男の娘が魔女になって大変な目に遭う話   作:クエクト1030

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17話「懺悔と告白」

「うぅぅん……」

 

 

 目が覚める。

 

 

「…………」

 

 

 ぼんやりとした頭で周囲を見回す。

 

 まず第一に。

 

 ここは、僕が倒れた場所では無い。

 

 ベッドの上で目覚めており、また血で汚れた服は綺麗なものに変えられている。

 

 僕はリーベさんが訪れた時にベッドから這いあがり、扉を開けようと足が動いていたから、ベッドにいるのはおかしい。

 

 続いて服を広げて下着を覗くと、やはり下着も履き替えられていた。

 僕に渡された下着の中の一つ……だったと思う。その中でも一番可愛い奴だけど。

 

 そして隣には下着姿のリーベ先輩がすやすやと可愛い寝息を立てて眠っているのが見える。

 

 黒いレースがついている下着の下で、豊かな胸が呼吸と共に穏やかに上下している。

 

 金色の髪の毛が朝日の光に照らされて艶やかな発色を見せて、その全てが酷く扇情的だった。

 

 

「……」

 

 

 これは……もう全てがバレており僕の人生もとい魔女生は終わったと思って良いのだろうか。

 

 

「待て待て、落ち着いて。あの後何が……」

 

 

 目を閉じてあの後の記憶を掘り起こそうと試みる。

 

 

「うん。ダメだ、何も思い出せない。というか今の今まで意識無かったんじゃ無いのかな」

 

 

 だとしたら何で隣で先輩が寝てるんだろう。

 寝息立ててる顔も可愛いな……ただ息をしているだけで絵になってる。

 

 いや違う、冷静になって。普通に貞操の危機だぞ。いやもう奪われてるのかな?

 

 

「……ぁ、ミコちゃんおはよぉ」

 

「あ、おはようございます」

「……」

 

 

 気まずい。

 反射的に挨拶を返してしまったけど、これどうすればいいんだろう。

 

 

「あれ、大きくなってないね」

 

「ど、どこ触ってるんですか!?」

 

「どこって、ソコ?」

 

 

 先輩が股間をつっついてくる。

 あぁうん。下着まで変えられてるんだからバレてるよね。そりゃそうだ……

 

 

「えっと、あのこれは」

 

「あはは、ごめん。私もちょっと恥ずかしくて茶化しちゃった」

「こほん……ミコちゃん、大切なお話があるの」

「聞いてくれる?」

 

 

 先輩も身体を起こして、僕を真っ直ぐ見つめる。

 表情は真剣だけど、どこか不安そうな顔で僕と目を合う。時折視線が外れて、青くなったり赤くなったり、顔色が忙しなく移ろう。

 

 

「そのね……う。どこから話そ」

「えーっと……」

 

「僕その……先輩、ごめんなさい。嫌なもの見せて、部屋から追い出して……」

「それに性別隠してたり攻撃したり色々、その。」

「気持ち悪いですよね。手も出されていないみたい、ですし」

 

 

 先輩も言葉に悩んでいるようだったから、先に僕が喋らせてもらう事にした。

 

 自傷行為を見せた事、攻撃してまで追い出したこと。

 

 異性装への羞恥と嫌悪、性別を偽る嘘への罪悪。

 

 そして、襲われるかもしれない恐怖と、その恐怖を敬愛していた先輩へと向ける事への、また自己嫌悪。

 

 自分で先輩傷つけておいて、性別も隠して襲われる事恐れてて。

 その癖、今現在に至っても先輩のことは異性として見ている。

 

 でもきっと、この先はもう終わりだと思う。

 先輩がどう出るにしても嫌われるか餌食になるか。

 

 あるいはそれを恐れて逃げて、どこかで自害するか。

 

 とはいえ、元々希望のない人生だったんだから、少しでも夢を見る事が出来て幸せだったと言った方がいいだろう。

 

 だからせめて、僕を夢のような世界に連れてきてくれた人には、正直に懺悔をして終わりたかった。

 

 その後は先輩がする事ならされるがままになろう。

 

 餓死するか死んだ心のまま社会の操り人形となって生きていくかよりも、恩人に全てを攫っていって貰う方がきっと、ずっといい生き方で死に方だろうし。

 

 

