銀河英雄伝説 帝国騎士の誉れゴットフリート   作:猫バロン

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第五話 士官学校入学と出会い

帝国暦473年 帝都オーディン近郊 帝国軍士官学校

 

ゴットフリート・フォン・マッケンゼン

 

「…これをもって帝国暦473年における帝国軍士官学校入学式を終了とする。来賓の方々並びに校長閣下の退場である。新入生並びに在校生は起立!」

神経質そうな司会を担当した中年の士官が緊張した声でそう言った。

 

6000名近い新たな士官候補生達と式典に参加した一部の在校生が一斉に起立した。

 

「敬礼!」司会者の上擦った声が会場に響いた。その声に合わせて父上やマティアスに教わった様に敬礼をした。一部の生徒は何処かぎこちない仕草ながらも全員が一斉に敬礼した。

 

 

式典が終了し、参列した家族達と一時の別れの挨拶をする時間が与えられた。俺も例に漏れることなく会場に溢れる士官候補生達とその家族をかき分けながら家族の元に足早に向かった。少々時間を要したがなんとか家族の元にたどり着くことができた。

 

「母上!アリーゼ!ここです!」俺が声をかけると俺の姿に気づいた様で顔には笑顔が浮かんでいる。

 

「ゴットフリート…とても立派な姿ですよ…お父様もヴァルハラで誇りに思っていると思いますよ…

アーデルハイトもこの場にいれば、どれほど喜んだことか…」そう言って、ハンカチで涙を振った。

 

「ありがとうございます母上。…ですがまだ卒業した訳ではありませんよ?これからが始まりです」俺がそう言うと母上は少し可笑しそうに笑った。母上は父上と姉上の死後かなり窶れた様子であったが今日は久しぶりに母上の笑顔を見ることができた。

 

「本当に立派です。ゴットフリート兄様。制服がとても似合っていますよ。以前よりも背も高くなられて一層似合っていますよ」俺はこの一年で一気に身長が伸びた。16歳で180センチ越えとは…父上のお陰だな。初めてこの制服に袖を通した時に改めて前世との違いに驚いたな。ここまで身長が伸びるとは思わなかったな…。

本当に前世とは大違いだな…。するとアリーゼは俺の手を掴んで自分の頭の上に持っていった。その様子に気づいた周りの人々からりから多くの視線を浴びた。

 

「…アリーゼ?人が見ているぞ?淑女が人前でこんなことをしてはいけないよ?」

俺がそう注意すると、彼女は悲しそうな顔で言った。

 

「ごめんなさい…でも、こうしてお兄様に撫でてもらえるは当分先になると思うと…」

俺は手を彼女の頭に乗せたまま屈んでアリーゼの目線に合わせて言った。

 

「夏季の休暇になれば家に帰えれる。どうか元気でいてくれ」そう言うと、アリーゼは以前では見ることができなかったような笑みを浮かべてうなずいた。…だがやはり人前では周りの注目を集める様なことは控えてほしいのだが…アリーゼには何度も言ってきたがそう言うたびに悲しい顔をするからもう言わないが…。

撫で終えるととアリーゼはいくばくの間寂しそうな顔をしていたが直ぐに笑顔に戻った。

すると微笑ましいものを見ているような表情の母上は俺に言った。

 

「ゴットフリート?周りの視線に気づいているのかしら?」

 

「気づいていますよ…変な者を見る目で見られていることでしょ?」視線を感じる方に目線を向けるといく人かの候補生の親族と思える少女達がいた。

 

しかし、どういう訳か視線が合うと全員が悲鳴をあげて逃げて行ってしまった。

……前世でこの手のことには慣れたつもりだったがやはり心に来るものがあるな…。

……ふざけんな!自分から見といて目が合ったら奇声あげて逃げるとか失礼だろうが!

最近は目が合うだけで奇声やら悲鳴だ!だったら最初から見るんじゃない!全くどうなってるんだ!

