この先の展開のために、描写を追加する恐れがあります。
その時はちゃんと前書きで報告しようと思います。
どっかで描写したけど、ルイはブルアカを始発点をクリアしてます。でも、その後のアプデがまだ来てない時期に死んで転生した。だから、アビドス三章のこととかは知らない。でも、ユメ先輩が死んだことは察した。
「ふわぁ〜。……めんどくせぇ〜〜」
「またそれですか」
あれから数日後。今日も今日とて俺は書類作業の手伝いをさせられています。というかここ最近それしかやっていないのだ。昨日もヘルメット団が来たのだが、俺が戦おうとしたら全力で止められた。俺もやると言ってみたが二人の圧のこもった顔と死んだペナルティと言われ、なし崩し的に学校にいることになった。
しかし、何もしないは嫌なので指示だけはさせてもらった。流石にこれもダメかと思ったが「いいよ!ルイ君の考える作戦すごいから」と先輩からのお墨付きもありホシノもすんなりOKした。意外と信頼されていたことにその時の俺は驚いた。
結果として、追い返すことはできたが……これは俺の経験不足故か期待値程の腕は振るわなかった。申し訳ねぇ。先生ならもっと怪我を防げた事だろう。
というわけで、カンダタ襲撃からずっと戦闘できてない俺は今、戦闘欲求によるストレスが溜まっているのだ。だから、こんなことをぼやいているわけなのである。
「なぁホシノ?ヘルメット達に喧嘩売りに行かね?」
「何でわざわざどこにいるかもわからない連中探して一銭にもならない無駄なことしなきゃいけないんですか」
「無駄はないだろ? 少なくとも治安は良くなる。というかどした? 今日はやけにイライラしてんじゃん?」
「してません……気のせいでは」
「いやでも眉がさが「ってません」それに雰囲気に圧が「だしてません。なので、私は怒っていません」その態度はもう怒ってる気がするんだけど……?」
すごい食い気味に返すじゃん。やっぱりオコだろ。何に怒ってんだ?話聞こか?
「どしたん、話聞こか?」
「…………実は」
と言うとホシノは話し始めた。
簡単にまとめると、どうやら借金してる企業の銀行から金利上昇の為、来月以降から利息の料金を上げさせていただく事を、先日ちょうど俺がいない時間に担当の人が来て報告されたそう。
ちなみに、その時間俺は黒服のとこに行ってました。
「なるほど。それは確かに焦るわな」
しかも、その額が額だ。元々数十万単位だったのが百万単位に変わってより返済への時間が長引く。それに聞く限りだとそのオートマタの態度も完全にこちらの足元を見た反応だったらしく、ホシノはそれにより腹を立てていた。急な状況の変化に腹が立つのはわかるが落ち着いてもらいたいものだ。
「それと、ユメ先輩が最近変なんです。なにか隠してるというか」
「……隠してる?」
「そうです。なにか知ってますか?」
と聞かれたが俺も言われるまで気づかなかったため知らないとしか答えられなかった。
「聞いてみたのか?」
「聞こうとしましたがタイミングが合わず、まだ聞けてません」
「ふーん。まあでも、そのうち言ってくれんじゃね?」
こんな状態の中、何を考えているのかホシノは気になっているんだろう。俺も気になるがユメ先輩のことだしな〜……と特に気にしなかった。
「こうなったらまた宝の地図を……」
「やめとけ、毎回毎回良いものが出るとは限らないんだ。ギャンブル見てえなことするより堅実に行くのが良いと思うぜ?」
「はぁ。やっぱりそうですよね」
ため息を吐きながらホシノは書類に視線を戻し、仕事をする。
「そういえば……」
「ん?」
「以前、街の人から聞いた話ですが、どうやらアビドス砂漠に妙な影を見たと言われました」
「妙な影?」
「はい。何の影かはわかりませんが、人でも寝っ転がってるのか、集団が空に手を向けているように見えたとか」
確かに妙だな。それに、なんでそんな数の人達が砂漠のど真ん中に?……罠か?
