ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた 作:pfk
はぁ、あの時のハッピーエンドキーパー様、格好良かったなぁ~。
「いつまでぼーっとしてる。もうお昼」
「あうっ!」
授業が終わったことにも気づかずにあの日の光景を思い出してたら、いきなりおでこに痛みが走って現実に引き戻されちゃった。
いつの間にかお弁当を持った空ちゃんが私の席まで来てたみたい。
「デコピンはやめてよー」
「授業はちゃんと聞くべき」
「空ちゃんにだけは言われたくない……」
空ちゃんだってしょっちゅう居眠りしてるくせに!
「またあの魔法少女のこと考えてたんでしょ」
「えへへ」
ここ数日、ずっと上の空な状態の私を最初こそ心配してくれてた空ちゃんだけど、その原因が悪魔への恐怖じゃなくてハッピーエンドキーパー様への想いだって知ってからは呆れた顔をするようになった。
でもしょうがないじゃん! あんな目にあって、もう駄目だって思って、誰か助けてって救いを求めてた時に、あんなに格好良く助けられちゃったら、そんなの好きになっちゃうよ!
「相変わらずお熱だね」
「子供っぽすぎるかなって思って内緒にしてたけど、実は白馬の王子様ってちょっとだけ憧れたんだよね」
授業中はもちろん、家にいる時も、空ちゃんと遊んでる時も、バイトしてる時も、ふと気が付くとハッピーエンドキーパー様のことを考えちゃってる。
これが恋ってやつなんだね! 今まで私、人を好きになるってどんな感じなのかよくわからなかったけど今ならわかるよ!
寝ても覚めてもあの子のことを考えてドキドキしちゃう! これが恋なんだよ!
「白馬の王子様って言っても、相手は女の子」
「ふふふ、古いね空ちゃん。フルフルだよ。時代は多様性なんだもん! 女の子同士でも何の問題もないんだよ!」
「歩は良くても相手はどうかな」
うっ、空ちゃんは相変わらず鋭い着眼点だよ。
そうなんだよね。私がオッケーでもハッピーエンドキーパー様も同じとは限らないよね。
あんなに可愛くてお淑やかで、でもお茶目なところもあって、世の男の子たちが放っておかないだろうな~。
「うぅ、私が男の子だったら良かったのに」
「そしたらそもそも接点がない」
「も~! ちょっとくらい夢見たっていいじゃん!」
私だってほんとはわかってるもん! ハッピーエンドキーパー様は全ての魔法少女の味方だから私を助けてくれただけで、それ以上の関係に発展する可能性なんてほとんどないことくらいさ!
「どうせ0%なら駄目元で告ってみれば」
「他人事だと思って~!」
「ん、別に冷やかしで言ってるわけじゃない」
空ちゃんはそう言って自分のスマホの画面を見せて来た。
私はやってないから良く知らないけど、何かのSNSを開いてるみたいだった。
「これ、ハッピーエンドキーパーってパブサした結果」
そこにはハッピーエンドキーパー様のファンと思われる人たちの投稿がいくつも連なっていて、一般の人はもちろん、私みたいに危ないところを助けられた魔法少女の投稿も含まれてるみたいだった。
私たちはやってないけど、魔法少女の中にはSNSを運用して悪魔の危険性を伝えたり、野次馬行為は危険だからやめるように周知してる人たちもいるらしい。
肝心の投稿内容は、ハッピーエンドキーパー様の可愛さや格好良さを語るものだったり、ハッピーエンドキーパー様への愛を叫ぶものだったり様々。その中でも特に目についたのは
「な、なにこれ!?」
ハッピーエンドキーパー様にお姫様抱っこで助けられ、完全に惚れた表情で熱い視線を向けている魔法少女の写真だった。しかも、それを投稿してるのは魔法少女本人のアカウントらしい。野次馬が撮影して拡散した写真を保存でもしたのかもしれない。
「羨ましい……!」
「じゃなくて、ライバルは多そうって話」
たしかに! ハッピーエンドキーパー様は私たちだけじゃなくて、全国各地で魔法少女を助けてるらしいから、私みたいに好きになっちゃう子がいたっておかしくない。
「迷える子羊Aから昇格したいなら、自分から動くしかない」
「でも、そんなにいきなり……」
仲良くなったわけでもないのに急に告白なんかして変なヤツだって思われたら嫌だし……。
「壊れるのを躊躇うような関係でもない」
「それはそうだけど……」
「別に一回失敗したからって諦める必要もない。何度でも当たって砕ければ良い」
「一回も砕けたくないよ~!」
もっと段階を踏んで、少しずつ仲良くなって、お互いに意識するようになっていって、みたいな乙女チックなのが良いよー!
「……わがまま」