ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた   作:pfk

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6話 ありえない、この私が Side:赤羽根歩

 ああ……、また、来てくれたんだね。

 きっとあなたは、来てくれるような気がしてた。

 もしかしてあなたは、私たち魔法少女を助けるために、戦ってくれてるのかな……。

 

――ハピエン以外は認めない!

――バドエンなんざクソくらえ!

――メリバもビターも許さない!

 

「ほう、噂のハッピーエンドキーパーとやらか」

 

――ハピエンハピエンハッピーエンド!

――ハピエンハピエンハッピーエンド!

 

「バドエン改変を自ら受け入れるなど、万死に値する罪です。死になさい。リヴ(邪悪)エクソ(祓う)イロー(聖なる)レイ(光の)アリン()

「その魔法は知っている! 来るとわかっていれば避けることなど造作もないわ!」

 

 物騒な言葉とは裏腹に、上空へ姿を現したハッピーエンドキーパーちゃんは冷静だった。

 前回の戦いでも見せてくれた広範囲回復兼広範囲攻撃の魔法で、まずは私たちを回復してくれた。

 光の雨によって傷が塞がって、消耗してた体力や魔力も回復していく。ほかのみんなも傷は塞がったみたいだけど、意識を失ってるみたいで立ち上がったのは私だけだった。

 息があることだけ手早く確かめて、みんなの無事を確認できた私はもう一度悪魔に立ち向かうために気合を入れる。

 

「下がっていなさい、スカーレッドアーミー」

「任せっぱなしにできるはずがなかろう! ドナ――」

「ふんっ、雑魚はひっこんでいろ!」

「っ!?」

 

 魔法を発動してハッピーエンドキーパーちゃんを援護しようとした私に、目にも止まらぬ速さで悪魔の刀が迫り、その刃は私の目の前で、横合いから伸びて来た白く美しい指によって、つまむように止められていた。

 いつの間にかハッピーエンドキーパーちゃんが私のすぐ隣にまで移動してきてたんだ。

 

「私は下がれと言いました。足手まといです」

「ごふっ!?」

 

 刀を引こうとしているのか悪魔が表情を歪めていて、けれどぴくりとも動かない。

 ハッピーエンドキーパーちゃんはそんな悪魔に対して無造作に前蹴りを繰り出して、その巨体をいとも簡単に吹っ飛ばした。

 

 魔法だけじゃない、フィジカルもとんでもなく強い……!

 

「とはいえ、馬の耳に念仏ですね。手早く終わらせるとしましょう。リヴ(邪悪)エクソ(祓う)イロー(聖なる)リガット(偉大な)レイ(光の)ソルガ(巨剣)

 

 ハッピーエンドキーパーちゃんが詠唱を終えると、その手にはとんでもなく大きな光の剣が握られていた。どれくらい大きいかと言えば、その先端が私からは見えないほどで、厚みも剣とは思えないくらいで、最早剣って言うより巨大な柱でも持ってるみたいだった。

 

 それに今の詠唱、光の雨より多分1節増えてた……?

 本当に、比べることも烏滸がましいと感じてしまいそうになるほど、規格外の魔法少女。

 

「馬鹿な! この我が! ありえん……! グワアアァァァ!!」

 

 巨大な光の剣に対抗するように刀を叩きつけた悪魔は、ほんの一瞬すら拮抗出来ずに瞬く間に浄化されていき、あっと言う間に消滅してしまった。

 

「悪魔の辞世の句はテンプレでもあるのですか?」

「はっ」

 

 たしかに前回の悪魔も似たようなことを言ってたなって思い出して、思わず笑っちゃった。

 

「んん、礼を言う、ハッピーエンドキーパー。二度も助けられてしまい面目ない。それに、足手まといになっていることにも気づかず、申し訳ない」

「お気になさらず。私は幸せな結末の守護者、ハッピーエンドキーパー。皆さまの未来にハッピーエンドが待っていることをいつだって祈っております」

 

 ……良かった、今回はちゃんと話してくれるんだね。それに、やっぱり私たちの味方だったんだ。

 

「貴殿は、魔法少女なのか? 一体誰からその力を……」

「しー」

 

 とにもかくにもまずはそこをハッキリさせなくちゃいけないと思って、聞きたかったことを聞こうとしたんだけど、私が最後まで言い切るより先にハッピーエンドキーパーちゃんは茶目っ気たっぷりの笑顔で、私の口の前に人差し指を立ててそう言った。

 

「乙女の秘密を探るものではありません。私は魔法少女ハッピーエンドキーパー。全ての魔法少女のハッピーエンドを守る者。それだけで十分ではありませんか」

 

 冗談めかして楽しそうに語りながら、最後にはウインクまで決めてきたその姿に、同性ながら一瞬ときめいてしまったのは内緒だ。

 だってこんなに可愛くて綺麗な子にドラマチックに助けられて、そのうえこんな悪戯っぽい笑顔を向けられたら、そりゃちょっとはドキっとしちゃうじゃん! 戦闘中はキリっとしててめちゃくちゃ格好良かったし、ファンになっちゃうよー! 魔法少女の追っかけをしてる人たちの気持ち、ちょっとわかっちゃったかも。

 

 うーズルだよズル! 天は二物を与えてるよー!

 

「それでは私はこれで失礼します。助けが必要な時はいつでも私を呼んでください。いつだって私は、魔法少女の味方ですから」

 

 それだけ言って、ハッピーエンドキーパーちゃんは去って行ってしまった。

 色々聞きたいことがあったのに、はぐらかされちゃった。みんなが目を覚ましたら怒られちゃうかも……。

 でも、正体はわからなかったけど、話してみて確信できたこともある。それはハッピーエンドキーパーちゃんが間違いなく私たちの味方だってこと。それがわかっただけでも十分だと思えた。

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