹴りがお互いの足で交差する。

「自分の蹴りってこんなに痛いんだ…!」

表情を歪めながらそれでも手を止めない。

 

「偽物の分際でわたしを語るなんて百年早いわ!」

赤竜の魂を込めたセレネシアブレードが相手の剣とぶつかり合う。

『ふっふっふ、神の力か…さしずめこちらは暗黒の力ってところかの?』

赤黒く光る刃を躱し、返す刀で斬り付けるがこちらの攻撃も躱される。

 

「『炎の槍(フレア・ランス)』!」

『甘いわ、氷の槍(アイシクル・ランス)』

お互いの呪文が放たれ、相互干渉を起こして激しい水蒸気を漂わせて消える。

「ならば!『明かり(ライティング)』!」

偽リナの頭上で光の玉を浮かばせ、影を作ると同時にナイフを投げるが。

「お主の考えなどお見通しだの!『明かり(ライティング)』!」

自分の足元に同じように光の玉を広げ、影そのものを消してしまう。

「それは囮よ!本命はこれ!」

詠唱の速さで勝ったリナが放つ黒魔術、『獣王牙操弾(ゼラス・ブリット)』。

それは偽リナに届くかと思ったが―間一髪、同じ魔術で相殺する。

「ちっ、考えがほぼ同じでやりにくいったらありゃしない!」

 

死闘を繰り広げるアーリンたちとは対照的に。

逃げるチャチャに偽リーヤと偽しいねちゃんがわざと誘導させて罠に誘い込み。

落とし穴に嵌り、溶岩の中に叩きこまれかけるも、やっこちゃんが投げた『やっこ印ウエシタカワルーノG(天然ビタミン配合)』で重力を逆にして天井にぶつけて事なきを得て。(なおやっこちゃんにセラヴィーに介抱されるつもりか、とどやされた)

再び変身するもまた偽者に騙されて失敗し、おたまと鍋を頭に被った姿で登場。

やっこちゃんがあまりの下らなさにその場でぶっ倒れる始末。

変身出来ないチャチャがとうとう追い詰められたその時、ようやく本物のリーヤとしいねちゃんが現れ、無事にマジカルプリンセスに変身、モドキングをビューティ・セレインアローで粉々にした。

 

しかし本当の罠はここからだった。

分離したモドキングをチャチャが踏んでしまい、その能力をコピーしたモドキングは暗黒プリンセスとしてチャチャと対峙。

『ダークフェザー・スキルアップ!』

「ライトニングフェザー・スキルアップ!」

不死鳥の剣と暗黒鳥の剣を携えて、お互いの戦いが始まる。

能力は互角、剣戟の音が響き、紅く光る不死鳥の衝撃波と黒く光る暗黒鳥の衝撃波がぶつかり合う。

しかし、大魔王の手下が持つ非情さのアドバンテージの分だけ偽チャチャの方が上手なのか、徐々にチャチャは押されていく。

『自分自身に勝てぬ者に、未来などあるものかの~!』

邪悪な微笑みを携えながら偽チャチャの攻撃が増していく。

剣とスライムの触手による二段攻撃がチャチャを襲う。

「しまった!」

手首に触手が絡まり、そのまま引き摺り倒される。

 

「まずい、このままじゃチャチャさんが!」

しいねちゃんがスペシャル魔法弾を放ち、偽チャチャの手数を分散させ。

「このー!偽物はとっとと消えろー!」

リーヤは近くにあった大岩を投げつけて、偽チャチャの動きを足止めする。

今までの戦いで技量が上がった2人の攻撃は、拘束していた触手を手放す状態に。

「今だチャチャ!」

リーヤの声にチャチャが立ち上がり、剣を振るいながら必殺技を放つ。

「ウイングクリス・バーニングフラッシュ!」

それに呼応するかのように偽チャチャも。

「ダーククリス・バーニングフラッシュ!」

聖なる光と邪悪な光がお互いの中心で拮抗し合いながら激しくぶつかり合い、一進一退の攻防を見せる。

「負けないわ、みんなの為にも!」

しかし、偽チャチャは1人だけ。

こちらはリーヤ、しいねちゃんの思いがチャチャの力の後押しとなり、徐々に聖なる光が邪悪な光を飲み込んでいく。

「そ、そんなー!」

その光はモドキングを元の姿に戻し、そのまま迷宮の天井を突き破らせ、はるか彼方へ吹っ飛ばしていったのだった。

 

