カンカンッ!カン! カンカンッ!カン!
カンカンッ!
少年が何やら、夜鍋して作業をしています。
ギシ。ギュル!ギュル!ギュル!
ググググググッ!
トンカチとねじ回し?ボルト回し?かわからないが、そんなもの使ってるかのような音が響く。
カンカンッ!カン! カンカンッ!カン!
カンカンッ!カン!
てれれれれてってって〜〜♪
第二九話:夏だ!海だ!水着だ!魔物だー!
トリニティ自治区へと続く、海沿いの風光明媚な海道。
青い水平線を横目に、俺の愛車であるサイドカー付き白馬型バイク『パトリシア』と、それに引っ張られるトレーラーが心地よいエンジン音を響かせて駆け抜けていた。
「わ〜! これが海〜!? きれ〜い!」
「ちょっと先輩!? はしゃぎすぎですって! しっかり捕まってないと落ちますよ!」
サイドカーから乗り出して歓声をあげるユメ先輩と、振り落とされないよう慌てて彼女の腰を抱きかかえるホシノ。
「ユメさん、あまり乗り出すと危険です……!」
俺の後ろにしがみついていたサクラコも、風に声を乗せて注意を促す。
「みんな、そろそろ目的地が見えてくるぞ!」
ハンドルを握る俺の格好は、ド派手な青のアロハシャツに白の短パン、サングラス、そして麦わら帽子という、どこからどう見ても完璧な夏仕様だ。
ちなみに今回の海水浴メンバーは、俺、スラりん、サクラコ、ホシノ、ユメ先輩、ゲレゲレの合計四名+二匹。ハント? アイツは、塩水で金属体が錆びるので行かないと突っぱねてきたので、今回はサクラコの家でお留守番だ。
季節は夏真っ盛り。ソシャゲで言えば水着イベントの開幕であり、ガチャ祭りの真っ最中だ。もしここがイベントシナリオの渦中なら、このあとロクでもないトラブルに巻き込まれること間違いなしである。
まあ、そんなお約束がそう都合よく起こるはずもないけれど!
ちなみに、俺たちが向かっているのはトリニティ自治区にある“無為ヶ浜”と呼ばれる観光地。広大な砂浜と澄み渡る海が一望できる、トリニティでも屈指の有名ビーチらしい。
なぜ俺たちがこうして海へ向かっているのか。時計の針を数日ほど巻き戻そう。
◇
———ミレニアムでのあの一件から数日後。
サクラコの屋敷に戻った俺、スラりん、ハントの三人は、束の間の平穏を過ごしていた。だが、キヴォトスの夏は容赦なく暑い。
「暑ーーーい……」
「スラぁ……」
屋敷の縁側で、俺とスラりんは完全に干からびていた。動いていないのに汗が吹き出してくる。
「大丈夫ですか? 冷たいレモン水を作ってきましたので、どうぞ」
見かねたサクラコが、氷の浮いたグラスを差し出してくれた。
「助かる……!」
受け取ったグラスを一気に煽る。レモンの酸味と冷えた水分が、乾いた身体に染み渡っていく。
「キンッキンに冷えてやがる……!!」
「サケノみのオッサンですか、あなたは」
ハントの呆れたツッコミは聞き流すとして。
「……それにしても暑い。家の中にいても茹だりそうだ」
――ピキーーーン!
