BLUE QUEST 〜青春を駆ける戦士〜   作:松花 陽気

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———錬金釜クッキング———

やってまいりました!錬金釜クッキングのお時間です!前回は、『おおきづち』と『ヘビーメタル』を中に入れましたね。さあ、何ができているか見てみましょう。

パカンッ!!
『おおかなづち』を手に入れた!

おぉ!これはこれは強そうなハンマーですな!
攻撃力は、なんと33!高いですね。

「すごーい!」

「確かに強そうですけど……これ役に立つんですか?」

言ってやるな。ハンマーが弱いのはドラクエ8ではまあまあ周知の事実なんだよ。さて、次は何を入れようか……。

「でしたら、これとこれはどうでしょう?」

そう言うと、ホシノは『青銅の盾』と『鉄鉱石』を渡してきた。
なるほど、良い組み合わせだな。俺もだんだん、何かできる予感というものを感じられるようになってきたらしい。

「いけますかね?」

やるだけやるのもまたこの実験室の大ゴミさ!ってなわけで投入!

ボコボコボコ!
ポコポコポコポコ……

むむ!!これは何か出来そうですね!では、また次回!!


第二四話:完全復活!パーフェクトルイ之内様だぜ!

———チヒロ視点

 

ヘリの機内に、凍りついたような沈黙が広がっていた。

通信越しに校舎から状況を見守る彼女たちも、現場で目の当たりにしたネルも同様だ。いや、惨劇の最前線にいたネルこそ、一番心に深い傷を負っていてもおかしくはない。

 

「……大丈夫かい?」

 

隣の副操縦席から、ウタハが気遣うように声をかけてくる。

 

「……大丈夫、とは言えないかな」

 

「そうだろうね。さっきまで酷い吐き気と戦っていたんだ、無理もない」

 

「……ネルは、大丈夫かしら」

 

「…………それは、本人次第だろうね」

 

共有されているドローンの映像へ視線を戻し、ネルたちの様子を伺う。

だが、私の予想に反して、ネルはすぐに立ち上がり動いていた。……いや、動きを止めて一点を凝視している。そこで私も、画面の中の決定的な違和感に気がついた。

 

「遺体が……無い!?」

 

さっきまで血の海の中で息絶えていたはずのルイの姿が、どこにも無かったのだ。

すぐさまネルたちと通信を繋ぎ、現場の状況を問いただす。

 

《死体が……勝手に消えやがった》

 

ネルから返ってきたのは、到底理解しがたい報告だった。

私は即座にコンソールを操作し、建物内を広域スキャンする。だが、熱源反応も生命反応も、彼女たち以外には一切感知されない。

 

「何が……どうなっているの……!?」

 

混乱がピークに達した、次の瞬間だった。

 

トントン、と。

不意に誰かが、私の肩を軽くつついた。

 

「っ!?」

 

咄嗟に腰の銃を引き抜き、背後の侵入者へ銃口を突きつける。

――しかし、そこに立つ人物を視認した瞬間、私の手は力無く下がった。困惑はさらに深い闇へと落ちていく。

 

「……あっ……よ、よっす!オラ、ルイ!」

 

目の前に立っていたのは、数分前のボロボロで悲惨な姿とは似ても似つかない、元気いっぱいに手を振る少年だった。

 

《は!?》

《え……!?》

《はい!!?》

《そのコエは、マスター!?》

「なっ……!?」

 

通信越しに、スラりんを除く全員の悲鳴のような声が重なる。無理もない。

ついさっき死んだはずの人間が、遺体を消失させ、何事もなかったかのようにヘリの中へ瞬間移動してきたのだから。

 

そしてきっと――彼はさっきまでの惨劇も、あの肉体を苛んだ激痛も、すべて覚えているはずだ。

それなのに、なぜ目の前の少年は、こうも普通に正気を保っていられるのだろうか。

 

———普通じゃない。

 

私が抱いた彼に対する評価は、この瞬間を境に決定的なものとなった。

 

□□□ルイ視点

 

あ〜〜〜痛かった!本当にクソ痛かった!!

