異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します 作:hoyohoyo
その頃、チャチャたちは―
敵の罠により分散させられたパーティ同士で敵に立ち向かう。
マリン・やっこちゃん・お鈴ちゃんは過去に相手をしたことがある吸血鬼のきゅーちゃんをプライドがへし折られるほどに完膚なきまでに叩きのめす。
「あの時とは違うのよ!」
ドヤ顔のマリン。
セラヴィー・どろしーコンビはチャチャを苦しめた魔人カ・ザンダンをあっさりと魔力の泡に閉じ込めて消滅させる。
「セラヴィー…あんたどんだけ強いのよ」
「運が良かっただけですよ」
のほほんとした表情のセラヴィーにはぁ、とため息を漏らすどろしー。
チャチャたちは歪みが入っていない、大魔王の魔力によって作られたノロワレ・アーマーと互角に戦い、勝利する。
不意打ちを喰らった時は危うく吹っ飛ばされそうになったが、すぐに体勢を立て直して魔法とリーヤのパンチでやっつけたのだ。
「俺たちも強くなってるよな!」
「確かに、チャチャさんの変身なしでも立ち向かえるんですから!」
「うん!どんどん行くわよ!」
「魔族たちが次々とやられてるダス!」
「大丈夫でヤンスか?」
玉座の間、柱と柱の間で揺らめく青白い炎が次々と消えていく。
ヨーダスとハイデヤンスが心配の声を上げる。
「…そうか、倒したか」
大魔王は静かに呟く。
だが次の瞬間、口元が歪む。
「よい…それでこそだ」
「ど、どうしたでヤンスか…?」
魔族がやられたのにも関わらず何故笑っておられるのか、と不思議な表情を見せるハイデヤンス。
だが、大魔王から発せられる深紅のオーラにぎょっとした表情に変わる。
「見よ、我が邪悪のオーラよ!」
玉座が見えないくらいの暗い赤が大魔王を取り巻いている。
「すごいでヤンス…!」
「儂のパワーの源は邪悪な心なのだ!我が忠実なる魔族が滅びる度に、邪悪なエネルギーが儂に集まってくる!」
邪悪な笑みを浮かべながら、滅びていく魔族のエネルギーを吸収していく大魔王の姿を、ヨーダスとハイデヤンスは複雑な思いで見つめていた。
チャチャたちの快進撃は続く。
ノロワレ・アーマーを何体も倒し、順調に進むチャチャたち。
3人組は吸血鬼のきゅーちゃんに続き、魔界のプリンス、ドクガーをやっこ印の魔法薬とマリンの海水召喚、お鈴ちゃんの大ガマガエル攻撃で滅ぼす。
セラヴィーとどろしーの師匠コンビは魔界樹の大群を大量の光の矢であっという間に消滅させる。
その度に玉座の間の青白い炎は揺らぎながら消える様子に、ヨーダスがたまらず悲鳴を上げる。
「大魔王様!チャチャたちは、もうすぐそこまで迫っているダス!」
しかし大魔王は意にも介さず、笑い声を上げながら手に魔力を込めた青白いオーラを2人に向ける。
『だ、大魔王様…一体何を…!』
ヨーダスとハイデヤンスが同時に発した言葉が終わらないうちに周囲を閃光に染め、紅い稲妻が地面に叩きつけられる。
チャチャたちもその様子に気付いたのか、すぐさまホーリーアップを開始。
「愛よ!」
「勇気よ!」
「希望よ!」
掛け声とともに、チャチャがマジカルプリンセスに変身する。
「ハハハハハ!来たかチャチャ、待っていたぞ!」
稲妻が消え、深紅のオーラを身に纏った大魔王が口上を述べる。
それに呼応するかのようにチャチャも剣を構える。
「わざわざ我が手にかかりに来たのは殊勝な心掛けだ!褒めてやるぞ!」
そして虚空から邪剣を具現化させ、チャチャに斬りかかる。
空気が震える。
次の瞬間―
大魔王の剣が、地面を叩き割った。
その攻撃を躱し、その体勢から反撃を行うチャチャ。
「魔法の国の人たちの怒りと、あなたに操られた魔族たちの痛みを思い知らせてあげるわ!」
「ハハハハハハ!片腹痛いわ!」
お互いの剣が交差し、ガキン!と剣同士がぶつかり合う。
