ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた 作:pfk
まずはこないだのお礼を言って、それから友達になってくださいって伝える。
胸を弾ませながらそんな風に考えてた私の目の前で、ハッピーエンドキーパー様は血を吐きながらしゃがみ込んだ。
「ち、血が!」
「……やはりまだ、大技は2回が限度、ですか」
一番近くにいた私は咄嗟に介抱しようとしたけど、それよりも早くハッピーエンドキーパー様の姿が消える。
「ハッピーエンドキーパー!? どこだ!? 大丈夫なのか!?」
周囲を見渡してもどこにもその姿が見えず、必死に声を張り上げて呼びかけても答えは返って来ない。
何が起こったの? い、生きてるよね? 消えちゃったわけじゃないよね? 死んじゃったわけじゃないよね!?
「ね、ねえ、ハッピーエンドキーパー様、大丈夫、だよね……?」
あまりの不安に変身時の演技も忘れて、私は震えた声でみんなに問いかける。
「いつも唐突に出たり消えたりしてるし、死んではいない。たぶん」
「そうだよね!?」
スカイブルーアーチャーの言葉に、思わず食い気味に反応する。
言われてみればたしかに、ハッピーエンドキーパー様は神出鬼没だし、消えたことそのものはいつものことだった。
「さっきの言葉を額面通りに受け取るなら、大技の反動があった、ってことかしら」
「自分でもそれをわかってるようでしたし、そのうえで使ったのなら直ちに命の危険があるわけではないと思います」
続いて戦隊内でも賢さトップツーの二人が納得のいく推察を語ってくれて、ようやく私の心は落ち着きを取り戻せた。
本当に命の危機なんだったら、消えていなくなる力も残ってないだろうし、逆説的に考えれば大丈夫ってことだよね。きっと大丈夫。うん。
「すっごい魔法だったなー。あたしも早くあんなの使ってみたいなぁ」
「いつになることやらですけれどね」
「あんなものを見せられたら、私たちが足手纏いになってしまっていることも認めざるを得ないわね……」
「とりま基地戻ろう。疲れた」
人目に付かない場所まで移動してから変身を解除して、私たちはピーちゃんの作り出した秘密基地への入り口に向かって歩き始めた。
その間、みんなは色々話してたけど私はそんな気にもなれなくて、集団の最後尾で俯いてた。
正直に言うと、触手悪魔から助けられた時、あんなに強い人がいるんだったら私が戦う意味なんてあるのかなって思った。
あんなに怖い思いをして、戦う意味も見失って、それでも今回魔法少女として戦えたのは、ハッピーエンドキーパー様との唯一の繋がりを失いたくないからだった。
だけど、違ったんだ。
戦う意味がないなんて、勘違いだった。
戦隊のみんなと仲間になって、一緒に戦って、わかってたはずなのに。私は馬鹿だから、もう忘れちゃってたんだ。
人は一人では生きていけない。
一人で戦い続けるなんて出来ないってこと。
ハッピーエンドキーパー様にも、彼女を助けてあげられる人が必要なんだ。
ちょっとでもその負担を減らすことができるなら、私みたいな凡人だって戦う意味があるんだ。
それを出来るのは私たちだけで、私たちがやらなくちゃいけないことなんだ。だから私たちは強く、もっともっと強くならなきゃいけないんだ。
今すぐには追い付けないってわかってる。
また、小さな一歩から始めなきゃいけないのわかってる。
それでももう、彼女を一人ぼっちにさせたりしない。
全部任せて、それでいいやなんて二度と思わない。
あなたが全ての魔法少女の幸せな結末を守ると言うのなら、私がきっとあなたを守るよ。