「あ、あのねミコちゃん?あ、いやミコくんかな?」

「その……私も、嫌がってるのに無理やり入ろうとしたの、ごめん」

「律が狂ったのも初めてだろうし、それで自分が暴走するのを自分で止めようとしてたんだよね、きっと」

 

「……はい。律が狂うとかはよく分からないですけどその、自分がおかしい状態なのは、はい。」

 

「自分を刺してたのはショッキングではあったけど……大丈夫」

「追い出したり攻撃したのも、それが理由だって分かってる」

「男の子なこと隠してたのはその、寧ろ私の方が謝らないといけないし。」

「案内人してた時のアレ、酷い対応だった……よね」

 

「……でもあの時は先輩が止めてくれましたよ」

 

 

 だからと言って、怖く無いわけじゃない。

 だって、止めなかったらそのままだったってことだから。

 

 これは先輩に明確に非のある事だけど、でもこの世界にとっての常識だから。

 僕のこれはただの我儘だ。

 

 

「でもミコ……くんが言わなかったら、私そのままにしてたよ」

「だからその、ごめん。怖い思い、ずっとさせてた」

 

「……え?」

 

 

 先輩は頭を下げた。

 

 言葉が出なかった。

 理解が出来ない。

 

 搾取する者とされる者の立場関係というのは、差別や奴隷という関係を超えて、家畜に対するそれと等しい価値観のはずだ。

 

 例えそれが目の前で会話が出来る存在としても、物理世界で生まれ育った人間ならともかく、魔法世界でそれが当たり前として育ったのなら。

 

 僕は、家畜に類する存在のはずだ。

 

 先輩は僕のためだけに、その当たり前の常識を捻じ曲げている事になる。

 何の躊躇いもなく行い、虚偽を行った僕に対して謝罪をしている。

 

 今も物理世界で理解不能な人種差別や宗教戦争が行われているのと同じように、僕に制御困難な善性があるように。

 

 常識、価値観というものはそう簡単に変えられるものでもないし、変える事、反する行動を行うのは、想像を絶する苦痛を伴うはずなんだ。

 

 僕はその苦痛に抗う事が出来ず、腐っていく人間を間近で見てきた。

 だからその困難さは理解していた。

 

 自分が苦しむのはいい。

 せめて感謝をして貰えれば、それだけで幾らでも自分を作り替えて望まれる自分になろう。

 

 でもそれは自分に対しての事であって、他人が変わる事を期待するのは違う。

 

 そう思っていたから。

 目の前で行われた行いに、言葉が出なかった。

 

 僕は生まれて初めて、自分を変える事の出来る人間に出会った。

 

 

「……ぁ。えっと」

『リーベは善い人だね』

「……そうだね。あと先輩ってつけなよ、私」

 

「え?」

 

「あ、いえ。ありがとうございます、先輩」

「……あれ」

 

 

 その事実に嬉しくて、僕の目からは涙が零れていた。

 リーベ先輩は僕の同類ではない。いや同類なんていてたまるか。

 こんなクソみたいものに縛られる人が他にいていいはずがない。

 

 でも。

 

 それでも、世界には優しい人が存在する事を最後に知れたのが嬉しかった。

 

 僕が居てもいなくても。他人を思いやり自分を変える事が出来る人間がいるのなら、全員も同じ事が出来なくても少しずつ隣の人に手を差し伸べられる世界になるはずだから。

 

 それが嬉しかった。

 

 

「ごめん、こ、怖かったよね。っていうか今も怖いよね!?ごめんね!!」

 

「うぅん、ぐす……嬉しいだけです」

「へへ、嬉し泣きしたのなんて初めて」

 

「わ、私はっ!」

「私は……ミコくんが性別隠してても全然気にしないし、普通にそれはそれで……」

 

「それはそれで?」

 

 

 え、なに。本当に食べられるのかな。

 いやまぁ。リーベ先輩にならもうどうされてもいいか。役に立てるなら嬉しいし。

 

 

「ち、違う違う!いや違わない?あっいやとにかくっ!襲ったりしないよ!!」

「けほん。えっとね、つまり……」

「私はミコちゃんがミコくんでも、好きなのは変わらない……ってことで」

 

 

 恥ずかしそうに頬をかきながら先輩はそう言った。

 

 

「えっと、それはどういう意味の?」

 

「ら、ラブだよラブ!恋愛対象として好き、ってことっ!」

 

「……」

 

 

 ススピロの謝罪の後に流れで言ってたあれ……本気だったの?