「まあ、流石に見間違いでしょ。それに、本当だったとしても罠の可能性もありますし。こういうのは関わらないのがいいでしょう」
「……ま、それもそうだな」
と俺たちは会話を切り、再度仕事に集中し午前中を過ごすのだった。
□□□
「ようこそいらっしゃいました。さぁ、そこの席にどうぞ。今、飲み物を用意しますので」
「おい待てや」
「はい?」
黒服は「どうしましたか?」という顔でこちらを見る。どうしましたかはこちらのセリフなんだが?
「今月の契約ならもう果たしたはずだが?」
「えぇ。あなたが持ってきた『魔法の聖水』なら確かに頂きました。今は解析中です。なんでもあの釜で作ったとか……。にしても、その釜は大変興味深いです、どのような力なのか解体してみたい」
「言っとくがあれは一点物なんだ。絶対に売れないね」
「クックッ。それは残念」
少し顔を俯かせながら本当に残念そうにする黒服。お前にだけはこれを渡さないからな。量産もしないからな。
「私が今回あなたを呼び出したのは、以前聞いた目的についてです」
俺の前に微糖コーヒーを置きながら本題を口にする。
今の俺は、こうしてコイツに出会う度雑談みたいな感じで俺のことを少しずつ公表している。その代わりとしてベアトリーチェの情報を貰うという契約で。今のところ話したのは、俺がゲマトリアを知る理由。これについては、「俺は予め未来を知れるんだ。方法は言わないけどな」と言って誤魔化した。多分、嘘なのはバレてるかも。あとは、さっきコイツが言った俺の行動、目的だろう。
というか、いつの間に俺の好みを把握してるんだコイツは、キモイんですが。
「契約相手の事はしっかり知るべきですからね。事前準備は大事ですから」
だとしてもそれ知ってるのはおかしいからな。あとナチュラルに心読むなプライバシーの侵害で訴えるぞ。
「クックック。それで話を戻すのですが。あなたの目的……“破滅に向かう世界を救うこと”と前回お聞きしましたが」
「今回聞きたいのは、どう破滅に向かうのか……ということか?」
その通りと言わんばかりにクックックと笑う黒服。お前の考えてることって予想しやすくて助かるぜ。
「我々はこの箱庭で探究や観測、研究を行う組織です。ですが、その目的はあくまで崇高に至るためのもの。世界の破滅、消滅を我々は是としていません。私達はそれを望まない……それが私達の共通認識です」
「なので、あなたの知る限りでどのようにこの世界に危機が訪れるのか。それを知り、対処法を考えたいのです」
なるほど。確かにコイツなら聞きたがる事だろうなと納得する。
「そうだな。……色々とあるが、一番危険度が高いとするならば、あの女かな」
「マダムの事ですか?」
「あぁそうだ。お前だから言うが、仲間には言うなよ?」
「えぇ。そういう契約ですから」
そう確認してから、俺は話す。
「今から二年後の未来に、ベアトリーチェはとんでもないことをする。それは多くの命を巻き込み、絶望を振り撒く厄災をな」
「なるほど。ですがそれは、ベアトリーチェの探求する教義や儀式を成功させるためのものだったのでは?」
「あぁそうだ。だから、世界は滅んだ。あの小物のアイツが成そうとする教義なんてものは建前に過ぎず、自分が一番になる為の手段でしかないんだ」
「それが、世界の滅びに繋がった……というわけですか」
「そういう事。……黒服、もう一つ教えてやる。俺にはまだ一つ目的があるんだ」
「ほぉ……」
「俺の第二の目的、それは『誰も死なない事』だ」
「……それは、世界を救う為に必要な事なのですか?」
全員生還なんていう大義な事を言われ、黒服は確認のためそう尋ねた。黒服にとってそれは、根拠の無い空論と捉えてそうなそれを、俺は自信ありげに答えてみせる。
「あぁもちろん。自分でも根拠は無いけど、半分くらい確信をもって言えるよ」
実際、これは嘘ではない。梔子ユメは本編前時点で死んでしまうが。それを除けば、ほとんどの生徒はちゃんと生還しているし、作中本編で死者は出ていない。
まあ、今回は俺というイレギュラーの存在があるため、ユメ死亡ルートなんていう未来を作る気は無いのだが。それに、誰も死なない事が世界救済になると言っておけば、黒服も少しは協力するかもしれないしな。
