異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します 作:hoyohoyo
雷鳴轟く大魔王城。
漆黒の闇が続く通路の先を見ながらチャチャがセラヴィーに問いかける。
「本当の大魔王はどこにいるの?」
「…この城のどこかに居るはずです、大魔王は城の外に出ることは出来ません。あの炎が燃えている限り、大魔王は城の中に居るのです」
目線を向けた先には青白い炎が揺らめく。
チャチャたちは身構え、大魔王の姿を探すべく目を凝らす。
アーリンも臨戦態勢を崩さず、同じように青白い炎を見つめていた。
「あれ?でもさっきまであんな炎、無かったですよね?」
「そうでしたっけ?」
しいねちゃんが疑問に思っていた事を言うが、セラヴィーはとぼけたまま。
「フフフフフ、ハハハハハ…」
不意に回廊に響く大魔王の笑い声。
「来るがよい、チャチャ」
その言葉に全員が青白い炎を睨みつける。
「さぁどうした…この儂が招いておるのだ、臆したかチャチャ!」
青白い炎が通路の先を灯し、消えては光り、光っては消え。
一同は導かれるがままに歩みを強める。
そして今までで一番大きな部屋、かつては華やかだったこの玉座の間も大魔王が座っていた玉座以外何もない。
青白い炎はそこで揺らめきながら大魔王の笑い声だけが響く。
「大魔王なの!?」
「どこだ、どこに居るんだ!」
「怖くて出てこれねーのか!」
チャチャたちの言葉と同時に大魔王が叫ぶ。
「笑わせるな!」
そして青白い炎が一転、赤い稲妻に変わり、玉座と地面を破壊し、激しい衝撃波と瓦礫がチャチャたちを襲う。
「ホーリープロテクション!」
アーリンとが前に立ち、聖なるバリアを張る。
彼女の輝くバリアが瓦礫を弾き返し、衝撃波の大半を受け止める。
「チャチャ、誰か居るぞ!」
リーヤの声に全員が前を向く。
渦巻く煙が収まったと思うと、そこに立っていたのは大魔王。
しかもノーモーションからの魔力エネルギー弾をいきなり飛ばしてきたのだ。
その時、ルナとセラヴィーが素早く前に出て二重に結界を張る。
「竜神結界!」
「壁よ!」
光り輝くバリアが再び張られ、魔力エネルギー弾とぶつかり、大爆発を起こす。
衝撃は全てバリアによって防がれるものの、爆風のエネルギーは抑えられずにチャチャたちは吹っ飛んでしまうのだ。
「チャチャ、みんな大丈夫ですか!?」
セラヴィーが後ろを振り返ると―
そこには壊れた柱に叩きつけられて目を回していた。
「ごめんねセラヴィー!1人も拾えなかった!」
どろしーが魔法の網でチャチャたちを捕らえようとしたが、自分も吹き飛ばされないようにするのが精いっぱい。
アーリンたちもそれは同じだった。
(何てエネルギー…多分、歪みの魔力も取り込んでるわね!)
そして次の瞬間、大魔王はセラヴィーの目の前に現れる。
「久しぶりだな、セラヴィー!」
「やれやれ、やっと出てきましたか」
セラヴィーも不敵な笑みを浮かべて大魔王と対峙する。
「まず偽物とチャチャたちを戦わせて、自分は隠れてるなんて、相変わらず卑怯ですね大魔王」
『本当は弱いのよ』
セラヴィーとエリザベスが悪役もかくや、な台詞を大魔王に向けて吐く。
「はは…面白い」
そう言うと大魔王はセラヴィーに向けて高速のエネルギー弾を放つ。
セラヴィーはそれを素早く躱す。
さらに連撃。
何個ものエネルギー弾がセラヴィーに向かう。
そしてアーリンたちにも飛んでくるが、彼女がアークスレイヤーで斬り飛ばせば。
「遅い!」
アリーナの振るった村正がまるで飲み込むかのように吸い取っていく。
「甘い!この程度じゃ蚊も殺せないわよ!」
ルナの結界が後ろのチャチャを守るように張られ、弾き飛ばしていく。
「今度はこっちの番よ!『魔竜烈火砲(ガーヴ・フレア)』!」
リナが黒魔法を放つ。
セラヴィーも魔法弾を連撃。
「ぬるいわ!」
大魔王の手から暗黒のバリアが現れ、2人の魔法を防ぐ。
しかもそれを反転させてアーリンたちとセラヴィーに飛ばす。
それを素早く躱すセラヴィーたち。
「おのれちょろちょろと!」
先程より大きなエネルギー弾を今度は動きに対応出来ていないどろしーに向けて放つ。
セラヴィーが素早く動き、どろしーを抱きかかえ回避。
「ぼーっとしてちゃ危ないですよ?」
『ぼんやりさんね!』
セラヴィーとエリザベス(まぁ同一人物なのだが)が軽口を叩く。
「よ、余計な事しないでよ!あんな攻撃簡単に!」
「分かってますよ、でもどろしーちゃんには余計なパワーを使って欲しくはないのです」
そこまで言うと再び身構えるセラヴィー。
「チャチャたちのガードをお願いしますよ」
そう言って大魔王に向かって攻撃を再開する。
大魔王は虚空から剣を出し、セラヴィーやアーリンたちに攻撃していく。
大きく振り下ろされる剣が地面に叩きつけられ、それを素早くジャンプで避ける。
返す刀をアリーナが拳で軌道を変え、カウンターを放つ。
「当たった…けど!」
確かに命中はした。
しかし手応えが薄い―というか逆にダメージを吸い込まれている感覚。
「大魔王にダメージを与えられるのはチャチャだけよ!」
アーリンの言葉に憮然とした表情のアリーナ。
「えー!ボクたちの攻撃は効かないの!?」
「その代わり、歪みには効くから!まずは焦って攻撃しない事、大魔王に憑りついた歪みを探し出すわよ!」
リナがそう言って攻撃魔法を連発する。
「セラヴィー!」
どろしーが叫ぶ。
「私だって!どろしートマホーク!」
召喚したトマホークが大魔王に向かって飛んでいく。
「どろしー!生半可な魔法は反撃されるわよ!」
リナの言葉と同時に反射されたトマホークがどろしーに向かって高速で飛んでいく。
「ひぇっ!」
頭のとんがり帽子を切り裂かれ、体勢を崩したところに大魔王の剣が振り下ろされる。
「大魔王!」
セラヴィーの光の刃が大魔王を切り裂く。
「うおおおお!」
大魔王が叫びながら大爆発が起き、爆炎と煙が大魔王の居た場所を包む。
「やっつけちゃった…の?」
どろしーが呆然としながら爆煙を見つめる。
「やったぜ!」
「凄いです!」
「セラヴィー先生すご「まだ早いですチャチャ!」
チャチャの声に被せるようにセラヴィーが叫ぶ。
丁度背を向けた形になったのが災いして、爆煙の中から大魔王の手が伸び、衝撃波をもろに喰らってしまったセラヴィー。
「うわあぁ!」
それはまるでシャボン玉のような結界になり、セラヴィーはその中に閉じ込められてしまう。
(油断しました…!これでは、チャチャたちを守れない!)
「セラヴィー!」
絶叫を上げるどろしーにも同じように結界が。
そしてアーリンたちの目の前にも大魔王の結界とは違った結界が張られていた。
「これは…!」
混じり気の無い透明な、まるでガラスのような結界。
(この結界…大魔王のものじゃない?)
彼女の背の倍くらいはある壁が四方を取り囲み、天井も塞ぎ、彼女たちは閉じ込められていた。
「ハハハ…よくやったぞ―ロキ」