ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた 作:pfk
うーむ、これはもしかするとマズイかもしれないな。
「何がマズイのです。言ってみなさい」
「パワハラ上司乙」
ソファに座って考え事をしている俺の頭の上にわざわざ陣取り、前足でペシペシと目玉を狙って来る猫の攻撃を10秒ほど連続ウインクでガードしてから振り落とす。
「スカーレッドアーミー、折れちゃったかもなぁって」
「……あれは、年頃の女子には酷です」
それは俺もそう思う。
多分間に合った、と思うけど俺が駆け付けるまでの間にどんなエグイことをされてたかもわからんしなぁ。
普段から冗談ではないけど、本当に冗談抜きで許しがたい改変だ。
「フラグメントって深夜系アニメと言いつつ内容は健全だったからな。大人向けなピンチ展開とかはなかったし、描写されてない部分だからどのくらい耐性あるかわからなかったけど……」
「あの様子だと赤羽根歩は、そういう方面の攻撃には弱いみたいですね」
今回の件は誤算というか、正直考えてもいなかった展開だ。
しかしスカーレッドアーミーが変身中に弱音を吐いてしまう展開は原作にもあった。ほかのみんなが魔法少女として次のステップに進む中、自分だけが停滞してしまうのだ。そして自分には魔法少女としての強みなんてない、努力したってみんなには追い付けないと、諦めてしまう。
「ですがそれで終わる子ではありません。あの子は守るものがあるほど、自分がやらなければという使命感が強いほど、より強い自分になって立ち上がれるのです」
そう、一度は諦めてしまった赤羽根歩を責めず、4人だけで悪魔との戦いに向かったフラグメントは、このタイミングで初登場となる伯爵の魔界貴族に苦戦することになる。
そんなピンチを知った歩は、みんなが命をかけて戦っているのに、どうして自分だけ安全な場所で震えていられるんだと、たとえ追いつくことなどできなくても、それでも戦い続けるのだと、研ぎ澄まし続けるのだと、それこそが『鉄血』の魔法少女なのだと、そして今、みんなを助けられるのは自分しかいないのだと、自分を奮い立たせてもう一度変身するんだ。そしてこの時スカーレッドアーミーもまた、殻を破り次のステージへ踏み出すことになる。
そんな奮起と成長の感動シーンがあるんだ……!
「途中から感想語りになっていますよ」
「んん、とにかくだ」
軽く咳ばらいをして仕切り直す。
「スカーレッドアーミーを再起させるためには、自分がやらなければならないという使命感を持たせる必要がある」
「ですがあなたがいるとそれも難しいのでは?」
「まさに、それが問題だ」
現状、フラグメントが敵を倒し切れなくても、ハッピーエンドキーパーが駆け付けて倒してくれるというお約束的流れができあがってしまっている。
この状況では、自分がやらなければ、なんて使命感は抱けないだろう。
むしろ以前俺が懸念していたように、もう全部あいつ一人で良いんじゃないかな、と考えて私魔法少女やめる! なんて言い出しかねない。
しかしだからと言って助けるのをやめるというわけにもいかない。気の持ちようで倒せる程度の強化なら様子見してもいいけど、バッドエンド改変はどう考えても現状のフラグメントじゃ逆立ちしたって勝てないレベルの強化が施される。ハッピーエンドキーパーが出ないわけにはいかない。
これまでどおり原作部分はフラグメントで戦って貰って、改変部分だけ俺が後始末する、という流れが
が理想だ。
「ご都合展開ですね」
「まあそう思われるだろうな」
大衆はもちろん、いずれは魔法少女からも反発を喰らうだろう。というか多分、エメラルドメディックあたりは既に疑問を抱いてると思う。
なぜ戦う力があるのに最初から戦わないのかって。
「魔法少女の成長と、ハッピーエンドの守護、両方やらなくちゃあならないってのが、ハッピーエンドキーパーのつらいところだな」
しかし策はある。
スカーレッドアーミーの件は新たに浮上した問題だけど、ご都合魔法少女過ぎ問題は元々猫とも話してたことだしな。
「要するに、ハッピーエンドキーパーが原作部分の戦いに参加できない大義名分があればいいわけだ」
「ふむ、そんな都合のよい大義名分はあったでしょうか?」
なんでもいいからでっちあげるんだよ。
幸い、最強にし過ぎた味方キャラのコントロール方法については無数の教本があるからな。
「漫画で義務教育を済ませた男」
「だまらっしゃい。猫に言われる筋合いはないね。猫はこの世で最も価値のない存在の1つだからねえ」
「匿名掲示板でレスバを覚えた男」
「それは普通じゃないか?」
とにかく、俺にいい考えがある!