ジュ〜♪パチパチッ♪
「………………」
「………………」
「………………」
「あ、焼けてますよ」
「お、おう。そうだな……うん。良い色だ、記念すべき一枚目、誰かいる?」
「あっ、じゃあ私欲しい!」
…………お通夜かよ。いや、まああながち間違いでもないのか。ユメ先輩一回死んだし……生き返ったけど。
だが、それよりも静かである理由はもう一つある…………それは。
「クックックッ。ほらほら、次々焼かないと食べられませんよ」
そう、こいつである。
「あの、何度も言うんですけど。なんで黒服の人がここにいるんですか」
ホシノが警戒の目で黒服を見ながら、俺に聞く。
俺が後から呼んだからです。
経緯を説明しよう。ホシノが情緒不安定でヤバそうだったので、無理やり締めようとして「焼肉行こうぜ!」と提案した。だが、俺はキヴォトスの焼肉なんて行ったことないからなにが良いのかわからん。金ならここ最近でめっちゃ稼いだから問題はないけど。
んで、「良い店知らない?」て聞いて「……はっ?」と結構マジに返されてそっからなんやかんやあり「では、ご一緒しても?」になって今に至る。うん……どういうこと?知らん、なんか気付いたらこうなった。しょうがないじゃん!奢りますって言われたんだもん!だったら乗るしかねぇだろそのビッグウェーブに!
「まだ若いんですから、たくさん食べれるでしょう?」
「なにナチュラルにアンタも楽しんでるんですか!」
「そういう黒服はあんまり食べないのな」
「この歳になると胃もたれがキツイものでして」
お前にもそういうのあるんだな。
「私をなんだと思ってるんですか?」
「悪徳だけど契約は守るクズ」
「否定はしません……お、タンが来ましたね。私が焼きましょうか?」
「ここは大人のアンタに焼き奉行を任せようかな」
「クックックッ。では、満足いただけるよう努めましょうか。おっホルモンも来ましたね」
ちなみに注文は黒服がしてくれた。いろいろ頼んでくれたのでいろいろ食えました。ユメと俺は遠慮なくいただいたけど、ホシノは終始ずっと黒服を警戒しながらも一応肉を食べていた。人の金で食う焼肉はうめぇな〜!と、言うが本当にそうとはな。
ちなみに、ここにはゲレゲレとスラりんもいます。店内の動物?入れて大丈夫なのか?と思ったが黒服曰く、特別な許可のもと入れてもらったそうだ。
□□□
大体食い終わったところで、網の上から肉が無くなり一旦落ち着く。このまま焼いていると話が進まない気がしたのもあるが、焼きながら話すには少しうるさい。……なので落ち着いてきたこのタイミング、俺は話題を切り出すことにした。
「よし。そこそこ腹も膨れてきたところで冷静に話ができるようになったと思う。……さて、それじゃあ話の続きだけど……」
俺は二人を見ながら真剣な顔で言う。
ちなみに黒服には一度席を外してもらっている。
「まずは、どうしてこうなったのかの経緯から聞こうか」
まずは一人ずつ話を聞く。ホシノの言い分から、と言っても既に話は聞いていたのでわかる。だが、まだユメ先輩の話は聞いてなかったのでそっちがメインになるだろう。
ホシノの話は終わり、次はユメ先輩に変わる。
「えっとね……私は――」
要約すると、ユメ先輩はホシノの為に何かを残そうとしたらしい。その何かは後で話してもらうとして……。それで、ユメ先輩がその行動したのは自分がもうすぐ卒業してしまうから、残してしまう後輩にせめてこれからの為になるものを……と考えた。そして、自分の目標でもあった『砂祭りのポスター』を見せて、話そうとした時にホシノを怒らせてしまい……証明しようとして、こんなことになった。
「結果的に、ホシノちゃんを怒らせて。それで一人で行って……また迷惑かけちゃって」
「……しかも、大好きな後輩に嫌な物まで見せちゃって。辛い思いさせちゃったよね。ごめんね!ほしのちゃん!私がおバカなせいで、いっぱい悲しませちゃって……」