「なるほど。確信があるわけでは無いと……クックック。あなたの未来視はそこまで融通が効かないのですね」
「そうなんだよね。難儀なものだよ」
「話を聞いた時は、ガブリエルと似た神秘を持つ者がいると驚きましたが。あなたも彼女同様、完全では無いという事ですか」
「この世に完璧な存在なんているわけねぇだろ。いたとしたらそれは“超人”だろうよ」
まあ、きっとそんな存在は一人だけだろうが。
「超人。……そういえば、最近連邦生徒会のトップに新しく一年生が就任したと聞きましたね。耳を澄ませば、その方はとても素晴らしく完璧で何をするにも一歩先を見て行動しているとか。就任してまもない彼女は周りから超人として持ちはやされているそうです」
「……なんだ急に?」
「いえ。あなたと同じように、まるで未来を知っているかのように行動する人がつい浮かんだので。なにか関係があるかと思い話しました……有益かどうかは分かりませんが。貴方の未来視を超える存在とも言える彼女の情報は、きっと貴方の助けになるのではと?」
いや、そもそも未来視が嘘な時点で行く理由が無いんですけど。まあ、適当にはぐらかしておこう。というか、連邦生徒会長って一年の頃から会長してたの?マジかよ連邦生徒会ってブラックなのか??……今更だったわ。
「そんなに困ってるわけじゃないから、別にいいよ。まあ、気が向いたら行こうかな」
「そうですか。……では、マダムについての情報ですが。特に変わりはありません。魔物と呼ばれる存在も宝の洞窟も、とくにありません」
「そうか」
俺はチビチビと飲んでいた微糖コーヒーの最後を飲み干して、席を立って部屋を出る。
「今日は実に有益な時間でした」
「次呼ぶ時はパフェでも用意しとけ」
と冗談を言いながら俺はビルを出るのだった。
後日、本当にパフェを持ってきた黒服に俺はドン引きしながらも食べるのだが……それは、後々のお話。
□□□
ふと、突然何の脈絡もなく沸いた考えだった。
たまには歩いて帰ろう……そう思ったのがダメだった。
「あ〜しくった」
黒服のビルから出て数十分後に、俺はたまたま遭ったヘルメット団達に奇襲されてしまった。
それだけなら、ただ返り討ちにするだけで良かったのだがそうはいかなかった。
なんと相手の仲間に『じんめん蝶』や『ドラキーマ』などなどの魔物達が付いていたのだ。しかもそいつらはヘルメットに従順なのか、指示を受けて俺の魔法を封印してきた。そのせいで今俺は魔法が使えない。
というか、アイツらも魔法使ってきたんだよな。いつの間に使えるようになったんだ?誰かの差金なのか?それともあのお助け神父の仕業か?確証無いけどもしそうなら今度会った時ぶん殴ってやる。
魔法使えないから退避しようとキメラの翼を使おうとしたら横から掠め取られたりしたし今日は本当に運が無い事ばかり続いていた。
「それに…………ここどこや?」
気付いたら砂漠のど真ん中で砂嵐も発生した事で俺はそれに巻き込まれていた。視界悪いし目に砂入るし靴に砂入るし方向わかんねえし呪文使えないし、水あるけど食糧ねえし、マホトーンは未だ解けてくれないし。
スマホの時計を見ると時刻は十六時になっていた。
マホトーンかかってからは逃げながら攻撃していたので時間がかかってしまったし、倒してからこれに巻き込まれてあてなくずっと歩いていたから気づけばこんなにも時間が経過していた。
スラりんは学校に置いてきたし、どこに行ったか伝えてないし、今は砂嵐のせいで電波繋がらないし困ったなぁ本当に。
「……ん?」
ふと、地面に違和感を感じる。ただの砂のはずなのに……なにやら妙だ。辺りを見渡すと砂が所々で小さく盛り上がる。それはだんだんと形を形成していき、そいつの正体を露わにしていく。
「なっ……こいつは『マドハンド』!?」
なんでこいつがこんなところに、明らかに数が多過ぎる。……まさか、今日ホシノが言ってた噂の状態ってこれのことか!?確かにこいつら手しかないから納得といえば納得だ。というか待て……そもそもなんで俺はこんな事をしている?本当ならすぐ帰って来て、飯買って帰ろうと考えてた筈……なのになんでこんな――
「……えっ??」
なんだ、今一瞬なにか……時計?人?のような物が見えたような?
