機動戦士ガンダム まじかる☆バスク・オムくん 〜俺のゴーグルは全てを『みるみるー』している〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
宇宙世紀0079年12月31日。地球連邦軍が総力を挙げた最終攻勢『星一号作戦』は、ついにジオン公国軍の最終防衛ライン、宇宙要塞ア・バオア・クーへと到達していた。俺バスク・オム大尉は、マゼランの艦橋で、オーバーヒート寸前のゴーグルを叩きながら絶叫していた。
「みるみるーッ!! みるみるみるみるーッ!!!」
要塞内部へ雪崩れ込む連邦の兵士たち。そのパイロットスーツを片っ端から透視した先に映し出されたのは、あまりにも稚拙で、無秩序で、『戦士』としての自覚を疑いたくなるような、無残なパンツの群れであった。
「ぬわーッ!! パ、パンツに名前が書いてあるゥーッ!! あのジムのパイロット、股間の官給品にマジックで『でんれんたろう』と書いてやがるッ! 小学生かァーッ!」
鼻の奥から溢れる熱い液体が、ゴーグルを血の色に染める。ジャブローやソロモンで見た『洗練された軍人の誇り』はどこにもない。ただ死を待つ子どもたちが、親に買い与えられたような不揃いのアニメ柄を、死の装甲の下に隠して震えている。
「規律ッ! 規律が微塵も感じられんッ! 学徒兵どもめッ、召集令状が届いてから今日まで、一度も『パンツの重要性』を叩き込まれなかったというのかァーッ!」
「みるみるー……視える。視えるぞ。要塞の中心部、白い悪魔(ガンダム)と相打つ赤き彗星(ジオング)。シャア・アズナブルよ……貴公のスーツの下にあるのは、ニュータイプという革新か、それとも――ぬぉっ、透けんッ! なんだこの赤い機体、パンツまで赤くてゴーグルがバグるゥーッ!」
ジオングの巨体が爆発する。凄まじい熱量と光。だがゴーグルは、散りゆく者たちが最期に放った『パンツの光』を、一枚も漏らさず記録していた。学徒兵たちの無秩序な柄。連邦兵の野暮ったい白。この宇宙は今、あまりにも『乱れて』いる。
「認めんッ! 俺は認めんぞッ! こんな不揃いなパンツのまま、宇宙へ進出するなどォーッ!」
ア・バオア・クーが沈む。歴史家はこれを「独裁国家ジオンの終焉」と呼ぶ。だが俺バスク・オムにとっては――全人類のパンツを、ひとつの規律、ひとつの柄に染め上げる、絶対的な管理社会(ティターンズ)への渇望が、確信に変わった瞬間であった。
「ジャマイカン。戦争は終わる。だがこれは終戦ではない。全人類のパンツを『みるみるー』し、統制するための、永劫なる聖戦の幕開けだッ!」
俺は鼻血で汚れたゴーグルを乱暴に拭い、宇宙に漂う無数の布切れの残骸を見つめた。「全人類を……『黒パンツ』で染め上げる。それこそが、俺の、ティターンズの正義だァーッ!」――だが、その狂気の理想を現実にするには、俺はまだ『大尉』でしかなかった。組織を奪い、権力を握らねばならぬ。次なる戦いの舞台は、血塗られた会議室である――ッ!