その瞬間、俺の脳裏に電撃が走った。
「せや! サクラコ、海行こうぜ!」
「海、ですか……?」
そんな思いつきから、急遽海水浴の予定が立ち上がった。水着などの準備を進める傍ら、せっかくだからとアビドスの二人――ホシノとユメ先輩も誘うことにしたのだ。サクラコにも紹介して、交流を深めてもらおうという企みである。
ちなみに初対面の際、ユメ先輩とホシノはサクラコの独特な威厳にビビり散らかしていたが、俺のフォローの甲斐あって『礼儀正しく心優しいが、言動の節々に含みがあって盛大に勘違いされる人』という正確な(?)解釈に着地してくれた。
ホシノはまだ少し警戒を残しているものの、俺がトイレに立っている間にユメ先輩と俺の話題で意気投合し、すっかり打ち解けたらしい。一体どんな話をしていたのかは恐ろしくて聞けていないが。
◇
そんな経緯を経て、俺たちは無為ヶ浜へとやってきたわけだ。どんな屋台が出ているだろうか。焼きそばにフランクフルト、かき氷……考えるだけでお腹が鳴ってしまう。
(この男、色気より完全に食い気である)
賑やかなビーチの光景を思い浮かべながら、俺は駐車場にバイクを滑り込ませた。
□□□
「……な、なんか」
「誰もいませんね……」
バイクを停め、女子たちが着替えを済ませ、荷物を抱えて砂浜へと足を踏み入れた俺たちだったが———そこに広がっていたのは、不自然なほどの静寂だった。
燦々と降り注ぐ太陽、どこまでも続く白砂と青い海。立ち並ぶ海の家や屋台の骨組み。海水浴場として完璧なロケーションでありながら、人っ子一人存在しない。
「どういうことでしょう? 以前訪れた際は、もっと活気に満ちあふれていたはずですが……」
「不気味なまでに人の気配がないな」
「おい、お前さんたち」
首を傾げていると、背後から声をかけられた。振り返ると、そこには法被を着た柴犬姿の住民が立っていた。
「ここへは観光かね?」
「はい。海を楽しみに来たのですが……あの、みなさんはどうされたんですか?」
「どうして誰もいないのか、だろ? 悪いことは言わん、今年の海はやめておきな」
「……どうしてですか?」
俺が問い詰めると、犬住民さんは恐怖に身を震わせながら、ポツリと漏らした。
「……出たんだよ。怪物が」
「怪物……」
その言葉で、俺は即座に察した。やはり、この海にも魔物が出現していたのか。黒服からの情報で警戒はしていたが、まさかこの浜辺にまで及んでいるとは。
「すらぁ?」
リュックの隙間から、スラりんがひょっこりと顔を出した。
「パァ!……スラぁ!!」
「あっ! こら、スラりん!」
潮風に興奮したのか、スラりんがリュックを飛び出して一直線に海へ向かって走り出してしまう。俺は慌ててその後を追った。
「ルイ君! そっちは危ないよ!」
後ろからユメ先輩の制止する声が飛ぶが、スラりんを捕まえるのに夢中で止まることなく進んだ。と、波打ち際の手前で、なんとかスラりんの身体を抱きかかえることができた。
「もう、勝手に走ったらダメじゃないか、スラり……ん?」
突如、俺たちの頭上に暗い影が落ちた。
見上げれば、そこには人型でありながらゆらゆらと宙に浮き、尾鰭を揺らす異形がいた。緑の鱗を全身に纏った半魚人———マーマンだ。
ギラリと光る濁った目と視線が交差する。一瞬、思考がフリーズした。マーマンが水掻きのついた鋭い爪を振り上げる。
「ルイ!! 下がって!」
サクラコの切迫した叫びで我に返り、俺はスラりんを抱えたまま後ろへ飛び退いた。空を切る鋭い爪。
「あ、危ねえ……!」
「大丈夫ですか!?」
「ああ、助かったサクラコ!」
「あ、あぁー! あ、アイツらだ……!?」
指をさして怯える犬住民さん。どうやら、浜辺から人を追い払った元凶はコイツらしい。
[ピューーウィ!]
マーマンが甲高い口笛を鳴らすと、波間が激しく泡立ち、海の中からゾロゾロと新たな魔物が這い上がってきた。
「仲間を呼んだか……!?」
・なんと、だいおうキッズ、マリンスライムの群れが現れた!
青い子イカのような『だいおうキッズ』と、刺々しい巻貝を背負った『マリンスライム』が海から続々と上がってくる。
[ぷるっ!『スクルト』!]
マリンスライムが呪文を唱えると、群れ全体が黄緑色の光に包まれ、肉体硬度をより強固に引き締めた。
[……]カキカキ
一方で、数体のだいおうキッズは砂浜にお絵かきを始め、戦意ゼロで遊び始めていた。
「見てホシノちゃん! あのイカみたいな子、すっごくかわいいよ!」
「かわいい……じゃなくて! 先輩、別のイカがこっちに来ます!」
「あっ、本当だ!?」
[ぴぃーー!]
巻貝を構えただいおうキッズの一体が、弾丸のような勢いでユメ先輩へ突進する。
「ガルル!」ガブッ!
だが衝突の直前、ゲレゲレが横から飛びかかり、強力な牙でだいおうキッズを噛み砕いた。深いダメージを受けた魔物は、そのまま砂浜に転がって動きを止める。
[グオォ!!]