ガシ!
「っ!!?」
マドハンドが俺の脚を掴む。反射的に剣を抜き掴んだそいつに突き刺す。
「考えるのは後だ……今はこいつらをどうにかするのが先決だ」
そもそも、こんな数を野放しになんてできない。なんでマドハンドがここにいるかわからねえが、僅かに禍々しい力も感じる。……いったい誰が?
「まずは一掃だ。全員まとめて切り刻んでやら!」
ハイブーメランを装備して、その大群に全力で投げる。大半の敵がそれで崩れ、数を減らしていく。だが、それでもまだ大群だった。俺はもう一度投げて、今度は『回し蹴り』を使って攻撃する。それでも敵は減らなかった。
ここはマドハンドの棲家だったのか?というか、本当になんでこいつらがいるんだよ!
こんなに大量の魔物がキヴォトスにいるなんて初めてだ。いったい、いつからこんなに……。
「黒服なら、なんか知ってんのか?」
脳裏に奴の顔を浮かぶ。考えていると、マドハンドが攻撃を仕掛ける。大軍で来られたため二、三発ほど引っ掻かれてしまったが、なんとか囲いから抜けた。
ようやくマホトーンが解けたところで。
「喰らえや!『イオ!』」
イオを唱えて敵全体に爆裂をお見舞いする。お陰でやっと敵を一掃することができ、鉄の爪が出て来た。よっしゃ!爪スキル上げたろ!それかゲレゲレにあげるのも手だな。とにかく、早くこんなところおさらばして帰るか。
「これで一件落ちゃ――」
ゴゴゴゴゴゴッ!!!!
「っ!?」
突然、地面が激しく揺れる。先程とは大違いの何か、巨大な何かが地の底から地層を破壊して這い回っているような、そんな激しい地響きがしていた。
「な、なんだ?!」
まだモンスターが!?砂を泳ぐモンスターなんて絶対強いし勝てないって!?これは流石に逃げるが勝ちだ。もう魔法は使える……ならルーラを使って――
ドゴッ!!!
