BLUE QUEST 〜青春を駆ける戦士〜   作:松花 陽気

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スピードアップさせました。

小娘……せいぜい苦しめ


第十七話:ロールプレイの勝者

『ゆめにゅうどう』との戦闘を開始した。

ゆめにゅうどうから、異様な気配が漂う。前回のマドハンドからも感じた謎の禍々しい何かを感じる。いままで出会ってきた洞窟の奴らには無かった力の波動。

俺も初めて見るモンスターなため、初見プレイみたいな気持ちに呑気になっている。でも、そんな事を考えている暇がないことくらいもうわかっている。

きっと、今ユメ先輩は失踪している。だから、助けてとホシノは言ったのだろう。

 

「そういえばだけど、ホシノはなんでここに来れたの?」

 

シンプルな疑問をホシノに聞く。ホシノは、状況を理解したのか、戦闘態勢になりながら俺の方に向く。

夢の世界に入るだなんてどう考えても無理な話だ。それこそ、ミレニアムのダイブ装置?とか言う奴でもないと不可能な話だ。

 

「黒服が来て、いろいろあって来れました」

 

「えっ!?あの黒服が!!」

 

なぜ助けてくれた?ホシノの神秘よりも俺に対する興味が上回ったとかか?それは流石にないと思うが、絶対なんかホシノに何かする気で来ただろアイツ!?

 

「……何かされてない?」

 

「……まだなにも」

 

「よかったぁ!……てか、色々って何?」

 

「色々は色々です。説明がめんどくさいですし」

 

その色々が気になるのだが……。

 

「今はそんなことよりもアイツが先です」

 

「……それは確かにそうだ」

 

目の前の敵に集中しないとだしな。

俺も戦う準備をしなくては……と、そう思い背中に手を伸ばして……。

 

「ん?」

 

背中に伸ばした手が空を切る。その瞬間、自分に装備がないことに気づいた。

 

「やべ!?武器が」

 

「今更気づいたんですか」

 

そう言うホシノだが、ホシノにもいつもの銃はない。それがわかっているのか拳を固めて敵を見ていた。

ていうか、ここって夢の世界だろ?しかも俺の夢の中だろ?なら都合良く出せよそう言うのをよ!

 

「くそ!夢の世界なら都合よく武器とか出せよな!」

 

「それが出来たら苦労しませんよ」

 

とか言ってたら……。

 

「「っ!?」」

 

急に手元に重みがのった。手を見てみると、『鋼の剣』と『鉄の盾』が握られていた。ちなみにホシノにも武器が握られていた。だがそれはいつもの銃ではなく『鉄の斧』と『鉄の盾』だった。

あと、なんか頭が痛いなこれ。

 

「ちょっと!なんで銃じゃなくて斧なんですか!」

 

「す、すまん!パッとイメージしたのがそれだったもので……」

 

[ふん!そんな程度の武器で俺が倒せるとでも?]

 

余裕そうに笑うゆめにゅうどうに、俺は鼻で笑って言う。

 

「そう言ってられんのも今のうちだぜ」

 

そう言って、俺とホシノは同時に構える。

 

「とにかくやろう!大丈夫、ホシノなら斧も使えるよ」

 

だって、ステータスに斧スキルあったもん。だから使えるよ。

 

「やるだけやりますよ」

 

そうして、同時に飛び出す。

 

[動かれては面倒だ!『ラリホー!』]

 

やばい!夢の中で夢に落ちるのはなんかよくない気がするので、自身の剣で腕を少し深めに傷つけ、自傷させてなんとか意識を起こす。

ホシノも無理矢理、斧の側面で頭を殴り意識を起こした。判断が早い!?俺も大概だが体は大切にしろ?

 

[なにー!]

 

「はあぁーー!!」

 

ホシノが高く飛び、思いっきりソイツに斧を振り下ろす。斧の攻撃力はドラクエ8の物をイメージしたから38とそこそこ高いのだ。そして、ホシノの力は俺の力の二倍だから大ダメージだ!

