TS転生人外ロリ、厭世魔法少女の使い魔になる 作:蓋然性生存戦略
「早く良くなってちょうだい」
そう言って、ご主人は毎日血をくれた。
あの、無理してませんか?
そりゃもうみるみる回復していますが。
毎日100mlくらいくれるんだけど、貧血になりませんか?
なに?凄い効き目の造血剤を呑んだ?
おい馬鹿止めろ、数値上は良くても絶対よくない奴だろそれ。
ヴェスちゃんや、このバカを止めてくれ。
私のも飲みます?じゃねえよ、やめろっつってんだよ。
デリバリーばっかのお前らにこれ以上無理させて堪るかってーの。
もういい!俺は起きるぞ!!
栄養たっぷりのマスターブラッドを毎日飲んだら流石に完全回復するってーの!!
何か違和感があるにはあるが、問題ないレベルだ。
「エスカ、まだ寝t」
――スパァン。
過保護も過ぎると俺もしまいにゃ怒るぞ。
履き違えるなよご主人。
俺は使い魔でお前は主人なんだ。
俺が下で、お前が上。
そこを崩すんじゃねえ。
「……えっ?」
「バカにしないで。いつまでもウジウジと。私はセラフの何?」
「……使い魔、よ」
「そう、使い魔。尽くす存在であって尽くされる存在じゃない。履き違えないで」
ご主人、情を置きすぎだ。
確かに俺は唯一無二のパーフェクト美幼女かもしれないが、線引きはしっかりしないといけない。
お前は主人で、俺は使い魔だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
しっかり覚えておいてくれ。
「次、私に過保護になったら、私はセラフの使い魔じゃいられなくなる」
「……ごめんなさい、どうかしてた」
「それは私じゃなくてヴェスに言って。私なんかよりもヴェスの方が大事」
「っ……!!」
「じゃ、仕事するから。邪魔しないでね」
さーて仕事仕事。
ほうらやっぱり家事が溜まってるじゃないか。
だがしかし、この家事マスターエスカちゃんにかかればちょちょいのちょい!
俺を悩ませたいならゴミ屋敷でも持ってくるんだなあ!ガハハ!!
さて、まずはお皿から片付けるか。
そういえば、なんか背中とかがムズムズするんだよな。
なんというかこう、成長痛の後の違和感というか。
ハハ、神様からもらったパーフェクトボディが成長?
悪い冗談だね。
……ただ、なんか予感がするから皿を片付けたら浴室でちょっと観察しよう。
よし、終わりっと。
ついでに浴室の掃除もしちゃおう、そうしよう。
るんるるんるるーn……へ?
「なんか、生えてる……」
なんか背中から生えてるのが増えてる〜〜〜?!
さっきまで生活用に擬態してたから分からんかった!!
なんかホネホネウィングが増えてるんですけど!!
ホネホネテイルも増えてるんですけど!!
身長は……5cm伸びてる?!
俺の135cmの究極黄金比の肉体が?!
ぎゃああああああああ!!
あ、でもなんかこれただの翼じゃないな。
腕として使えるタイプの翼だ。
しかも能力使えば伸びるぞ。
……家事効率が上がるってこと?!
やったぜ!!
身長が伸びたことだけは許せないが、大まかいい成長をしたと言っても過言ではない。
成長というより進化な気もするが。
何が原因だ?
と言っても、心当たりは一つだ。
栄養たっぷりご主人ブラッド。
絶対アレのせいだ。
ここのところ毎日もらってて、どこかで満たされる感覚があった。
まあ、だからと言って何か変わったかと言われれば、戦闘力と応用力が上がったくらいだ。
この前みたいなヘマはもうしないぜ……多分。
いやぁ、家事効率が上がって嬉しい。
家事をやるのは苦ではないが、効率は上がってくれた方が嬉しい。
別に家事に囚われたいわけではないのだ。
……そういえば任務ってどうなったんだろ。
俺なんも聞いてねーや。
ご主人当たり前のように家にいるけど
もしかしてブッチした?
おいおい、お説教しないといけないことが増えたな。
ヴェスちゃんも止めてよ。
ご主人は時々叩かないといけないタイプの子なんだから。
全く、やはり俺がいないと2人ともダメっぽいな。
しかし今後は厳しくすべきか?
かなり甘やかしていた感はある。
ご主人も17歳、本来の社会に出るのもそう遠くはない年齢だ。
もうちょっと厳しくしよう、そうしよう。
ヴェスちゃんは……どうすっかな。
まあ、ついでに厳しくしとくか。
どっちも炊事は雑魚もいいところだが、基本的な掃除洗濯はできるしな。
俺の負担も少なかろう。
叩き込んじゃるわ。
俺がいなくても生きていけないとダメだかんな!
自立できるようにするところまでやるのが一流のお世話だ。
甘やかすだけってのは三流の仕事さ……。
と、思っていたんですが。
なんか進化した俺の姿を見たらご主人が曇った。
なんでや!!
