勝利の女神:NIKKE 時空を超えた鬼神は何を成す 作:イオハ
「」→通常会話
『』→複数人の同音発言
〈〉→通信
()→心の内
で書いていきます。
「よく来てくれた。早速だが、地上にて微弱ながらD-WAVEの反応が検知された。」
副指令室に到着したカウンターズと指揮官に説明を始めるアンダーソン副指令。
「微弱……ですか?」
「ああ。数時間前に検知された。詳細な情報は追って送信する。」
「了解です。」
「微弱な値だったとはいえ、別世界からの来訪者だ。対応を間違えないように気を付けたまえ。」
――――――
カウンターズとその指揮官は早速、地上に上がり目標ポイントへ向かっていた。
「指揮官様。今回はどんな人が来てると思う?」
「アニス。いつラプチャーが出てくるかわからないのだから、私語は控えてちょうだい。」
「いいじゃない。私たちならラプチャーの一匹や二匹敵じゃないわ!」
「そうですよ!私たちには火力神の加護があるのですから!」
「……はぁ。」
ラピのため息とは反対にアニスとネオンは、周囲の警戒こそしているものの普段の任務と違い比較的楽な内容なのもあり気持ちが少し緩んでいた。
「それで指揮官様。実際のところどうなの?」
「そうだな。送られてきた情報にはD-WAVEが発生した箇所の位置情報と、来訪者と思われる人物がした行動だけだな。」
「場所以外の情報もあるなんて珍しいわね。近くに作戦行動中だったニケ小隊がいたのかしら?」
「そうらしい。情報にはその部隊の指揮官と自分たちがピンチのところを助けられたのだそうだ。」
アニスの質問に答える指揮官。ここまでなら人類に友好的な人物の可能性が高いと判断できる材料ではある。
しかし……。
「どうやって助けたのかしら?私たちに捜索依頼が来るのだから直接会ったりはしていないでしょうし……。」
「それが……超長距離狙撃でロード級ラプチャーを複数体破壊したらしい。距離にしておよそ2キロ~3キロとの報告が上がっている。」
「えっ……ち、超長距離狙撃?……ねぇラピ。アブソルートならできるかしら?」
「距離だけでいうのなら可能よ。ただ、ロード級を1発で仕留めれるかと言われたらノーよ。」
「超長距離から目標を外さないうえに一撃……まさに火力!精度と火力を両立したスーパー火力ですよ!」
カウンターズに微妙な空気が流れる。つまり今回の来訪者は遠距離から攻撃する手段を持っており、そのうえでこちらを破壊できる血皮を持っているということだ。
「アンダーソン副指令が言っていた対応を間違えるなというのはそういうことだったのか……。」
「指揮官。気を引き締めなおした方がよさそうです。もし相手との交渉が決裂して敵対行動に移られた場合、私たちでは太刀打ちできない可能性があります。」
「……そうだな。皆、気持ちを切り替えて目標地点へ向かおう。」
『了解!』
受け取った情報から幾ばくかの緊張が生まれるが、そこはカウンターズ。潜り抜けてきた修羅場の数ならアークでも上位に入る面々たちなのもあり、緊張してても動きに支障が出るほどはなかった。
気持ちを切り替えた彼らは、周囲への警戒を怠ることなく目標地点へ向かうのだった。
――――――
ほどなくして、目標地点に到着したカウンターズ。
当然ではあるが周辺にそれらしい人物はおろかラプチャーも確認されなかった。
「目標地点に到着有視界内にそれらしい人物は見当たりません。」
「……移動したか?シフティー聞こえるか?」
〈はい!聞こえてます!〉
「目標地点に到着したが、人影も何も見当たらない。レーダーの方には何か移っていないか?」
〈確認します。少々お待ちください。……その地点から約5キロほど離れた場所に廃墟エリアがあります。そこから微弱ながらD-WAVEの反応があります。〉
「了解した。ラピ、アニス、ネオン。警戒しつつその廃墟エリアに進行する。」
『了解。』
カウンターズは反応のあった廃墟エリアに移動を開始した。
「シフティー反応のあった廃墟エリアの特徴を教えてくれ。」
〈はい。目的地点の廃墟エリアはその名の通り、建物が崩れて廃墟と化して久しいエリアです。ですが、そのエリアにはビルや大型の施設が建てられていたという記録はなく、元々は住宅街だったのだと思われます。〉
「つまり、瓦礫に高さはないが車道もそこまで広くない…ということか?」
〈基本的にその認識で問題ありません。大型種が潜むのは難しいですが、小型種からの奇襲には気を付けてください。それと、廃墟の中央を東西で分けるように比較的幅の広い道路があったようです。〉
「了解した。その道を基準に周囲を捜索しよう。」
廃墟エリアに到着し、まずは東側のエリアから捜索を始める。
全壊しているものから屋内を多少荒らされているだけで原型を留めている家屋までくまなく探ったが、それらしい痕跡は見つからなかった。
―――ある一部を除いて。