 

「ご覧の通りです…アリーゼが人前であんなことをするから…次からは気をつけてなさい。」

するとアリーゼはよくわからないと言ったような表情をしている。しかし、何故か母上は残念な生き物を見る様な目で俺を見てきた…何故だ解せぬ。俺が何かしたか?すると母上は溜め息をついてこう言ってきた。

 

「……ゴットフリート気をつけなさい。あなたもお父様と同じような苦労をしますよ。」

 

「よく分かりませんが、わかりました。アリーゼも身体を大事にするんだぞ?」俺がそう言うと明るい笑みを浮かべながらアリーゼは言った。

 

「ありがとございますお兄様。」アリーゼのは姉上の影響を受けてか絵画に興味を持っている。今年から絵画に興味を持つ幼い貴族の子弟の教育を行う温和な女性貴族のサロンを出入りしている様だ。わずか9歳でこれなのだから末恐ろしい…。

どうやらべストファーレン男爵令嬢…後のべストファーレン男爵夫人と頻繁に会ってはいる様だ。

 

「そうか。しばらく帰ることはできないが、母上を頼むぞ。それからアリーゼからの手紙を楽しみにしているぞ」

 

帝国軍士官学校の所在地は、帝国軍幼年学校とは異なり新無憂宮を中心とした帝都の中心地から離れた場所にある。おそらくではあるが体裁的な考え方によって貴族の子弟が入学させられる幼年学校とは異なり実際に将来、軍部の上層部に付く将校つまりはいずれ高級将校になる者の育成を行うという側面があるのが理由ではないかと思う。

 

勿論、候補生がほぼ全面的に寮暮らしではある為に敷地が広大な点など様々な要因があるためだとは思う。兎に角がこう言った理由でオーディンに居住している候補生であろうとも家族とは緊急時と夏季休暇を除いて会うことは許されないのである。

 

「必ずお手紙を送りますお兄様。それから必ずスケッチを同封します。」

 

「ありがとう。楽しみにしているよ。」俺がそういうと彼女はうなずいた。

 

アリーゼと話を終えると、母上に向き直って話しかけた。

 

「母上もどうかお元気で。皆んなをよろしく頼みます。」

 

「マッケンゼン家の当主として父上やご先祖様たちの名に恥じない軍人を目指しなさい。」ハンカチで涙を抑えながら、母はそう言った。

 

「わかりました。どうかお元気でお身体に気をつけて下さい。…それではまた会う日まで。」

俺は敬礼をしてから2人の元を去った。振り返るな…最後の別れじゃない…必ず会える。気持ちを切り替えろ、皆んなは大丈夫だ。

 

まずは学生課に向かうことにしようか…そうするべきだな。最低限の荷物は既に学校側を通して運び込まれている早く行こう。とりあえずこれから学生課に行って自分の部屋を見に行くしようか。それから相部屋になる相方に挨拶をしなくてはな…。俺は足早に学生課に向かった。

 

 

 

一時間程かかって、ようやく学生課で、自分が今後4年間使うことになる部屋の場所を知ることができた。やはり多くの候補生が俺と同じように考えていたようで、学生課は候補生でごった返していた。

まあそれ以上の問題があり、時間がかかったのだがな…。

 

もちろんそれ以外にも食堂に向かい早めの夕食を食べてしまう者や、元々面識にあった者たち同士で集まり話に花を咲かせている者たち、校舎の中を歩き周り場所を確認する者などがいる。予定より早く式典が終わったことと、式典や新入生の受け入れのために一部の在校生を除いて上の上級生たちが校舎にいないことが原因のようだ。

 

教わった部屋に向かいながら先ほど学生課で聞いた話を考える。特権階級である貴族たちと下級貴族や平民の扱いと言うのは大きく違う。特権階級の門閥貴族の子弟達はお迎えの召使いたちを同伴させており、居住する部屋も1人部屋の大部屋のようだ。それ自体はすでにマティアスに教わってはいたのだが召使いを引き連れながら歩いている門閥貴族の子弟どもを見ているとため息をつきたくなるがな。

 