とりあえず誤解してるっぽいから誤解を解くか……。
――エスカちゃん説明中――
「成長しただけ?」
「そう」
「魔物としての本能が目覚めたとかではない?」
「私を何だと思ってるの」
「万が一暴走したら私でもないと殺せない危険生物」
「酷くない?」
あのさぁ、俺は中身れっきとした人間なわけで。
純粋な魔人じゃないんだわ。
暴走とかナイナイ、腹減ったらちゃんと飯食います。
いやまあ、倒れた前科あるけど。
もう感覚は覚えたので二度目はないっすよ。
あ、そうだ!!
「そういえば、任務は?」
俺達この前の襲撃の埋め合わせで任務やってたんだぜ?
なんで俺ら家にいるわけ?
「……悪いけど抜けて来たわ」
「セラフ」
おい、事と次第によっちゃもっかいビンタだぞ。
ステンバーイ、ステンバーイ。
「待って、理由はちゃんとあるのよ。あなたが対峙した魔人。魔王ウロヴォロスは、生半可な準備じゃ倒せないし、返り討ちに遭う。あの烏合の衆に巻き込まれて何も出来ず死ぬのはごめんだわ」
「……見捨てた、ってこと?」
「危険性は伝えたわよ。それでも行くなら私は知らないわ」
「そう……」
思ったよりも深刻だった。
ご主人をして『返り討ちに遭う』と断言する魔王ってなんなんだ。
いや、でも俺を取り返したときは逆に撃退してたな。
もしかして足手纏いがいると勝ち目が無くなるのか?
「……奴はどんな生物でも魔物に組み替える。もとになった生物が強ければ強いほど、恐ろしい魔物が完成する。3年前、私を一番追い詰めたのは、奴がコツコツ集めた魔法少女の遺体から造り上げた、魔物の軍勢よ」
……いや待って?
それってさぁ。
「気づきましたか、エスカちゃん」
「……魔王と繋がってる、もしくは魔王を模倣した人間がいるってことだよね、ヴェスを見る感じ」
オイオイマジカヨ。
大分不味いんじゃねーの?なぁ?
ご主人が最大警戒してる存在と繋がりがある人間が社会にいるってことだろォ!?
「だから余計に、あんな集団と一緒になんていられなかった。エスカの回復を待って、誰の監視も届かない速度で、私たちだけで突撃するべきだと判断したわ」
まあそのうん。
ご主人が組織を信用してないのは分かるしさ、あんまり強くは言えないんだけど。
流石に無謀じゃないか?
「言いたいことは分かるわよ」
「ですが3年前、今よりも弱い私と先輩の二人で、奴の手駒はほぼ排除した上で、先輩は奴に致命傷に近い傷を与えました。奴も成長しているとは思いますが、私たちも成長しています。そのうえエスカちゃんもいます。今見えている情報だけで言えば、負ける要素はありません」
おい馬鹿止めろ、そういうのはフラグなんだぞ。
「そもそもの話、単純な力比べで言えば私が勝つ。これは今も変わらない。奴のアドバンテージはその特殊能力と指揮能力。烏合の衆でしかない組織で挑むより、少数精鋭で挑んだ方が勝てる」
なんと悲しい事実か。
いやまあ、ご主人からしたら全部烏合の衆なのかもしれませんがね?
一般魔法少女も頑張ってると思うんですよ。
ご主人とヴェスちゃんが強過ぎるだけで。
「エスカも回復したし、準備を整えたら強襲するわ。狙いはエスカなのだろうけど、油断しなければ連れ去られることなんて無い。いつも通り殲滅よ」
そうだよこれこれ。
ご主人はこうでなくちゃ。
問答無用の即断速戦即決。
ウジウジしてるより暴力してる方が生き生きしてていいよ。
「明日にでも出発する。そのつもりでいて」
「らじゃ」
「分かりました。調整も終わりましたし、がんばりましょう」
しかし、ご主人がこれほど警戒するとはね。
やはり魔王、ただものではないな……俺も気合を入れよう。
進化したのだ、今度は前のようにはいかんさ……!!
って思っていた時期がありました。
ご主人つえー!ヴェスちゃんつえー!!
俺の出番無くねー!?
骨ブンブンして雑魚屠ってるだけで終わるわ仕事。
ところでヴェスちゃん、俺の見間違いじゃなければバイジ使ってない?
ご主人はもういつものように鎌ブンブンして収穫してるから良いけどさ。
キミは前までの作戦の時そんな使ってなかったよね?
というか今腕が捕喰形態になってなかった?
魔人だからまあそういうこともあるかなって思ってスルーしかけたけど、この世界ってアラ〇ミいる世界だったっけ???
「エスカちゃん、何か言いたげですね」
「……ゴ〇ドイ〇ターって知ってる?」
「なんですかそれ」
「正真正銘の偶然って怖い……」
双剣と両刃剣を使い分けながら中型と大型を次々屠ってるの、極東支部にでも行かないと見られない光景かもしれない。
まあそれはそれとして。
相手も黙ってみているわけではないようで。
「いらっしゃい。決着でもつけましょう?《エンドロール》」
「チッ……黙ってやられていればいいものを。ウロヴォロス」
魔王が、軍勢を率いて、現れた!!
