ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた   作:pfk

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18話 なぜなんだ世界猫

「猫えも~~~ん!」

「どうしたんですか幸太くん」

 

 帰宅して早々、俺は猫に泣きついてことのあらましを説明した。

 緑川翠香に元の世界のスマホを見られてしまったこと、ネット通販で買ったと肯定してしまったこと、多分なにか怪しまれていること、そして連絡先の交換を断り切れず現在進行形で答えに窮する連絡が来ていること。

 

「相手の記憶を改竄する道具を出してよ猫えもん!」

「まったくしょうがないですね幸太くんは……、と言いたいところですけど今回はそうもいきません」

「いや道具は冗談だけど情報改変してくれればいいよ」

「だから出来ないのです」

 

 なんですと?

 Why World cat!?

 

「魔法少女たちは改変の影響を直接的に受けることはないのですよ」

「???」

「気づいていなかったのですか? 魔法少女に直接的な改変が通じるのであれば、バッドエンド改変によっていくらでも闇落ちさせたり弱体化させたり出来てしまうではありませんか。しかし現実にはそうならず、あくまで敵の強化や新しい敵の出現に留まっているのは、魔法少女を直接改変することは出来ないからです。これは世界の意思である私でさえもどうにもできません」

 

 言われてみればその通りだけど、なんで魔法少女だけは改変が通じないんだ? それこそご都合主義じゃん! ハピエン教徒の俺としてはありがたいことだけれども。

 

「ご都合主義で当然です。この世界は魔法少女戦隊フラグメントという作品を媒介に作られた世界。言わば彼女たちはこの世界の主人公です。勝つにせよ負けるにせよ、少なくとも悪魔たちとの戦いに決着がつくまでは主人公補正を受けているのですよ」

「その主人公補正で守られてるってわけか」

 

 くっ! まさかこんな形で主人公補正が牙を剝いて来るとはな!

 

「え、てかじゃあ俺の転入って赤羽根歩とか青森空から見るとおかしなことになってるんじゃないか?」

「可能性はありますが、特に何も言われてないのなら気づかれてないのでは?」

「テキトーすぎぃ!」

「以前にも言った通り私はどちらでも構いませんから。ハッピーエンドキーパーが自分の正体を隠して活動しようが、正体が露呈しようが」

 

 悪い猫ちゃんめ!

 ぐぬぬ、最悪猫に頼めばどうとでもなるだろと思って連絡先も交換してしまったけど、浅はか過ぎた……!

 どう返事すればいいんだー!

 

「先輩の機種を教えてください、ですか」

 

 スマホを床に置いてガッデムと頭を抱える俺を尻目に、猫がニュッとスマホをのぞき込んで緑川翠香からのメッセージを読み上げる。

 

 買い替えにあたって、比較の参考にしたいから機種を教えて欲しい旨のメッセージが早速送られてきていた。

 しかし調べてみたところ、そもそもこっちの世界にはこのスマホを作ってるメーカーが存在しない。

 緑川翠香は多分そのことに気づいてて、何も知らない体で俺を玩具にするつもりで質問して来てるのだと思われる。

 

「いっそのことブロックするなり無視するという手もありますね」

「同じ学校に通ってるんだから何の解決にもならねーだろー」

「ふっ、それはそれで楽しそうに問い詰めに来る姿が想像できますね」

 

 どーも猫は魔法少女戦隊の安全のため積極的に俺と魔法少女を関わらせたいっぽいんだよな。そうなってくると猫はあまりあてに出来ない。

 緑川翠香の趣味は他人の秘密を暴くことであり、その過程を楽しむことを生き甲斐の一つにしているサディストだ。一度関わって興味を持たれてしまったら、無視してほとぼりが冷めるのを待つというのは有効じゃない。

 

「まあ、無難に記憶違いだったってことにするしかないか」

 

 ネット通販で買ったと肯定してしまった手前苦しい部分はあるけど、実は購入したのは別のスマホで、今回紛失していたのは開発中の試作機だった、みたいに誤魔化すのが一番丸い気がする。

 

「そういうわけでもう一台スマホ買ってくださいお猫様」

「バイトでもすれば良いのでは?」

「えー!? 金のことは気にしなくて良いって言ったじゃんかー!」

「あなたをこちらに呼んだ責任として、生活に必要な金額はもちろん私が用意しますが、今回のは明らかに幸人自身のミスによる後始末でしょう? であれば自分で稼ぐのが筋ではないですか?」

「ケチー! ケチケチケチ! ていうか労働の対価をよこせー!」

「魔法少女は対価など要求しません」

 

 くっ、なんていうやりがい搾取……!

 でも魔法少女やめれないんだけど! こんなやりがい搾取されても俺魔法少女やめれないんだけど!

 

「でも俺急に出動したりしなきゃいけないわけじゃん? 店側に迷惑かかるじゃん」

「そこは情報改変でなんとかしましょう」

「結局介入してくんなら素直に買ってくれればよくない?」

「それとこれとは話が別です」

 

 ちぇー、結局こっちの世界でもバイトしなきゃなのか。めんどいなぁ。

 

「であれば嘘などつかず素直に白状すれば良いのです」

「それが狙いなわけね」

 

 ま、たしかに緑川翠香は秘密を知られても一番影響なさそうな気はするけど、そういうわけにもいくまい。

 

「まずはバイト先探さなきゃかぁ」

「情報改変があるとは言えフォローにも限界があるので、あまり繁盛していない都合の良さそうな店を私の方で探しておきましょう」

 

 え、急に協力的。怪しい。

 

「私は世界の意思ですよ? この世界の子らに不要な迷惑をかけることは好みません。元の世界でのバイト経験を教えて貰えますか? それを基に探しておきますので」

「ふうん、そういうことならお任せするかね。あ、あとスマホはすぐ必要だからどっちにせよ立て替えて欲しいんだけ」

「……まあ、それくらいなら構いません」

 

 よし、これで一先ず緑川翠香への誤魔化しはできそうだ。

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