 

[クソォ!……これでも喰らえ!]

 

すると、ゆめにゅうどうはもっていた枕を二つ投げつける。

そんな柔らか枕を投げられたところで枕投げのお遊びにしかならねぇよ。

 

「ごふ!!??」

 

「ルっうっ!!!?」

 

なんだ今の枕!?ただの枕のはずなのに、クソ痛いんだけど!《パジャマノアのEXスキル》強すぎんだろ!?投げつけられた枕を手に取る。中身羽毛じゃん。羽毛枕の筈なのにぶつかった瞬間岩投げつけられた感覚。

 

[今のうちだ。『瞑想』]

 

適が目を瞑り、数秒後。先ほどのホシノから喰らったダメージを回復させた。うわ!あいつ瞑想持ちかよ!めんどくせぇ〜。

 

「ならこれはどうだ!」

 

俺は目を瞑り、手のひらを前に出す。そして……同じ魔法を何度も唱えた。

『メラ、メラ、メラ、メラ、メラ!!』

 

「喰らえ!『擬似メラミ』」

 

五つの火の玉が一つになり、バランスボールほどの火の玉が出来上がる。それを奴目掛けて投げ飛ばす。

ゆめにゅうどうは横に走って避けようとしたが。

俺は前に向けた手の指を敵が動いた方向に動かす。すると、火の玉が直角で曲がりゆめにゅうどうに向かっていく。

 

「まだだ!まだ終わらんよ!」

 

ただ投げただけだと思い込んでいたお前の顔はお笑いだったぜ!

 

[な、なにぃーーー!!!]

 

まさか、曲がってくるとは思わなかったのかすぐに動けず。敵は火の玉に焼かれる。すると、体を火だるまになり、悶えながらそのまま床を回り出した。

 

[ぐわぁぁぁーー!!!]

 

だが、相手にはまだ余力があるらしく。燃え上がる火が落ち着いても奴はまだ生きていた。コイツ意外とタフだな。

 

[また、早く回復を……っ!]

 

「フン!」

 

背後から迫っていたホシノの気配に気づいたのか、寝返りをうって回避された。オノはそのまま地面に突き刺さり暗闇のような床を削っただけだった。

 

[瞑想!]

 

そして、また瞑想を使われてしまった。

 

[くふふ!こんなものか〜!]

 

「こいつ!また回復を!」

 

「こうなったら一緒に畳み掛けましょう」

 

「わかった!」

 

ホシノと息を合わせ、同時に攻撃を開始してみる。逃げられないように挟み撃ちをしたり、一旦タイミングをずらしたと思わせて何処かで合わせて同時攻撃などを試した。一発は当たりはするものの同時に当たることはなく、ラリホーも使ってくるので片方が寝ることもありまるで上手くいなかい。こうなればもうがむしゃらに連続攻撃をしようとなり、ただただ武器を振り回して近づいたが、敵もそれを読んでか枕でガードされて簡単にいなされた。

結局、どれもあまり上手くはいかず。それからはもうイタチごっこの如く流れ作業だった。ダメージを与えては回復、与えては回復を繰り返すばかり。

 

「くそ!全然やられようとしねぇ!」

 

動きはまあまあ単純で、そこまで速いわけでもないの回避だけはなぜか高い。みかわし率が高い個体なのか?元の個体がそういうタイプなのか。

というかまず、何ナンバリングで出た奴なんだこのモンスター。2や7を配信で時たまに見たが、こんな奴は見たことない。10は一ミリも見たこともやったこともないからワンチャンそれが初出か?というかまず、頻繁に回復する時点でまあまあおかしい。ボスならもっと体力に余裕がある筈。…………まさか?

