機動戦士ガンダム まじかる☆バスク・オムくん 〜俺のゴーグルは全てを『みるみるー』している〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
宇宙世紀0088年1月。グリプス戦役は、最終局面に向けてその凄惨さを増していた。公式記録において、ティターンズの拠点であったア・バオア・クー、すなわち『ゼダンの門』は、アクシズの小惑星基地の激突という、あまりにも物理的かつ破滅的な一撃によって粉砕されることとなる。
だが、轟音とともに要塞の地殻が裂け、真空へと大気が噴出する阿鼻叫喚の最中、俺バスク・オム大佐は、アレキサンドリアの艦橋で叫んでいた。「みるみるーッ!!」
「計算が追いつかんッ! なぜだッ! 数万の兵士が、死を目前にして……これほどまでに『規律』を乱しているというのかッ!」
ゴーグルが捉えたのは、崩壊するゼダンの門内部で逃げ惑うティターンズ将兵たちの、極限状態における『パンツ』の惨状であった。
「視える。視えるぞ。ジャマイカンッ! 貴様ら、エリートを自称しながら……死の恐怖に直面した途端、官給品のパンツを無残に濡らし、そのゴムを弛ませているとはッ! 情けないッ、情けなすぎるぞォーッ!」
公式には『アクシズの奇策による要塞喪失』と片付けられるこの大惨事。しかしバスクの眼から見れば、それは『ティターンズという巨大な矯正組織』が、物理的な破壊以上に、その『パンツの末端』から崩壊していくプロセスそのものであった。
「認めんッ! 俺は認めんぞッ! 要塞が砕けようとも、大気圏に焼かれようとも、ティターンズの兵士ならば……最後の一秒まで、一分の隙もない『純白』、あるいは『漆黒』を維持するべきなのだッ!」
俺はゴーグルの出力を最大にし、爆発の光の向こう側を透視し続ける。そこには、脱出ポッドに駆け込む女士官たちの、焦りによる大汗でぴったり肌に張り付いたパンツの『機能性の終焉』があった。もはやそれは服ではない。死への恐怖という名の、剥き出しの本能だ。
「大佐ッ、ゼダンの門、完全に崩壊しますッ! これ以上の残留は……ッ!」周囲の部下たちが悲鳴を上げる。だが俺は動かない。指揮官の責務とは何か。それは、部下たちの死の瞬間まで、そのパンツがティターンズの理想に即しているかを、この眼でみるみるー(レコーディング)し続けることに他ならない。
「さらばだ、ゼダンの門。貴様が砕け散るその瞬間の、パンツの飛散……しかと記憶したッ! この宇宙に、もはや隠し通せる秘密など何一つないのだと……俺のゴーグルが、歴史に刻み込んでやるァーッ!」
公式設定によれば、ゼダンの門崩壊によりティターンズは主力を失い、戦局はエゥーゴとアクシズの優位へと大きく傾く。だが、爆炎に照らされたバスクのゴーグルには、崩壊の残骸とともに漂う、主を失った無数の『パンツの欠片』が、宇宙の真理を映す宝石のように輝いて見えていた。物語は、いよいよバスク自身の城塞――最新鋭旗艦ドゴス・ギアへと舞台を移す。そこは、全人類が逃げ場なくみるみるーされる、鋼鉄の揺りかごであった――ッ!