ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた 作:pfk
「みんな~! 無事でなによりだよ~!! ほんとにほんとうに心配したんだからね!!」
私たち魔法少女戦隊が異空間にある秘密基地へ帰還すると、手のひらサイズのツバメのぬいぐるみが涙を流しながら基地の中を飛び回ってた。
この子は妖精のピーちゃん。私たちに魔法少女の力を与えてくれたり、異空間にこの秘密基地を作ってくれたり、魔法少女の色んなサポートをしてくれる存在だよ。
でも本人に戦闘能力はないから、悪魔との戦いの時はこうやって異空間でお留守番してるんだ。
「……心配したじゃ済まないんだけど。復活するとか聞いてない」
いつもは積極的に自分から発言する方じゃない
たしかに今回の敵はいつもより強いって聞いてはいたけど、復活してパワーアップするっていうのは教えられてなかった。知ってれば魔力の温存とか、できることはあったかもしれないし、空ちゃんが怒るのもちょっとだけわかっちゃう。
「その点については私もじっくりお話したいところですけど、それよりもあの魔法少女のことが気になります」
「ハッピーエンドキーパー、彼女は新しい魔法少女という認識でいいの?」
いつもニコニコしてて温和な
「疲れてないけど疲れたからお菓子ー!!」
いつの間にか会議とかお菓子休憩に使ってる円卓に移動してた黄海さんが、一足先に席についてピーちゃんにお菓子の催促を始めた。
疲れてないけど疲れたって、矛盾してる気がするけどわかるな。あの回復魔法のお陰で体力は回復したけど、流石に精神的な疲労は残ってるもんね。
「みんなが帰ってくるまでの間に色々まとめておいたから、まずは席について落ち着いて! ね!」
立話もなんだし! と呼びかけるピーちゃんに従って、残りのみんなも所定の席に座ったけれど、出されたお菓子に手を付けてるのは黄海さんだけだった。他のみんなは早く話をしろって目でピーちゃんに呼びかけてる。
「みんながとくに気になってるのは、あのハッピーエンドキーパーっていう魔法少女のことだよね」
ピーちゃんは私たちの五感とリンクして情報を見聞きすることができるんだ。だからあの場にはいなかったけど、今回何があったのかはちゃんと知ってるみたい。
「結論から言うと、僕にもあの子のことはよくわからない。僕が魔法少女の力を与えたわけじゃないから、名乗ってはいたけど彼女が本当に魔法少女なのかも断言はできない」
「えっ。あ、……でも、この町にはピーちゃん以外の妖精はいないんじゃ……?」
ピーちゃんの説明に思わず声をあげてしまい、しまったと思って口を噤んだけどみんなから視線を向けられて流石に黙り込むことも出来なくて、おずおずと疑問を口にする。
変身してる時は自信満々に話せるのに、やっぱり普段はダメダメだよぉ……。
「うん、妖精同士はお互いの存在を感知できるけど、この町にはやっぱり僕以外の妖精はいないよ。そして僕が魔法少女の力を与えられる上限は5人。これも変わってない」
ピーちゃんはそう言ってからゆっくりと私たちのことを見回して、それから一人一人に向き直りながら言葉を続ける。
「
「
「
「
「
「僕が確信をもって魔法少女だと言えるのは君たちだけだ。だから、あのハッピーエンドキーパーっていう子のことは何もわからない」
嘘をついてもしょうがないだろうし、ピーちゃんが何も知らないっていうのは本当だよね。
うーん、ピーちゃんに聞けばわかると思って探さなかったけど、軽率だったかなぁ。
「よくわかんないけどさー、私たちみたいに詠唱して魔法使ってたし魔法少女なんじゃないのー?」
「そういう振りをしていた、という可能性も0ではありませんよ」
「……助けてくれたし、なんにせよ味方でしょ」
「あの時は利害が一致しただけ、という可能性もあるわ。思考停止で信じ切るのは早計ね」
話を聞いてる感じたと、黄海さんと空ちゃんは味方だと思ってて、緑川さんと紫先輩は怪しいと思ってるって感じかなぁ。
「リーダーはどうお考えでしょうか?」
リーダーなんていつの間に決まってたんだろう? あ、緑川さんの中ではもう紫先輩がリーダーって認識なのかな。まあ順当に考えればそうだよね。一番先輩だし頼りになるし。私もそれに賛成ー。
「聞かれてるよ、歩」
「……へ?」
空ちゃんの言葉に、またまた御冗談をと思ってみんなの顔を見回したら、全員が私の方を見てた。
「え? リーダー?」
「……こないだから話してたけど、今日の戦闘でやっぱりリーダーは歩しかいないって結論になった」
「聞いてないよ!?」
「……途中で伝えたら絶対断る。だから決定事項として伝える」
「ムリムリムリムリっ! リーダーなんて向いてないよぉ! 絶対紫先輩の方が良い! 先輩もそう思いますよね!?」
「リーダー、今はハッピーエンドキーパーという脅威の話をしているの。泣き言は後にしてちょうだい」
ひーん! 紫先輩にそんなこと言われたら怖くて反論できないよー! そりゃあこの町で最初に魔法少女になったのは私かもしれないけど、それだけなのに!
「歩、僕もこのチームのリーダーは君しかいないと思ってる。君の意見も是非聞かせて欲しい」
「うぅぅ、じゃあリーダーが云々は一旦置いておいて……、まず前提として彼女には無視できない大きな力があります」
大した力のない子なら、別に味方でも敵でも大きな影響はないもんね。あえて悪い言い方をするならどうでもいいってことになるよね。
でも、ハッピーエンドキーパーちゃんは、明らかに私たち魔法少女戦隊を上回る力を持ってる。それが頼もしく映ってるか、脅威に見えてるか、意見が食い違うのはその違いなんだと思う。
せめてあの子が戦闘後に話の一つでもしてくれれば判断材料が増えて良かったんだけど……。
「えっと、多分3節? の魔法だったのかな?」
「いや、あれが僕たちの魔法体系と同じものなら、5節魔法だね」
「ごっ!? え、今って第一席の人でも4節が最大じゃなかったっけ……?」
「うん、歩の言う通りだよ。その点から見ても、魔法少女なのか疑問があるということだね」
不穏な要素が増えちゃったよ~!
「え、えーっと、とにかく、緑川さんと紫先輩があの子を警戒してるのは、あの子が強いからだと思います。ただ、私は敵意を感じなかったので、多分味方だと思います」
謎の歌と一緒に登場したり、言動が意味不明だったり、中々エキセントリックな子だったのは確かだけど、敵意は感じなかったと思う。変身中の私はその辺結構敏感だから、間違ってないはず。
「名前の通りハッピーエンドを愛してる子なんだとしたら、私たちの敵にはならないんじゃないかな」
「ですよね! それ私も思いました!」
「ん、同意見」
「リーダーがそう仰るのであれば、一先ずは様子見としましょうか」
「次はあの悪魔の情報が圧倒的に不足していた件よ、鳥」
「ピー!? 僕はピーちゃんだっピー!」
先輩、怒ってるなぁ……。