 

「めんどくさい!こっちは急いでるのに!早くやられろ!」

 

ホシノも凄くイライラしている。俺も焦っている。

外の世界はいったいどれだけ経ったんだろうとか、今は何日だろうとか、ユメ先輩はまだ生きてるだろうかとか。ホシノが助けを求めたのを見るに、まだ見つかっていないのだろう。何日経過してようが、探しに行くことに変わりはない。

 

「多分だがホシノ。奴はあまり体力がない」

 

「それはなんとなくわかりますよ。頻繁に回復してますから」

 

「えっ!気づいてたの!!」

 

「は?今更」みたいな顔で見られる。マジかよ俺だけだったの。

 

「だから同時攻撃とか提案したのか……」

 

「でも気づいたってことは、何かいい作戦でも浮かんだんですか?」

 

「勘がいいね。その通りなんだけど……」

 

俺は手元を広げてある物を生み出す。手いっぱいになる量を想像する……が。なぜか出てきたのは一個だった。アイツのせいなのか、元々か、制限がかかっているらしい。

 

「まあいいや。これを投げ付ける」

 

「あー…これですか」

 

ホシノにも一回見せたことがある道具。ゲーム中はあまり使わなかったけど、この世界に来て俺が初めて戦闘に使った便利アイテム。

 

「でも、確実に当てる必要がある。ホシノ……やれるか?」

 

「……誰に言ってるんですか」

 

ホシノは、自信満々な顔でニコッと笑いながら。

 

「任せてください」

 

と、言うのだった。

 

□□□別視点

 

[作戦会議は終わったか?]

 

俺様は目の前のガキ二人を見ながら余裕な笑みを浮かべる。ふふふ。あの異形の人間の話じゃ、俺はただ足止めするだけでいいって話だった。でも、それだけではつまらねぇ……どうせなら喰らって俺様の力になってもらわねえとな。

俺は『ゆめにゅうどう』の中では弱く、群れに馴染めなかった逸れ者。少し他の奴より多芸である事くらいしか違いのねぇ雑魚の一人だった。そんな時……あのローブが現れた。

『あなたに少しばかり力を与えましょう……あなたのやり方次第では、強くなれますよ』

 

妙な衣に身を包んだ不気味で特徴的な声。そして、冷酷なまでの冷たさを持つそいつからの提案に、俺は乗った。そして、俺は人に乗り移り夢を食い、魂をも食う力を手に入れた。彼の方さまさまだぜこれは!これで俺は駆け上がれる。しかも、あのガキ二人を食えばきっと一気に上がれる気がする。

想定外の事だったが、まあこのまま長期戦に持ち込めばだんだんと眠りも深くなる。そうして意識がなくなったところを、ガブリと頂いてやるぜ!

 

「あぁ。今とっておきの作戦が浮かんだぜ!」

 

自信満々に宣言するルイという男。すると、男は宣言と同時に動き出した。俺は枕を向けて奴の剣をガードする。

 

[無駄無駄!そんな攻撃、俺様にはきかん!]

 

「だろうな!」

 

男は引く事なくひたすらに剣を振り続けた。さっきと変わらぬ攻撃。何がいい作戦だ、何も変わっておらんではないか。これであの顔をしていたとはお笑いだぜ。ふと、背後から別の気配。……あの小娘か。

俺はもう一つの枕を出し、その小娘の攻撃をいなす。

 

[何度やろうと同じ事!無駄だー!]

 

「引っかかりましたね!……今です!」

 

[……っ]

 

「くらぇー!!」

 

ふん。そんなことはわかっておるわ。先ほど男が生み出していた赤紫の袋を俺は見ている。故に、そんなもの使わせるものか!男の方を向き直り男の手首を掴み地に伏せる。

 

「ぐっ!!」

 

もうこれで終わりにしてやろう!

 

[そろそろ頂いてやるわ!]