「いや。私があんなに言い過ぎなければ、先輩の話をちゃんと聞いてたら、こんなことにはならなかったんです。だから、私が悪いです。先輩のせいじゃありません」
「……うん。でもね、それだけじゃないの」
その不穏な前置きに、俺達は喉を鳴らす。
でも、きっとそんな大したことじゃないだろう……そう思っていた。
しかし、その予想とは大きく外れていた答えだった。
「私……アビドスを去ろうとしてたんだ」
……その言葉が、少し落ち着いた網焼きの鉄板の上で、奇妙なほどハッキリと響いた。
「え……?」
ホシノの動きが完全に止まった。一瞬、何を言われたのかホシノは分からなかったのか、口をパクパクと少し半笑いになりながら焦ったような反応をする。
足元にいたゲレゲレが、その場の空気が一瞬にして凍りついたのを察知したように、低く喉を鳴らした。
「……去るって、どういうことですか、ユメ先輩」
ホシノの声は、先ほど黒服に向けていた怒りとは全く違う、芯から震えるような、怯えを含んだものだった。ユメ先輩は、自分の膝の上できつく握りしめられた両手を見つめながら、ぽつりぽつりと話し出した。
「あのね、ホシノちゃん。私は、アビドスが大好きだよ。それは今も、これからもずっと変わらない。でもね……自分でももう限界なんじゃないかって、どこかでずっと思ってたの」
「限界……? なに限界って……私がいたじゃないですか! 二人で、これからたくさん頑張っていこうって、そう言ってたじゃないですか。なのに……!」
「違うの、ホシノちゃん!……ただ、こんな大きい役職だけ服に着られてるような私がどんなに頑張っても無理なんじゃないかって……そう思っちゃっただけでね? あの時の私は、自分なんかよりもずっと優秀なルイ君に、安心したんだよ」
名前を出され、ウーロン茶のグラスを持ったままの俺は動きを止めた。
「ルイ君はね、たまにちょっと危なっかしいところもあるけど、いざとなったら凄い作戦を立ててくれるし。何より、アビドスの膨大な借金を返すために色々と意見したり案を出してくれた事もあったでしょ?」
そういえばあったな。あの時は、先輩主催の定例会議に強制で呼ばれて仕方なく意見しただけなのだが……。いろいろ浮かんではいたものの、どの案も現状今のアビドスでは無理な話だったため意見しただけで通る事はなかった。
「だから……私、思ったんだ。こんなおバカで無能な私なんていなくても、私より強いホシノちゃんと賢くて頼れるルイ君がいてくれればアビドスはもう大丈夫だって。やっていけるって」
ユメ先輩は力なく視線を落とし、自嘲気味に、どこか申し訳なさそうに眉を下げた。自分なんていなくても大丈夫。そう自分に言い聞かせるように。
「だからね。これで心置きなく行けるなって思ったの。本当は私、ずっとアビドスから逃げたかった……だと思う」
ユメ先輩の口から漏れ出たのは、そんなあまりにも弱々しい告白だった。
「先輩……?」
ホシノも俺もその答えに耳を疑った。いつも笑顔で、どんな理不尽な状況でも「へへっ」と笑っていたアビドスの生徒会長。その彼女の心の底に澱のように溜まっていた汚い物だった。
「あのね、二人のせいじゃなくて……アビドスがずっと取り組んできた、借金からだよ!毎日毎日、利息の支払いのことばかり考えて、まともな高校生活も送れなかったから…。もう、本当に嫌になっちゃってたんだと思う」
ユメ先輩の細い肩が、かすかに震える。彼女から涙が溢れる。押し止めていた本音を語るにつれ、その量は増えていく。
「でもね! でも、それだけが私の本心じゃないの!」
慌てたように顔を上げ、大粒の涙をこぼしながら、必死に言葉を紡いだ。