 

 

「この流れで言うの、卑怯かもしれないけどさ、それでも……きちんと気持ちは伝えたかったの」

「ミコくんが倒れちゃって、こうなった以上はきっと私たちの関係が大きく変わるって事は、私でも分かるから。それなら……それなら、きちんと謝って、きちんと告白したかったの」

 

「そうですか……」

 

 

 そうかぁ。

 

 ……うん?僕の事好きなの?しかも性別で嫌悪してなくて、隠してた事も別に怒ってない?

 な、なんで?

 

 先輩は顔を赤くして目を伏せてしまった。

 本気、なんだろう。本当に。

 ……うん?じゃあこれ、普通の告白?

 

 少しずつ思考が追い付いてきて急に恥ずかしくなってきた。

 え、僕好きって告白されてるの?本当に?

 

 てっきりなあなあ(・・・・)で終わるか、もしくは普通に搾り取られるものだと思ってたんだけど。

 

 

「え、えっと。僕のど、どんな所が好きになったのでしょうか?」

 

「外見は言わずもがなとして」

 

 

 言わずもがな??

 

 

「私を守ってくれた時ね、自分が情けないって思ったんだ」

「でもね、この子は誰かのために動く事が出来るんだなって思ったの」

「その後、ムネメに真っ先に教わったのも、私たちを心配させないためだって事は分かった。だから……そう!優しいところ!他人のために考えて行動してあげれるところが好き!惹かれた!」

 

 

 先輩も恥ずかしいのか、いつにも増して上擦った声で早口になってチャーミングポイントを伝えてくる。

 

 

「自分じゃあんまり好きじゃないんですけどね、そこ」

 

「なんで!?いい事じゃん!?」

 

「生まれつき何故か勝手に身体が動くだけなんですよ。前に悪癖って言ったあれです」

「後は物理世界にいた時に頑張っていい事したんですけど、ダメだったんです」

「赤の他人ならまだしも、母親からはありがた迷惑か、当然の労働だったようで」

「マイナスの体験してるってのいうに、それでも勝手に身体が動いて……というか身体が動かなくても、いちいち頭の中でそれはダメ。あれをするべき。みたいな考えが邪魔してくるんですよ」

「だから好きじゃないんです」

 

「そ、うだったんだ……ごめん」

 

 

 先輩がしゅん、としてしまう。

 

 自分で白状しておいてなんだけど結構薄情な言い方をしてしまった。

 

 ……せっかく好きなポイント言ってくれたのに、それはマイナスコンプレックスです、なんて言われたら間違えた場所をピックアップしてしまったって考えるわ。ごめんなさい先輩。

 

 

「……でも」

「先輩が好ましく思ってくれるなら、そんな自分も好きになれるかもしれないですね」

 

「ミコちゃん~~!!」

 

 

 でもこれも嘘じゃない。

 僕は、かなりチョロいのかもしれない。

 自分の好きでいてくれる人のためなら、自分の欠点すらそれで良いと思えるんだから。

 

 元からリーベ先輩は好きだったし。恋愛感情って言われると微妙だったけど……でも、先輩が僕の事を好きって思ってくれるなら喜べる。

 

 だって恋愛感情を持たないようにしてたのは、魔女への恐怖と、自分にはそんな価値はないと考えてただけだから。

 

 先輩が僕に価値を見出してくれたのなら。

 僕は迷わずその手を取る。

 

 

「あっミコくんか、ごめん」

 

「あ、あはは。どっちでもいいですよ」

「えっと……その。じゃあ」

「よろしく、お願いします」

 

「オッケー、ってこと!?」

 

「……はい」

 

 

 僕もきっと顔が赤くなってるだろうけど。

 きちんと、返事をする。

 

 

「~~っ!!」

 

「な、なんで泣いてるんですか!?」

 

「これはぁ、嬉し泣きだからぁ」

 

 

 やばいどうしよう、嬉し泣きに謝罪は通用しないぞ。さっき体験したから分かる。

 でも嬉し泣きって止める必要あるのかな?