 

「……ニッ」[っ!?それは――]

 

男が不敵に笑う。奴が手に持っていたのは、あの袋ではなかった。この世界に来た際、何度も見てきた形だ。俺はそれを見て、正気を疑った。なぜならそれは……『イオ』よりも強力な威力を持つ手榴弾だったからだ。俺はすぐに手を離そうとして……奴に手を掴まれる。そして、その場から動けなくなった。

そうして、約一秒後――――煙が一気に噴き出した。

 

[っは!?]

 

呆気に取られた。爆弾だと思ったそれは、大量の煙を発したからだ。まさか、本命はお前ではないのか!?私が困惑していると、誰かが私の口こじ開ける。

 

「いまだ!ホシノ!」「はぁぁー!!!」

 

声がかかると同時に、俺様の口の中に何かが突っ込まれる。口の中が粉っぽくなると同時に、体が痺れ出す。俺はまんまとガキ二人の二重の罠に騙されてしまった。

 

「よし!あとはひたすらリンチじゃー!!!」

 

[ヒッ!!や、やめろーーーーーーー!!!!]

 

最後の抵抗とばかりに私は叫ぶ。こうなればもう命乞いだ!プライドなど知るか!俺はまだ生きたいのだ!こんなところで死にたくない!死にたくない!

だから、命乞いをしようとして……。

 

[まってくrごふぁ!?]

 

何かを言う前に攻撃を受ける。まさかコイツら、このまま何もさせずにするつもりだな、がむしゃらに!

抵抗を!抵抗をせねば……このままでは本当に死んでしまう……!

しかし、動かそうにも先ほどのアイテムで体はぴくりとも動けない。そう、完全にもう詰みだった。

無数の痛みを受けながら……私はただ死を待つのみとなったのだった。

 

□□□ルイ視点

 

「……はっ!」

 

目覚めると、そこは見慣れた天井だった。

アビドス高校の、教室の天井がそこにある。どうやら無事戻って来れたようだ。

 

「スラー!」

「にやぁー!」

 

スラりんとゲレゲレが喜びながら飛びついてくる。体をそれを受け止め、そのじゃれつきに笑顔を浮かべる。

 

「目覚めたようでよかったです」

 

背後から不敵な声が掛かる。寝起きに入れたくない声だったので、思わず嫌そうな顔をする。

 

「凄い顔ですね。流石の私も泣きますよ?」

 

「お前がそれで泣くわけないだろ」

 

逆に泣いたらドン引くと思うが、まあ言わないでおこう。

 

「……目覚めて早々悪いですが。一つお聞きしたいことが」

 

黒服が前置きを置いて話し出す。なんだ?今月のアイテムのことか?と、黒服の言葉を待つ。

 

「あなたが眠っている際に。突然、あなたの首にある十字架が光ったのですが。……あれはなんですか?」

 

そのカミングアウトにドキッとした俺は、首にあるネックレスを守るように握りしめる。

 

「見たところ、それはこの世界の物品のようですが。なにかの神秘が込められているようです。力の気配は、貴方の持つ神秘と似通っている。私の考えとしては、これのお陰で事態が好転したのではないかと推測しております」

 

「その通りだが。……それで? まさかこれが欲しいとか言い出すんじゃないだろうな? 前もって言うが絶対にダメだぞ」

 

これはサクラコからもらったこの世界で初めての贈り物なんだ。服は……あれは例外にしておこう。とにかく絶対にあげられない。

 

「ですが、今回私がいなければ助からなかったのではありませんか?」

 

「いや違うだろ。このお守りのお陰だろうが絶対」

 

「最初からどうにかなるなら、あなたは既に起きていたはずです。しかし、私が行動するまで何も起きなかったではありませんか。つまり、何かキッカケが必要だった。結果的にそれを引き出したのは私の行動によるもの……違いますか?」

 

「………………」

 

「ご納得いただけたようでよかったです」

 

またアイツのペースだ。であれば何か言われる前に回避しなくては。

 

