異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します 作:hoyohoyo
「さぁ、チャチャ!」
「はい!」
バナナ組の皆とラスカル先生、アーリンたちが見守る中、セラヴィーとチャチャの魔法対決が始まろうとしていた。
その間に立つのは先程の記者。
「私、マジカルファンの記者の傍ら、魔法連合組合公認の審判を仰せつかっております!だから、シンちゃんなんだよ~ん!」
そう、記者のシンちゃんが2人の間に立って審判を務めていたのだった。
「勝負を公平に見届け、もし挑戦者が勝ったら場合、新しい世界一の証明として―この素敵なマジカルステッキが与えられるよん!」
取り出したのは子どものオモチャに毛が生えた感が強い女の子向けのステッキ。
「うっわ、ダサ…」
「あれ欲しい人居るのかなぁ」
アーリンとアリーナが苦笑いを浮かべる。
「わーい!絶対貰うー!」
『ずこーっ!』
チャチャの言葉にその場でコケる2人。
「では始め!」
シンちゃんの合図でチャチャとセラヴィーが対峙する。
「さぁ行きますよチャチャ!」
『手加減はなしよ!』
セラヴィーとエリザベスの言葉にチャチャも強く返答する。
「はい、セラヴィー先生!わたし、力いっぱい頑張ります!」
そう言って戦闘態勢の構えを取る。
「チャチャー!負けるなー!」
「チャチャさーん!頑張って下さいー!」
リーヤやしいねちゃん、他の面々もチャチャを応援する。
「そう言えば、リナってセラヴィーに魔法対決したことあるの?」
「いやー、実はやろうとしたんだけどね…あのシンちゃんに止められたのよ」
頬をポリポリ掻きながらリナがアーリンの言葉に返答する。
「『貴女とセラヴィーさんがガチでやり合うと、魔法の国が大災害クラスの災厄に巻き込まれるので魔法対決は禁止だよ~ん!』って言われて…」
「確かに。本気で戦ったら王城も城下町もただじゃ済まなさそう」
「なので、シンちゃんから世界二の魔法使い、という微妙な称号貰っちゃったわ」
「…微妙ね」
「でしょ?」
そんなやり取りの間にセラヴィーとチャチャは長い時間向き合い、チャチャが魔法を唱える。
「出でよ、カメカメカメカメ!」
チャチャの手からカメの大群が召喚される。
「ならばこちらはカメより強いスッポンスッポンスッポン!」
セラヴィーの手からはスッポンの大群が。
そしてスッポンの大群がカメとぶつかり合い、圧倒していく。
「あれほど悩んで、カメですか…?」
しいねちゃんが、ラスカル先生を除く他の皆が思っていたことを代弁していた。
そんな緊張感のカケラも無くなった観客とは裏腹に、チャチャとセラヴィーの戦いは続く。
「出でよ、スッポンより強いカメガエル!」
「カメガエルより怖いゾウスッポン!」
だんだんと魔法のスケールが大きくなり、校庭の半分を占めるくらいに戦うチャチャたちの召喚魔法。
まるで怪獣大対決の様子を醸し出していく。
「壮絶だー!壮絶な戦いだー!」
大絶叫で大喜びのラスカル先生以外は冷めた目線でその戦いを見ている。
(いつまで続くのかしらね、これ…)
ルナも呆れながら戦いをボケっと見る始末。
とうとうネタ切れになったのか、先に目を回して倒れたのはチャチャ。
「つ、疲れた…」
ヘロヘロ状態のままそれでも何とか立ち上がる。
「結構骨のある試合だ!」
ラスカル先生はまだまだノリノリである。
(もう少し…自分で『勝つ形』を見つけて下さい)
相手がチャチャだけあって、上手く勝たせないといけない。
その前にセラヴィーはチャチャにもっと魔法使いとしての自覚を持たせるためにわざと魔法使い世界一決定戦を行ったのだ。
師匠が弟子がというのは後付けである。
「さ、流石のセラヴィー先生もだいぶ参っているようね…」
まだ身体をふらつかせながらそれでも口だけは一丁前に言う。
「一気にトドメよー!出でよー!セラヴィー先生の苦手なものー!!」
