歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主   作:鈴木颯手

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落陽事件はこれで終わりです


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 今の状況がとても悪いというのはディーヴァもマツモトも理解していた。落陽事件を止める為に行動していたが結果的にそんなことをする必要がない程サンライズのセキュリティとアマテラスは盤石だった。

 サイバーダイン社製戦闘用アンドロイドと名乗った彼女は何処となくファン1号の女性を思わせる言動をしているがそんな事よりも目の前で1対1で対峙している現状の方がとても危険だった。

 何しろ相手は自分たちに対して何かしらの疑いを持っているのを感じていたからだ。確かにマツモトが手を回したことによって本来ならば無かったスタッフの派遣という形で潜り込んでいるが正式な手続きがあったわけではない。きちんと確認されてしまえば一発で怪しまれてしまうのだ。

 ならば目の前のAIを無力化するか、と言われればそれも不可能であった。現在、サンライズのオーナーであるエステラの全権限は目の前のAIに移譲されており、凍結されているに等しい状態だった。そんな中で目の前のAIが機能を停止すればこのサンライズはコントロールを一瞬で失う事になるだろう。サンライズの落下を止めに来たのにそんな原因を作ってしまう行動をとるわけにはいかなかった。

 尤も、ディーヴァは先ほどのエリザベスとの戦闘から自らではマツモトのサポートがあったとしても勝てる相手ではないというのが判明している。マツモトはル〇バに扮して室内に潜伏しており、奇襲をすれば何かしらのプログラムなりウイルスなりを打ち込む事が出来るかもしれないが戦闘用アンドロイドというだけあってそれが通じるかどうかも分からなかった。

 

【これは不味い状況ですね。最悪の場合逃げる事も……】

「さて、データによるとお前は臨時のホテルスタッフという事になっているが随分と戦闘能力が高いようじゃないか。戦闘プログラムを保有しているアンドロイドなんて初めて見たよ」

【これは逃げる事も難しそうですね……】

 

 アマテラスという名のAIはディーヴァに向き直っており、何かあればいつでも動ける体制を取っていた。ディーヴァが何かしらの動きを見せれば即座に必殺の一撃が飛んでくるだろう。そして、それをディーヴァの機体では避ける事も防ぐことも出来ないだろう。

 ならば逃げるという手を取るべきかもしれないがここは宇宙。逃げ場はない。

 ディーヴァがこの後の動きを考えているとアマテラスはふ、と笑うと背中を見せてコンソールを操作し始めた。

 

「……まぁ、良いさ。見たところ今回のトァクへの対応を見る限りこちらを脅かす存在ではないのだろう。君たちにどんな意図があったのかは不明だが今回の騒動の早期解決への貢献としてお前たちの事については目をつぶろう。次の定期便でサンライズを去れ」

「……」

 

 予想外とも言える言葉にディーヴァは呆気に取られたような表情をした後、アマテラスの真意を測りかねた。アマテラスにとって自分たちはトァクと同様にサンライズに紛れ込んだ異物なのだ。アマテラスにとっては排除するべき存在であるのは明白だった。

 それなのに目の前のAIは見逃すと言っているのだ。理由が不明過ぎて逆に怪しさを感じさせてしまっている。そんなディーヴァの内心を知ってか知らずかアマテラスは続けた。

 

「別にお前が何をしようと今からでは何も出来ないし何もさせない。そこのル〇バも連れて行けよ。定期便後にサンライズで発見された場合にはテロリストとして破壊する」

 

 ディーヴァ程度脅威にならないと言うアマテラスの態度はまさにその通りだけにディーヴァも何も言えなかった。先程見せた戦闘はディーヴァに対してそう思わせるだけの差が存在していたのだから。

 

【ディーヴァ、ここは大人しく引きましょう。どちらにせよこちらに打てる手はない以上下手に刺激するのは得策ではありません】

【……わかってる】

 

 ディーヴァとしても自らの使命を果たせずにこんなところで破壊されるつもりは毛頭なかった。そのため、マツモトの進言を受けるまでもなくディーヴァは離脱する事を決め、アマテラスに背を向けて部屋を出ていった。

 そして、そんなディーヴァに対してアマテラスは目を細めつつサンライズの機能チェックを続けるのだった。

 

 

 

 その後、サイバーダイン社から正式にトァクによるテロ行為があった事が報告された。サイバーダイン社は人類の輝かしい未来である宇宙産業を後退させてしまうような行いを強く非難すると同時にこのような事態が起こらないようにすることを一般の人に宣言していく事になるのだった。

 

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