「うおっと!?」
余所見をしていた俺の眼前に、マーマンが肉薄していた。水掻きのついた手で怒涛の引き裂き攻撃を繰り出してくる。スラりんを抱えたまま間一髪で交わし続ける俺だったが――
ザッ……ズリッ!
「……くっ!?」
砂に足を取られ、体勢を大きく崩してしまった。目の前には、追撃態勢に入ったマーマンの姿。このままではスラりんごと直撃を受ける……!
「スラりん!『火の息』だ!」
「すぅ〜らーー!」
俺の咄嗟の指示に即座に応え、スラりんが至近距離から猛烈な火炎をマーマンの顔面へ吹き付けた。
炎に包まれ、苦悶の声をあげるマーマン。だが、火の息だけでは倒しきれず、激昂したマーマンがすかさず反撃の呪文を詠唱する。
[『ヒャダルコ』!!]
「しまっ――」
無数の巨大な氷塊が空中から降り注ぐ。俺は身を縮め、盾を掲げて防戦一方になる。
「危ない!!」
その時、ユメ先輩の叫び声が響いた。彼女は大きな盾を前面に押し出し、俺たちの前に躍り出た。
「『ミラーシールド』!!」
特技を発動させると同時に盾を横へ滑らせ、反射障壁の範囲を広げる。その意図を察したホシノが、素早くゲレゲレとサクラコを引き寄せてユメ先輩の背後へ滑り込んだ。
ドガガガガガンッ!!
襲い来る無数の氷塊がミラーシールドに激突し、光の軌跡を描いてそのままマーマンへと跳ね返っていく。
[ぎぃ!?]
自身が放ったヒャダルコをまともに浴び、氷漬けになりかけて動揺するマーマン。その決定的な隙を、逃すホシノではなかった。
「『疾風突き』――!」
ユメ先輩の背後から疾風のごとき踏み込みで飛び出したホシノが、一瞬で距離を詰める。至近距離から叩き込まれたショットガンの乱射。強烈な衝撃波とともに、マーマンは砂浜へ崩れ落ち、二度と動かなくなった。
リーダーを失い、残るはマリンスライムとだいおうキッズのみ。状況の不利を悟っただいおうキッズたちは、一斉に海へと逃げ出していった。
「あっ、逃げた!」
「逃したか……まあ、また来るだろ」
魔物達の逃げる背中を見ながら、俺たちは武器をしまうのだった。
□□□
「ふぅ……どうやら洞窟の外の魔物は、倒しても消滅せずに残るようですね。お金も落としませんし、手に入るのはドロップアイテムくらいでしょうか」
「みたいだな」
俺は倒れたマーマンに近づき、その身体を探ってみる。
「おっ! 『ブラックパール』を持ってるぞ!」
「わぁ! 黒くてすっごくキレイ!」
手のひらに載せた漆黒の真珠を見せると、ユメ先輩が目を輝かせた。俺たちは改めて、倒れた魔物たちに視線を落とす。
「ここに誰も人がいなかった理由が、これでハッキリしましたね」
「こんな危険なのがウロウロしてたら、そりゃ誰も来ませんよね。はぁ……せっかく海まで来たのに、他自治区にまで来て面倒事ですか」
と、ため息を吐くホシノ。
「珍しい海の魚に会えるって、あんなにはしゃいでたのにねぇ」
「ベ、別にそんな子供みたいなこと期待してませんから!」
「この場にいる奴、だいたい見た目子供だけどな」
「ルイは黙っていてください!」
軽口を叩き合いながら、ひとまず目の前の危機が去ったことに安堵の息を漏らす。
そんな俺たちのやり取りを、犬住民さんは固唾をのんで見つめていた。
(……もしかしたら、この子たちなら)
思い直したように深呼吸をすると、犬住民さんは意を決して俺たちに頭を下げた。
「なあ、君たち! 頼む、この浜をあいつらから取り戻してくれ……!」
□□□
【とある高級車の中】
「はぁ……なんとか出発できましたね」
トリニティ学園を出発した私たちは、正義実現委員会の戦車隊を引き連れ、海岸線の幹線道路を進んでいた。近頃問題となっている海域の調査を行うため、目的地である“無為ヶ浜”へと向かっているのだ。
「ただの海域調査の担当を決めるだけで、なぜあそこまで揉める必要があるのでしょう……おかげで大幅に時間が押してしまいました」
いくら母校のこととはいえ、ただの担当決めであそこまで泥沼の争いを繰り広げる生徒たちには頭が痛くなる。早急な問題解決こそが住民のためであるというのに。……なにより。
「ミカさんとの海に行く予定も、練り直しですね……」
大事な親友との休日を潰されたことに少々苛立ちを覚えつつ、私は手に持ったティーカップから紅茶を一口嗜み、テーブルのケーキにフォークを伸ばした。
「……やはり、この紅茶にはこのケーキがよく合います」
上品な甘みで苛立ちをリセットする。
「……まあ、ただの海域調査です。現地に着けば、これ以上面倒なことも起きないでしょう」
だが、彼女はまだ知らなかった。
この後に巻き込まれる大事件によって、今後のスケジュールが丸々潰れてしまうことを。
優雅にティータイムを楽しむ桐藤ナギサという少女に、それを知る由はまだなかった。
感想と高評価、ここすぎなど、よろしくお願いします!励みになります!
