異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します 作:hoyohoyo
春の陽気、そして優しい風が吹くうらら学園。
アーリンたちは再びこの地に立っていた。
「中等部か…でも相変わらず変わらない面々なのよね」
先にクラス分けの表を貰っているアーリンたちは受け持つクラスも知っていたし、当然相対する面子も知っている。
「まぁチャチャたちのクラスだから良かったじゃない」
ルナがアーリンの肩をぽん、と叩く。
「平和になったけど、魔界に閉じ込められたロキが何かしてくる…かもしれないし、身近で見れるのは有難いわね」
リナも同じく肩を叩き、教室に向かう。
「ふふ、他のクラスに新任の先生が入ってきて、早速弟子にしちゃった…ああ、ボクも師匠と呼ばれる身に…」
「アリーナ、何ニヤニヤしてるの?行くわよー」
「あ、待ってー!」
なお、アーヤハはセラヴィーの家でお留守番である。
流石にまだ神力の調整が上手くいかない模様。
チャチャの朝食を作ったり神力調整という名目の結界を張ったり。
相変わらずランドセル姿のチャチャを見て、苦笑いをするアーリン。
チャチャを囲んでオラついてるのがマリンとやっこちゃんなのだが…何故か2人はセーラー服姿。
しかもちょっと不良っぽい雰囲気。
「リナ~?確かこの学校、制服禁止だったわよね?」
ニヤニヤしながらリナの頬をつんつん弄っておちょくるのはルナ。
「師匠から見てあの子はどうなのかな~?」
「ぐぬぬ…」
一応弟子になるやっこちゃんが中等部に上がってもまったく行動パターンが変わってない姿にリナは項垂れる。
「ほら、学園長に注意された」
「うう~、師匠として恥ずかしい…」
(リナも何かこの世界に引っ張られてないか?)
物語のギャグ補正をもろに被ってるわよね、と首を傾げるアーリンの目の前ではバナナ組の面々が集まって賑わう。
マリンだけリンゴ組というのもお約束で。
(面倒臭かっただけよね…絶対)
バラバラマン先生に引き摺られるマリンを見ながら遠い目をする。
そして担任のラスカル先生が相変わらず鞭を振るいながら教壇に立った時、扉が開く。
「お邪魔するよ~ん」
パシャパシャパシャ!
フラッシュの光が教室を襲う。
開いた扉の先にはこのクラスのオッスくんに似ている大男がチャチャにカメラを向けて撮影していた。
そして大男の前には背の低い、目つきが少々悪いスーツ姿の男がチャチャに顔を向ける。
「私、魔法情報誌『週刊マジカルファン』の記者、シンちゃんだよ~ん」
そう言ってチャチャの前にずいずい、と近づく。
「あらあら貴女ですねー、世界一の魔法使いに挑戦するという赤ずきんチャチャさんは」
思わず「はい」と答えてしまうチャチャに再びフラッシュの嵐が。
ポカンとしていたチャチャの表情が驚きの顔に変貌する。
「久しぶりの魔法対決ですからね、来月号のマジカルファンの巻頭特集にさせてもらいますよ~ん」
「何だと、チャチャが世界一の魔法使いに挑戦するだと!?」
ラスカル先生が驚きの声を上げる。
「世界一の魔法使いって…」
「セラヴィー様のことよ~(はあと)」
しいねちゃんの言葉にやっこちゃんが続ける。
そして表情を一変させ、上から目線でチャチャを睨みつけた。
「チャチャ、あんたどういう了見でセラヴィー様に挑戦するって言うの?」
「わたし知らない…」
「知らないってどういうことよ!!」
チャチャの言葉に噛み付くやっこちゃん。
「はいはい落ち着いて…チャチャも何も知らないの?」
やっこちゃんを引き剥がして質問するリナ。
「うん…セラヴィー先生に挑戦するなんて考えたことも無かった」
「これは…本人に聞くのが一番ね」
アーリンが両腕を組んで考えるポーズを取る。
「あ、ちょうど校庭にセラヴィーが居るよ」
アリーナが窓の外を指差す。
校庭に出た一同、後ろを向いたままのセラヴィー。
「それは…」
吹きすさぶ一陣の風、ゆっくりとその身体をチャチャたちに向ける。
「いつかは通らなければならない道なのです。弟子が師匠に挑むのは、宿命ともいえるでしょう」
「師弟対決だと~!!」
ラスカル先生がセラヴィーの傍まで近寄り…ニヤリと笑う。
「ナイス・アイデア~!アンド、ビッグイベント!」
そう叫ぶと今度はチャチャの傍に近寄って…
「よーしチャチャ!うらら学園中等部に相応しいイベントだー!しっかり戦えー!」
「ええ~?」
困惑するチャチャの隣で今度はしいねちゃんが後押しする。
「チャチャさん、これはもしかしたら凄いチャンスかもしれませんよ」
「え?」
「大魔王との戦いで、チャチャさんはかなりの腕を上げているはずです。セラヴィーさんにだって、勝てるかもしれない」
しいねちゃんは拳を握りながら顔を上げる。
「そうすれば、チャチャさんは世界一の魔法使いです!」
「私が?世界一の魔法使い?」
チャチャの脳内では世界一の魔法使いになった自分の姿、それを両親に報告して褒められるシーンが流れていた。
(私が世界一になったら、きっとお父さんたち喜んでくれる!)
「やる!」
即決したチャチャの隣でやっこちゃんがバカ笑いをする。
「ぶわーっはっはっはっ!ばっかじゃねーの!」
「何でよ!」
チャチャが反論すると、やっこちゃんは顔をチャチャの横に寄せて圧を掛けていく。
「あんたねー、相手はセラヴィー様なのよ?勝てるわけ無いでしょ?」
(確かにそれはそうよね)
アーリンは心の中で頷く。
さらにやっこちゃんはチャチャを睨みつけて口撃をする。
「あんたみたいにドジで間抜けで、不器用でノロマで泣き虫でおねしょ垂れでおっちょこちょいで軟弱で弱虫でトロくてへっぴりですっとこで…」
パン!
乾いた音を立てて涙目のチャチャが思わずやっこちゃんの頬をビンタしてしまう。
「ぶったわね…!ぶったわね~!」
「ごめんやっこちゃん何か手が勝手に!」
「あんたなんかさっさとセラヴィー様にコテンパンにやられてしまえば…」
そのまま仰向けにぶっ倒れてしまうやっこちゃん、そしてビンタしても謝ってしまうチャチャ。
(本当に、セラヴィーが絡むと前後不覚になるんだから…)
はぁ、と額を押さえるリナ。