異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します 作:hoyohoyo
同級生対決を制し、魔法使い世界一を防衛するも、チャチャの表情は暗い。
(まぁ、確かにそうなるよねー)
アーリンが少し困った顔でチャチャを見る。
同じクラスの友達がいきなり挑戦者になり、負ければ今までの自分の努力が水の泡、勝っても友達を傷つけた感が隠せない。
(友達と戦うのは、嫌だな…。でも、逃げたら『世界一』じゃなくなる…)
校舎の裏庭で三角座りをしながら憂鬱な表情を隠そうともしないチャチャ。
基本的に争いごとが嫌いで、仲良し・友情・平和が一番!なチャチャからすれば今の状態はストレスにしかならない。
「仕方ないなぁ…全然気分は乗らないけど、ここは先生が挑めば、他の生徒はちょっと収まるんじゃないかな」
リナはそう言うと、チャチャの傍に近づく。
「チャチャ?同級生と戦うのが嫌なら、あたしと勝負してみる?セラヴィー先生みたいな感じだからちょっとは楽じゃないかな?」
そう言って頭を撫でるリナ。
と、その時、同じクラスのメアリーちゃんが箒に跨ってチャチャとリナの前に現れ―
「チャチャ、お手合わせ願えるかしら?魔法少女、メアリー行きます!」
「え~!そんなぁ~!」
「メアリーちゃん、一応先生も居るんだけどなー」
「じゃあリナ先生も!」
「えぇ…」
なお、メアリーちゃんは手品魔法しか使えないそうで、これなら平和的な魔法勝負が出来るとチャチャも受けて立つ。
そして行き場を無くしたリナは―
「ええい!あたしも勝負すればいいんでしょ!召喚魔法は好きじゃないけど!」
「おお、これは名勝負の予感だよ~ん!」
シンちゃんが現れ、軍配片手に3人に立ち会う。
「あ、リナさんはあまり変な召喚魔法使わないで下さいね?」
「分かってるわよ!」
そこに見学に来たのはリーヤとしいねちゃん、あとアーリンたち3人。
「頑張れチャチャ!」
「チャチャさん、ファイトです!」
「リナーがんばれー」
「ふぁいとおー」
「リナ?負けたら…分かってるわよね?」
やる気MAXのリーヤたちの応援とは対照的に全くやる気のないリナに向けた応援、そして強烈な圧を掛けるルナ。
「ひゃい!」
(ヤバい、適当に召喚して負けるつもりだったけど、これ負けたら地獄を見る!…手加減はしないわよ、チャチャ!)
冷や汗ダラダラ、背筋シャッキリのリナもメアリーちゃんと同じく召喚魔法を唱える。
まずはメアリーちゃんが。
「マジカル・パラレル・パラリン・パッ!」
魔法の光と共にチャチャの頭巾が白い鳩に変身する。
「わたしも!出でよ、鳩!」
チャチャも召喚魔法を唱える。
そして出てきたのは―帽子。
彼女の頭の頭巾が手品師の帽子に変身していた。
その頭の上にメアリーちゃんが召喚した鳩が乗っているシュールな図。
「ふっふっふっ…あたしの鳩を見なさい!」
リナが本気を出して召喚術を使った結果―召喚したのはチャチャの不死鳥。
不死鳥を肘に乗せてドヤ顔を決める。
「あたしが本気を出せばこんなもんよ!」
一瞬の沈黙。
「…でも鳩じゃないよな」
リーヤの言葉に全員が『あっ』と声を上げる。
その瞬間にチャチャの帽子から大量の鳩が飛び出し、帽子を咥えて飛んでいく。
シンちゃんは3人の顔を見て―
「この勝負、チャチャさんの勝ちだよ~ん!」
わっと歓声が上がる。
「やったな、チャチャ!」
「また防衛成功です!」
喜びを露わにするリーヤとしいねちゃん、そして―
「何であたしの召喚術が駄目なのよー!」
「一応お題が鳩だったのに、リナさん不死鳥を召喚したでしょ?その時点でアウトだよ~ん」
シンちゃんに噛み付くリナだったが、あっさりと論破されてしまい、その場に打ちひしがれる。
「リ・ナ・ちゃ~ん?」
「ね、姉ちゃん…」
仁王立ちのルナに首根っこを掴まれて、そのまま引き摺られるリナ。
「姉ちゃん、許してー!」
「駄目よ?魔法使い世界一の座を狙って負けたんだから、それ相応の罰を与えないとね?」
「どぼぢで~」
「チャチャ、負けちゃったけど不思議と悔しくないの。これからも―お友達でいましょうね!」
「メアリーちゃん…」
「そうそう、みんなチャチャと戦ったけども、リナ先生除いて誰もチャチャを恨んだり憎しんだりしてないのよ」
なお、リナの場合恨むというか自分の甘さを迂闊と呪うだけだったりする。
「勝っても負けても、その友情が壊れるってことは無いんだよね」
「アーリン先生、アリーナ先生…」
チャチャは静かに頷いた。
さっきまで感じていた、魔法勝負で友情を奪われるのではないか、という不安が少しだけ軽くなっていた。
なお、勝負がどんどんエスカレートしていき、最終的には校舎をまた壊してしまい、ラスカル先生の給料がカットされたのは言うまでもない。
平和な日々の中で、チャチャも成長していくことだろう。
(こんな毎日だと楽しいんだけども…そうは問屋が卸さないかも、ね)
アーリンはアクセスが向かった北の方角を見ながら、何か不穏な気配を感じられずにはいられなかった。
この地下世界に、ロキが居るという現実が彼女の心を塗りつぶしていく。