力量はほぼ互角、だが大魔王はニヤリと笑うと、額の宝石に魔力を込め―
「喰らえ!」
宝石から魔力弾を放ち、チャチャを吹き飛ばす。
「チャチャ!」
「チャチャさん!」
リーヤとしいねちゃんが大魔王に飛び掛かるが、瞳から放たれた電撃に捕らわれ、その場に倒れ込む。
「先にお前たちを殺してやろうか!」
無力化された2人に剣を振り下ろす大魔王。
「させない!」
その剣を不死鳥の剣で受け止め、リーヤとしいねちゃんを守るチャチャ。
「大魔王、相手はわたしよ!」
その言葉に大魔王は青いエネルギー破を放ち、同時に額からの魔力弾を連続して放つ。
「バードシールド・ビルドアップ!」
チャチャが叫ぶと、真紅のバリアがチャチャの前に広がり、その攻撃を弾き飛ばす。
激しい爆風と破裂音にリーヤとしいねちゃんが絶叫するが、そこに立っていたのは無傷のチャチャの姿。
「な…!」
大魔王が一瞬ひるむ。
「チャチャ、落ち着くんですよ」
後ろからセラヴィーの声が。
「チャチャさん、私たちみんながついてます!」
「そうよそうよ!」
「あんな奴、さっさとやっつけちゃいなさいよ!」
さらにその隣にはマリン、やっこちゃん、お鈴ちゃんの姿が。
「ふぅ、間に合った!」
「やっちゃいなさい、チャチャ!」
アーリンたちも駆け付け、チャチャに激を飛ばす。
「みんな…!」
チャチャは皆の力を背に、剣を構えるとバーニングフラッシュを大魔王に向けて飛ばす。
「ぐ…ぬ…我は…大魔王…だ…!」
全身の力を込め、バーニングフラッシュを耐えようとする大魔王の声は、どこか歪んでいる。
それでも、不死鳥の聖なる紅い光を浴びた大魔王は、そのまま城の外まで吹き飛ばされ、その瞬間に大爆発を起こし、消えた。
「やったぜ!」
「チャチャさん、やりましたね!」
リーヤとしいねちゃんがチャチャに駆け寄る。
「うん!リーヤ…しいねちゃん…!とうとう大魔王を倒したんだね!」
「はい!」
「すっげー恰好良かったぞ!」
そこに全員が集まり、大魔王を倒したチャチャに喜びの声を上げる。
「ともかく、大魔王を倒したのよ!今日はお祝いのパーティをしなきゃ!」
どろしーの提案に皆が喜ぶが、セラヴィーとアーリンたちの顔は険しい。
「…妙ね」
アーリンが呟く。
「大魔王を倒したにしては―静かすぎる」
その時。
奥の闇が、わずかに揺れた。
闇が、呼吸している。
「パーティは延期のようですね」
「だね。まだ大魔王の魔力は消えてない、それに…」
セラヴィーの言葉にアーリンも応え、ぽっかりと開いた窓に指を差す。
吹き飛ばされた大魔王の姿が徐々に変わっていき…
「あれは…」
気絶したヨーダスとハイデヤンスの姿が浮かんでいたのだった。
「どういうことなの、セラヴィー!?」
どろしーが詰め寄る。
「影武者のようですね。おそらく、大魔王の魔力で強制的に変身させられたのでしょう」
「そんな…」
肩を落とすどろしー、他のみんなも同様だ。
(それに…まだ、歪みの魔力が残ってる…大魔王の奴、とうとう受け入れたのね、あの力を)
アーリンはまだ続く廊下の先をじっと見つめる。
お目当ての元凶は、きっと傍にいる。
「心配することはありません、チャチャ。大魔王はきっとこの城の中に居ます。あなたのお爺さん―先代の大王であるジーニアス様の結界によって一歩も外に出られないのですから」
「大丈夫よ!チャチャ、あなたには愛と勇気と希望の聖戦士がついてるもの!」
セラヴィーに続き、どろしーも励ましの言葉を掛ける。
そこからは異様な盛り上がりを見せる一同(但しセラヴィーとアーリンたちを除く)、その姿にセラヴィーはため息を付く。
聖戦士とは言え、マリンややっこちゃんに至っては私利私欲の塊な為、この後どういう風に転がっていくのか見えないのだ。
「とにかく、まずは大魔王の居る場所へ行く事が先決ね」
ルナがまだ盛り上がっている他の面々を尻目に大魔王の邪悪なオーラが漂う通路の先を見つめるのだった。