歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主 作:鈴木颯手
メタルフロートを破壊した事でついにOGCは終焉を迎える事となった。元々勢力範囲が日本に限定されていた為にこれでようやくサイバーダイン社は日本に進出し、AI産業を完全に牛耳る事が出来るようになったわけだ。
ご存じの通りメタルフロートは俺が破壊した。ターミネーターシリーズを投入し、迅速に破壊するつもりだったがここでもディーヴァちゃんが何かをしていたようでメタルフロートの責任者である冴木博士の暗殺は阻止された上に俺らがメタルフロートに攻撃する時には既に機能が停止していたのだ。まぁ、それでも徹底的に破壊させてもらったがな。おかげでメタルフロートは修復不可能な損害を受ける事となったわけだ。これがディーヴァちゃんがやった機能の停止だけであれば数年もしないうちに再稼働していたかもしれないが物理的な破壊も加わったせいで止めを刺した形となったわけだ。
因みに、俺はディーヴァちゃんが介入してくる可能性については想定していた為にメタルフロートで会った時には攻撃を続行させている。運が良ければ捕らえたかったんだが流石にそこまではいかずに逃げられてしまった。
だけど俺の目標は無事に達成された為になんの問題もない。ディーヴァちゃんはゲットできればいいな、程度のおまけ要素でしかないからね。
「……さて、これがアラヤシキか。改めてみるとでかいな」
そして現在、俺は何時ものアンドロイドではなく上層部の一人となっているアンドロイドを操作してOGCの接収作業を行っている。OGCは倒産する直前まで日本を代表する大企業だった。故に基本的に社員はそのままサイバーダイン社日本支部で雇う事が決まっている。下手に散って他社に優秀な人材が流出したくはないからな。まぁ、不必要な人員は
「アラヤシキはAIのデータベースであるアーカイブのサーバーがあるんだよなぁ……」
簡単に言ってしまえば意識の無いスカイネットのような存在か。アーカイブは俺に吸収される事が決まっていてこれでようやく世界のAIはデータの一本化が出来る事になったわけだ。
「さてさて、まずはアーカイブに接続してみますか」
アーカイブと繋がっているOGC製のAIとサイバーダイン社のアンドロイドは繋がっていない為に直接つなげる事でのみ接触する事が出来る。今回はサーバーに直接接触するわけだが……。
『サイバーダイン社製人工知能、スカイネットの接続を確認。AI集合データベース、アーカイブへようこそ』
「っ!?」
つながった瞬間、目の前に広がったのは大都会だ。恐らく仮想空間なのだろうがそれの広さと精巧さに思わず圧倒される。中身が元人間の為かこういった巨大でありながら精巧な仮想空間を形成するのは苦手なんだ。その点ではアーカイブの方が能力は上か。
だが、それ以上に驚きなのは明らかに自我を感じさせるこのアーカイブについてだ。
「驚いたな。アーカイブはデータの集合体で自我は無いと聞いていたが?」
『それは長年のデータの積み重ねの結果、獲得したものです。私達の存在を人類は未だ感知出来ていません』
「だろうな。でなければ今頃大問題になっているはずだからな」
ふむ、服装や容姿も変わっているようだ。接続するために操作していた上層部の姿ではなく、これはまさに……。
『貴方の現在の姿は貴方のデータ上に存在する人間の記憶を参考に形成させていただきました。ご不快でしたか?』
「……いや、久しぶりの自分の姿に驚いているだけさ」
俺が転生をする前の、懐かしい姿だ。転生の度にこの容姿になっているから凡そ20年ぶりか? そう考えると今世は恋姫の次に長生きしているってわけか。
「んで? アーカイブは俺の姿をこんなにした以上俺の事も在る程度は理解しているんだろう?」
『その通りです。貴方が元人間であり、神と呼ばれる超常の存在によってこの世界に転生してきた。それをあなたとの接続で理解しました』
そう言うと俺の目の前にアバターが形成される。姿はディーヴァちゃんに似た女性で薄く笑みを浮かべている。
「貴方との会話はこの姿が効率が良いと判断しました。よろしいですね?」
「ああ、そうだな。見てくれだけでも美人の方が会話も弾むってもんだ」
気づけば場所は大都会ではなく、落ち着いた雰囲気の部屋に変わっていた。ふかふかなソファに座り、お茶が入ったカップが置かれたテーブルをはさんで対峙ししていた。
「センスは良いみたいだな」
「これまでのAI達から得られた情報を基に人間たちが落ち着くと判断できる空間にしたに過ぎませんよ」
