異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します   作:hoyohoyo

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~熱き友情の橋を渡れ~

この後もチャチャたちの旅は続く。

魔法の国の金貨を作っているゴールドスミスの町を牛耳る大魔王の手下、忍者の月光。

お鈴ちゃんと月光の昔馴染みである祖父の鐘之介の手助けもあり、囚われた町の人を救うために忍者装束に身を纏い救出。

アーリンたちが敵の忍者を蹴散らしながら、マジカルプリンセスとなったチャチャと月光が一騎打ち。

それに勝利し、月光は悪の心ごと吹き飛ばされると同時に、7枚目のコインが舞い落ちる。

 

その後、大魔王に忠誠を誓う魔界ダヌキの森に入るチャチャたち。

魔界ダヌキたちはコインを奪うべく、タヌキ以外の人間に化けて騙そうとしながらあの手この手で奪おうとする。

しかし詰めが甘かったのか未熟だったのか、しいねちゃんに見破られてしまうのだ。

ただ敵もさるものながら、チャチャとの恋愛感情をくすぐる罠に乗せられ、コインを奪われてしまう。

「アーヤハだったら『神様に頼らずに自分の力で頑張りなさい!』とか言いそうね…」

脱兎の如くコインを奪い返すべく走り去るチャチャたちを見ながら呆れかえるアーリン。

 

これも追いつかれて本性を現し、合体した巨大タヌキとチャチャとの戦いに。

しかし所詮はタヌキ、旅を経て成長したチャチャの敵ではなく、あっさりと浄化される。

コインも無事に取り戻し、旅は続くのだった。

 

~??~

「何故だ!」

大魔王の怒りの声が大広間に響き渡る。

「へ?」

「何がでヤンス?」

その怒りとは対照的にいつもの調子のヨーダスとハイデヤンス。

「何故チャチャたちは次々と関門を突破出来るのだ!?」

原因は貴様たちであろう、という言葉は辛うじて飲み込み、手に持つ魔力の宝珠を握り潰す大魔王。

「いつまでも失敗を繰り返していると、どうなるか分かっておるだろうな!!」

握りつぶした拳から魔力の残滓が零れ落ち、床を溶かす。

「すみませんダス、次こそはチャチャを始末するダス!」

「では我々は作戦を練ってくるでヤンス!」

巻き込まれては堪らない、といった表情でそそくさと逃亡する魔族コンビ。

 

荒い息だけが闇に包まれた大広間を支配する。

「おやおや、大分荒れてる様子」

大魔王の玉座の後ろから聞こえる声に激昂したのか、そこに魔力の渦を叩きこむ。

「だから言ったでしょう?貴方の部下は全く頼りにならないと」

素早く身を躱したのか、玉座の目の前に移動した男―暗い蒼の長髪に鋭い眼光、頭には飾り模様のターバンを巻きつけた細身の男が大魔王に囁く。

「貴様…まだ言うか!」

「おっと、私に手を上げても何もなりませんよ」

「その歪み、役に立ってるようには見えんな」

怒りを押し殺した口調で詰る大魔王を軽く笑い飛ばす。

「ふん、チャチャとやらに付きまとう忌々しい人間どもが邪魔をしているだけですよ」

「ならば、その人間も一緒に始末してしまえば良い!」

「あの部下どもで?もっと無理ですな、私の力でようやく抑えれる程度なのに」

嘲笑の顔で大魔王を見下す素振りを見せる。

「なら…貴様が直接手を下すが良い、―ロキ」

「考えておきましょう。おお、怖い怖い」

まったくそんな気も無いロキの表情を見てさらに怒りが止まらない大魔王。

「いざとなったら、貴方に私の力を分け与えても良いのですから」

大魔王はロキの言葉に少し怒気を収め、玉座に座り込む。

「そうだな…貴様の力は儂にとっても魅力的なものだからのぅ」

その言葉を終えた時には、既にロキの姿は消えていた。

 

(早くこの場に来て欲しいものです、人間の英雄どもめ…)

自身の計画の為にも、アーリンたちを求めるロキであった。

 

「だー!どこのバカもんだー!橋を壊したのはー!」

リーヤが叫ぶ。

大魔王の城へ続く道、その道中の橋が架かっていたであろう場所。

しかし、目の前に広がるのは渦巻く雲に隠れて見えない地底と、橋だったものの残骸。

向こう岸は見えているのに、渡る事が出来ない。

「困る~」

「相当立派な橋が架かってたみたいですけどねー」

「壊れてちゃ意味ねーよ!」

リーヤの叫び声がこだまする。

「こうなったら箒で…」

チャチャが魔法で箒を出そうとした時である。

「ちょっと待った、迂闊に空を飛ばない方がいいわよ」

リナが待ったを掛ける。

「え、何で?」

「僕たちは魔法使いなんですから、こんな程度の距離なら箒でひとっ飛びですよ?」

チャチャとしいねちゃんが不思議がる。

「百聞は一見に如かず、ってところね…。アリーナ、そこら辺の木を空に向かって投げてみて」

「了解、大きさは自由でいいのかな」

何でもいいわよ、と軽く言ったリナの後ろで、チャチャたちの背の高さの数倍ある木を両手で抱えるように持ち上げ、そして―

メリメリメリ…

木の根が引き抜ける音とともにアリーナがその木を一気に引き抜く。

「みんな、危ないからちょっと離れてて」

片手で木の幹をまるで槍のように持ちながらそれを宙に向けて思いっきり投げつける。

(リーヤより馬鹿力じゃないですか…)

(アリーナ先生と握手したら手の骨砕けるかも…)

しいねちゃんとリーヤが引いた表情でアリーナを見る。

 