「私に苦手はありません…え?」
チャチャが召喚したのは何と大量のチビやっこちゃん。
『セラヴィー様』『セラヴィー様』『セラヴィー様』
徒党を組んで一気にセラヴィーに襲い掛かる…というか抱き着こうとする。
「ちょっと!何であたしがセラヴィー様の苦手なのよ!」
吠えるやっこちゃんを尻目にセラヴィーは魔法でどんどんチビやっこちゃんを消していく。
「はいはいはいはい!」
『チャチャもやるわね!』
エリザベスが感心したかのように言う。(中身はセラヴィーだが)
次々と消えていくチビやっこちゃん、そして最後はまとめて消し飛ばすが―
「セラヴィー様、セラヴィー様ぁ~」
本物のやっこちゃんがセラヴィーに抱き着いていた。
「え?」
これには流石のセラヴィーも勝手が違うのか、戸惑ってしまう。
「今よー!」
チャチャが次に召喚したのはどろしーの幼い時の写真。
髪の毛が今とは違い、金髪に巻き毛、エリザベスのような姿の写真である。
そんなものが大量にセラヴィーに向かって『セラヴィー(はあと)』と言いながらやって来るのだ。
当然、セラヴィーは…
「ああ!昔のどろしーちゃん!」
喜んで突っ込んでいこうとする。
「いけません、セラヴィー様!」とやっこちゃんが押し留めようとするも、お構いなく突進していき、そして―
ボコン!
写真から飛び出てきたボクシンググローブの攻撃をモロに喰らい、そのまま吹っ飛ばされてしまった。
『本当に油断したのセラヴィー?』
「それは、どうでしょう?」
案外本当に油断していたかもしれないが、それを知るのは当の本人だけが望み知る。
そのまま地面に倒れ伏して、その瞬間にシンちゃんが現れ、手に持っていた軍配をチャチャに向ける。
「この勝負、挑戦者、赤ずきんチャチャさんの勝ちだよ~ん!」
まだフラフラだったチャチャだが、その言葉に一瞬「え?」といった表情になり、そして倒れたセラヴィーを見る。
「やったチャチャさん!」
「うおー!セラヴィーが吹っ飛んだー!」
しいねちゃんが、リーヤが、他のバナナ組の生徒やラスカル先生が大喜び。
唯一やっこちゃんだけがセラヴィーの敗北に号泣してその場にぶっ倒れるのだが。
「ガキどもー!チャチャを胴上げだー!」
『そーれ!そーれ!そーれ!』
皆から胴上げされ、嬉しそうなチャチャを遠くから見守るセラヴィー。
「どうやら、計画通りチャチャに世界一の称号が移りました…さぁこれからが試練です、うかうかしてられませんよ、チャチャ」
その後、ハリケーン族のケンちゃんという下級魔族に勝負を挑まれ、これを撃破。
なお校舎が少し損壊した模様。
さらに翌日。
登校したチャチャにやっこちゃんが勝負を挑んでくるが…お得意のセラヴィー妄想が始まり、そのままスルーされる。
教室の中でも、やはり魔法使い世界一の称号を持つチャチャが居るだけで、空気がそわつくのだ。
そんな中、アーリンがリナに向かって茶化す。
「ねぇねぇ、リナ~。あんたも世界二の魔法使いなんだから、挑んだら?」
「あのねぇ…流石にあの子と本気で戦えないわよ、またシンちゃんが飛んでくるわ」
頭を掻きながらはぁ、とため息のリナ。
「という事で、今週はチャレンジ週間とする!このチャチャにぶつかっていって、世界一の壁がどんなものか、身体で感じるんだ!」
ラスカル先生がチャチャを鞭で教壇まで運び、クラスメイトの前に立たせる。
「無論、チャチャを破ればそいつが魔法使い世界一だ!」
「そんなこと、先生が勧めても良いんですか?」
「どうなっても俺は知らねーぞ?」
ラスカル先生の提案に疑問の声を上げるしいねちゃんとリーヤ。
「えー、ラスカル先生…流石に学校でやるのは、授業の支障にもなるんじゃないかと…」
アーリンも収拾が付かなくなることを恐れ、同じように止めようとするが。
「俺が許す!お前らもやるんだ!やらない奴は鞭でビシバシだー!」
(あ、これ全く聞く耳持たないやつだ)
ルナが遠い目をする。