最も士官学校でエリートコースとされている戦略科は門閥貴族の子弟に対しては特別枠が設けられている。ミッターマイヤーの言葉を借りるなら、度し難い馬鹿貴族の馬鹿息子どものための制度となるだろうか。有力者の子弟というだけで成績が保障され、保護されると言うのだから、度し難い。士官学校には人気順から戦略科や戦史科、空戦科、陸戦科、技術科、兵站科と続き他にも多くの専攻学科が存在している。艦隊司令官を含む司令官職や作戦参謀などの参謀職を希望する者たちは当然、戦略科か戦史科を希望しており実際に現役の士官でも正規艦隊司令官などの要職に付いている者の多くは戦略科か戦史科の卒業生だ。

 

そんな科の中に貴族の馬鹿息子どもがいるのだがら実力で戦略科に合格した下級貴族や平民出身の候補生にしてみれば面白くはないだろう。俺は幼い頃から前世と違って必死に…血の滲むような努力を行い勉強してきたこともあり戦略科に上位の成績で合格することができた。原作小説やアニメで見ているだけではわからなかったが帝国であろうと同盟であろうと士官学校に入学すると言うだけでとてつもないことだ。

考えて見て欲しい。西暦時代の二十一世紀における地球の総人口よりも多い人口を帝国、同盟問わずに存在しているのだ。つまり何が言いたいのかと言うと、ヤン・ウェンリーはとてつもない天才と言うことだ。大した準備もせずに宇宙船で暮らしていたのにも関わらず士官学校に合格しているのだから。

俺は自分が恵まれた環境で育ったということはわかる。それでも天才ではない。努力に努力を重ねてなんとか士官学校に合格することができた。

だからこそ分かるやはり彼もこの物語の主人公の1人なのだろう。

 

 

 

軍全体で見てみれば、下級貴族や平民出身の者たちが軍を支えていると言って過言ではない。

それなのに優秀な若者が、身分の壁によって司令官や参謀を育成する学科に入ることが叶わずふさわしい地位に就くことができないと言うのは、歯がゆいものだ。4年間固定の学科ではないにしても門閥貴族や高官の子弟は勉学の成果によらず戦略科に在籍することが許されるのだから面白くはないな。

もちろん勉学の成績が全てじゃないが少なくとも彼らよりもマシな軍人になることができるであろう他の学科候補生はいるであろうに…。

 

もっとも身分制度で凝り固まった国家であり支配の根幹として身分制度に重きが置かれているのだから、ここまでは百歩譲って仕方ないがな。

 

話を戻そう。学生課で時間をとられた理由となった問題とは、門閥貴族と俺のような下級貴族の間に存在する中級貴族と呼ばれる存在の子弟達が原因だ。彼らは門閥貴族や高官の子弟達程には優遇される事は無いが、下級貴族や平民出身の候補生たちとより差別化を行い自らの権威を示したいのか無理難題を学校側に要求するのだ。まあ要するに爵位はかなり上位ではあるが力が無い家と言えば分かりやすいだろうか。

ロイエンタールの母方の実家であるマールバッハ伯爵家などがこれにあたるな。

 

例えば彼らはこんなことを言う。「名門貴族の私がなぜ!帝国騎士や平民出身の者と同室なのか!」と言い相部屋の者を追い出し1人部屋の要求をする言うものだった。学校側も厳正に対処すれば良いものを、彼ら中級貴族が門閥貴族の子弟に取り入り自らの要求を通そうとさせるのだと言う。学校側もこの程度ならと一部の中級貴族の子弟の部屋替えをするそうだ。そのため、毎年入学式の後は一部の取り入ることに成功した中級貴族の者やそんな彼らに追い出された下級貴族や平民出身の候補生の部屋替えの手続きで忙しくなる様だった…全くアホらしい。彼らは旅行にでも来ているつもりなんのだろうか?