あのなぁ、俺は『死に戻り慣れしたメンタル最強の高校生』じゃねえんだよ!あんな激痛喰らったら、普通は精神が崩壊してもおかしくないんだって!ナツキという男のメンタルは本気で異常だと思う。自決なんて初めてやったけど、できれば二度とやりたくありません。

 

……とまあ、心の中で猛烈に逆ギレしつつ。

 

モール内の敵を掃討し終えた俺たちは、移動のために一度ヘリへと戻っていた。

ちなみに現在、帰還したネル、ハントと操縦していたチヒロとウタハの4人にガッツリ取り囲まれています。たぶん原因はあれだ。

 

「さっきはさっき、今は今だろ?この通りもうな〜んともない!」

「完全復活!パーフェクトルイ之内様だぜ!!」

 

……ってノリノリで復活アピールをしたからだと思う。

え?絶対違う?そういう問題じゃない?

そうか?そうだな……いや、うん、ごめんなさい……!!

 

ちなみに通信が途切れているリオは、ヒマリに介抱されているらしい。相当ショックを受けたらしく、部屋の隅で三角座りして沈んでいるそうだ。……想像が容易すぎて胃が痛い。

 

「……んで。何か言い訳はあるか?」

 

ネルが低く重い声で圧をかけてくる。

 

「はい! 皆様の損害を最小限に抑えるための最善策であり、結果として俺の判断は正しかったと確信しております!悔いも他意もありません!」

 

「どうします?」

 

「ふむ。とりあえず、理屈抜きの説教が必要そうだね」

 

「そうね……そこに正座しなさい」

 

やっぱりこうなるんですね。

その後、俺は一人ずつ順番にたっぷりと説教を受けるハメになった。

デジャブだな……まあ、今回は100%俺が悪いんだけど。

 

説教が一巡したところで、さっきから気になっていたものに俺は目を移す。

 

「あの、さっきから気になってたけど……これは?」

 

そこにあったのは、ついさっきまで居たビルで倒したメタッピーの残骸であった。どうやら、中を調べる為に、ネルとハントが持てるだけ持ってきたそうだ。

 

「おっ機能が停止してるからかすんなりハッキングできた。これからこの中を解析してみるわ」

 

《少しでも対抗できるような手掛かりが見つかるといいですが。頼みましたよ、チーちゃん》

 

「まあ、やるだけやってみる」

 

「凄い……何書いてんのか分からねえ」

 

こっそり画面を見るが、よく分からん文字がそこら中にあるだけで何してるのか全く分からなかった。

 

「なに?この謎の回路?」

 

「どれどれ?……あーこれは、『魔力回路』ですね」

 

「魔力回路?」

 

「はい。まあ、原理は機械と変わらないです。魔力を練って呪文を唱える為に付けられたもので原理は———」

 

チヒロが何かに引っ掛かっていると、横からハントが画面を覗いてそれを説明し始めた。俺は気になってそれを聞いてみるのだが……途中から専門用語が出始めて何言ってんのか終始分からず混乱させられた。

 

 

——そして、ルイは 考えるのをやめた。

 

つまり、簡単にまとめるとだ。この魔力回路によって、このマシンは空中浮遊やら攻撃魔法の使用ができるのだと言う。

 

そんなこんなでヘリは次の目的地である地下鉄へ到着した。

先ほどと同じメンバーで地上へ降り、入り口から地下へ入る。今度は隊列を組んで進むことになったのだが、俺がパーティの先頭に立とうとすると。

 

《今後は絶対にこちらの指示に従ってもらいます》

 

通信越しにヒマリ達から強烈に睨まれた。余程さっきの光景がトラウマになったらしい。こうして俺の指揮権はあえなく剥奪されたのだった。

 

「いいか、二度とさっきみたいな無茶すんじゃねぇぞ」

 

「わかってるって。だからそのツインドラゴンをこっちに向けるのはやめて。戦いに行く前に逝っちゃうから」

 

なんちゃって!

