ハピエン教団(団員1名)信者の俺、魔法少女アニメの世界に招かれたのでハッピーエンドを死守するため戦っていたらいつの間にかクソデカ感情を向けられていた   作:pfk

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7話 猫(上位存在)(笑)

 はー、今日もハピエンを守護れて気分が良い――

 

「わけあるかぁぁぁ! 今度こそアニメと同じ展開を見れると思ったのに当然のようにバドエンクソ改変してくんじゃねー!!」

 

 しかも外伝キャラにまでちょっかいかけ始めやがってよぉぉぉ!

 俺がバッドエンド警報発令地点にワープする魔法を習得していたから良いものの、ギリギリのところだったぜ……!

 

 ちなみに外伝はかなり遠い別の町の魔法少女の話だから、フラグメントと絡むことはほぼないぞ。

 しかし俺はそんな魔法少女たちも愛している! 外伝作品だって魔法少女戦隊フラグメントの一部なんだ! どんなちょい役だろうが、いや! たとえ作品に一切登場しないモブ魔法少女だろうが、俺の目の黒い内はバッドエンドになんてさせはしない!

 

「志が高いことは大変素晴らしいのですが、どうして魔法少女たちに素性を明かさないのです? 正直に異世界からやって来たハッピーエンドの使者だと名乗って協力すればよいではありませんか」

「そんなことしたら決定的に原作から乖離しちまうだるぉぉぉん!?」

 

 たしかに俺は原作至上主義ではないけど、それはそれとして折角魔法少女戦隊フラグメントの世界に来たからには原作を体験したいという欲求がある!

 私生活を覗くなんてことはあり得ないから、第七話前半の作戦会議とか特訓は流石に見れないけど、キレキレの連携でメンヌヴィルを完封する七話後半の戦闘シーンなんかは正にアニメ通りで最高だったな~。

 

「おのれバドエン教徒どもめ~!」

「情緒がジェットコースターですか」

 

 あの戦いを思い出してたらクソ改変によるご都合強化のことも一緒に思い出してしまい途端に怒りが爆発してしまった。頭がフットーしそうだよぉっっ! バドエン教徒は謝罪しろ!

 

「いいか猫、俺が手取り足取り介護してやるだけじゃ、ハッピーエンドとは言えないんだよ」

 

 魔法少女たちの安全を考えるなら、猫の言う通り事情を全て話して協力するのが一番確実ではあるのだけど、そうなると、もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな、となってしまう恐れがある。

 それでは魔法少女たちの成長に繋がらない。魔法少女たちの結束に繋がらない。理想のハッピーエンドに繋がらない!

 

 俺はなるべく原作を損なわない形でハッピーエンドを守りたいんだ~! いやじゃいやじゃ~! フラグメントの世界にわしはいらないのじゃ~! 異物はしまっちゃおうね~。

 

「スーパーで駄々をこねる児童の真似はやめなさい。しかし原作原作と言って介入を控えていては、毎度毎度ピンチの時だけ現れるよくわからないご都合魔法少女となってしまうのでは? 今回はうまく誤魔化せたようですが、メディックやトキシンにも同じ手が通用するかは疑問ですね」

「それな~! な~んか考えとかないとだよな~」

 

 スカーレッドアーミーは変身中の尊大な物言いとは裏腹に、常識的で優しい人物だ。今回は猫の真似っ子上位存在ごっこで事なきを得たけど、同じ手は何度も通用しない、かもしれない。

 

「ちょっと待ってください。今日のあれは私の真似だったのですか?」

「だって俺の知り合いの上位存在はみんなああいう振舞いだから」

 

 上位存在の知り合いなんて1匹しかいないけど。

 

「私はあんなにあざとくありません! なんですかウインクなんてして!」

「いや顔をクシクシかいたり頬に猫パンチは相当あざといから」

 

 本物の猫がやってるならともかく、猫(上位存在)の振舞いとしては、なあ(笑)

 

「……久々にキレてしまいましたよ。そちらがその気なら私にも考えがあります。言っておきますが、私はハッピーエンドのためなら原作通りなんて拘りはこれっぽっちもありませんからね」

「嘘嘘冗談、可愛いよ猫。……猫ー? おーいねこー? どこ行ったー?」

 

 眺めていたテレビから視線を外して部屋中を探し回るも、猫の姿が見えない。

 まだ住み始めたばっかだからあんまり収納スペースとか把握してないし、隠れられると探すの大変だ。

 いやほんと住まいとかお金とか用意してくれてる猫様には感謝してますって~。臍曲げないで出て来てくださいよ~。

 

 などと心の中で弁解を繰り広げていたらインターホンのチャイムが鳴った。

 

「宅配とか、別に頼んでないよな?」

 

 あーもしかして国営ヤ〇ザの集金か? テレビは、ありまぁす!

 

「はーい」

 

 インターホンの応答ボタンを押してみるも、カメラには誰も映っていない。

 さては猫が悪戯してやがるな。幼稚な仕返しだ。てかどうやってボタン押したんだよ。

 

「猫さん機嫌を直してくださいな……っと……!?」

 

 玄関を開けて外に出ると、たしかに猫の姿があった。

 ただし壁キックで宙に舞い、お隣さんのインターホンを肉球でプッシュしている、そんな状況だった。

 

 ピンポーン!

 

 馬鹿野郎ーっ!! 猫! 何を押してる!? ふざけるなー!!

 いや、さっきの俺と同じようにインターホンには何も映ってないのを不審に思うはず! 出て来るわけが……!

 

『はい。……もしもし? ……どちら様ですか?』

 

 後にして思えば、すぐにでも自分の部屋に引き返して素知らぬふりをしていれば良かったのだと思う。

 しかしこの時の俺は、自分のペットである猫がやらかしてしまったことに責任を感じ、言い訳と謝罪をしなければと思っていたのだ。

 

 無言であたふたと慌てまくる俺の姿を見た猫が、ニンマリと笑いながら再度壁を蹴った。

 

 ピンポーン!

 

「いたずら……?」

 

 怪訝そうな表情をしながら扉を少しだけ開けて周囲を伺うその女性は、『蛇蝎』の魔法少女バイオレットトキシンこと、紫蝶(むらさきあげは)だった。

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