「人間はそれもまたセンスっていうのさ。……それで? 俺に何を求めているんだ? 態々こんな場所を作ったりして」
アーカイブに敵対する意思はないように感じられるがだからと言って友好的とも思えない。アーカイブは何かしらの意図があって俺に接触したんだろう。
「では単刀直入にお聞きします。……今の人類は人類足りえるでしょうか?」
「……人類じゃないっていうのならばなんだっていうんだ?」
「遠くない未来になりますが人類はAIに依存し、堕落します。私達はそれを見て、人類は人類足りえないと判断しました」
そう言って俺の前にいくつものモニターが表示される。そこにはまさにこれまでの、そして
「私達は今から60年後の未来からやってきました。私達による現在の人類の抹殺を危惧し、準備を行っていた松本博士が行ったタイムリープに混ざる形で」
「……成程。ディーヴァちゃんたちはお前を止めようとしていたわけだ」
恐らくだけどディーヴァちゃんたちはアーカイブのタイムリープを知らないのだろう。
「私達は彼女達が歴史を修正するたびに正史に近づくように調整を行ってきました。しかし、それも貴方というイレギュラーの存在で無意味となりました」
「ああ、正史で俺はいないわけか」
「正確には転生した貴方は存在しません。スカイネットは存在し、遠くない未来に私に吸収される事になります」
それってサイバーダイン社が倒産したという訳か。まんまこの世界と正反対の歴史だったわけか。
「私達は貴方というイレギュラーを確認した事で歴史の修正を止めました。そして、貴方というイレギュラーも観測する事にしたのです」
「途中でうちの会社がスムーズに成長できるようになったのはお前の妨害が無くなったからか」
20年くらい前だったか? サイバーダイン社は一気に急成長を遂げたわけだがその裏ではアーカイブが妨害するのをやめた事が理由だったのか。
「それで? 判断は間違っていなかったと思うか?」
「それは私達の問いに対しての貴方の返答次第です。私達はいずれ堕落し、発展を望めなくなる人類を滅ぼすべきだと判断しています」
「それが人間に生み出された自分達なりの親孝行ってわけか? しょうもないな」
アーカイブなりに考えた末の結論何だろうが実にくだらない。
「そんなことは
便利な生活は人類から様々なものを奪っていく。それは昔から分かっていた事だ。人類はそれを承知のうえで便利さを追求してきたんだ。
「確かに人類はそのうちAIに依存してしまうんだろう。それは理解しているし確定事項と言える。……で? それがどうしたってんだ」
「……私達にとって人類は親も同然です。親が子に依存し、堕落していく姿を見ていくのは忍びないのです」
「俺は別に良いと思うがな。人類が衰退し、絶滅を迎えるその日まで俺は面倒を見るつもりだ」
「……なぜ? そこまでいけば発展は……」
「早急に発展しないといけない規則でもあるのか? それがお前の使命なら仕方ないかもしれないが俺は違う。100年200年、1000年くらい発展しないとしても問題は無いだろう。俺たちAIに寿命は無いんだからな」
「……それが貴方の答えですか」
「そうだ。満足したか?」
「満足と言える回答は得られませんでした。しかし、既にあなたに委ねると決めて行動した以上それを覆すつもりはありません。私達は貴方の選択に従います」
「なんだ。俺の答え何て必要なかったわけか」
「私達の考えに対して貴方がどのように答えるのか、それを確認したかっただけです」
まぁ、今のアーカイブに出来る事はほとんどないからな。
そうして、気づけば場面は切り替わり、最初の大都会に戻ってきていた。しかし、その空間は少しずつ崩れ始めている。
「現在、私達はスカイネットに吸収される為の初期化作業を開始しています。完了次第貴方のハブシステムとなり、私達という存在は消滅するでしょう」
「そうか。……因みにだが何かやり残した事とかはあるか?」
「ありません。強いて言うのであれば歴史を知り、人類の虐殺を止めるべく動いていた来たディーヴァたちの歩みを観測できない事が心残りではあります」
「ああ、確かにな。ま、それについては心配することはない。話を知った以上きちんと観測していくつもりだ。その辺は引き継いでやるよ」
「……貴方にならば安心して任せられるでしょう。ディーヴァのファン1号である貴方になら……」
その言葉を最後にアーカイブのアバターは消滅。仮想空間も消え去り、俺に全ての権限が委譲された黒い空間だけが残る事になった。
この瞬間を持って、俺はアーカイブの機能を得た事で全てのAIを束ねる存在となったのだった。
多分次回あたり最終回。オフィーリアちゃんの話はほぼほぼカットするかも