 

「ふざけてんじゃねぇ!」(ベチンッ!!)

 

「痛ぁっ!!??」

 

銃の鎖で思いっきり頬を張られた。ダメージ40くらい持っていかれたぞ。地味にめちゃくちゃ痛い!

 

「いってぇ!何すんだよ!」

 

「真面目に注意してんのに、しょうもねぇ冗談言ってるからだ!」

 

なんで心を読むんだよ!

 

「ぶったね!親父にだってぶたれたことないのに!」

 

「……テメェは一回本気でぶたれた方がいいと思うがな」

 

《同感です。帰還したら私からも一発受けてもらいましょうか》

 

「え?」

 

《そうだね。どうぜ回復できるんだし、一回くらいいいよね》

 

「ええっ!?」

 

「バカなマスターにはイいクスリかと」

 

「おいハント、テメェ裏切るのか!?」

 

「スラッ!」「スラりんもそうオモう、とオッシャっています」

 

「す、スラりんまで……!?」

 

スラりんにまで見放されていた事実にショックを受けつつ、俺たちは地下鉄の奥へと進む。途中に出会したプロトキラーをサクッと掃討しながら進むと、あっという間に最奥部へと辿り着いた。

 

「オヤ?もう行き止まりですか」

 

「あっちより数が少なかったし、ここもハズレか。……この先も線路って続いてるんだよな?」

 

《はい。奥の崩落地点の向こう側は、反対側の地下鉄出入り口へと繋がっています》

 

「なぁリオ、一旦出て次の場所探そうぜ」

 

《ちょっと待ってちょうだい。まだ反応が残っているわ。それも……すぐ近くに!》

 

「反応?……でも、どこにも——」

 

その瞬間。

背筋を冷たい氷で撫でられたような、強烈な「殺意」を感じた。

まるで頭頂部を真上から見下ろされているような、無機質で圧倒的な圧迫感。

 

恐る恐る、視線を天井へと向ける。

暗闇の中、うっすらと点灯する「赤いモノアイ」と目が合ってしまった。

 

「……っ!!?」

 

奴の右腕がピクリと動いた瞬間、俺は喉がちぎれんばかりの声を張り上げた!

 

「上だ!!!全員離れろ!!!」

 

直後、俺たちがいた場所へ巨大なメイスが叩きつけられた!

爆風と砂煙が上がり、ゆっくりと晴れていく中で、落下してきた「それ」の姿が鮮明になる。

 

「……おいおいおい、嘘だろ!?」

 

ドラクエ好きなら興奮せずにはいられない、あの特徴的な青いスチールボディ。

右手には鋭利なサーベル、左手には重厚なメイス。頭部には角のような意匠、そして下半身には矢を装填したボウガン。

 

《な、なんだあの心を擽るロマン溢れたマシンは……!?》

 

どういう原理か空中で浮遊して飛んでいるマシンに、ウタハさんが興奮した声をあげる。俺だって普段なら「うおー!キラーマシン2だー!」と歓喜しているところだが、今は状況が最悪すぎる!

 

「キラーマシンより遥かにヤバい裏ボス級がお出ましじゃねえか!!?」

 

機械音を響かせながら、キラーマシン2のモノアイが俺たちをロックオンする。

直後、甲高い駆動音とともに襲いかかってきた!

 

・キラーマシン2が現れた。

 

身構える暇すらない圧倒的な初動!

キラーマシン2は真っ直ぐネルへ肉薄し、右手のサーベルを振り下ろす!

 

「くっ……!」

 

ネルは間一髪、ツインドラゴンの鎖で攻撃を受け止めて弾く。だが、敵の連続攻撃は止まらない。一瞬の隙を突き、下のボウガンから高射速の矢が放たれた。

ネルは即座に頭を逸らしたが、矢の先端が頬を掠め、朱い血が散る。

 

「あっっっぶね!……ギリギリだったな」

 

頬を伝う血を拭い、ネルが口端を歪める。キヴォトス人の耐久力を貫いてダメージを与える威力の攻撃。一瞬の油断も許されない相手だと、全員が悟った。

 

「これは……本気でいかないと死ぬな」

 

俺は剣を抜き、腰を落として構える。

 

「スラッ!『スクルト』!」

 

スラりんの呪文でパーティ全体の守備力が上昇したのを確認し、距離を詰める!

