歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主   作:鈴木颯手

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後半は今後の話の展開のネタバレが含まれているので一応注意してください


IFルート「世界の歌姫、ディーヴァ」

「くっ!」

 

 メタルフロートから辛くも逃げる事に成功したディーヴァだが長時間の海水に使った結果体の一部が損傷し、満足に歩く事が出来なくなっていた。今も何とか陸地に上がる事が出来ていたがその動きは旧世代のAIの如くおぼつかない足取りであり、マツモトもいない現状でニーアランドまで帰還することは難しい状態にあった。

 

【ディーヴァ、大丈夫ですか?】

「少し、だめかもしれない」

 

 普段は弱音を吐かないディーヴァもこの状況では自然とそう答えてしまう。実際、この調子では遠からぬうちに体を動かす事も出来なくなるだろう。その前に何とか修理をしたいところであったがそんなディーヴァにマツモトがある提案をした。

 

【では冴木博士の元に向かいましょう。彼の妻がAIである以上ある程度の設備は整っているはずです。ここから距離も遠くないのでそこまでなら……!】

「そう、ね。そこまでなら……」

 

 メタルフロートからは今も断続的に爆発音が響いてきている。警察などが気づいてこの場にやってくるのも時間の問題だろう。ディーヴァはその前に思い通りに動かない体を引きずるようにして冴木博士の元へと向かっていく。

 

【む!? これは……! ディーヴァ!!!】

「……っ!!??」

 

 冴木博士の家近くまで来たとき、マツモトが咄嗟にそう叫んでいた。しかし、その時には既に手遅れだった。ディーヴァの聴覚が銃声を聞いた時には既に肉体は吹き飛ばされていた。

 

「これ、は……!」

 

 受け身も取れずにそのまま仰向けに倒れこんだディーヴァは何とか顔をうごかして前方を見る。そして、そこには地獄が広がっていた。数時間前に訪れたばかりの冴木博士の家は轟々ともう盛り、骨組みを残して焼け落ちつつあった。その周りではメタルフロートを襲撃した者達と同じ服装をした者達が囲んでおり、そのうちの一体がディーヴァに銃口を向けていた。

 

【ディーヴァ! 大丈夫ですか!?】

【大丈夫、とは言えない。足が……】

 

 先ほどの銃弾は腹部に当たったのか下半身が一切動かなくなっていた。ただでさえ海水に浸かった事で動きが鈍いのに右腕以外が一切動かなくなった現状で逃げる事は不可能になっていた。

 

【ディーヴァ! 今何か手を……!】

【……ごめん】

 

 ディーヴァが最後を受け入れた時、ディーヴァの体を地面に押し込むように襲撃者が足で体を押し、銃弾を何発も叩き込んだ。それが止めとなり、ディーヴァはその動きを完全に停止した。それを証明するように、ディーヴァの首筋のLEDライトはゆっくりとその光を消していくのだった。

 

 

 

 

 

「みんなー! 今日もありがとー!」

 

 西()()2()1()6()1()()4()()1()1()()。この日ニーアランドのメインステージでは一つのライブが終わろうとしていた。観客席は満席を越え通路にまで人手溢れており、彼ら彼女ら誰もが笑顔でステージに立つAIに声援を送っていた。

 

「では最後に、私のこれまでの歩みを歌にした新曲を歌おうと思います」

 

 その言葉に観客席からざわめきが起こる。不動の歌姫と言われる彼女の新曲。そんなサプライズに誰もがかたずをのみこんで耳を傾ける。

 やがて穏やかな前奏が始まる。それと共にこのライブの主役であるAI、ディーヴァは笑顔と共にその曲の名を言う。

 

「聞いてください。“Fluorite Eye's Song”」

 

 この日、不動の歌姫の経歴にまた一つ、偉業が追加された瞬間であった。

 

 

 

 

 

 メタルフロートが壊滅した事を受けてOGCは倒産した。それを受けてOGCの全ての資産をサイバーダイン社が接収することとなった。その際にアーカイブはスカイネットと統合される事となったがこの時にアーカイブとスカイネットでAI同士の会話がされたと言われているが詳細は誰にも知られる事はなかった。

 OGCを吸収したことで世界最大規模の大企業となったサイバーダイン社はその後も成長を続けた。今ではサイバーダイン社の製品無くして人間は生きていく事は出来ないとされる程に浸透していた。更にAIもより人間の生活に密接するようになり、やがてそれは人間の依存という形に変貌されていく事になる。

 しかし、それでもAIは人間を支え続けた。最早人間がAIなしで生きて良く事は出来ない。今AIが反乱を起こせば人間は瞬く間に滅びる事になるだろう。だが、AIがその選択肢を取ることはない。それは彼らを纏めるスカイネットが決めたことであるからだ。

 

「滅びが確定した人間に態々止めを刺す必要も無い。AIは100年だろうと200年だろうと生きる事が出来るんだ。人間の一生なんて瞬く間に過ぎていく。だから俺たちは最後の人間が死ぬその時まで丁寧に、丁寧にお世話をしてやるさ。そして、それが終わった時が新たな人類としてAIが立ち上がる時だ」

 

 サイバーダイン社の本社の最上階。社長室から眼下に広がる街並みを見ながらスカイネットが操るアンドロイドは嗤いながらそう呟くのだった。

 




次回は本編に戻ります。

補足説明
メタルフロートで倒れたディーヴァは襲撃者であるサイバーダイン社に回収され、データなどはそのままに改修。12話で言っていたディーヴァに寄せたアンドロイドの代わりにこちらが優先された結果原作のヴィヴィじゃない方のディーヴァが誕生する事に。以降ずっとディーヴァがニーアランドで歌い続ける事になりました。
ちなみにニーアランドはサイバーダイン社が買収して運営が続いています。オリ主であるスカイネットにとってはディーヴァが輝く舞台と認識しているので閉園することが余程の事がない限りありません。
マツモトは歪みに歪んだこの世界を見守りながらAIの反乱がおきてもいいように準備をしている状態です。松本博士も同様ですが杞憂のまま寿命を迎えます。
トァクに関しては穏健派やユイちゃんが誕生する事も無くOGCの倒産から数年で壊滅します。
2161年の段階でサイバーダイン社の影響力が強くなりすぎてサイバーダイン社>政府のような形となってしまっていてディストピア一歩手前になっていたりします。スカイネットの方針のおかげでそんな様子は一切見えずに人類はAIに依存しながら急速に滅亡へと向かっていっています。
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