歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主   作:鈴木颯手

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メタルフロート事件の開始です。


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「ご清聴ありがとうございました」

 

 ニーアランドにあるそれなりの規模のステージに立つディーヴァはそう言ってライブを締めくくった。彼女の歌声を聞いていた周りの観客たちが拍手喝采の声を上げている。稼働から凡そ20年。ディーヴァは漸くあの端っこにポツンと建てられたステージを離れて大きなステージで歌う事が出来るくらいには人気を得る事が出来始めていた。

 まだまだメインステージに立てるほどの人気は持っていないがそれでも最初の頃に比べれば十分すぎるくらいの人気だ。ファンとしては嬉しいと思う反面あの味のしないビーフジャーキーの如き心が一切込められていない歌声もたまには聞きたくなってしまう。

 ま、彼女の歌声は聞いたその日から全て録画していてスカイネット上に保存している。俺以外に見る事は出来ないように厳重に管理しているがもしそれらを突破した者達が見ればドン引きしてしまう程細かく整理されている。

 

 サンライズの一件で彼女がどのような経験を得たのかは分からないが良い刺激になったようだ。元々捕らえるつもりは無かったがその判断を下した過去の自分を褒めてあげたいくらいだ。

 

「……」

 

 とはいえこの5年でAI事業は益々進歩している。俺が邪魔をするトァク等の反AI思想のテロリストをほぼ駆逐したせいもあるかもしれないけどここ最近OGCは危機感を持ったようでサイバーダイン社に対抗するようにAI開発を行っている。

 それも仕方のない事ではあった。テロリストを駆逐した俺は次に日本への本格的な進出を始めたのだ。魂の故郷とも言える日本にいずれは本社を置きたいと考えているしOGCは俺やサイバーダイン社にとっては最後の障壁とも言うべき企業だ。当然対立を深めるわけだが既に両企業には逆立ちしても勝てない圧倒的な格差が存在する。それは当然こちらが上だ。ここ20年程でサイバーダイン社は世界を股にかける大企業となっており、いくつもの子会社を持ったグループ企業になっている。日本を中心とするOGCとは規模はけた違いなのだ。

 加えて未だOGCの影響力が大きく、日本での隠密行動が難しい為にトァクを筆頭とする反AI思想のテロリストは健在であり、OGC相手にテロ行為を頻発している。こちらは全て返り討ちにしているがその差が着実に表れ始めており、OGCは少しずつ傾き始めているのだ。

 最近ではメタルフロートというAIだけで稼働するAI生産工場を建設中との事でそれに多額の出資をしているそうだ。それこそ()()()()()()()()()()()()()()

 ただしそれだけの金をかけているだけあって侮る事が出来ない程の性能を誇っている。見た限りこちらの技術と大した違いはないと思える程の未来的技術がふんだんに使用されている。マジでOGCが総力を挙げて建設した起死回生の一手と言える。

 

「お、クルミちゃんじゃないか。ディーヴァちゃんのライブを見に来ていたのか」

「はい! おばちゃんもお久しぶり!」

「うんうん。きちんと挨拶が出来て偉いよ」

 

 そんなことを考えていると元祖ロリっ子のモモカちゃんの娘であるクルミちゃんと遭遇した。彼女も今年で10歳ほどになり、俺がモモカちゃんと出会った時と同い年になる。

 

「今日はお母さんと来たのかな?」

「ううん。今日はユズお姉ちゃんが連れてきてくれたんだ!」

「ユズちゃんね。あの子もすっかり大人になったもんだよ」

 

 モモカちゃんには10歳以上年が離れた妹がおり、今年で21になるユズカちゃんという子らしい。何度か会った事があるけど確かサンライズでディーヴァに助けられていた子供だったはずだ。不用心に監視カメラに一部始終がばっちりと残されていたので全て改ざんしておいた。ユズカちゃんを助けた後はテロリストに見つからないように隠れていたという風にしている。実際ユズカちゃんは隠れていたようだしな。その後のテロリスト相手のステゴロ無双は削除しておいた。

 結局、彼女は何が目的だったのか知らないけど彼女が原作主人公で間違いは無さそうだし彼女の不利になるような事はしないで遠くから支援するにとどめた方がいいな。どうやらディーヴァには優秀なサポートがついているようだしな。データの改ざん履歴とかあるのにそれの痕跡がほとんど残されていない。優秀なハッカーがいるのは間違いないだろう。

 ……ずっと思っている事だけど、ディーヴァに似せたアンドロイドでも作ってみようかな。サイバーダイン社の力をもってすればディーヴァの完全上位互換を作り上げる事も可能だ。まぁ、彼女自身20年前の機体で古い方には入るんだけどな。

 サイバーダイン社では設計思想や運用の用途が違う事。有事の際にはサイバーダイン社製のアンドロイド全てに乗り移り、俺が操作できる等の理由から使命を与えるようなことはしていないがディーヴァのような使命を与えてどのような成果を上げるのかを見てみるのも面白いかもしれない。早速取り掛かってみるか。

 

「……それじゃぁね! おばちゃん! また今度!」

「あいよ。そっちも気を付けて帰るんだぞ~」

 

 ディーヴァの事を考えながらクルミちゃんとくだらない話をしていたがそれも切り上げてクルミは建物を出ていった。まぁ、清掃の時間だしここに留まっているのもお邪魔ではあるんだけどな。

 

「申し訳ございません。これから清掃を行いますので速やかなご退室の方をお願いします」

「あ、すみません。直ぐに出ます」

 

 ありゃりゃ、AIに怒られちった。5年前は少しぎこちなさもあったAIもこの5年であり得ない程進化している。目の前のこいつだって首元のLEDがなければ区別がつかない程だ。

 サイバーダイン社の技術力も急速に進化しているとはいえこの調子で進んでいくのは少し危ないかもしれないな。

 

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