「そこまで言うならわかったよ。なら、今月のアイテムは二種類渡そう……それで手を打たないか?」

 

「普通、私がそれらを提示するのですが……まあいいでしょう。そこまでされるということは、あなたにとってよほど大事なものということのようですね」

 

「文字通り、俺の生命線だからな」

 

これが無いとセーブできないしね。そうなったらシスターフッドからモブを誘拐する羽目になってしまう。……それは流石に怒られそうなのでやっぱりサクラコに頼もう。

 

「……黒服。早速頼みたいことがあるんだけど」

 

「……あのオシリスの事ですね。いや、梔子ユメさんと呼ぶのが正しいですか」

 

「そこは別にどうでもいいよ。それよりも、お前に準備してもらいたい物がある」

 

「なるほど。契約にあったあなたの協力要請ですか」

 

「そ!……というわけで。今からあるものを準備してもらいたい。……できるな?」

 

「モノによります。……大方の予想はつきますが、確認として聞きましょうか」

 

「んじゃあ、答え合わせな」

 

俺は黒服にあるもの提示する。黒服はそれを聞くと「クックックッ」と、不敵に笑い教室を出ていった。

と思ったら、大きな箱を持って爆速で戻ってきた。

早くねお前???

 

「こちらで間違いないですか?」

 

と、箱を開けて中身を確認すると、言った通りのものが詰め込まれていた。準備いいなコイツ、本当に気持ち悪いんだが。ちなみに中身は水と食料、仮拠点設営用の砂漠でも使える簡単組み立てテントだ。テントとかは詳しく無いのでとりあえず使えるやつを頼むと言ったらすごくいいもの貰った。本当に用意周到だな。大丈夫かこれ?後から何か要求しない?と一瞬心配したが、そういえば契約の範囲内だから返す必要ねぇわと気付く。

 

「クックックッ(泣き)」

 

「本当に泣いたし」

 

本当に泣き出したよ。面白いけどやっぱりきもいよコイツ。

 

「……そういえば、俺が寝てからどれくらい経過したんだ?」

 

「今日で丁度一ヶ月目ですね。ちなみに、私がここに来てから15時間は経ってます」

 

かなり経っているな。教室を見渡すとなぜかカーテンが閉まってた。俺はそれを開け、外を確認すると太陽がだいぶ真上に上がっていた。スマホの時刻を見ると、今は十一時を指していた。

 

「では、私はこれで。アイテムの件はまた後日お呼びいたします。……幸運を祈ります」

 

「……そりゃどうも」

 

そう言うと、黒服はゲートを開きその場から姿を消すのだった。

少しすると、ホシノが目を覚ました。

 

「ん?……う〜ん?」

 

「おはようホシノ」

 

「……る、い?起きたの?」

 

目に微かにクマが見える。夢では見なかった顔に、俺は事態の深刻さを感じた。話してる時間も惜しいだろう……だから、まだ意識のハッキリしないホシノをなんとか覚ました後。用意した荷物を手渡しながら

 

「ホシノ、ユメ先輩を探しに行こう」

 

と、言うのだった。

 

□□□アビドス砂漠

 

諸々の準備を済ませ、俺はゲレゲレとスラりんを加入させホシノと共に学校を出発した。

今、俺はホシノに送られたユメ先輩のメッセージを手掛かりに砂漠に来ている。まあ、十中八九砂漠だろうなと予想はしていたので黒服にあれらを頼んだんだけど。

 

真上に照り出す太陽の下、休憩を挟みながらホシノに黒服のことを問われた。どんな契約を交わしたのかは、ざっくりと二つ聞いたらしいが、まだ他にもあるんじゃないかとか、なんでそうなったのか……なんで俺が黒服なんかと関わるのか。と凄い警戒の顔で問い詰められた。ここで下手に言い訳してもダメだろうと思った俺は、後で話すことを約束した。黒服との関わりでホシノからの俺への信頼度は下がっていると思っていたが、思ったより俺は信じられてるようでそれで納得した。