 

そんな彼らの相部屋になって余計な手続きをしなくてはならなくなった候補生たちがかわいそうだ。 

そんなことを考えて歩みを進めながら大きなため息をつくのだった。

そんなことを考えていると、自分の割り振られた部屋の目に入った。扉は鍵が閉まっていた。どうやら相部屋の住人はまだ来ていないようだ。鍵を使い扉を開けると寝台と勉強机、本棚と幾つかの共用家具が置かれている以外には殺風景で寒々しい部屋だった。ため息が出そうになるのは何とか堪えて、とりあえず相部屋の住人がが来るのを待つことにした。

 

どんな人だろうか?…まあここでいきなり原作の登場人物と相部屋になったら死亡フラグかもしれんな。運を任官する以前に使ってしまったってことになるからな。だがロイエンタールと相部屋になるのはなんか嫌だな。神経質そうだし皮肉家だからな…。あいつ確か在学中か任官後にも決闘騒ぎ起こしたんだっけか?その原因も女性関係が理由だからな。触らぬ神に祟りなしだできれば距離を取っておきたいが…。誰でもいいから静かでおとなしい人だといいな…。

 

そんなことを考えていると余計に気分が落ち込みそうになったが直ぐに部屋にノックの音が響いた。

 

「どうぞ」ノックに返答すると入室してきたのは先程、学生課で対応してくれた若い女性職員だった。

「マッケンゼン候補生、休まれていたところお尋ねして申し訳ありません…先ほどはありがとうございました…」ひどく疲れたの様子で、彼女は言った。 

「かまいません。どうされたのですか?」

 

「それが…」ひどく申し訳なさそうな様子で語り始めた。

「単刀直入に申し上げます…マッケンゼン候補生、部屋移っていただいてもよろしいでしょうか?」

「…何かあったのですね?」

 

「はい…実はまた彼らが原因なのです…想像していたよりも門閥貴族の御子息達に口を聞いて頂いた方の数が多く、部屋から追い出された一部の生徒に部屋が割り当てることができていないのです…」

彼女は俺をすがる様に見てから両手を地面につき、深々と頭を下げ懇願してきた。

 

「どうかお願いいたします…部屋を移っていただけないでしょうか!…マッケンゼン候補生には大部屋に移っていただき、他の候補生2人と同室となってしまいますが…何卒よろしくお願いします!どうか…どうか…」今にも泣き出しそうな表情で、彼女はそう言ってきた。

 

「落ち着いてくださいわかりましたから。私はそれで構いませんよ」彼女の目線に合わせるために膝をついてから泣き出しそうな彼女を慰める様にして丁寧にそう言った。

 

「…本当によろしいのでしょうか…?」赤くなりかけた目を擦りながら彼女はそう言ってきた。

 

「大丈夫です。ですからどうか落ち着いてください」できるだけ丁寧に俺はそう言った。

 

「…本当に申し訳ありません…上司の方からは何とかしろと無理を言われまして…それで最初に思いついたのがマッケンゼン候補生でした。先程対応した時に長時間お待ちいただいたのに何も苦情を申されませんでしたので…ご相談できるのはマッケンゼン候補生しか思いつきませんでした…」

確かにかなりの時間を待たされたが怒鳴ることでもないだろう他の者たちを見て、思ったのは確かだった。まぁおそらく、あいつらも中級貴族なんだろうがやけに、家名を叫んでいたしな…。

 

「そんなに謝られなくても大丈夫ですよ。貴女が悪いわけでは無いのですから」

俺は苦笑いを浮かべて困った様に頭をかきながらそう言った。その様子を見た彼女は先程とはうって変わり申し訳なさそうな表情を浮かべていた浮かべていた。

 

「では案内していただけますか?」俺は唯一手元に持っている荷物である背嚢を背負って彼女にそう尋ねた。すると彼女は笑みを浮かべていた自分に気づいたのか謝罪してから案内を始めてくれた。

 

「マッケンゼン候補生がお使いになられるのは本来は、大掛かりな改修工事が行われて先ほどのお部屋の様な2人部屋となるものがそのままになっているお部屋になります。ですが大きさは倍以上になっており陽当たりはお移りいただくお部屋の方が良くなっています」先導して歩く彼女の話を聞きながら廊下を歩く。

 

