ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた 作:pfk
紫先輩とエンカウントした以外は何事もなく一日が終わり、それから数日ほどは敵襲やらイベントやらは発生せずに日曜日を迎えた。
原作通りなら次の悪魔が攻めてくるのは来週の水曜のはずだし、今日は下見も兼ねて聖地巡礼でもしますかねー。
【バッドエンド警報! バッドエンド警報! 変身要請!!】
と思ってたらバッドエンド警報が来ちゃったか。
外伝の方は時系列がハッキリしてない戦闘もあったりするから、油断してるとこういうこともある。
しかーし! ハッピーエンドを守るためなら休日返上何のそのだ! 24時間戦えますかってなぁ!
「
変身するという意思と共にコードを発声することで、全身が不思議な光に包まれる。
変身前に身に着けていた衣服が異空間に格納され、一時的に全裸にされる。古き時代の魔法少女かよ!
そして腕、足、腰、胸、頭と順番に光が弾けるにつれて煌びやかな白いドレスのような衣装が姿を現し、髪がロングになり真っ白に染まって、最後にパチンとウインク(強制的に体が動く。あざとい発言を根に持っていた猫に後付けされた)するとキラキラのハイライトが瞳に宿る。どのタイミングでTSしてるのかは不明である。
「魔法少女ハッピーエンドキーパー、推参です!」
変身と同時にバッドエンド警報発令地点へのワープが完了するから、登場曲をバックに名乗りをあげた。
地形や建造物を見れば大体どの外伝の戦闘かはわかる。
今回は~~~、って、
「ひあぁんっ、あぁっ! やだっ、やめてぇぇ!」
「な、なにをやってるのですかーーー!!」
あまりの光景に思わず脳内検索を中断して絶叫してしまう。
両腕が触手になっている女悪魔が魔法少女スカーレッドアーミーを絡めとって拘束し、ヌラヌラとテカった触手で内ももを撫で上げ、苦悶の声をあげさせていた。
しかもスカーレッドアーミーの衣装はかなり損傷されていて、目のやり場に困るほどだ。
「
「ぐあぁぁっ!?」
ノーモーションで放たれる光の斬撃が触手のみを切り落としてスカーレッドアーミーを拘束から解放する。さらに続けて放った聖なる波動が触手悪魔の肉体を吹き飛ばした。
「スカーレッドアーミー! 大丈夫ですか!?」
「う、うん、……ありがとう」
地面に尻もちをついて泣きそうな目をしながら、スカーレッドアーミーは息も絶え絶えな様子で答えた。ただそれは、疲労や苦痛というよりも、大人向け的な意味での消耗のように見えた。顔、めっちゃ赤くなってるし。
「少しだけ待っていてください」
許さん……! 絶対に許さんぞ虫けらどもー! 俺はバッドエンド改変を許さない男! そして当然このバッドエンドには性的なバッドエンドも含まれる! 女の子が気持ちよくなってたら同意とか純愛とか実質ハピエンだとかいう詐欺師みたいな言い訳は認めない! 許されるのは純愛のみ! 純愛二次創作だけはエッチでも許す!
「いきなりご挨拶ね~、ハッピーエンドキーパーちゃん。でも会いたかったわ。自分が負けるわけないって思ってる魔法少女を屈服させて、この子たちの苗床にするのが一番気持ちいいのよね~!」
スピード重視で3節以下の魔法を使ったからダメージはそれほど与えられなかったか。
とりあえずスカーレッドアーミーと引き離すことが目的だったから別に良いが。
「それにしても、思ったよりも大したことないのね」
女悪魔が性格悪そうな笑顔を浮かべると、切断した触手が再生して再び元気にうねうねと動き始めた。
「……あなた、何者です?」
「うふふ、それそれ、その顔! 再生するなんて予想外だった? ぜーんぜんダメージ受けてないなんて計算外だった? あはははは! あなたもスカーレッドアーミーちゃんみたいに可愛く鳴かせてあげる!」
いや、そういう思わぬ強敵とかいう意味ではなくて、原作にも外伝にも登場しない敵だからって話なんだけど……。
今までのバドエン改変は何だかんだ言って原作の延長にあった。復活パワーアップした悪魔もそうだし、武人気取りの悪魔もそう。ご都合パワーアップはあったが、原作で魔法少女たちと戦った敵。
だけどこいつは違う。言わば無から現れた敵だ。バッドエンド改変の影響はこんな風にも出て来るのか。
たぶん、最初に猫が言ってた大人向けの展開を望むアンチの影響、といったところか。
休日に出て来たのも、魔法少女が孤立しているところを狙うためか?
ほんっとうに
「不愉快」
「私になでなでされた後もそんなに澄まして顔ができるかしらね! 行きなさい子供たち!」
「
女悪魔の身体から高速で触手が分裂し、俺に向かって波のように襲い掛かる。
「ハッピーエンドキーパーちゃん!」
さっき助けた時もそうだったけど、素が出てしまってるぞスカーレッドアーミー。
原作でも本当に追い詰められて絶望に押しつぶされてしまったとき、彼女は変身中でも素が出てしまうことがあった。
今回の相手には、それだけ精神的に追い詰められてたってことか。命を懸けて戦うのとはまた怖さの種類が違うだろうし、それも仕方ない。
――
数えるのも億劫になるほどの触手が俺に接触する直前、詠唱が完了する。
多分この悪魔はかなり強い。今までに戦った悪魔と比較しても、数段上の力を持っていると思われる。
「あっ……!? がぁ!? はひは……!?」
だから少し詠唱に時間がかかるけど、念のため強めの魔法を使った。
早くスカーレッドアーミーを安心させてやりたかったから。
「辞世の句を詠みなさい」
「あひえはい……! ほおあはひは……!」
一瞬にして千の斬撃を受けた触手悪魔は、再生する暇もなくバラバラに切り刻まれて消滅していった。