激しい剣戟、拳と足、そして呪文。

洞窟を破壊しながらその爪痕を残し、ほぼ千日手の状態で戦い続けるアーリンたち。

自分の攻撃と相手の攻撃が重なるが、魔族の体力と英雄とはいえ人間の体力は比較にならない。

徐々に身体に軽い傷がつき始める。

アーリンだけではなく、アリーナも、ルナも、リナも。

特に素の攻撃力が強いアリーナは受けるダメージも半端なく、お互いの威力のある攻撃で打ち負け掛けてしまう。

「うぐっ…」

思わず片膝を付いて呻いてしまう彼女。

そこにかかと落としが飛んできて間一髪回避する。

 

「お前は守るために甘い」

偽アーリンが容赦のない一撃を本物に浴びせようとする。

「だから負ける」

アーリンが絶対することのない歪んだ嘲笑を、彼女に浴びせた。

 

(どうする…どうする…!)

焦れば、負ける。

何とか平静を保とうとするアーリンだが、相手の邪悪なオーラに当てられ、思わず歯噛みをする。

(ここで私たちが負ければ、チャチャたちはきっと敵わない…物語が、壊れる)

「私が…守る!」

そう、自分が守るのだ。

この世界を、物語を、そして―チャチャたちを。

一旦は心が折れた時もあったが、仲間が背中に居る。

そして―アークスレイヤーも。

 

アーリンの想いが剣に伝わったのか、剣が反応する。

青白い光だったものが、神秘的な光を帯び始めるのだ。

『ほう!?お前の剣が、変わっただと!?』

「私は―物語の守護者、アーリン!ここで折れる物語なんて、認めない!」

そう言ってアークスレイヤーを構えると、その刃が光り、他の仲間に聖なる光が絡みつく。

「これは…守護の力!?」

ルナが驚きの声を上げる。

「力ある者を滅ぼす、神殺しの剣に…守る力が宿った…?」

リナの言葉に剣が応じるかのように煌めきを放つ。

 

「てぇぇぇい!」

アーリンの光り輝く刃の一撃が偽アーリンに襲い掛かる。

『ぬぅ!』

渾身の一撃を偽物が防ごうとするが―その剣にヒビが入る。

「行ける!」

そしてアーリンがさらに偽物の自分に斬り掛かろうとした瞬間―

「え?」

偽アーリンは瞬時に消え去った。

同様に他の仲間の偽物も。

「チャチャが…倒してくれたみたいね」

状況を把握し、思わずその場に座り込むリナ。

「はー…疲れた、今までの中で一番の強敵だったのかもしれない」

アリーナもその場でへたり込む。

アーリンは、自分の剣をじっと見つめている。

先程の光は収まり、いつものアークスレイヤーに戻っている。

「まだ完全に戻り切っていないけど…目覚めようとしてるわ」

そう言って鞘に戻す彼女。

「守護の力…きっとアーリンの気持ちに応えようとしたのね」

ルナの言葉にアーリンは頷く。

 

「あっ、居た居たー!」

遠くの方でチャチャたちがアーリンを呼ぶ。

「ここから外に出れますよー!」

しいねちゃんは箒で、リーヤは天井の割れ目の下に出来た岩山をよじ登っていくのだ。

アーリンたちも続いていく。

 

外に出たチャチャたちは足元に例のコインが落ちているのに気付く。

「何だか分からないけど、貰っておきましょうか」

これで6枚目のコインだ。

カ・ザンダン戦の時にセラヴィーが「どうやらあのコインには秘密があるようですね」と言っていたが、果たしてどんな秘密なのか…まだ分からない。

 

それでも関門を突破し、大魔王城にまた一歩近づいたチャチャたちなのであった。

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