とてつもない音と共に地面を突き破られる。直後。背後から謎の巨体が地面から噴き出した。反射的な振り向こうとするがその前に砂の波に襲われ、砂の中に埋もれてしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……。くそ!遅かった」
なんとか砂を掻き分け脱出したものの、体力が底をつきそこでへたれてしまった。へたれている場合ではないのだが、正直もう一歩も動けなかった。
「こんなに過酷な旅は初めてだぜ。貴重な体験だが今は嬉しくねぇな」
軽口を叩ける余裕はあるのが幸いか。
たがそれも、目の前の存在により一瞬にして覆った。
「……あっ」
砂嵐の隙間から見えた、一面黄色の世界に白に一際輝くとにかく目立つソイツを俺はようやく視認した。
機械的で、しかし生物っぽいところの残る装甲、巨体から鳴り続ける機械特有の駆動音とエネルギーの光。
穴から伸びる体はとてつもなく長く、太く……鯨か蛇を彷彿とさせるようなフォルムで、それは勇ましくも恐ろしく神々しさを感じさせるものだった。
その圧倒的な存在感が、目の前で俺を見つめている。
「うそ…………だろ?」
俺は、こいつが何か知っていた。
「『ビナー』が何故…………!!!」
最初に来たのは疑問だった。ゲームでは、総力戦などでビナーが度々出現することがあった。ナワバリから出て時々暴れる奴……それがビナーのイメージ。昔のアビドスはわからんが、今のアビドスでこいつを切り抜けるだけの戦略はない。俺がいても勝てないことは明白で。次に来たのは、確信した死への恐怖だった。
ビナーのモノアイのような目が、俺を捕らえる。
次の瞬間、ビナーが口を開き、その奥から高圧力のエネルギーが集まっていく。呆然としていた意識を引き戻した時には、既にそれは溜まっていて……。
「っ!!?ま――――」
高熱のビームが無慈悲にも放たれたのだった。
□□□時間は戻り正午ごろ。
「ここも……特に問題はなし」
午前にルイと一緒に書類仕事をした後、私はいつものようにパトロールをしていた。私達の学校は生徒数が限り無く少ない。まだ名簿には数名残ってはいるものの書いてあるだけで通っても来ないし多分もう来ないだろう。
それと、利息の金額が上がった事をユメ先輩が報告したが、知った人達はその日以降学校に来ることは無くなった。あんた達も、ここを捨てるんですね。
「まあ、もとよりあんなのに期待はしてなかったけど」
それでも、今抜けられるのは大変困る。
これ以上の生徒数の減少は学校としての力や権限を損なってしまう。もう私たちに、連邦生徒会への発言権があるのか怪しいけど。それでも、居てくれるだけで役には立つ。だから、残って貢献してほしかった。
「あ、ホシノ……」
「………………何?」
パトロールが終わって戻ってくると、同級生数人が生徒会室の前にやって来ていた。
「その……ここを辞めようと思って。転学の書類が欲しいんだけど」
「っ…………そう、ですか」
「副会長なんでしょ?今生徒会長いないし、ちょっと頼めないかな?」
言われずともそんな言葉が飛んでくることはわかっていた。でも、いざ耳にしてみると、結構ショックだったのか私の顔は歪んでいた。同時に沸き立っている苛立ちを抑える。
「わかりました」
私に彼女達を止める権利はないし、相手の人生にそこまで干渉する気も私には無かった。だから、彼女達の願い通り私は転校に必要な書類を作った。もはやまともな学力を測ってもいないから、適当でいいだろう。
「ごめんねホシノさん」
「私たちもここのことは好きなんだけど。もうそうも言ってられなくて。ホシノさんや生徒会長さんには悪いけど。ここを辞めさせてもらいます」
思ってもないくせにペラペラと決まり文句を吐く同級生達。本当に好きなら辞めなければいいのに。好きだったの間違いでしょ?ここが好きな癖にあなた方はそんなのを簡単に捨てられるんですね。それがあなた達の“好きなもの”に対する行為なのですね。
口には出さないが、今の心の中はそれくらい荒れていた。出来上がった書類を渡すと、私が爆発する前にソイツらは学校を出て行った。
「…………フン」
私は生徒会室のソファーに着き、夜のパトロールのために仮眠を取る。少し寝れば、このイライラも抜けるだろうと、そう思って。だが、そんな時間が取れることはなく、間髪入れず携帯がけたたましく鳴った。
「……はぁ。また、ですか」
私はそれを見てすぐに準備をし、学校を後にし連絡をくれた本人の元に向かうのだった。
□□□
「つ、つよ……すぎる」
「こんなものですか」
足元に倒れ伏すチンピラと赤、緑、青のスライムの群れたちを見下ろしながら私は呟く。パトロールの途中で先輩から電話がかかってきて、急いで向かえば先輩が連れ去られそうになっており、そのチンピラたちをなぎ倒して今の状況になっていた。チンピラたちは気絶しており、当分は起き上がらなさそうだった。