 

「『メタル斬り』!!」

 

鋼鉄の機体に有効かと信じて刃を叩き込むが――硬い!俺の腕力では表面に浅い傷をつけるのが限界だった。

 

《ルイ、下がって!》

 

キラーマシン2が標的を俺に変え、ボウガンを射出!

盾で間一髪防いだものの、間髪入れずに叩き込まれたメイスの追撃も剣と盾で受け止めるが、その圧倒的な質量に吹き飛ばされる!

 

「かはっ……!?」

 

地面を転がる俺へ、キラーマシン2が高スピードで突撃。一気ににとどめを刺そうとサーベルを突き出してくる——が!

 

「どこ見てんだぁ!?テメェの相手はアタシだぞ!」

 

横合いから躍り出たネルの銃弾が、マシンの頭部を弾いて軸をズラす!

ターゲットをネルへと戻すキラーマシン2。

 

「スラッ!!『ルカニ』!」

 

スラりんがルカニを唱えるが、マシンの装甲に光が弾かれた。

 

「ダメか!呪文耐性も持ってるのか!」

 

ただでさえ硬い相手にルカニが通らないのは痛すぎる。

ネルが超近接戦で敵の攻撃を捌き、ハントが後方から弓矢で精密射撃を叩き込んで隙を作っているが、決定打には至らない。

 

《これ以上は危険よ。あなたはそこで見ていなさい!》

 

「そう言われても……ただ見てるわけにもいかないんだよ!」

 

俺程度の力で物理でダメージが通らないなら、やるべきことは一つ!

 

「物理がダメなら……魔法をひたすら叩き込む!」

 

ゲームの知識だけに囚われるな。どの呪文が通るかはやってみなければ分からない!

 

「『メラ』!!」

 

背後から放った火の玉が背中に命中。わずかに表面が焦げ、敵の体勢が崩れた!

 

「マスター!そのまま魔法の援護を頼みます!」

 

「任せろ!」

 

ハントの言葉を受け、俺は呪文を連射する。

ヒャドは効果なし。バギも弾かれた。だが、ギラやイオといった炎・爆発系はメラ同様に手応えがある。

そして――新しく覚えたあの呪文を詠唱する。

 

「『デイン』!!!」

 

唱えた瞬間、屋内であるにもかかわらず頭上に小さな黒雲が発生した。

キラーマシン2の真上から、一筋の鋭い雷鳴が真っ直ぐに落ちる!

 

[ギギッ!?ギギギギギギ!!!???]

 

激しい放電とともに、キラーマシン2の動きが停止した!

 

「な……!?」

 

炎系とは比較にならない効果!さらに電気のショックによって、機体が数秒間のスタン状態に陥っている!

 

「……待てよ。なら……!」

 

この地下鉄内の戦いでレベルアップしていた俺は、今の状況にうってつけの『特技』を習得していた。

デインでスタンした隙を突けば、確実に狙いを定められる。

問題は……指揮権を剥奪されている俺の独断専行をみんなが許してくれるかだが――背に腹は代えられない!

 

「やるしかない……!」

 

スタンが解け、再びモノアイを発光させて攻撃を再開するキラーマシン2。俺は隙を窺いながら、ジリジリと距離を詰めていく。

 

[ギギギ……チャージ完了]

 

不意に、不穏なシステム音声とともにマシンのモノアイが目眩く輝きを放ち始めた。

 

《マシンの目から高エネルギー反応!?ま、まさかアレは――!?》

 

「あ?」

 

「おい、なんだありゃ!?」

 

「まずい!伏せろ!!」

 

直後!モノアイから極太の赤色熱線が放たれ、地下鉄の壁と床を焼き払っていく!