「それはよかった。あの部屋に初めて入った時、あまりにも薄暗くてため息をつきそうになっていましたから。」俺がそう言うと、彼女の顔にようやく笑顔を見ることができた。

 

そのほかにも他愛のないありふれた会話をしていると目的地についた。扉の横には442号室と書かれたプレートがあった。扉を開けると、そこは大きい部屋でベッドが3つ備えつけられている。共有の家具やそれぞれの学習机が置かれている。しかし、何よりも目を引いたのは大きい窓だ西日が入り込みとても部屋全体が明るく感じられた。

 

「…マッケンゼン候補生、この度は本当に申し訳ございませんでした」彼女は深々と俺に対して頭を下げた。

 

「本当にお気になさらないでください。先程も言いましたが、あなたが悪いわけではありません。ですからどうか頭を上げてください」俺がそう言うと彼女はゆっくりと頭を上げた。

 

「…本当にありがとうございました。なんとお礼を言っていいか…。それから同室になるお2人も間もなくこちらにいらっしゃると思います。もしも何かありましたら学生課の方までお越しください。お待ちしております。」もう一度深々と頭を下げた。

 

「分かりました。ですがどうか、そんなに頭を下げないでください。かえってこちらが申し訳なくなってしまいます。どうかお仕事頑張ってください。今日はありがとうございました。」

 

俺はできるだけ優しい笑顔浮かべて頭を下げた。

 

すると彼女は何故か顔を赤くして、小走りで何度も振り向きながら頭を下げて廊下を走って行った。

 

…はて?何か怒らせてしまっただろうか?…何か不快な思いをさせてしまったのだろうか…。

最近はいつもこれだ…今生では世以上に女性に嫌われるんだろうか…。

 

だがしかし、本当に貴族ってのはろくな奴がいないんじゃないか。あんなに優しそうな女の人まで困らせて。そんなことを考えて、俺は溜息をついた。

 

「とりあえずルームメイトを待つとしようか…」学習机の1つに背嚢を置くと俺はそう呟いた。

 

何かをする気にもなれずに、椅子の1つに座って休んでいるとノックの音が聞こえた。5分程だろうか。

 

どうやら待ち人が来た様だ。

 

「どうぞ」そう言うと1人の士官候補生が背嚢を担ぎ疲れた表情で入室したきた。……神様は俺のことが嫌いらしい…早死にするのかなぁ…見間違えるはずがない疲れた表情ではあるが穏やかそうで誠実そうな印象を持っている…何度もアニメで見ている顔だ多少若くはあるが間違いない…。

 

「ワーレン提督…」俺は思わず呟いてしまった。しかし、幸いにも彼には小声であったため聞こえていなかった様だ。

 

「よろしく頼む。同室になったアウグスト・ザムエル・ワーレンだ」疲れた表情ながらもにこやかに俺に対して手を差し出してきた。

 

「こちらこそよろしく。ゴットフリート・フォン・マッケンゼンだ」俺は彼が差し出した手を握り返して握手をした。彼は俺の名前を聞いて一瞬驚いた表情を浮かべた。

 

「ずいぶんと疲れた様子だが何か問題があったのか?この時間帯まで部屋が決まって、いなかったのは君も同室が貴族だったのか?」俺はワーレンに聞いた。

 

「その通りだ。おかげでたらい回しにされてが先程ようやく部屋が決まったんだ。…失礼だがまた同室がまた貴族だと聞かされてウンザリしたが部屋はここだと言われてねどんな奴かと思ってたんだが、いい意味で期待を裏切られたよ。学生課で大丈夫だと言われて訝しみながら来たんだが本当に大丈夫そうだ…前の部屋では自己紹介しようとしたら怒鳴られたからな…」困った様な笑みを浮かべて自分の首筋に手を回しながらそう言った。

 

「それは災難だったな。まあ私も貴族だが、下級貴族だ。余り気にしないでもらえると助かる。これから四年間同室になる戦友だ仲良くしてくれると嬉しい」

 

