この素晴らしいステータスに祝福を!   作:ガラッシア

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これから執筆、頑張ります!久しぶりの投稿なので至らぬ点もありますが、努力します!


プロローグ

日常というのは、ある日突然終わるらしい。なんの心の準備もできてない状態で、ある日突然に、予想もしないことで。今の僕がまさしくそうだ。

高校からの帰り道。高校3年生の僕。いよいよ来年には就職なのだと未来への不安を抱いて歩いていた僕。…何かが僕の頭に当たったのだ。意識が朦朧してくる。地面には僕の血が。ああ、ここで終わるのか。18年で終わるとは、短い人生だったな、こうして僕、白井幸助(しらいこうすけ)の人生は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると、そこは白い床と黒い空間。

 

「ここは?僕は死んだはず…」

 

「目を覚ましましたか?白井幸助(しらいこうすけ)さん」

 

目の前には椅子に座ってる女性がいた。透き通るような長い青髪に、羽衣のようなものを纏った綺麗な少女。その神々しさに僕は呆然とする。

 

「改めて、ようこそ。死後の世界へ。先ほど、貴方は不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、貴方は死んだのです。」

 

「あ、やっぱり…」

 

僕は驚かなかった。あの地面にべったりついた僕の血の光景が今も目に焼き付いてるからだ。

 

「あの、僕はなぜ死んだんですか?頭に何かが当たった記憶があるのですが」

 

「ああ、大量のエロ本です。」

 

「はい?」

 

「ですから、大量のエロ本です。貴方が通りかかったマンションの5階から男性が落とした紐でまとめられていた大量のエロ本の角に貴方の頭が思い切りぶつかったのです。」

 

は?エロ本の角が頭にぶつかって?そんな死に方あるか?

 

「ぶっ!あははは!!私、この仕事長いけど!あんな締まらない姿で死んだ人は初めて見たわよ!」

 

少女は笑ってきた。こいつ!なに人の最後の姿を笑ってるんだ!

 

「しかも衝撃で紐が解けて、あなたの周りには無数の……その、破廉恥な女性たちのグラビア写真が雪のように降り積もったんですって!現場に駆けつけた救急隊員も、あまりの光景に絶句してたわよ。『エロ本に埋もれて事切れた少年』だなんて、お医者さんや警察も吹き出したり、戸惑ってたわよ」

 

「嘘だろ…。頭に重いものが直撃して死ぬなんて一大事なのに、なんで最後がそんな情けない姿に…」

 

僕が嘆いていると、少女が近づいてきて

 

「そのあまりのカオスな光景に、病院に駆けつけた貴方の両親も、涙よりも先に息子のそんな死に様への困惑が勝ち…」

 

「やめろおおお!そんな締まらない最後なんて聞きたくなかった!!」

 

くそ!なんで死んだあとでこんな羞恥プレイを受けなきゃならないんだ!

 

「さて、このくらいにしておきましょう。改めて、初めまして白井幸助さん。私はアクア。日本において若くして亡くなった若者を導く女神よ。さて、あんな情けない姿で最後を迎えた貴方には、二つの選択肢があります。…ぶふっ!」

 

思い出し笑いしてやがる。かなりムカつくが、今は飲み込もう。

 

「なんだ?死んだ僕に今更なにができると?」

 

「あら、意外と冷静ね。今から貴方が行く場所は二つに一つ。一つは天国。でもね、天国って実はすっごく退屈なのよ? ゲームも漫画もないし、そもそも肉体もないからエッチなこともできないし、やることもなくてただ日向ぼっこするだけ。……正直、私なら発狂するわね」

 

ええ…。天国って、そんな修行場所みたいなもんなのか。全然、楽園じゃないな。

 

「楽しそうではないな。」

 

「そうでしょ!だから、もう一つの選択肢……『異世界』への転生を勧めているの。そこは魔法があって、魔物がいて、魔王が世界を滅ぼそうとしている……まさにRPGのような世界! そこで魔王を倒せば、どんな願いでも一つ叶えてもらえるわ。どう? 燃えてこない?」

 

この女神の話によると、その世界で死んだ人たちは魔王軍によって中々悲惨な死に方をした人たちが多く、もうあんな死に方はしたくないとその世界での転生を拒むらしい。このままでは赤ちゃんも生まれず、その世界が滅びそう。そこで他の世界で死んだ人たちを送り込むのはどうかということになったらしい。

 

「で、どうせ送るなら未練タラタラで亡くなった若い人を送ろうということになったの。記憶や肉体はそのままでね。ただすぐに送って死んだら意味がないから、好きものを一つだけ持っていいってことになったの。特殊な能力だったり、特別な才能だったり、強力な武器だったり。まさに強くてニューゲーム!どう?ワクワクしない?」

 

女神は目をキラキラさせて言ってくる。転生させたい気満々だ。ただ、天国がそんなつまらない世界なのは正直予想外だ。第二の人生。そんな生き地獄みたいになるのは嫌だ。となると…

 

「なぁ、その世界の言語とかは?僕、喋れるのか?」

 

「ああ、それは大丈夫。貴方の脳に少し負担をかけて言語の知識を詰め込んであげる。まぁ運が悪いと頭がパーにおっと…」

 

「おい、今なんて言った?」

 

「なんでもない。」

 

…まぁ、今までも転生者はいたのだろうしこうして続けてるということは大丈夫なのだろう。多分…。

 

「魔王、ね。……まあ、退屈な天国で先祖の説教を聞き続けるよりは、死んだつもりでそっちに賭ける方がマシか。分かった、異世界に行くよ」

 

