異世界の英雄たち、赤ずきんチャチャの世界を修正します   作:hoyohoyo

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~夜中、セラヴィー宅にて~

静まり返った森、微かに聞こえる鳥の鳴き声。

しかし、その鳴き声が、やけに遠く感じる。

そんな中、アーリンたちはこっそりとセラヴィーの家に上がり込む。

「すみませんね、こんな夜中に」

穏やかな声色だが、その奥にはわずかな緊張が混じっている。

「別に構わないわよ?というかこの時間に私たちを呼びつけたって事は、貴方も分かってきたんじゃない?」

セラヴィーに魔法通信で呼び出されたアーリンたちは、静かな居間に置いてある椅子に腰掛け、セラヴィーの言葉を待つ。

薄暗いランプの灯りがアーリンたちを囲み、揺らめく影が壁に伸びる。

「…奴らがチャチャに目を付け始めました」

そう言って懐から取り出したのは1枚の葉っぱ。

「これはチャチャが留守番をしていた時に対峙していた魔物の一部です」

テーブルの中央に置かれた葉はすでに魔力の残滓を帯びており、彼が静かに呪文をを唱えると葉先から青白い炎が浮き上がった。

その炎は揺らぎながら、まるで意思を持ったように窓の外へ流れていく。

「あの方向にあるのは、魔法の国の王城です」

部屋の空気が一段と重くなる。

「…いつから知ってた?」

リナの声は鋭い。

セラヴィーは視線を落としたまま答えた。

「それっぽい動きを知ったのはチャチャが海へ遠足に行った時ですね」

いつの間にかテーブルの上に置かれていたティーポットから、湯気が立ち上る。

「邪悪な魔力…大魔王のものと分かっていました。ただ、あの時点ではその魔力自体は微弱なものだったので、まだ動く段階ではないと判断しました」

そこまで言って紅茶をひと口。

カップを置く音が静かな部屋に響く。

 

「物語を知っている貴女たちなら知ってる通り…チャチャのご両親、つまり国王と王妃ですね。あの方たちを石にして魔法の国を攻撃したのは大魔王です。そして唯一無事だったチャチャの存在を知り、力を付け始める前に無力化しようとしたのでしょう」

セラヴィーの言葉が深く、重く響く。

「大魔王も多分私が居ないところではそれなりの能力を持った魔物を出したのでしょう」

「ところが、私たちが探す『歪み』がイレギュラーを作り、そのイレギュラーが本来持っていた大魔王の配下の能力を奪い取った」

「まだ未熟なチャチャたちが、マジカルプリンセスに変身して勝てたのはそれもあります」

「歪みの元凶も多分そこに気付くはずね」

同じようにカップに口を付けるリナ。

「最悪、共闘して手下の能力を嵩上げするか、もしくはどちらかが相手をそそのかす、または喰らいつくして物語を強制的に潰す可能性もあるのね」

アーリンの言葉にリナとセラヴィーが頷く。

「…ひょっとしたら、既に接触してる可能性もあります」

セラヴィーの表情は暗い。

「アーリンさんたちには今まで以上にチャチャの事を見守って欲しいのです」

「しかし過剰に手出しは出来ない、でしょ?」

アリーナはカップの淵を指で弾きながら、セラヴィーに言葉を返す。

「そうです。チャチャたちの成長は物語を成就させるのに必要ですし、貴女たちの過剰な介入は逆に物語を崩壊させる恐れがあります」

「やる事は今まで通りだけども、『常に』影から見守らないといけないのはキツいわね」

「まぁいいよ。その分アーヤハに報酬上乗せしてもらうから」

ルナがため息を付くが、アリーナが笑顔でその肩をぽんぽんと叩く。

その軽やかな仕草に、部屋の空気が少しだけ和らいだ。

だがアーリンの胸に残る違和感は消えない。

(歪みの元凶が大魔王と同質、またはそれ以上の力なら…)

思考はそこで止める。

まだ確証はない。

 

「そういえば一昨日は大変でしたね」

セラヴィーが紅茶のお替りを4人に注ぎながら先日の出来事を思い出すように呟く。

「ああ…フランケンちゃんの件ね」

「また校舎が破壊された…」

「魔法界一の天才科学者、ホウキング博士だっけ?」

アーリンたちが当時の状況を思い起こす。

彼が大魔王の命令で製作した巨大な胎児。

チャチャの手により卵から孵り、インプリンティングされて『フランケンちゃん』と名付けられ、愛情と友情たっぷりに育てられ…。

それを見たホウキング博士が怪しいリモコンでフランケンちゃんを悪の怪物に変貌させ、チャチャたちを襲ったのだ。

リーヤの祖父も参戦し、最後はマジカルプリンセスに変身したチャチャがビューティ・セレインアローで悪の心を奪い取って改心させたのだが、その騒動で校舎がまた破壊されてしまったのだった。

 

「あれ?でもボクたちには修繕の話は来てないよ?」

「保護者責任って言われて私とどろしーちゃんが直しに行くことになりました…」

「おおぅ…何というか、お疲れ様」

これから壊れた校舎を直しに学園に向かわないといけないセラヴィーの姿に4人は心底同情する。

アーリンが小さく肩をすくめ、リナも茶化す口調で彼に言う。

「もし次に同じことがあったらあたしたちも手伝うわよ?もちろん報酬は貰うけどね」

彼女の言葉に苦笑いを浮かべるセラヴィーだった。

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