「確かに、学校が抱える借金からは逃げ出したかった。でも、アビドスが好きなのは本当に本当のことだったし、ホシノちゃんっていう可愛い後輩ができたことも、心の底から嬉しかったんだよ! あの時、ホシノちゃんと喧嘩した時、頭のどこかで『あぁ、私、今すごく青春してるな』って、ちょっとだけ嬉しかったもん!」
その告白に、ホシノが驚いたように目を見開く。
「だからね、ずっと引き裂かれそうだったの。みんなと一緒にいたい、まだ頑張りたいって気持ちと……もう全部捨てて逃げ出したいっていう気持ちの、板挟み状態で。あと一年で私も卒業で、最後にホシノちゃんやアビドスに来る後輩ちゃん達のために何ができるか考えて。……それで、最後にホシノちゃんに『砂祭り』のポスターを見せて、アビドスにはまだこんなに素敵な未来があるんだってことを、最後に伝えたかったの。それを遺して、私はアビドスを去るつもりだった……。でも、ホシノちゃんを怒らせちゃって、私は焦って、一人で証明しようとして……あんな風に、砂漠で行き倒れちゃって……ホシノちゃんを泣かせた。最低だよね」
「…………そんな、こと」
ホシノが呆然と呟き、力なく椅子に座り直した。
「私は、ただ先輩を守りたくて……先輩が傷つくのが嫌で、だから厳しいことばっかり言って……。でもそれで私は先輩を追い詰めた。先輩の苦しみも知らないで……ずっとそれに悩んでいた先輩をずっと追い詰めていたのは、私だったんですね」
「違うよ、ホシノちゃん! 違うの、私が悪いの!」
ホシノの言葉を否定し前に出るユメ先輩。ホシノもそれに反論し、一歩引かない。二人の感情がすれ違う。また言い合いに発展しかねないと、俺はそんな気がした。どちらも自責の念を持っていて、どちらも一歩も引かない。……もう埒があかなかった。
「おいおいおいおい!また無限ループになるから!一旦止まれ……!」
二人を静止し、落ち着いてもらう。
ここまでの経緯と二人の感情を知ることができところで、改めて二人に向き直ってから、俺なりの答えを出す。
「……正直、俺はどっちが悪いとかそういうのはないと思ってる」
俺のその言葉に、二人は目を見開く。
「確かに、喧嘩もしたし酷いこととかもホシノは言ったと思う。ユメ先輩も勝手に行動して、そして結果死んだ。俺から言わせれば、どっちが悪いじゃなくてどっちも悪い……八つ当たったホシノも、準備不足と伝達を怠ったユメ先輩も」
「そんなこと……」
「そんなことある。ありまくりだ……だから」
ホシノの否定を遮りながら、俺は言葉を紡いで続ける。
「一緒に謝りあって、それでお互い許して……それでおしまいだ」
そう、謝る。これでその話はおしまい。心からの謝罪を受け取り、それを許し合えばもう蟠りは無い。それで全てが丸く収まる。二人とも自分が悪いと思っているから今すぐに切り替えられないだろうが……許し合えたなら、あとは時間の問題だ。
二人がお互いの顔を見て向き直る。
最初に声を発したのは……。
「ホシノちゃん」
「ユメ先輩」
「「あっ!ごめん、先にどうぞ……あ」」
同時だった……こんなこと実際にあるんだなと思いながら黙って見守る。
「ユメ先輩……ごめんなさい」
ホシノが謝る。
「うぅん。大丈夫、私はホシノちゃんを許すよ。私もごめんなさい」
ユメも謝る。お互い頭を下げて、深く深く謝る。
「先輩の事ですからね、心配させられるのはいつもの事ですから。……なので、はい。私も先輩を許します」
こうして、仲直りの儀式は無事終わり。最後は握手をして終わった。握手じゃなくてユメ先輩からの抱擁で幕を閉じたけどね。ホシノは抱きつかれて、嬉しいやら懐かしいやら暑そうやらの顔だったが……あまり嫌そうではなかった。
「話しはついたようですね」
「はえーよ。もうちょっとこの余韻に浸らせろバカ」
全く、百合の間に挟まろうとするなんて言語道断だぞクソ野郎。………………それは俺もか。因みに俺は百合よりは男女恋愛の方が好き。でも、百合は嫌いじゃないよ?サブ程度に見るくらいなら楽しめるタイプなので。