間一髪で全員が伏せ、熱線の直接照射は免れた――だが、キラーマシン2の照射はこれで終わりではない!

 

「ふぅ……意外と当たらねぇな」

 

《ネル、早くそこから離れて!!》

 

「あ?なんで――」

 

《そこからさらにエネルギーが噴き出すわ!!》

 

「なっ!?」

 

ヒマリさんの悲鳴のような警告と同時に、熱線の軌道上から高熱のプラズマが爆発的に噴出した!

 

「アブないです!!」

 

ネルの前に割り込んだハントが、その身を賭して庇う!

ハントの装甲のメッキがドロリと溶け落ちるが、元々の頑丈さのおかげで致命傷は免れたようだ。

 

「わりぃ、助かった!」

 

「レイはアトです。イマはメのマエのテキを……って、マスター!?」

 

ハントが目を見開く。

二人が庇い合っている隙に、俺はキラーマシン2に向かって全力でダッシュしていたのだ!

 

「あんの……バカ野郎が!!」

 

ネルの怒号。キラーマシン2が冷徹なモノアイを俺へ向け、サーベルとメイスを構える。俺はその圧倒的なカッコよさに心の中で男泣きしながら――手を掲げた!

 

「『デイン』!!!」

 

至近距離からの雷撃!

ドカンッ!と落雷を喰らったキラーマシン2が、再び激しく放電して硬直する!

 

その一瞬の隙に、俺は武器を剣から『鉄の槍』へと切り替えた。

 

「……なるほど。ネルさん、今のうちにキラーマシン2に集中砲火を!」

 

「文句はあるが、わぁったよ!」

 

ハントに言われ、すぐさまマガジン装填し停止するキラーマシン2に一斉掃射して、敵の体力をじわじわと削っていく。

 

その間に全神経を集中させる。

視線を敵の装甲の継ぎ目、たった一点へと絞り込む。

槍を握る手に全身の体重を乗せ、踏み込んだ足で地面を砕く勢いで突撃――!

 

「『一閃突き』!!!!」

 

——ドスッ!!!!

 

一か八かの会心の一撃!

鋭い刺突はキラーマシン2の極厚装甲を豆腐のように貫通し、そのコアを正確に破壊してみせたのだった。

 

□□□

 

キラーマシン2だった鉄くずの山を背に、俺は再び正座させられて説教を受けていた。

今回は怒られるのを百も承知で突っ込んだので、甘んじて静かに説教を受け入れる。説教の合間に、さっき使った技の解説を挟んだ。

 

《なるほど。どんなに硬い敵の装甲も貫く大技……ですか》

 

「そう。どんな重装甲の奴でも、決まれば一発で貫通できるんだ」

 

《つまり、当たるかどうかは運次第ということね。でも、そういうカードがあるなら最初に共有して。そうすればもっと効率的な作戦が立てられたわ》

 

「ごめんなさい……チャンスが一瞬しかなくて言う時間がなかったんです……」

 

「ホントですよ。このバカマスターは、スコしはソウダンというのをしてください!」

 

はい、本当に申し訳ありませんでした。

 

「……はぁ。言い足りねぇことは山ほどあるが、いつまでもここに留まってるわけにもいかねぇしな」

 

《次は反対側の地下鉄エリアね》

 

「なぁ、こっちと向こうが繋がってるなら、この瓦礫を爆破して進めば早くね?」

 

ふと思い立った提案を口にしてみる。

 

「確かにそうじゃねぇか!ならさっさと破壊して進もうぜ!」

 

《待ちなさい!そんなことをしたら落盤を起こしてミイラ取りがミイラになるわ!リスクが高すぎるわ》

 

「逆に崩れて閉じ込められるパターンか」

 

「あっ、ならあの扉は?」

 

俺が指差した先には、頑丈そうな非常用通路の扉があった。

 

《あそこは……大丈夫そうですね。向こう側のエリアへ渡る避難通路に繋がっているようです》

 

