機動戦士ガンダム まじかる☆バスク・オムくん 〜俺のゴーグルは全てを『みるみるー』している〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
宇宙世紀0087年3月2日。サイド7のコロニー『グリーン・ノア1』。公式記録において、この日はエゥーゴによる『ガンダムMk-II強奪事件』が発生し、グリプス戦役の火蓋が切られた歴史的転換点である。だがその激動の渦中、ティターンズ総旗艦アレキサンドリアのブリッジで、俺バスク・オム大佐は不快指数の極致に達していた。
「みるみるー……計算が合わんッ! なぜだッ、なぜこれほどまでに、コロニー市民のパンツは『ゆるい』のだッ!」
透視の先に広がるのは、平和に浸りきった市民たちの、伸びきったゴムの、ヨレヨレのパンツ群。一年戦争の緊張感はどこへ行った。ジオンの攻めた柄も、連邦の管理された白もない。あるのは、重力に魂を引かれた者たちの、だらしない『部屋着パンツ』ばかりだった。
「ふん。この弛みきったパンツこそ、スペースノイドの本質か。やはりこの宇宙には、徹底した『みるみる洗浄』が必要だッ!」
その時だ。ゴーグルが一筋の『異常な輝き』を捉えた。「な、なんだ……あの光は……ッ」コロニー内を高速で移動する、赤い彗星――今はクワトロ・バジーナと名乗る男。その赤いノースリーブへ、俺は反射的に呪文を放った。「みるみるーッ!」
ぬぉぉぉっ。透けた先に現れたのは、まばゆいばかりの――金ピカのパンツであったッ。
「ぬわーッ!! き、金ピカじゃ〜〜〜っ!!! 正気か、クワトロォーッ!! こんな成金みたいなパンツ、宇宙で見たことないぞォーッ!」
連邦の『黒(規律)』にも、ジオンの『攻めた柄(矜持)』にも染まらない、圧倒的な『金(エゴ)』。「みるみるー、視える。視えるぞ。奴のノースリーブの奥に隠された、百式級の自意識過剰な輝きがァッ! 貴様は、その金ピカパンツで、宇宙を再び戦火に染めるつもりかァーッ!」
激しい高揚感(と鼻血)が理性を焼き切ろうとする。「大佐ッ、いや大尉、ガンダムMk-IIが盗まれましたッ! パイロットは民間人の少年ですッ!」ジャマイカンの絶叫が響く。だが俺はMk-IIなど見ていない。カミーユ・ビダンという少年が、その幼い体にどんな『未完成のパンツ』を穿いているのか。そして、それを唆したクワトロの『金ピカ』が、いかに宇宙の調和を乱しているのか。
「追えッ! アレキサンドリアを発進させろッ! あの『金ピカ野郎』を逃がすなァーッ!」
「エマ君……君も見ていたか。あの金ピカの不遜を。安心しろ。ティターンズが、貴様のその野暮ったい白パンツの安寧を、必ず守ってやるッ」
アレキサンドリアが漆黒の宇宙へと滑り出す。グリプス戦役。それは、人類が『パンツの下の真実』を巡って争う、最も醜く、最も美しい、みるみるーの戦争である。だが、この追撃の果てで俺を待っていたのは――俺が最も執着した『白パンツの女』の、まさかの裏切りだった――ッ!