 嬉し泣きで泣くのも泣かれるのも初体験だ……

 

 泣かせる事は嫌いだけど、それでも嬉し泣きなら涙を流して潤んだ瞳も綺麗だなって思える。

 綺麗でかわいい先輩だな。

 

 

「ふふっ、よっし」

 

「えっ」

 

 

 そう思っていたら、そのまま抱き着きながらガバッと押し倒された。

 

 

「じゃあ、シよう!」

 

「いきなり!?嬉し泣きは!?」

 

「もう泣くのは止めたの~!」

 

 

 目を擦りながら笑顔で答えられる。赤く晴れた目も可愛いですけど、順序とかそういうものはどこへ行った?あとこういうのって普通、男側の方が性欲強くて我慢ならない!で暴走してのパターンじゃないの?逆じゃん。僕女側じゃん。

 

 

「こ、こういうのってもっとムードとか、そもそもデートからとかそういう事してからじゃないんですか!?」

 

「え~、ミコちゃんの匂いでもう我慢限界なんだもーん」

「ほーら、びしょびしょ~」

 

 

 片手を握られて先輩の下着へと導かれ、僕はその感触を確認させられる。

 濡れた感触が手に伝わると共に先輩の甘い匂いが強くなって、僕の身体もまた疼き出す。

 

 それに香りが急に強くなったせいで頭がすごいクラクラする。

 我慢止めた瞬間にこんな強くなるのか。

 

 

「うぐぅぅ」

 

「えへへ、よいではないかよいではないか~」

 

 

 成す術もなく着せられた服が脱がされていく……

 いや、抵抗出来たかもしれなかったけど流されてしまった。

 先輩も唯一身に着けていた下着をはだけて、二人とも生まれた時の姿になる。

 

 

「うぅぅ」

 

「わ、おっきくなってる~」

 

「だって先輩裸だし……反応しない方が無理ですよ……」

 

「えへへ~」

 

 

 僕が反応するのと同時に、先輩もまた瞳がとろけて息を荒くする。

 

 視覚と嗅覚、声、押し寄せる身体の感触。味覚覗いて全ての五感がリーベ先輩に支配される。

 

 もういいか。諦めて身を任せて楽になろう。

 先輩なら多分リードしてくれるよ、経験豊富そうだし。

 

 僕は身体から力を抜いて、リーベ先輩に身を任せる事にした。

 

 

「初めてなので優しくしてください……」

 

「女の子みたいな事言ってる~」

「大丈夫だよ、私も初めてだし!何とかなるなる!」

 

「えっ」

 

「え?」

 

 

 え?

 

 

「えええええええええ!?」

 

 

 先輩これが初めてなの!?いや女の子が初めてをこんな手順全部すっ飛ばしたやり方で体験しちゃダメでしょ!止めなきゃ!絶対に止めなきゃいけない!!

 

 

「な、なに?」

 

「せ、先輩も初めてなんですか?」

 

「そうだけど……わ、悪い?」

 

「いやその、てっきりああいうのに混じってて既に……」

 

「私だって恋して初めてをしたかったの!いいじゃん!」

 

 

 じゃあ猶更ゆっくり進んだ方がいいじゃん。

 あぁそうだった。この人結構天然なんだった、忘れてた。

 

 

「それは悪くないですけど……」

「告白してオッケーになったらデートとか全部すっ飛ばしてえっちかぁ……」

 

「な、なに。何が言いたいの」

 

「その……もうちょっと恋人らしい事してからに、しませんか?ほら。僕も先輩もお互い初体験なんだったら、もっと丁寧にゆっくり事を進めて……」

 

「むーーーーーー!」

 

 

 膨れてしまった。ほっぺ可愛い。

 いや僕だってすごい今興奮してるけど、でもお互い初めてならデートして、手を繋いで、お互いに食べさせあいっこして。夜景を背にしてキスしたり、そうやって順序踏んでからにしたいよ。

 

 

「……あと、いきなりだと、やっぱり身体だけ目的なのかなって」

 

「うぐーっ」

 

 

 だって……そういう事じゃん。先輩の事大切にしたいけど、僕だって大切にされたいし……

 

 

「だからまずは手を繋ぐのとデートからがいいんですけど」

「ダメ、ですか?」

 

「ぐ、ぐぐ……分かった。そうだよね、その通り。その通りだよ」

 

 

 おぉすごい。ミシミシって音立てて握りこぶしを作りながら歯を食いしばってる。

 