「よし、あそこから行こう!」

 

《ですが……ハントさんが通れませんね》

 

「「あ」」

 

ハントの巨体が、あの狭い避難扉をくぐれるはずもなかった。

 

「ワタシはヘリにモドり、スラりんとともにチジョウからマワります。あとでゴウリュウしましょう」

 

「わかった。後で会おう」

 

「ハイ」

 

ハントとグータッチを交わし、スラりんと共にウタハの操作するドローンと共に一度地上へと戻っていった。

 

こうして、向こう側の線路へ向けて避難通路を進む俺、ネル、そしてリオのドローン。

敵の反応も無いため、俺たちは歩きながらぽつぽつと会話を交わしていた。

 

「にしても……お前、いつもあんな無茶してんのか?」

 

ネルがふと、探るような視線を向けてくる。

 

「まあ、うん。死んでも生き返れるからさ、まあいいかって思っちゃうんだよね」

 

「見てるこっちの身にもなれ!トラウマものだぞ!?アタシの目の前で自殺なんかしやがりやがって……!」

 

「……それは、本当にすみません」

 

平謝りするしかない。

 

「……お前、今まで何回死んだんだ?」

 

気になったのだろう。ネルが静かな声で尋ねてきた。

 

「え?……急にどうしたの?」

 

「ただの興味だ。言いたかねぇならいい」

 

「いや、隠すようなことでもないけど……そうだな」

 

こう見えて自分の死の回数は正確に記憶している、指を折って数えてみる。

トリニティで4回、アビドスで3回、そして……今回で1回。

 

「合計で8回は死んでますね」

 

「意外と少ないんだな。……ってか、ルイはそんな死に目にあって辛くねぇのか?」

 

「辛いか辛くないかで言ったら、クソ痛いのでクソ辛いですよ」

 

「そんな目に何度も遭ってんのに、なんでお前はそう平然としてられるんだよ」

 

「…………まあ、最初は辛かったですよ。痛みで狂いそうになったことは何度もありましたし。さっきだって、右腕が吹き飛んだ時は激痛で早く楽になりたかったし」

 

死にたくないなんて、口に出さないだけで死ぬ度にずっと思っていたのだ。

そもそも口に出す余裕すらない瀕死の状態だし、なんなら五感を失った状態で死んだことだってある。もしかしたら、一度前世で死を経験しているせいで、根本的に死に対する感覚が麻痺しているのかもしれない。

 

「でもまあ、最近はだんだんとその痛みにも慣れてきましたからね!良かった良かった!」

 

あはは、と笑ってみせる俺。

 

《いいわけがないでしょう!!!!》

 

ドローンから、割れんばかりのヒマリの怒号が鼓膜を突き破った。

驚いて飛び上がったのは俺だけで、ネルもリオも全員が冷たい目で俺を見ていた。

 

《「死」というものは、等しく重いものなのです!このキヴォトスにおいて……いえ、どこであろうと!命とは最も尊ばれるべきものであり、貴方の身勝手な判断で軽々しく捨てて良いものではありません!たとえ貴方の命が無限であろうと、貴方が死んだという事実は、残された人々の心に一生傷として残るのです!!》

《貴方のその自分を顧みない行動で、見守る私たちがどれだけ胸を痛めているか分かっているのですか!もっと周りの人間の気持ちを考えなさい!》

 

「…………はい。ご、ごめんなさい……」

 

《ふぅ……。とにかく、二度とそんな言葉を口にしないでくださいね》

 

言いたいことをすべて吐き出し、深くため息をつくヒマリさん。俺はその圧倒的な正論と気圧に完敗し、縮こまって言葉を飲み込むしかなかった。

 

《まったく……本当に世話の焼ける「弟」ですね》

 

「…………ん?……弟??」

 

あまりにも脈絡のない突然のカミングアウトに、俺とネルは思わず顔を見合わせて固まった。

 

《え……?ヒマリ、今なんて言ったの……?》

 

通信の向こうでリオさんの声が引きつる。

 

