歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主   作:鈴木颯手

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今回は短めです


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 冴木博士から島の停止プログラムが入った液体ストレージを受け取ったディーヴァとマツモトは船に乗って使節団という形で島への上陸に成功していた。

 

「……」

『いらっしゃいませ。お加減はいかがですか? ようこそメタルフロートへ。私は土木作業用AI認識番号M00205です』

 

 船を降りたヴィヴィとマツモトを出迎えたのはドラム缶に顔と腕とキャタピラを付けたような簡素なAIだった。識別するためだろう、顔の下には205のペイントが施されていた。

 

『メタルフロート視察団。研究者ヴィヴィ様、並びにサポートAIのマツモト様ですね。登録いたしました』

 

 マツモトが前もって登録したらしく目の前のAIは何の疑いもなく二人を受け入れていた。そして、今さら補足する必要も無いだろうがマツモトは通信で言った。

 

【いつも通りの適当な身分ですよ。偽名もいつも通りに。それよりも、ディーヴァ。あまり不審な行動はとらない方がよさそうですよ】

 

 マツモトはそう言って座標を送ってくる。一瞬だけそちらの方に視線をやれば土木作業用とは思えない無骨な外見をしたAIが二人を見下ろしていた。銃を持っている様子からもこのメタルフロートの警備を担当しているのだろう。

 

【OGCが派遣した戦闘用AIのようですね。戦闘用プログラムを持つディーヴァでも苦戦は免れない性能をしています。戦闘は最終手段にした方がいいでしょう】

【分かったわ】

 

 ヴィヴィとて戦闘用のプログラムは必要だから入れているだけであり、望んで使用しているわけではないのだ。それに勝てるかも怪しい相手がいるのならば戦闘はしないように動くに限る。

 

『外部の方をお招きするのは初めての事です。メタルフロートの事を様々な方に知っていただくのは本社の願いでもあります』

 

 M205は本当にうれしそうな様子で手を差し出してきた。握手をしたいという事なのだろう。困惑するヴィヴィにマツモトはナビゲーションをするように言う。

 

【不審に思われるわけにもいきません。ここは従っておきましょう】

「……よろしく」

 

 M205の握手に応じたヴィヴィは彼の案内の元メタルフロートの内部へと歩み始めた。案内されるがままにエレベーターに乗りこんだ先で見た内部はまさに圧巻だった。人の気配はないがそれでも黙々と作業に従事する大量のAI達。それによって建設される鋼鉄の島。OGCが社運をかけて建設しているのが伝わってくる光景だった。

 

【……すごい】

【ですね。細部は違いますがおおむね20年後の技術が使用されていますね】

 

 それはつまり現在の技術は正史よりも20年進んだ技術を持っているという事である。これを止められなければ正史の虐殺は起こってしまうのが伝わってくる。

 

『主要施設を案内します』

 

 そしてM205の案内に従い内部の様子を視察していく。その中で出会っていくのはAIの使命に従い自らの役目を全うしていく同胞たちの姿だった。彼らの姿はヴィヴィたちにも何かを思わせる賢明さがあった。

 途中、将来人間が訪れた際の休憩室を見せられた時にM205はふとこんなことを言っていた。

 

『これはメタルフロートの責任者である冴木博士の奥様であるグレイス様が経験し、思考してきた事が反映されています。グレイス様は看護師として人間のお子様と長く接ししておりましたので冴木博士は休憩室などの人間が使用する部分の設計図の参考にしたと記録されています』

「……そう」

 

 冴木博士にとっては最も意見を聞ける立場にいるグレイスの思いが反映されているのだろう。それに従い将来を楽しみにしている彼らにヴィヴィは少しだけ罪悪感のようなものを覚えてしまっていた。何しろ彼女がこれからしようとしている事が彼らの思いを踏みにじる行為なのだから。

 そして、そんな風にヴィヴィが罪悪感を感じている時、突如としてメタルフロート中に響き渡るように警報が鳴るのだった。

 




グレイスはコアにはなっていませんが彼女の経験等が冴木博士によって参考対象としてインプットされている為にM205などは原作準拠の行動をとる感じにしました。
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