ねえ軽く魔人が100は見えるんだけど。
もしもしご主人?
「エスカ、これ飲んどきなさい」
あ、なんか投げ渡された。
なんこれ。
とりあえず飲みま、うっま。
おいこれご主人ブラッドじゃねえか。
冷蔵保管でもしてたの?美味しいです。
「主として命令するわ。死ぬ気で殺しなさい」
「わかった」
うっす、了解っす。
この前の借りは熨斗付けて返させてもらうっす。
というわけで、今生は初めて出す最大火力でもぶっ放すか。
「《
俺が持てる最大の足切り技。
それの範囲を対象一人ではなく、感覚に写る全ての敵へと適用した、無法の殲滅奥義。
つまるところ、だ。
骨を持つ生物、要するにカルシウムを内包する生物は、この攻撃からは逃れられない。
何らかの防御手段を持たない限り、内部から骨に貫かれて死ぬ。
どんなに恐ろしい魔人であろうとも、先制攻撃に集中させてくれる前衛がいるのであれば。
俺は負けない。
「あらあら。前よりもやんちゃになったわね。流石は《神の落胤》といったところかしら」
「……っ!!」
だが魔王は余裕そうなうえに、意味深なこと言いやがった。
おい、神の落胤てお前……俺をただの魔人として認識していたら出てこない単語だな?
そもそもなぜ俺を狙うのかという話だ。
まさかとは思うが……。
「お前、どこまで知っている」
「さぁ?この記憶の断片が私をここまで連れてきたのは認めるけれど、記憶の持ち主そのものというわけではないもの。でも分かるわ。あなたは神によって造られた比類なき被造物だということはね」
「さっきからぺちゃくちゃと……私のエスカに近寄らないでくれるかしら!!」
「あら」
確実に、奴はあの神様モドキを認識している。
奴が神様モドキの成長したような姿を象っていることから、間違いないだろう。
いつどこでとかそういうのはどうでもいい。
問題は、恐らく俺を通して自称神様のあのロリっ子に辿り着こうとしていることだ。
つまるところ俺は捕まったらマズい。
絶対に捕まるわけにはいかない。
元から捕まるなという話だが、尚更捕まることができなくなった。
「魂に刻み込まれた、この鮮烈な衝動は、魔人となった後も消えないの。ねぇ、会わせてちょうだい。あの子に、あの願い星に、私の■■■=■■■■■に!!」
なんといったかは聞き取れなかった。
ノイズが走ったような音がした。
だが、やはり奴は神に接触しようとしている。
「セラフ」
「分かってるわ。ヴェス!3年前と同じように、雑魚は任せたわ!!」
「了解、先輩こそ、3年前と同じようにとっちめてください!!こっちはエスカちゃんと片付けておきます!!」
これは俺の勘だが、負けたら想像の1000倍くらいは世界がヤバい気がするぜ!!
・エスカ
ワーカーホリックではない。
自分のやるべきことをちゃんとやらないと気が済まないタイプなだけである。
ごすずんがいつまでも情けない姿を見せるのでビンタ。
血は美味しかったけどそれはそれ。
あとなんか成長というか進化した。
なんと攻撃力と攻撃範囲が上がったぞ!!
なお肉体性能は据え置き。
・セラフ
エスカヘッドを抱えてトラウマが刺激されたので様子がおかしかったごすずん。
ビンタされたので正気に戻った。
それはそれとして自分よりヴェスを優先しろと言われて「お前も大事なんだよ!!分かれよ!!」という言葉は呑み込んだ。
あのクソボケTS転生人外ロリは分からされるべきである。
血を与えすぎたのでエスカが無事に進化。
もうごすずんとヴェス以外誰も止められない。
エスカの殲滅攻撃に対しては肉体強度が高すぎて無効化する。
というかそもそも干渉をレジストしてしまう。
・ヴェス
バイジ使いであることが判明したどこぞの神喰モドキ。
薙刃形態の他に大剣のような形態に移行して一刀両断したりもする。
バイティ〇グエッジとPSO2のDBエトワールを足してそのままのような性能をしている。
つまりガードポイントでパリィしながら攻撃をガンガン当ててゲージが溜まったら一発デカいのを叩き込む。
なお、ここまでは基礎性能なのでまだ固有魔法は出ていない。
なんなんお前。
エスカの攻撃に対しては、魔人として目覚めた変容能力で対応できてしまう。
骨はあるが実質軟体生物。
・ウロヴォロス
何者かの記憶が断片的に魂に焼き付いている魔人。
そのため、記憶の中の神を求めて未知なる道を探している。
今は神が作った肉体であるエスカの肉体を通して辿り着くのが目的。
どっかの坊主みたいなことしてんな。
腕とかに仏舎利埋め込んでそう。
なお、神様モドキからは『うへぇ、アイツ魂粉々にして洗浄してもこびりついてんのかよ……カビ汚れよりひでーや』とすこぶる評判。