「話が早くて助かるわ! じゃあ、異世界へ行く特典として、この中から好きなものを一つだけ持って行かせてあげる。超人的な魔力、伝説級の聖剣、あるいは神の加護……どれでも好きなのを選びなさい!」

 

床にばら撒かれる数々の紙。これらがチート能力だの、チートアイテムか。慎重に選ばないとな。

 

「……なあ、女神様。一つ聞いていいか? 今まで、僕みたいな境遇の奴を何人くらいあっちに送り込んできたんだ?」

 

女神は面倒くさそうに指をパタパタと動かし、天井を仰ぎ見た。

 

「えーっと、正確な数字なんて覚えてないわよ。でも、そうね…。かなりの数は送ったわ。毎日毎日、誰かしら死んでここに来るんだもの」

 

「じゃあ、そいつらも全員、今目の前にあるみたいな『チート能力』をもらって異世界に行ったのか?」

 

「当然じゃない。神の慈悲よ。みんな最強の魔力とか、一振りで山を砕く聖剣とか、そんなのを選んで勇ましく旅立っていったわよ」

 

それを聞いた僕は、思わず額を押さえて深いため息をついた。

 

「はぁ…。呆れたな。そんなチート持ちが何人も、何十人も送り込まれてるんだろ? なのに、未だに魔王は倒せてないのかよ。どんだけ無能なんだよ、そいつらも、あんたの選別も……」

 

「ちょっと! 失礼ね! 私の選別が悪いんじゃなくて、魔王軍がそれ以上にしぶといだけよ! それに、魔王を倒せばどんな願いも叶うっていうのに、途中で投げ出す不届き者が多いだけ!私は悪くないわ!」

 

僕は床に散らばる紙たちを改めて眺めた。

強力な魔法、伝説の武器、不老不死に近い再生能力。どれも魅力的だが、それらを持って先行した連中がことごとく失敗しているのだ。

 

「……どれがいいんだ? 正直、どれを選んでも同じ結末になりそうな気がしてきたぞ……」

 

僕の指が、ふと一枚のカードで止まった。そこには赤文字で『新入荷』と目立つシールが貼られている。

 

「……『ステータスの無限上昇』? なんだこれ」

 

気になって詳細な説明欄に目を落とす。そこには、この世界の残酷な真実が記されていた。

本来、人間には個体ごとに『成長限界』という壁が存在する。どんなに死に物狂いで修行しても、ある一定のラインに達すれば、ステータスはピタリと止まってそれ以上強くはなれない。

 

「なるほどな。ゲームで言うところの『レベル99がカンスト』ってやつか。どれだけ経験値を稼いでも、器の大きさが決まってりゃそれまでってことか……」

 

だが、このスキルはその概念を根底から覆すものだった。

これさえあれば、筋力も魔力も素早さも、文字通り天井知らずで成長させ続けることができる。おまけに、経験値の獲得効率も常人より遥かに高いという、まさに大器晩成型の極致とも言える能力だ。

 

「……つまり、時間をかければかけるほど、僕は誰よりも、それこそ魔王よりも強くなれる可能性があるってことか」

 

僕は顎に手を当て、考え込む。

一瞬で最強になれる聖剣や魔力も魅力的だが、それらを選んだ先人たちは限界にぶつかって敗れていったのかもしれない。

 

「……よし、決めた。これだ」

 

僕がその紙を見せると、女神は「えっ、それ?」と意外そうな顔で身を乗り出した。

 

「地味ねぇ。それ、最初は全然弱いのよ? ちゃんとコツコツ努力できるタイプなの? 聖剣とかの方が手っ取り早くモテると思うけど……」

 

「なあ、これって冒険の戦闘だけじゃなくて、普通の労働…。例えば穴を掘ったり荷物を運んだりしても、少しずつステータスって上がるんだろ?」

 

「ええ、そうよ。異世界の理として、体に負荷をかければ相応の成長はするわ。……でも、それが何? 貴方、せっかく異世界に行くのにわざわざ働くつもり?」

 

女神は心底不思議そうに首をかしげたが、僕は確信を持って不敵に笑った。

 

「それだよ。普通の奴なら途中で成長が止まる筋力や体力が、僕なら働けば働くほど、鍛えれば鍛えるほど『無限』に増え続けるんだろ? しかも経験値の入りもいい。……これ、見方によっちゃあ最高にえげつないチートじゃないか」

 

「……まあ、理屈の上ではそうだけど。でも魔王軍に襲われたら、成長する前にあっさり死んじゃうわよ? 本当にいいのね?」

 

「ああ、決めた。僕はこれで行く」

 

僕がカードを強く握りしめる。もう決めた。僕はこれで行くのだ。

 

「物好きねぇ。分かったわ。…じゃあ街に着いたらギルドってとこに行って、冒険者登録しなさい。貴方にぴったりの職業が見つかるかも。それと、これ。」

 

女神が渡したのは古い袋。その中には少しの貨幣のようなもの。

 

「特別サービスとして、異世界に行く日本人にはお金を少し渡してあげてるの。これで登録手数料を払ってね。」

 

「冒険者になるのに手数料がいるのか」

 

「そりゃ、世の中なんでもタダじゃないわよ。ギルドだって仕事でやってるんだし。」

 

こいつ、こんなにダメな感じの雰囲気なのに真面目なこと言ってる。こいつに正論説かれるのはムカつく。

 

「じゃあ、その地味なスキルでせいぜい頑張りなさい! いってらっしゃーい!期待はしないでおくわ」

 

「一言余計だ。まぁ、行ってきます。」

 

僕の足元から光が放たれる。体が浮かび上がり、僕の視界は真っ白な光に埋め尽くされた。

さぁ、ここからが僕の新しい人生だ。

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