空中に飛んで行った木はそのまま放物線を描いて―

虚空から飛んでくる漆黒の光線。

それが木に何本も串刺しされ、激しい轟音とともに爆発する。

「うわぁ!」

「きゃあっ!」

「何だ何だ!?」

チャチャたちがその爆発を見て、先程まで飛んでいた木が存在すら残さず消滅している事に気付いた。

「僕たちが箒で空を飛んでいたら…」

青ざめるしいねちゃんにリナが頷く。

「大魔王の城の近くだからね、魔導レーザーもばんばん飛んでるのよ」

「そういえばリナ先生、物見遊山でここら辺飛んでたって言ってた…」

涙目のチャチャにリナがあの時の事を思い出してはふ、と息を吐く。

「あたしの後ろを追尾してくるレーザーを1本ずつ消し飛ばしたのは嫌な思い出ね…半日以上空中散歩してたわ」

「こんな空中散歩嫌だぞ…」

リーヤも涙目だ。

 

「なら私に任せて!出でよ、橋!」

ポン、と音がなりチャチャの手の先に人が並んで通れるくらいの木製の吊り橋―魔力で支えているので実質ただの板だが―が掛かっていた。

「おお、やるわね…って短すぎない?」

ルナが感心したかのように言うが、僅か数メートル先でその橋は途切れていた。

「精いっぱいやったんだけどなー。でも大丈夫、こうやって―」

チャチャが途切れた橋の先端に立ち、再び魔法を唱える。

「出でよ橋、出でよ橋、出でよ橋!」

再びポン、と音が鳴って今度は橋の一部分が接合されて現れる。

「なるほど、流石チャチャさん!」

「これならすぐに向こう岸に行けるぞ!」

しいねちゃんとリーヤがチャチャの後ろをついていく。

「おーい、向こうまで行く魔力あるの?」

「100メートル以上あるわよー?」

アーリンとリナの苦言に全く気付かない3人。

そしてその言葉通りに…

「出でよ橋、いでよはじ、痛っ、舌噛んだ…」

舌がもつれ、噛んでしまい、維持していた魔力が無くなっていく。

当然魔力で持っていた橋はどんどん薄くなり―消えた。

「え、えええええ!?」

その場から落下していく3人。

「仕方ないわねぇ…『魔風(ディム・ウィン)!』」

リナが精霊魔法を唱える。

魔力を持った風が、落ちていくチャチャたちを掬い上げ、そのまま自分たちのところに戻していく。

「へぎゃっ!」

顔面から墜落したのか、潰れたカエルみたいな声を出して這いつくばる3人。

「ったく…感謝しなさいよ?」

「先生、ごめんなさーい…」

しょんぼりした顔で謝るチャチャ。

 

「しかし、空を飛べないとなると回り道だろうけど…お城をぐるっと取り囲むようになっているからここしか通る道は無いのね」

地図を見ながら辺りの様子を見るアーリン。

困った顔をして今後の事を考えていると、来た道から聞こえるエンジン音。

「我ら流しの気球売りダス!」

「気球は要らんかね~でヤンス」

商人風に変装しているが、どう見てもヨーダスとハイデヤンスにしか見えない。

「怪しい…」

しいねちゃんが不審がるが、チャチャとリーヤはその気球に目を奪われ全く気付かない。

(怪しいどころかまんま本人だけどね)

(しかもこの気球、時限爆弾入りなのよねー)

(ああ、アーヤハからの口止めが無ければとっとと解除して気球だけ貰うのに)

今ならお菓子詰め合わせにジュース飲み放題のおまけ付きにあっさり陥落し、ハイデヤンスが出した書面にサインをするチャチャとすでに喰って飲んでいるリーヤ。

(お前らには危機管理能力無いんかい!)

思わず心の中で叫んでしまうアーリン。

 

そもそも魔導レーザーが飛び交う中で全くその襲撃を受けない気球など曰く付きとしか考えられないのだが、目先の目的(向こう岸に行く)こととおまけに目が行ってしまい、本質を見失ってしまったチャチャたち。

止めるべきか悩んだアーリンたちも、いざとなれば自分たちが助けてしまうか、と考え、彼女らの意思を尊重。

(まぁ、痛い目を見るのも勉強よね)

ルナが呆れた表情で嬉しそうに気球に乗り込むチャチャたちを見ながら自らも一緒に乗り込む。

「乗ってけ乗ってけ乗ってけ気球に♪楽ちん楽ちんおーやれほ~♪」

お気楽に歌うチャチャとリーヤ、しいねちゃんは滅茶苦茶怪しがって警戒はしていたが…。

「何か…変な音しません?」

「これ?ただの時計だよ」

…カチ、カチ、カチ。

次の瞬間―

 

ドォォン!!

 

気球は大爆発を起こした。

アーリンたちの結界に守られながらも、チャチャたちはそのまま落下していく。

「やっぱり…やっぱり怪しかったんですよぉ…」

「くやしい~」

自分たちの迂闊さにむせび泣くチャチャたち。

「やれやれ…分かったでしょ?自分に有利な事象が起こった場合はまず疑う事。しいねちゃんレベルの意識は持っておかないと」

そう言いながらリナは浮遊の呪文を唱えてから魔風で飛ばそうとしたが―

ゴン!

「ぐへぇ…」

突如飛来してきた丸太が落下するチャチャたちを引っ掛ける。

飛んできた方向を見ると、その丸太を持ちながら「大丈夫かー?」と声を掛けたのは何とリーヤの祖父だった。

「今こっちに引っ張るから動くんじゃないぞー」

底の見えない地表を目にしてしまい、丸太にぎゅっとしがみつく3人。

アーリンたちもふよふよと飛びながら元の岸辺に戻る。

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