《なんですかリオ?別に間違ったことは言っていないでしょう?》

 

「いや、全然違うだろ!?」

 

「そうそう!まず血がつながってないし!」

 

《私がそう決めたのです!この決定は覆りません!それにですね、昨日食事をしている姿を見て思ったのですが。貴方、とっても可愛らしかったですよ?》

 

「それ今関係ねぇだろ!?」

 

「おい!本気で姉気取るつもりかよ!やめろ!」

 

《……ねぇ、二人で何の話をしてるの……?》

 

そこへ、ハントたちと合流したチヒロの呆れ果てた声がドローンから流れてきた。

 

「マスター!もしや、ヒマリとはイきワカれのシテイ(姉弟)——」

 

「違うわ!!」

 

《ルイ君、なにも遠慮はいりません。いつでもこのヒマリお姉ちゃんに甘えていいのですよ?》

 

「だから姉じゃないって!勝手に姉を名乗るな!」

 

というかアンタの場合はお姉ちゃんっていうか、おばあ——

 

《超天才病弱世話焼き系美少女お姉ちゃんです(ニッコリ)》

 

「心をハッキングして先回りすんな!!」

 

《そういえば、ルイ君は何月生まれですか?》

 

「……三月だけど」

 

まあこれ転生前の誕生日だからこの体は知らないが。

 

《ちなみに3月生まれの魚座のラッキーカラーは「白」だそうです。私のイメージカラーも「白」ですから、完璧な運命ですね》

 

「ただの占いのこじつけじゃねーか!ちょ、チヒロさん!あの同級生をどうにかしてください!」

 

《ごめん……もう何がどうなっているのか理解するだけで疲れたわ……》

 

「チヒロさん!??頼むから見捨てないで!あの自称・姉を名乗る不審者を連行してくれー!」

 

ドローンに向かって悲痛な叫びをあげる俺。

 

《…………》

 

《どうしましたか、リオ?》

 

《いえ、なんでもないわ》

 

リオは密かに深く心配していた。

自分の親友が、いつか「弟への過剰な愛情」で法を犯してしまうのではないかと———心の底から危惧したのだった。




感想と高評価、ここすき、など良かったらよろしくお願いします!励みになります!

最後のヒマリは私なりの解釈とプチギャグです。ヒマリは結構世話焼きで、そしておせっかいな子です。兄弟も家族もこの世界にはいない一人旅を続ける寂しい中学生には、こういうのが必要なはずだと思う。
それに、ヒマリと関わる方が面白いと思う……あとウタハもね。

○ルイはレベルアップした
レベル14→15
H P=115→128 +13
M P=64→69 +5
力 =61→63 +2
早さ=33→36 +3
守り=32→33 +1
運良=13→14 +1
??=10→22 +12
攻魔=39→46 +7
回魔=45→53 +8
・デイン、ルカニを習得 スキルポイント+18p

○スラりんがレベルアップした!
レベル11→12
HP=74→81 +7
MP=40→49 +9
力 =44→50 +6
早さ=67→75 +8
守り=28→31 +3
運良=33→40 +7
??=96→98 +2
攻魔=26→29 +3
回魔=35→37 +2
・けづくろいを習得した。

○ハントはレベル3まで上がった。
レベル1→3
HP=71→84 +13
MP=24→33 +9
力 =75→85 +10
早さ=58→66 +8
守り=93→105 +12
運良=68→73 +5
??=110→128 +18
攻魔=0→0
回魔=0→0
・ラリホーアローを習得した。


追記

同時進行でアリウス編も執筆中です。アリウス編一話は完成しました。
ストックがあるとみんなもありがたいやろと思って。あと私が楽。

勇者の剣 登場させるなら、どれ?

  • ロトの剣(王者の剣、勇者の剣・真)
  • 天空の剣
  • ラミアスの剣
  • オチェアーノの剣
  • 竜神王の剣
  • 勇者の剣・改
  • 青春世界の勇者の剣
  • 全部!!!
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