ウマ娘になりたいと思っていたら、ウマ娘になってしまった!?
僕の名前は玲然 美琴。大分市に住む、どこにでもいる普通の学生だ。
今日も学校帰り、駅に寄ってクロワッサンでも食べようかと考えていた、そのときだった。
目の前の川で、子供が溺れている。
気づいた瞬間、体が勝手に動いていた。
川へ飛び込み、その子を掴み、必死に岸まで泳ぐ。なんとか助け出し、少しだけ格好をつけてこう言った。
「当たり前のことをしただけだ」
そう言って、橋の上に置いていた上着と鞄を回収し、そのまま家へ帰った。
帰宅後、着替えた僕は妙な寒気を覚え、布団に潜り込む。
そして大好きなゲーム、ウマ娘 プリティーダービーを起動した。
「ん〜、マチカネタンホイザはやっぱりかわいいなあ」
もともと運動が苦手な僕にとって、さっきの泳ぎはかなり無理をしたものだった。
アドレナリンに任せていたせいで、肺に水が入っていたことにも気づかず、そのまま眠りに落ちてしまった。
――そして、次に目を覚ましたとき。
僕は、また川で溺れていた。
今度はお姉さんに助けられ、病院へと運ばれる。
意識がはっきりしてきたとき、思わず口に出た。
「知らない天井だ……」
ここはどこだ。さっきまで家で寝ていたはずなのに。
その瞬間、記憶が津波のように押し寄せる。頭が割れそうなほどの痛みとともに。
「ぐあああああああ!」
看護師「大丈夫ですか!? しっかりしてください!」
その声を最後に、僕の意識は再び途切れた。
――どうやら、僕は死んだらしい。
元の世界では、冷たくなった僕を母が半狂乱になりながら病院へ運んだが、すでに手遅れだったという。
学費を出してもらいながら、恩も返せずに死んでしまった。僕は本当にどうしようもないやつだ。
そして今。
僕は――いや、私はウマ娘に転生していた。
時は小学6年の6月。第2の人生が始まったのだ。
完全に目を覚ますと、右手にタブレットが握られていた。
「これ、前世で持ってたやつに似てるな……」
画面には「2357」とだけ表示されている。
メモを開くと、そこにはこう書かれていた。
(突然だが君は死んだ。私は神の一人だと思ってくれ。君を転生させた。そしてこの端末には、その世界で役立つ情報を入れておいた。――いずれの英雄を救ってくれてありがとう。神より)
「なるほど……まあ、第2の人生、頑張りますか」
タブレット――いや、ほぼiPadだ。前世で買ったばかりのものにそっくりだ。
いくつかアプリが入っている。
《ステータス》
自分の能力を、ウマ娘の育成画面のように確認できるらしい。
《ミッション》
クリアすればステータス上昇や報酬が手に入る。
《指南書》
古今東西の教本やレース映像が収録されている。
――まずはステータスを確認する。
バ場適性:ダートF、芝B
距離適性:短距離F、マイルD、中距離E、長距離B
スピードG、スタミナG、パワーG、根性F、賢さE+
脚質適性:逃げF、先行A、差しB、追込C
「……うん、正直キツいな」
最悪ではないが、楽でもない。
このときの私は、まだ知らなかった。この先、何度も挫折を味わうことになるなんて。
――あの日から6ヶ月後、12月。
分かったことがいくつかある。誕生日は前世と同じ6月2日。
クエストをこなし、少しずつ能力を伸ばしてきた。
現在のステータスはこうだ。
バ場:ダートF、芝B+
距離:短距離F、マイルC、中距離B、長距離A
スピードG+、スタミナG+、パワーG+、根性F+、賢さD
脚質:逃げF、先行A、差しA、追込C
「よし、ようやくスタートラインかな」
さらに、因子継承も発生した。
母は人間だが、祖母がウマ娘だったらしい。家が妙に立派だった理由もこれで納得だ。
かつて「西」という華族、男爵家の末裔だという。
祖母の因子により、スキルのヒントを受け継いだ。
しかも、その多くが金スキルだったのは大きい。
日々トレーニングと勉強を重ね、今では学年1位。「才女」と呼ばれるまでになった。
そして私は――地方トレセンである「大分西トレセン学園」に主席で合格した。
私は生粋のステイヤー。長距離こそが武器だ。
だが、この学園のバ場はダートのみ。芝で走るには遠出するしかない。
そして今日、私はある場所に来ていた。
かつて建設され、バブル崩壊で放棄された巨大レース場跡。
最大3800メートルを想定していたその場所は、今やただの公園の一部となっている。
弟にタイマーを持たせ、走る。
――遅い。
同世代と比べても、才能はないと言っていい。
だが、関係ない。
目指すのは中央トレセン高等部。
そして――
まだこの世界には、後に伝説となるウマ娘たちはいない。
ならば、私が道を切り開く。
汚職も、不正も、すべて叩き潰す。
「さあ、始めよう」
目標は――
バ場:芝A、ダートD
距離:長距離S
スピード2200、スタミナ1700、パワー1700、根性1100、賢さ2000
脚質:先行S
60戦42勝。
文字通り、覇者となる。
のちに――
「初代日本総大将」
「芝の堕天使」
そう呼ばれることになる、謎のウマ娘。
その名は――
ニシノオー。
どうもこんにちは作者です
ウマ娘が好きで書き始めました
よろよろです〜