「……?」
「独り言だ。気にするな」
「はぁー……そうですか」
なんのことかさっぱりと言う顔で呆れた目(なんとなく)をしている黒服に、俺はそう返す。
「なあ、ここってデザートってある?」
「はい、ありますが……パフェならありませんよ」
「こんな焼肉屋にそんなキラキラしたもんあると思ってないよ。……因みに何ならある?」
黒服からメニューを受け取りそれを見る。ソフトアイス系にフロート系にシャーベット……。シンプルにアイスだな。そろそろいいかなと思い、俺は二人にデザートを選ばせる……一応黒服の反応を見たが余裕そうにしてたので「高いの行け」って言っておいた。
因みに、ホシノは練乳いちごアイスでユメ先輩はソーダフロートとバニラアイスを頼んだ。
□□□
「さて、次はルイの話しですよ」
「ん?ホシノちゃん、それどういうこと?」
アイスが届きしばらくしたのち、ホシノからその話をふられる。
「あー……コイツとの契約の話ね。話すって言ったもんな」
「ねぇねぇホシノちゃん?なんの話なの?」
「この黒服という悪い人とルイがなにかの契約をしているという話です」
終始なんのことかわからない先輩に簡単にそう説明するホシノ。なので、その内容がどういう物で、どうして黒服なんかと契約をするのか……話してもらうと付け足して言う。さぁーて、やってまいましたねこの話が。でも、彼女達に全部を話すつもりは俺にはなかった。まず、アリウスの件は彼女達には関係ない。知ったところで自分の高校で手一杯なのだから、知ったら知ったでユメ先輩は感情の足枷になるだろう。
あんな独白してたけどこの人お人好しだからすぐ背負おうとしちゃうんだもん。
「えっ!?この人悪い人なの!?」
「そうだよユメ先輩。だから、なにがあってもこの人の話は鵜呑みしない方がいい。足をすくってくるから」
「……クックックッ」
その通りと言わんばかりに笑っている。開き直ってたらいいと思うなよ。ぶん殴るぞ?
「……と、話がそれたな。とりあえず、話そうか」
「まず、前提としてこの契約は俺から提案した事だ。アイツからの提案は胡散臭すぎるからな。なら、自分で考えたものなら大丈夫だろうと判断した」
「契約内容については、個人的理由で多少ぼかすが嘘がない事はここで保証させてもらう」
「…………うん。いいよ!」
「言えないところが気になりますが。無理に聞いても言わなそうですね」
「そ。……んで、内容についてだが」
それからは、アリウスの件をぼかしながら伝えていく。
「俺はある目的の為、こいつからある情報を提供してもらっている。その交換条件として俺が持つアイテムを月に一度譲渡することになってる」
「待ってください!それを悪用されるとか考えなかったんですか!?」
「もちろん考えたさ。その為に、他にそれを渡さない事、流さない事を条件にさせてもらって、黒服もそれを了承した。あとは、俺の事を漏らさない為にそこも契約で制限した。まあ、俺の行動で目をつけられたらアレだが。それでも黒服は契約に則り話さないだろう」
「えぇ。確かにそうですね」
「……そう、ですか」
ホシノは黒服を見る。なにか企んでると踏んでるんだろうが隙が無いようにしたからそんな睨まなくて大丈夫だぞホシノ。
「とまあ、こんなところだな。他に聞きたい事は?」
「はい!「はいユメ先輩!」ルイ君が知りたいって言う情報ってなに?」
「それは言えません」
即答で返す。
「それが言えない事ですか?」
「察しがいいなホシノン。そういうことだよ」
「誰がホシノンですか!普通に呼んでくださいよ!とりあえず、言いたくないのはわかりました。でも、なんで言いたくないんですか……?」
核心に迫る質問が飛んできた。
どうしよう……。正直に言ってしまうと心配されそうだし、誤魔化したとしても変に心配されそうだ。う〜……どうしたもんか。
