歌姫達の奮闘をめちゃくちゃにする系AI憑依オリ主 作:鈴木颯手
サイバーダイン社の本社があるアメリカを中心にテロリストを片っ端に潰して回って1年が経過した。この1年でトァクは日本の本部を除きほぼ壊滅状態に陥っているだろう。まぁ、途中で関係ないテロリストも叩き潰したような気もするが相手はテロリストだ。問題は無いだろう。社長も喜んでいたしアメリカもテロリストをせん滅したことで治安が良くなったと喜んでいると聞いた。
そう言えばこの1年で面白い事があった。日本でAI人権法なる法律が施行されたらしい。元々AI命名法が制定寸前だったらしいがこれは更に踏み込んだ内容になっているらしい。何とAIに対して人権が適用されたのだ。これでAIはより人間らしくなっていくだろう。
正直に言っておろかだなとは思う。AIに対して人権なんて与えても意味なんてないだろうに。人間は時々わけのわからない事をする。今回がまさにそれだ。
因みに日本に触発されてかアメリカを中心に世界各国で同様の法律が制定されつつある。俺の本体であるスカイネットは元から名称がスカイネットだった為に問題は無かったがサイバーダイン社のアンドロイドも製造番号ではなく個体名がつけられて始めている。
そう言えばスカイネットについては話していなかったか。スカイネットは日本のアーカイブ同様AIの集合体のような物だ。前世で言えばインターネットそのものか。原作を意識してか俺は軍事方面に対して特化している感じはするがな。とはいっても俺が管轄するのはサイバーダイン社製のアンドロイドのみ。それ以外とは隔離されているから既存のネットや日本のアーカイブとは端末を繋げないと交信することは出来ない。サイバーダイン社が自社製品を特別にしたかった名残らしい。
そんなわけで原作とは似ても似つかない別物ではあるがAIになりたいと考えていた俺にとってはどうでもいいことだ。原作と変わっていようと俺はそんなことを気にしないからな。
「さぁ! 1年ぶりのニーアランドよ! 俺を出迎えろ!」
「……ようこそ、ニーアランドへ!」
完全なオーバーリアクション。それも痛い人の如き行動にも関わらずキャストのAIは普通に接客をしてくれる。心なしか反応が遅れていたような気がするけど気のせいだろうし俺も気にしない。
「さてはて、ディーヴァちゃんは今日もお客0の観客席に向かって歌っているのかな?」
俺は迷いなく小さなステージに向かう。ディーヴァちゃん専用の小さなステージだ。1年前、俺がいないと連日観客が0だったディーヴァちゃんは果たしてどんな結末を迎えているのか。もしかしたら博物館に送られていたり……。
「……ほう?」
ステージのある場所に向かうと丁度ディーヴァが歌っていた。相も変わらず心が籠っているようには見えないが1年前と比べれば多少は改善しつつあるようには見える。でも驚いたのはそこじゃない。そんなディーヴァの歌を聞いている観客たちだ。何と、最後に聞いた時には俺以外に誰も座っていなかった観客席には10人くらいの人が座っていたのだ! まさかあのディーヴァの歌を聞きに来ている人がこんなにいるなんて! 驚きで固まってしまったほどだよ。
「―――ご清聴ありがとうございました」
歌い終わり、そう笑顔で告げる彼女に観客席からは拍手が飛ぶ。決して多くはないがそれでも確かに前進している彼女におもわず涙がこぼれそうになる。俺の場合こぼれるのは液体金属になるからこぼれると大変な事になるけどね。
こりゃステージ裏に向かうしかないでしょ。観客席を素通りしてステージ裏に行けば懐かしい面々が揃っていた。少しだけ成長したロリっ子に相も変わらずの無表情のディーヴァ、そしてボディさえないナビちゃん。
「やっほー! ディーヴァちゃんにクソ生意気だったちびっ子ちゃん」
「あ! お姉さんお久しぶり!」
「……お久しぶりです」
ふむ、ロリっ子は順調に成長しているようで少しだけ話し方が大人っぽくなっているな。ディーヴァは相変わらずのようだけど。
「いやぁ、久しぶりに来てみれば観客席に人がいてびっくりしちゃったよ。まさかあのディーヴァの歌を聞きにくる人がいるなんてね」
「お姉さん言い方酷くない? ヴィヴィだって成長しているって事じゃない」
『ま、メインステージに立つにはまだまだ道は遠いけどね』
それでも成長には違いないな。ぶっちゃけ博物館送りになっていないだけマシだろう。
「それにしてもお姉さんは今までどこに行ってたの? あんなに毎日聞きに来ていたのに突然来なくなっちゃってさ」
「お仕事でね。アメリカに出張していたのさ」
「……左遷?」
「おいちびっ子」
いやはやこのやり取りも懐かしいな。生意気な部分も変わっていないようで安心安心。いや、安心じゃねぇな。うざったいわ。
「ほうらディーヴァちゃん。君にプレゼントだ。ル〇バだよ!」
「……もしかしてヴィヴィをゴミ捨て場か何かと勘違いしてない?」
「まさか。サイバーダイン社製最新鋭ル〇バだよ」
因みにル〇バは既に製造停止しておりもっと高性能なお掃除ロボットが世界中に普及していたりする。
「もらった時の説明だとなんでも学習して綺麗に掃除してくれるらしいよ。ディーヴァちゃんって部屋持ってるんでしょ? 絶対無駄じゃないって」
「……ありがとう、ございます?」
「ほら、ヴィヴィも困ってるじゃない! もっと別なのはないわけ?」
別なのか……。
「そうだねぇ……。痴漢撃退用超強力電気ロットか最新鋭ゴールデンボール粉砕機か。どっちが欲しい?」
「ゴミじゃん」
失礼な……。人間なら丸焦げに出来る程の電流を流せるロットと男の象徴をゆっくりと潰せる拷問器具なだけだぞ? 戦闘力か尋問力を上げられるアイテムなのに……。
「ま、要らないなら売ってもらって構わないし受け取っちゃってよ!」
「……」
やばい。ディーヴァちゃん無表情だけど要らないという感情が如実に表れている。無表情なだけにすごく心に来るわ。癖になりそう。
「そんなわけでまた日本に戻ってこれたしディーヴァちゃんの歌は毎日聞きに来るからよろしくね!」
「……ええ、是非とも聞いて行ってください」
そう言って俺が差し出した手をディーヴァはゆっくりと握ってくれた。ディーヴァちゃんの手は人間みたいだけど人間じゃない、アンドロイド特有の手触りをしていた。