ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた   作:pfk

22 / 25
22話 謎は深まるばかり Side:緑川翠香

 分身悪魔との戦いが終わった後、私たち魔法少女戦隊は反省会をするために異空間にある秘密基地へ集合していました。

 ここのところ私たちは敗北続きで、肝心なところはハッピーエンドキーパーと名乗る謎の魔法少女に助けられる流れが続いています。

 最終的には悪魔を倒せてるため、青森先輩なんかは別にいいじゃんというお考えのようでしたけれど、今日のあれを見るとそうも言えなくなります。

 

「あの様子と言葉から考えると、ハッピーエンドキーパーは一度に長くは戦えないみたいね」

「元々病弱で体が弱いのか、それともあの大きすぎる魔法の力による反動か、具体的な理由はわからないけど、大技は2回が限度ってなると確かに持久戦は難しいね」

「いつも終盤まで姿を現さなかったのはそういうこと」

「血ヤバかったもんなー」

 

 紫先輩、ピーちゃん、青森先輩、透華は、これまでのハッピーエンドキーパーの動向に納得がいった様子で話し合いをしています。

 魔法少女の味方だと言うのなら、どうして最初から参戦しないのかという疑問はこれまでにも議題に上がりましたけど、今回の一件でその理由が明らかになったとお考えのようです。

 

 強い力を持っているけれど、短時間での連続使用に限界があり、それを超えて魔法を使うと反動で大きなダメージを受ける。だからその地域を守る魔法少女が本当にピンチに陥った時しか姿を現さない。

 

 ふむ、たしかに筋は通っています。

 ですがどうにも、わざとらしく思えてしまうのは私だけでしょうか?

 ハッピーエンドキーパーという存在について、ネット上では称賛の声などが多く見えますが、中には私のように何故ピンチの時だけ都合よく現れるのかという疑問を抱いている方もいるようでした。

 今回の一件は、まるでそんな疑り深い私のような人間に対して、こんな理由があるんですよと尤もらしく説明しているようにも感じられました。大義名分のアピール、とでも言いましょうか。

 

 とはいえ、その疑いについて何か根拠があるわけではありませんから、流石にこの場であれは演技の可能性もある、なんてことは言えませんね。彼女が最初に現れた時とは状況が違います。

 この短い期間の内に彼女は世界中で何人もの魔法少女を救っており、正体不明ではあるものの敵対的な存在ではないというのが一般的な認識になってきていますからね。

 

「元より彼女に任せきりにするつもりはありませんでしたけれど、最後の砦があるという意識は捨てた方が良いかもしれませんね」

「そうね。私たちこそが最終防衛ラインだと考えるべきだわ」

 

 それらしいことを言って皆さんに同調する姿勢を見せれば、紫先輩が深く頷いて真面目な面持ちで私の言葉を肯定しました。

 

 この人、最初は外面を演じてるタイプ(私と同類)の性悪だと思ってましたけど、正義感は本物みたいなんですよね。仲間外れで寂しいものです。

 

「リーダーはどう思いますか?」

 

 赤羽根先輩は、変身中はグイグイみんなを引っ張ってくれるリーダーシップもあり大変頼りになるのですけれど、普段は人見知りで引っ込み思案なのでこうして話を振ってあげないと会話に入れないことがよくあります。

 幼馴染の青森先輩がうまく仲介してくれればいいんですけど、最近は私に任せてサボり気味ですね。困ったさんですね。

 

「……浮かれてる場合じゃなかったんだ」

「はい?」

「ハッピーエンドキーパー様……、ううん、ハッピーエンドキーパーちゃんは白馬の王子様なんかじゃない! 私たちと同じ、一人の魔法少女なんだ! 私たちがしっかりしなきゃ駄目なんだ!」

「ええと……?」

 

 恐らく自問自答の末に出て来た言葉なのでしょうけれど、それに至った経緯を説明していただけないと置いてけぼりになってしまいます。

 助けを求めるように青森先輩に視線を向ければ、面倒くさそうに肩を竦めるだけで何か説明をしてくれるつもりはないようでした。

 

「私、多分無意識に気が緩んでた。緑川さんの言う通り、最後はハッピーエンドキーパーちゃんが何とかしてくれるって思っちゃってた。だけど、そうじゃないよね。そんなの魔法少女じゃない! 魔法少女なら、負けても大丈夫なんて考えちゃ駄目だった! 私たちは、魔法少女は、絶対に勝たなきゃいけないんだ!」

「……はい、私もそう思います」

 

 よくわかりませんが、奮起される分には悪いことではありません。とりあえずその暑苦しい主張に賛同しておくことにします。

 

「今日の赤羽根さんはどこか気が抜けてるような気もして心配だったけれど、もう大丈夫そうね」

「色ボケが収まったみたいで良かった」

「よくわかんないですけど、赤羽根先輩の言う通りです! 次こそ絶対勝ちましょー! そうと決まれば特訓です!!」

「うんうん、みんなやる気十分で僕も嬉しいよ。とはいえ敵がどんどん強くなってることに変わりはないし、透華の言う通りもっと特訓した方が良いかもね」

 

 特訓をすること自体は構いませんけれど、それよりもハッピーエンドキーパーに強さの秘訣やコツを教えて貰いたいものです。

 彼女の実力はどう考えても抜きんでており、世界中の魔法少女と比較しても頭一つ二つどころではないレベルです。

 もう少し他の魔法少女とコミュニケーションを取っていただけると助かりますね。

 

 ピンチの時にしか現れないというのはともかく、他の魔法少女とまともにコミュニケーションをとっていないことにも何か理由があるのでしょうか。

 

 謎は深まるばかりです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。