「…………理由は色々あるんだけど。一言で言うなら、それが俺の夢だからかな」
「「……夢?」」
「そう。すっごく大まかだけど、俺が目指したい将来の為なんだ。できるところまでは、自分でやりきってみたいっていうか。……だから、まだ秘密にしたいんだよね」
頭の中でそれっぽく形作りながら淡々と少し恥ずかしそうに頬を赤くしながら二人に言った。
これは半分くらい本当だ。俺にどこまで出来るのか、知りたい。力の底を……限界を知りたい。もっと言えば、俺はカッコつけたいのかもしれない。自分一人で成し遂げて、すごい奴だと証明したいのかもしれない。
「……どんな夢かわかんないけど。私は応援するよ!」
ユメ先輩は喜んで背中を押す言葉を投げる。ホシノは少し呆れ気味にため息を吐いていたが。でも、納得したようにルイを見て応援をした。
「でも、絶対に死ぬようなことはしないでくださいよ」
「そうだよ!それは絶対守ってよね!」
「ぜ、善処します」
「「善処じゃなくて絶対」」
ハイライト消して笑わないでユメ先輩!ホシノも人を刺す目で見ないで!?
「な、なるべく……ね?」
その後、小一時間ほど詰められたが黒服もあっち側だったが故に「はい」と頷くしかなくなり、約束を取り付けられました。………………まあ、守るとは言ってないがな!
そんなこんなあったが……こうしてアビドス生徒会長死亡事件を脱することができた俺は、喜びに震えながら明日を迎えたのだった。
□□□翌日
「もう、行っちゃうんですね」
「またいつでも来ていいからね!」
翌日の朝。俺達は高校の校門前で集まっていた。
そう……ついにお別れの時が来たのだ。約二ヶ月という短い滞在だったが、とても濃い日を過ごせた気がする。まあ、一月間寝てたから実質一月だが……。
「うん。また来るよ」
「すら!ぷるぷる」
「にやぁ〜!」
「にしても……いいんですか。本当に?」
ホシノが心配そうに聞いてくる。
「あ〜、“外部生徒会役員”のことね。別に気にすんな。結局受けると決めてサインしたのは俺なんだから」
そう。少し前から提案されていた外部生徒会加入の件だ。生徒会長であるユメ先輩の権限の下なので許されると思う。……知らんけど。でも、ただ入るのではなくて、条件付きにしている。
「ホシノとユメ先輩二人が卒業するまでの間の限定だけどな。継続するかどうかは、その時の後輩に委ねる事になるけど。まあ任せておけよ!」
「つってもたまにしか来ないから幽霊部員と変わんねえけど」
「でもたまには来てくれるんでしょ?ならそれで十分だよ!それに、ルイ君が置いてってくれた宝の地図もあるから、返済もなんとかなりそうだしね」
「だからって安心もできませんが」
それはその通りだな。未来ではカイザーがなにかしら邪魔してくるし、ユメ先輩が卒業した後は黒服はホシノになにか漬け込むだろうし。一応解決したがホシノがまたそれを引き摺る可能性もある。
……俺はただ、この先の未来を信じるしかない。
「そうだ!お別れの前に……はいこれ!」
そう言ってユメ先輩は、きん…………黄金色の玉を差し出してきた。……心でも読んだのかホシノが冷たい目でこちらを見てくる。それから目を逸らしながら俺はそれを受け取った。
「なんですかこれ?」
「う〜ん、わかんない!…けど、この前来た泥棒さんが持ってた物でね。重要そうだなって思って、君に渡そうって決めたの」
「あなたには本当にお世話になりっぱなしですから。最後にせめて何か返したいって考えた結果。それになったんです」
「持ってみて、なにか感じますか?」とホシノが聞くが、正直あんまりなにかは感じない。とにかく光っていて、特別な物なのはわかる。まあ、僅かに?感覚的に凄いものってのはわかるな。
とりあえず、道具アプリに入れて名前を確認『ゴールドオーブ』「っ!!???」スルメも逆立ち!