 

「いやー、正直ぶっ放されるんじゃないかと思ったけどね」

 

「そこまでは……しない、とは言い切れないかも。でも、ルイなら何か理由があるはずだって思ったし。それに、ルイは約束を破りませんから……死なないこと以外は」

 

「ここ最近は死んでないだろ?」と言ったら「その前にも誰かに言われたことありますよね?」と心でも読んだのかそう言われてぐうの音も出なかった。なんだこのホルス、エスパーかよ。

 

「すごく今更なんですけど、なんで二匹を連れて来たんですか?」

 

「なんでって、人手がいるだろ?今はとにかく猫の手も借りたいところなんだ」

 

「それは納得できるけど」

 

「それによ?」

 

と、ゲレゲレの方を見やる。ゲレゲレが地面を嗅ぎながらユメ先輩の匂いを手掛かりに追ってもらう。まだ子供ではあるが、ゲレゲレはあの地獄の殺し屋キラーパンサーだ。猫ということあり、匂いには敏感なはず、とユメ先輩と一番近くにいたのもあり先輩の行方を追うのに打って付けと判断して連れてきた。

 

「ですが、砂嵐のせいでその匂いすらも風にバラバラに広がっていたら。意味ないじゃないですか」

 

「……うわぁ。確かに」

 

言われるまで気付かなかった。いい考えだと思ったのに、なんかあんまり上手くいかねぇな。実際、ゲレゲレも途中から右往左往とし出しており、先輩の匂いが辿れなくなっていた。失敗だったか……しかし、人数がいる分見つけやすさは上がったはずだ。もうそれに期待するしかない。

 

そんな軽口を挟みつつ、俺たちは入念に捜索する。あんな余裕そうに話してはいたが、実際はずっと焦っていた。時間が過ぎるにつれて、冷静さが消えて行き、焦りや不安が増える。正直、余裕なんてなかった。でも、見つけるしかない。見つけなければならない。そうでないと。

 

――――ホシノを救えないから

 

そんな最低な事を考えるのだった。

 

それからも捜索は続いて行き……。

 

その二日後…………俺たちはようやく見つけた。

 

…………でも。

 

「………………っ」

 

「………………あ」

 

そこにあったのは、物言わぬ死体となったユメ先輩だったもの。

 

「ニャァ……」

 

ゲレゲレがすりすりと自分の体を擦り付ける。手を舐めて反応を見る。

 

『もうゲレちゃん!くすぐったいよぉ〜』

 

そんないつもの声は返ってこない。

 

「……すらぁ」

 

次はスラりんがユメ先輩に近づく。ひんやりする自身の体を彼女の首元に当て、熱く籠った体を冷やそうとする。だが、すでに冷たい体には意味を成さなかった。

 

『スラりんは冷たくて気持ちいね〜!涼しい〜!』

 

そんないつもの幸せそうな声は返ってこない。その光景を、俺はただ見ていることしかできなかった。

 

「……ユメ、せんぱい……?」

 

失意の底となったホシノは、ユメ先輩に近づいていく。俺も、続くように歩き出す。

 

「帰りましょう、先輩……いろいろと話したいことがあるので。……だから」

「おきて、ください」

 

――……センパイ




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特殊演出をコマンド式にと言う投票をしていましたが、アリウス編始まったらまたやろうと思います。とりあえず、今回の票は『通常通りのリアルファイト』が多かったですね。二度目の投票結果はどうなるかな。

過去アビドス編の後、次なる冒険が見たいか?

  • そのまま本編〈前に○○○○編をやる〉
  • ○○○○編やらずに本編
  • 過去ミレニアム編 幕間程度
  • 過去ゲヘナ編 プロット無し
  • 過去百鬼夜行編 プロット無し
  • 過去山海経編 プロット無し
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