歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主   作:鈴木颯手

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「これは……」

『非常アラームが検出されました。メイン端末へのアクセスポートを開設します。現在、メタルフロートに近づく火器管制を感知しました。非常事態宣言を発令します』

 

 突如として鳴り響いたアラーム音。それによって先ほどまで応対していたM205の様子が変わり、非常事態用の女性の音声が流れ始めた。

 そんな状況に対して理由を開設するかのようにマツモトが話しかけた。

 

【ディーヴァ! メタルフロートに武装勢力が近づいています! 陸地の映像を出します!】

 

 何処か焦った様子で通信してくるマツモトによって見せられた陸上の監視カメラの映像。そこにはメタルフロートに向かって進むいくつもの船舶とヘリコプターの姿があった。映像からでは分からないものの、それらに武器が積まれており、メタルフロートの警備システムがそれに反応したのだろう。

 

【誰? トァク?】

【今のトァクにこんな行動を起こせる余裕はありませんよ。メタルフロートの建設を阻みたい第三者による襲撃です!】

 

 なんにせよこれは非常事態でもあると同時にチャンスでもあった。先程までヴィヴィたちはメタルフロートの中枢へとどうやって行くのかを模索する段階にあったが襲撃者が現れたおかげでM205と中枢がつながったのだ。彼経由で冴木博士から渡されたプログラムを流し込めればメタルフロートを止める事が出来るようになったのだ。

 

【ディーヴァ! 彼にストレージを! 彼を経由して強引に中枢へ接続します!】

 

 マツモトの言葉にディーヴァは懐にしまい込んでいた液体ストレージをM205に差し込み、プログラムを起動した。液体状のプログラムはM205へと流れ込み、彼を経由して中枢へと停止信号が送られていく。

 その途中、ディーヴァはアル景色を見た。今自分がいた来客用の一室と同じ場所だが子供たちが楽しそうに遊んでいた。M205が夢見ていた景色であり、実現させたかった光景だ。

 ふと、一人の少女がM205に話しかける。話の内容は分からない。プログラムの影響でノイズが走り、風景は少しずつ消え去っていったからだ。そして映像が完全に消え去るまでに時間はかからなかった。ディーヴァが意識を取り戻した時、既にM205は昨日を停止し、彼を経由してメタルフロートの全てのAIも機能を停止していた。ディーヴァたちの目標は一応ではあるが達成されたのだ。

 

「ディーヴァ! 行きましょう! 襲撃者を見て止められるようなら……!」

 

 罪悪感に苛まれ、その場でたたずんでいるディーヴァにマツモトが声をかけた時だった。突如としてメタルフロート中に爆発音が響き渡る。それらは連続して発生していく。

 

「んなぁっ!? 何事ですか!?」

「これは……!」

 

 見れば先行したらしい戦闘ヘリがミサイルを放ちメタルフロートに攻撃を仕掛けていた。想像していた以上に襲撃者たちの動きが速く、マツモトとディーヴァが止めるまもなく攻撃が開始されていたのだ。

 

「不味いですよ! 警備AIも一緒に止まってしまっている以上あれを防ぐ手は……!」

 

 その時、ディーヴァたちがいるフロアにもミサイルが叩き込まれた。二人は辛うじて回避できたもののM205は爆発に巻き込まれて破壊されてしまった。

 

「っ!」

「行きますよディーヴァ! ここに留まるのは危険です!」

 

 一瞬表情をゆがめたディーヴァを押すようにしてマツモトは船があった場所へと移動する。途中、何度も攻撃が飛んでくるが狙いは全て土木作業用のAIのようであり、停止しているAI達は成すすべなく破壊されていた。

 

「一体誰がこんなことを……!」

「反AI思想のテロリストはトァクも含めて壊滅状態ですからね。恐らくそう言ったところではない別の勢力の仕業でしょう」

「もしかして、冴木博士を狙った人たちも?」

「同じ組織と見て間違いないはずです」

 

 立て続けにメタルフロートやその関係者が狙われた以上繋がっていると判断するのは自明の理だろう。問題はどこの反抗かだがマツモトにはなんとなくだが予想がついていた。

 

「まぁ、今メタルフロートが完成されると一番困る連中というのはサイバーダイン社以外にあり得ませんからね。十中八九あそこの襲撃でしょう」

「サイバーダイン社がこんなことを?」

「近年立て続けに発生しているテログループの壊滅。用意周到に隠匿されていますがサイバーダイン社で間違いはないと判断していますからね。邪魔な奴らを裏で排除して成長していたという事ですよ」

 

 そうこう話をしている間に船が置いてある場所までたどり着いたがその時には既に襲撃者たちによって占拠された後だった。

 

【マツモト……】

【厄介ですね。見たことない装備に銃。該当するデータがないため彼らオリジナルの武器でしょう】

 

 船を見張っているのは5人。全員が顔を隠した特殊部隊のような装備をしており、一筋縄ではいかない雰囲気を出していた。更に言えば彼らが持つ銃は一般のものとは違ったデザインをしており、マツモトも見たことがないものと判明した。

 

【本来ならば強行突破して逃げるべきかもしれませんが上のヘリや彼らの戦闘能力が不明な以上手出しは難しいですね】

 

 船を奪い返したとしてもその後、海に出れば戦闘ヘリからの攻撃を受けるだろう。流石のディーヴァもミサイルをまともに喰らって無事でいられるわけではなかったのだ。

 

【彼らの狙いがメタルフロートの破壊ならば隠れているのが一番でしょう。下手に刺激して敵対するよりは……!】

 

 マツモトがそう言って隠れてやりすごそうという提案をした時だった。一発の銃声が響き渡ると同時に、ディーヴァの体が大きく吹き飛んだのだ。

 

「ディーヴァ!!??」

 

 心配で声を張り上げるマツモトに考える暇など与えないと言わんばかりに、続けて二発の銃声が鳴り、マツモトのボディに叩き込まれるのだった。

 

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