「カンダタ……こんなもん持ってたのかよ」
でも待てよ?ということは他の場所にもこれと同じオーブがあるのでは??いや、持ってたところでなんの意味があるのか分からんが、集めた方が良さそうだ。これで旅をする理由が一つ増えたな。
「ありがとう二人とも。大事にするよ」
「よかったぁ!」
先輩は安堵して胸を撫で下ろす。ラインがはっきりとわかるな。そんなことはどうでもよくて…………。
「さて、そろそろ行くかな」
「どこに行くか決めてるんですか?」
「う〜ん。とりあえず適当にミレニアムかな」
「ミレニアム!あそこって凄い発展した場所だったよね!凄い科学?とか機械とかで溢れてるって言う!」
「聞いたことあります。あそこは比較的治安が他よりも良いらしいですよ」
「そうなのか……?」
「まあ、それでも銃撃戦はやってるでしょうけど」
キヴォトスだもん。それはもうしゃーない。
「と、今度こそ行くわ。じゃあな」
そう言って、小走りで校門を離れる。
「うん!またね〜!」
「いつでも待ってますからー!」
「にゃお〜〜!!」
俺は肩に乗せたスラりんと共に振り向きながら。
「またなーー!!」
と、走りながら手を振り返すのだった。
さあて、次なるミレニアムではどんな冒険があるのかな?次なる冒険の舞台に胸を高なせながら、俺はアビドスを後にするのだった。
感想と高評価、ここすき、などよろしくお願いします!励みになります!
ついに過去アビドス編突破しました〜〜〜〜!!
正直、何度も折れそうになったがなんとか一つの話を終わらせられました。
今回の話、書きながらそこそこ予定の展開と変更が入ってるんですよね。書いてるとね、色々とこれがいいかもとかこっちにしたら面白いとか考えて脱線しちゃうんすよね。でも、あまりノロノロと続けるといけないので、説明のところとかは端折り倒してますね。どっかで何コレとか思ってる方も、もしかしたらいるかと思います。わかりにくいとことかあったら、活動報告のところに書いても構いませんので教えてくれると助かります。ものによっては、答えられないものもあると思いますが。気軽にね!
元々の予定では、ビナーの登場とかなかったんですよね。でも、突然振って沸いたんですよ。天啓を得た!あと、ゲームの奴とかを見て一部書いてるところもあります。なので、時間がかかったりもしました。
プロットの中ではユメ先輩死亡は確定でして、世界樹の葉で生き返るのも変わってません。ただ、ルイのシーンは元々ビナーではなく、連邦生徒会長を呼ぶつもりでした。理由に関しては言いませんが、まあ色々とあるのです。
それと、ユメ先輩の独白について。あれは、独自設定です。本家でもユメ先輩のあれってなんなのか謎なんですよね。『バイバイホシノちゃん!』の手紙があったので。こういうことをずっと思ってたかもしれないって解釈しました。違ってたら恥ずかしいな。
ここまで読んでいただきありがとうございます。次は、幕間編でミレニアムを少しやります。その後、トリニティ編をやると思います。
お楽しみに
過去アビドス編の後、次なる冒険が見たいか?
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そのまま本編〈前に○○○○編をやる〉
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○○○○編やらずに本編
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過去ミレニアム編 幕間程度
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過去ゲヘナ編 プロット無し
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過去百鬼夜行編 プロット無し
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過去山海経編 プロット無し