気絶しているゲレゲレを抱っこしてこちらに来るユメ先輩に目を向ける。
「ひぃぃぃん……ありがとぉ。ホシノちゃん」
「あれほど外に出るときは気をつけてくださいって、言ったじゃないですか。何の用で外に出たんですか」
「ちょっと用事があってね……。探し物があったんだ。でも大丈夫!ちゃんと見つかったから」
さっきまで攫われそうになっていたとは思えない様子の先輩に私は嘆息する。探し物がなんだか知らないが、毎度毎度同じミスをするのはいい加減にして欲しい。ただ、もうそろそろ日が暮れる。早くしないと暗くなるし、またチンピラに絡まれるのも御免だった。
――――
生徒会室に戻れば、もう外は真っ暗だった。先輩はうきうきした様子で何かの用意をしていた。
「ホシノちゃん見て見てー!アビドス砂祭りの昔のポスター!やっと手に入れたよー!この時はまだ、オアシスが湖みたいに広がってたんだよねー。あ、このポスターは記念にあげる!」
ユメ先輩は嬉々として語り、私にそのポスターを渡して空想を語る。
「えへへ、すっごく素敵でしょー?もし何か奇跡が起きたら、またこの頃みたいに人がたっくさん集まって――」
「奇跡なんて起きっこないですよ、先輩」
私は怒っていた。奇跡? 別に奇跡自体は否定しない。先輩が言うには、私やルイ君が来た事や、洞窟で財宝が見つかってそれで借金が減った事も奇跡だろう。
ただ奇跡は座して待つだけでは訪れないことを私は知っている。奇跡っていうのは、頑張って初めて訪れることをあの骸骨との戦いで私は知った。だから、そんなものは気軽には来ない。そんな事があったらこんなことにはなっていない。ぶつけようのないイライラが噴き出そうとしてくる。
――しかもだ。自分があんな思いをして、今も苦しいのに、待って出てきたのがこんなもの?
「そんなもの、あるわけないじゃないですか。それよりも現実を見てください!こんな砂漠のド真ん中にもう大勢の人が来るわけないでしょう!?夢物語もいい加減にしてください!」
「うえぇ、だってホシノちゃーん……ご、ごめんね?でもね、私はきっとできると思う。ルイ君が来てくれたおかげで好転したように!このままいったらきっとどうにかなる!」
「……っ」
私もわかっている。これが八つ当たりであることくらい。ただ、都合の良い怒りの吐き口が矛先がたまたま先輩に向いてしまっただけ……そうわかっていた。でも、もう自分を止められなかった。今までため込んでいたものがついに噴出した。
「そうやってふわふわと、奇跡だの幸せだの何だの……。もっとしっかりしてください!あなたはアビドスの生徒会長なんですよ!?もう少しその肩に乗った責任を自覚したらどうなんですか!」
ビリビリッ!怒りに任せて、先輩からもらったポスターをバラバラに破く。
「う、う〜……。で、でもね!もし、私が卒業してもルイ君がいれば大丈夫だよ!ルイ君はすごいから、私達よりもきっと良い方向に学校を――」
「……は?」
ルイが……なに?なんて言った?
「先輩……確かにすごいと思いますよ。中学生で外の人間という割には……ですけどね。彼はまだ中学生です!まだ私よりも一つ下の、こんな借金問題とは関係無い部外者のガキなんです!先輩はただの中学生にそんな物を背負わせるつもりなんですか!?」
「え?……私は、そんなつもり――――」
「っ……もう結構です!!」
先輩が何か言いたそうに声を上げるが、ひたすらに無視して生徒会室から飛び出した。全力で走ったせいか、後ろから先輩は追ってこなかった。
感想と高評価、ここすき、などよかったらお願いします。励みになります。
この間、ゲレゲレとスラりんは体育館で走り回って遊んでます。
因みにルイは……どうなったと思う?
過去アビドス編の後、次なる冒険が見たいか?
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そのまま本編〈前に○○○○編をやる〉
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○○○○編やらずに本編
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過去ミレニアム編 幕間程度
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過去ゲヘナ編 プロット無し
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過去百鬼夜行編 プロット無し
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過去山海経編 プロット無し