「それはこちらも同じだ。君の様な人で良かった…ここだけの話だが身分を傘に着て傲慢な奴はあまり好きじゃなくてな」

 

「それは私も同じだよ。そういう連中にはろくな奴はいないからな。」

 

「違いない」俺が笑いながらそう言うとワーレンの顔にも笑みが浮かんだ。そしてワーレンは荷物を学習机の一つに置いた。

 

 

「…所でいきなりこんなことを言ってすまないが君は、亡くなったマッケンゼン大将の親族かな?」

 

「亡くなったマッケンゼン大将は私の父だ。それがどうかしたのか?」

 

「!…いきなりこんなことを言ってすまない…申し訳なかった。家名を聞いて気になってな。…父がかつてマッケンゼン大将の部隊にいたことがあって素晴らしい指揮官だったという話しを子供の頃から聞かされていてな。…遅いかもしれないがお父上と姉君のお悔やみを申し上げる」そう言って、彼は頭を下げた。

 

「ありがとう父上も姉上もきっと喜んでくれると思う。…私も幼い頃から何度も父上から戦場や宇宙の話を聞いていてね。未だに良く覚えてるよ…あの頃は本当に楽しかった」そう話すとワーレンはなんとも言えない悲しそうな表情をした。

 

そんな彼を見て俺は言った。

 

「すまない。暗い話しをしてしまったな」

 

「いや俺から聞いたことだ。こちらこそすまない…。」

 

「では2人とも悪かったということで、暗い話はここで終わりにしようそれでどうだろうか?」少し笑って見せてワーレンに俺はそう言った。すると、彼は少し困ったような面白がっているような笑顔を見せた。

 

「ところで話は変わるが、この部屋は3人のはずだ。ワーレン候補生もそう聞いてるいるか?」俺は彼はあと1人について知っているかもしれないと思って、そう尋ねてみた。

 

「俺もそう聞いている。そろそろ部屋にいなくてはいけない時間だが大丈夫だろうか?今は16時だから、あと30分以内に同室の候補生に挨拶を済ませなくてはいかんはずだが…」

 

17時には、全ての候補生は同室の者と共に大講義室に集合せよとの通達がされている。ワーレンの言う通りそろそろ集まらなくてはならないはずだが…。

 

そんなことを話していると廊下からもの凄い速さで近づく誰かの足音が響いてきた。俺とワーレンは部屋を出て様子を見に行った。すると廊下を歩く他の生徒を追い越し、背嚢を担いで全速力で走る青年が目に入った。

 

 

「あっ…」

 

その声は俺の声だったのかそれともワーレンの声だったのだろうか。

 

…………目の前でオレンジがかった髪を持つ筋骨逞しい青年が目の前で大きな音を立てて盛大に転んだ。

 

「「………」」俺とワーレンは盛大に転けた青年を一瞥した後に見つめあった。

 

「…大丈夫か君?」俺は転んだ青年に声をかけて起こす為に手を差し出そうとした時…青年は飛び起きて俺の両肩を強く掴んだ。

 

「ここは…3人部屋の…442号室で間違いないか!?」肩を上下させ荒い息を吐きながら、彼はそう言った。唖然としているワーレンを尻目に俺は答えた。

 

「そうだ…ここは3人部屋の442号室だ…君はもしや?」すると彼は俺の両肩から手を離して言った。

 

「遅れてすまん!同室になるフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトだよろしく頼む!!」眩しい位にいい笑顔で彼はそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………そっか〜フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトね〜。将来的に黒色有槍騎兵を率いて最も同盟軍の将官を討つことにるな作中有数の猛将だね〜。

 

 

     それに〜堅実で優秀な用兵巧者で片腕ロボットアームになるアウグス・ザムエル・ワーレンね〜。

 

 

……………………………………………………………………。

 

 

 

ガチャ大当たりすぎだろ!?……俺タヒぬの!?大神オーディン!?

 

 

………………………………まあ楽しい4年間になりそうだな。(白目)

 

俺の心の叫びと錯乱を知っているのは、かの大神だけなのであった。

 

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