 

「よし……じゃあ早速デートの計画を立てよう。」

「どこに行きたい?料亭、魔法道具店、星見台、森の散策、色々あるよ」

 

「うーんそうですね、こっちに来てから……」

「……」

 

 

 うん?そういえば僕はそのどれにも行った事ないな。

 というかそもそも寮と学園の教室、運動場以外行った事ないぞ。

 

 

「……普通に授業受けてたら襲撃されて、その後は復讐するために特訓しかしてなかったからどこにも行った事ないですね、僕。どこに何があるのかも全く分からないんですけど、どうしましょう」

 

「じゃあデートプラン、私が考えておくね!」

 

「す、すみません……」

 

 

 これが勉強と仕事しかしなかった人の人生の短縮形か……趣味という人生の最優先事項に対して何の経験も知識もなく無為に時が流れ、最後には価値を失った財貨だけが残る……危ないところだった。今この段階で自分がいかに人生をつまらなく生きているかに気が付けて本当に良かった。

 

 リーベ先輩は何度か僕と僕の股間を見ながらも、下着を渋々身に着けていく。その姿を見てほっと胸をなでおろしながら、僕も再び服を着る。女性用の下着を身に着ける工程には流石にもう慣れた。可愛いのは恥ずかしいけど。

 

 

「あ、それと」

「これからは先輩じゃなくて、リーベって呼んでね!」

 

「リーベ……さんじゃダメですか」

 

「ダメー!」

 

「うぐ」

 

「ミコくんだって私とデートしてからがいいんでしょ、なら交換条件!」

 

「わ、分かりました。その、リーベ」

 

「うーん、敬語があるけど……まぁ良しとしましょう」

「ていうか、ススピロには敬語も使ってなかったよね。なんで?」

 

「ススピロは僕とせん……リーベを害して来たので、別に何も言い繕う必要がないと思うからですね」

 

「そう言う意味で遠慮してないわけね……」

 

「はい。まぁ格付けも済んだのであれくらいの相手だったら、せ……けほん。リーベを守ってみせますよ!」

 

「ふーん。ま、ミコくんを守るのは私の方だもんね~」

 

 

 二人でくすくすと笑いながらベッドから立ち上がる。

 そのまま外に……って思ったけどそうだ。

 

 

「あ、あと外では呼び方……」

 

「大丈夫。バラさないよ、外ではミコちゃんって呼ぶ」

「ミコくんは私の事、外でもリーベって呼んでね!」

 

「……はい」

 

「魔法は解除、っと」

 

 

 リーベさんがちょちょいっと魔力を弄ると、正常な見た目に見えていた扉が壊れて、ぽっかりと空間が出来る。いや、元から壊れてたんだっけ?うーん。

 

 

「そういえば僕、扉に鍵つけたような記憶があるんですけど」

 

「あぁ、あれはムネメが壊してくれたの。ミコ……ちゃんが滅属性魔法で、扉の機能を消し去っちゃったから普通の手段だと通る事出来なかったからね」

 

「へー、そうだったんですか」

 

 

 そんな事してたんだ。がむしゃらにやってたから全く分からなかった。

 

 

「ムネメが力を貸してくれたの。後でお礼言わなくっちゃ」

 

「ムネメ先輩が……デートの時にお土産ついでに買いますか」

 

「むっ。そこは私の事だけ考えて欲しいんだけどな」

 

 

 先輩を少し怒らせてしまった、うんこれは完全に僕が悪い。

 きちんと見て欲しいって僕が言ったんだから、僕も先輩の事だけをきちんと見るべきだ。

 

 

「……ごめんなさい、確かにその通りです」

 

「分かればよろしい。」

 

 

 片目を開いて微笑む。許してくれたみたい。うん、コミュニケーションは大事……せっかく好きになって貰えたんだから、僕もそれを手放さないように心掛けないと。

 

 

「じゃ、みんなのとこ行こっか~」

 

「え、でも授業が」

 

「そんなのいつでも出来る出来る!それよりも恋人になった事報告するんだ~!」

 

「……」

「ええええええ!?」

 

 

 僕はリーベさんと恋仲になった事を、いきなり暴露されるらしい。

 

 しかし。

 

 

 

 この行いが後の事件の火種になる事を、この時の僕たちはまだ知らなかった。

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