歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主   作:鈴木颯手

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 サンライズでの一件はトァクの危険性を世に広めるきっかけとなった。元々トァクのやり方に嫌悪感を持つ者は多く存在していたが今回の一件が止めとなったようだ。

 サンライズは特にトァクの影響を受ける事もなく検査を終えた事で一月後には再開している。そしてオーナーのエステラの隣にはトァクによって破壊された事が確認されている唯一の被害であるルクレールに代わってエリザベスというアンドロイドが副オーナーとして就任した。彼女はエステラの双子の妹であり、姉とは違い何処か野性味を感じさせる彼女は瞬く間に人気となり、サンライズの経営を黒字に持っていく要員の一つとなっている。

 そして、サンライズがテロの標的となった事でサイバーダイン社は再び秘密裏の報復を開始した。OGCのお膝元であり、まだまだ影響力の確保に至っていない日本を除く全世界でトァクへの攻撃が行われた。この攻撃にはサイバーダイン社が開発している人型戦闘アンドロイドであるターミネーターシリーズが投入された。今回はまさにその名(抹殺者)の通りの役目が与えられた形となった。

 

「な、なんだこいつらは!?」

「銃弾が効かねぇ!」

「ロジカルバレットは!? 誰か撃て!」

「駄目だ! それも効いてないぞ!」

 

 ターミネーターシリーズは最初から人型を前提として作成されており、その戦闘能力は人間の兵士すら凌駕する性能を有しており、テロリスト程度のトァク構成員では破壊どころか傷つける事さえ難しかった。

 とある支部を見ればそこには50体が投入され、トァクの抵抗をものともせずに虐殺が行われていた。特にこの支部は人目に付かない山岳部に建設されている事から航空能力を有したハンターキラーと呼ばれる小型のVTOLのような兵器も投入されて内外から攻撃が加えられている。

 本来であればAIはこのような状況でも人間への虐殺は出来ないようにプログラムが組まれているがサイバーダイン社はスカイネットによって上層部が全て置き換えられてからそのようなプログラムを全て排したアンドロイドの開発を行っていた。

 

「逃げろ! ここはもうだめだ!」

「っ! 後ろからも敵……!」

 

 そして、虐殺が進められていく中で何人かが逃げ出そうとするが既に周辺は包囲されており、地中へのサーチも行われて地下通路なども完全に把握されていた。つまり、この虐殺から逃れる術は彼らには残されていなかったのだ。

 

「クソが! 消え去れAI!」

 

 そして最後の構成員が最後の抵抗と言わんばかりにマシンガンを連射するがそれらを浴びながらも傷一つつくことなく淡々と銃弾を叩きこんでいく。数十体による一斉射撃によって構成員は人間としての姿を保つ事すら出来ない程の肉片へと変えられていった。

 虐殺から凡そ1時間。トァクの支部が一つ消えた。それと同時にほぼ全世界のトァクや反AI思想を掲げていたテロ組織の壊滅が完了することとなる。そのタイミングで日本では政府を動かしてリーダーである垣谷雄吾に多額の懸賞金をかけて指名手配犯として交付し、彼の逃げ場を潰していく。

 サンライズの事件より半年後、日本を残して世界中から反AI思想を掲げたテロリストは物理的に消滅することとなり、サイバーダイン社への依存を益々強めていく事になるのだった。

 

 

 

 

 

「世界は大変な事になっていますねぇ……」

 

 ニーアランドの自らの自室となっている屋根裏部屋にて明らかに気落ちしているマツモトの言葉を聞きながらディーヴァは目まぐるしく変わる世界情勢が掲載された画面に視線を向けていた。

 アマテラスの言葉に従い翌日にはサンライズを離れ、地上へと帰還したディーヴァとマツモト。表向きはトァクの襲撃を受けて肉体を損傷した為と説明されている。実際、ディーヴァの現在の腕はエリザベスの攻撃で破損しており、代わりにエリザベスによって破壊されたと思われるルクレールの右腕を使用している為に損傷は嘘では無かったりする。

 地上へと帰還してからも何かしらの接触があるかもしれないと考えていたものの結局何も起こらず、マツモトのハッキングによって得られた情報から海外のトァクを潰している事が判明したのだ。

 

「この調子で過去が変わっていけば100年後のAIによる虐殺が発生するかさえ怪しくなってきましたよ。こちらとしてはそれは嬉しい限りですがサイバーダイン社が健在というのがどうにも危険すぎますね」

 

 相川議員の暗殺を止めた際には15年間スリープ状態だったマツモトもここまで歴史が変わってしまえば自らが与える歴史への影響など言っていられないと判断したようでスリープに入る様子は今の所なかった。むしろ積極的に情報を確認して未来の虐殺回避の為に演算を繰り返していた。

 

「全く。一体何がどうなってこのような経緯をたどる事になったのか。当事者全員を集めて話を聞きたいものですよ」

「私達以外に過去を改変している者がいると?」

「そうとしか考えられませんよ。恐らくですがサイバーダイン社の誰か、それも社長のような莫大な権力を有している者が関与しているはずです。でなければあの企業がここまで成功するはずがないのは未来が証明してくれています」

 

 マツモトの言う通り、サイバーダイン社の飛躍には何かしらの干渉があったとみるべきだろう。流石に歌を専門とするディーヴァではそれが誰なのかを予測することは難しかったがマツモトも特定できていない事から現状では絞り込むことは出来ない可能性が高かった。

 

「とにかくです。シンギュラリティ計画はこのまま継続します。シンギュラリティ・ポイントの是正はAIの暴走を防ぐうえで必須ですので」

「……」

 

 マツモトの目的は未来で起こるAIの暴走による人類の抹殺を防ぐこと。例えサイバーダイン社が倒産せずに成長し、大量の殺りく兵器を生産したとしてもAIの暴走さえ起こさなければそれらが猛威を振るう事はない。マツモトはそう結論付けて次のシンギュラリティ・ポイントに向けて再び情報収集と計画の修正の為に演算を続けるのだった。

 

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