☆ルイのステータス
レベル16
HP=137
MP=82
力 =65
早さ=44
守り=36
運良=14
神秘=22
攻魔=59
回魔=61
○特技
剣スキル 39p
・火炎斬り・メタル斬り・氷結斬り
槍スキル 27p
・獣突き・一閃突き
ブーメランスキル 16p
・クロスカッター・スライムブロウ
斧スキル 12p
・かぶと割り
格闘スキル 14p
・回し蹴り・飛び膝蹴り
○呪文
・ホイミ・ベホイミ・キアリー・リレミト・ルーラ
・メラ・ヒャド・ギラ・イオ・バギ・デイン
・ルカニ・????
○武器 攻撃力
鉄の剣 22(メイン武器)
鉄の槍 28
ハイブーメラン 32
モーニングスター 45
蛇皮の鞭 23
○防具 守備力
麦わら帽子 9
アロハシャツ 21
鉄鍋の盾 12
祈りのロザリオ 9
チタンサングラス 9
・マヌーサの耐性20%
☆サクラコ
レベル15
HP=316
MP=395
力 =84
早さ=124
守り=89
運良=99
神秘=142
攻魔=120
回魔=210
○特技 残りスキルポイント32p
杖スキル 0p
・なし
弓スキル 0p
・なし
○呪文
・ホイミ・ベホイミ・バギ
○武器 攻撃力
浄化の繰り手 30
ショートボウ 23
○防具 守備力
白のワンピース 28
ビーチハット 16
ビーチサンダル 7
☆ホシノ
レベル14
HP=439
MP=33
力 =131
早さ=155
守り=91
運良=47
神秘=423
攻魔=0
回魔=0
○特技
・疾風突き・かばう・正拳突き
斧スキル 37p
・かぶと割り・オノ無双・鉄甲斬
盾スキル 0p
・なし
○呪文
・なし
○武器 攻撃力
SG(Eye_of_Horus) 42(メイン武器)
鉄のオノ 38
○防具 守備力
鉄の盾 15
アビドスのスク水 14
麦わら帽子 9
☆ユメ
レベル17
HP=242
MP=42
力 =100
早さ=42
守り=111
運良=33
神秘=272
攻魔=0
回魔=346
○特技
盾スキル 52p
・シールドアタック・うけながしの構え・ミラーシールド
槍スキル 0p
・なし
○呪文
・ホイミ・キアリー・ベホイミ・キアリク・ザメハ・マヌーサ・マホトーン
○武器 攻撃力
HG 3(メイン武器)
○防具 守備力
iron horusの盾 50
アビドスのスク水 14
☆スラりん
レベル13
HP=85
MP=58
力 =51
早さ=85
守り=32
運良=47
神秘=104
攻魔=31
回魔=40
☆ゲレゲレ
レベル7→12
HP=81→92 +11
MP=0→0 +0
力 =52→58 +6
早さ=58→65 +7
守り=34→37 +3
運良=33→35 +2
神秘=82→88 +6
攻魔=0→0 +0
回魔=0→0 +0
・ゲレゲレは、ホシノ達との宝の地図、洞窟探検中の戦いで強くなっています。ホシノが持っている『鉄のオノ』も、宝の地図から手に入れたものです。
・サクラコの『ショートボウ』も、ルイとの洞窟探検で手に入れ、サクラコが装備可能だったのであげた。
・新装備の説明は、また次回にさせていただきます。
即死、ザキ系の呪文、特技の導入 あり?なし?
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アリ
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なし
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どっちでも