「指揮官。こちらをご覧ください。小型ですがラプチャーの残骸です。」
「……誰かが破壊したのだろうか?」
「順当に考えるのであれば、例の来訪者の方が破壊したのかもしれません。ただ……。」
「?」
「2種類の破壊痕があるのが気になります。一つは弾痕です。綺麗に貫通した痕跡があります。もう一つはラプチャーの体の4分の1ほど削り取られたかのような痕です。断面の荒いながらも切断されている部分を見ると、まるで噛み付かれたかのような形状に見えるのです」
「……来訪者とは別に他の何かがいる可能性が?」
「はい。しかし、機械を食べるとなるとどういう存在か見当もつきません。」
「……より警戒を強めるしかないか。」
「その方が良いでしょう。」
発見されたラプチャーの残骸からターゲットとは別の第三者がいる可能性が出てきたことにより、警戒を強めつつ西側のエリアの捜索を始める。
〈指揮官!そこから約100メートル先の家屋に生体反応があります。それと同時にD-WAVEの反応も対象から検知されました!〉
「わかった。ラピ、前衛を頼む。アニスとネオンは周囲の警戒を。」
指揮官の指示のもと、迅速にフォーメーションを変更する。
各々が配置につき、ラピと指揮官は目標のいる家屋へと歩みを進める。
「指揮官。私が扉を開けます。危険を察知したら迷わず下がってください。」
指揮官は頷き、次のアクションに備える。
ラピが扉を開き、中の様子を確認すると……。
そこには背中を壁に預け、片膝を立てて静かに佇む少女がいた。
金色の長髪が印象的だ。それに両手を大きなあかい拘束具で固定されている。
しかし、その少女の傍らには彼女の身の丈ほどに大きな棒状の物体が異様な気配を発していた。
「彼女が来訪者……?」
「おそらくはそうかと思われます。しかし、そばにあるあの物体は一体何なのでしょう?」
「分からない。分からないが……ひとまず接触してみよう。」
ラピと指揮官は屋内に入り、少女と接触を試みる。
「ねぇ、あなた大丈夫?」
「……誰?」
「私はラピ。中央政府特殊別働隊カウンターズ所属よ。」
「中央政府?……グレイプにルでもフェンリルでもない?」
「あなたの名前を聞いてもいいかしら?」
「私の名前は……シオリ。シオリ・ペニーウォート。灰域踏破船クリサンセマムのハウンド部隊所属。」
「シオリね。よろしく。私たちは貴女をアークに案内するためにここへ来たの。他に仲間はいるかしら?」
シオリと名乗った彼女は立ち上がり、首を横に振る。
「仲間がいた。けど、気が付いたら私一人でここにいた。」
「そう……。シオリ。今から貴女が置かれている状況について説明するから、落ち着いて聞いて。」
ラピが彼女の現在の状況を伝える。こちらの世界のこと、ラプチャーの存在、そしてとあるラプチャーによりシオリが転移してきたこと。
「……つまり、ここは私がいた世界とは別の世界で、元の世界に戻るためにはそのゲートキーパーというラプチャーを倒さないといけない?」
「概ねその認識であっているわ。でも、あなたが死んでしまったら元も子もないの。」
「だから私を保護しに来た?」
「ええ、そうよ。一緒に来てくれるかしら?」
ラピが右手を差し出す。握手をしようと反射的に手を出したが、彼女の手には拘束具がついている。そのことを失念していた。
「……ごめんなさい。」
「気にしてない。不格好だがこのままでも握手はできる。」
左手を添える形になったが、ラピとシオリは握手を交わした。
「ところで……そのその拘束具は一体……。」
「あぁ、これは私たちAGEの証だ。」
「AGE……君の隣にある棒状のものにも関係があるのか?」
すぐに敵対することはないと判断したのか、様子見に徹していた指揮官が口を開く。
本人の許可なしに触ることはしないが、すっかりと確認するために指摘した物体に近づいた。
「っ!?それに近寄るな!」
物体と指揮官の間に割り込むように身体を差し込む。
大きな声とシオリが激しい剣幕で制したことに驚いた指揮官が後ずさる。
「……すまない。許可をもらってから近く観察するべきだった。」
「観察するだけなら近づかないで。下手すると貴方が死んでしまう。」
「そんなに危険なものなの?」
謝罪する指揮官、警告するシオリ、警戒して薬室に弾薬を装填するラピ。
緊張が走る……。そんな時―――
「指揮官様!大量のラプチャーがこっちに来てるわ!」
「師匠!作戦指示を!サクッと火力で蹴散らしてしまいましょう!」
周囲を警戒していたアニスとネオンが指揮官の元へ敵の襲来を知らせに来たことで、空気が少し和らぎシオリは警戒を解く。
「これは神機。神を殺すために作られた武器。適合者以外が近づく、ましてや触ってしまえば拒絶反応で捕食される。」
シオリは神機と呼んだものを掴み、屋外に歩み出る。
それを追いかけるようにカウンターズの面々も外に出て迎撃準備を始めた。
――――
「ラピとネオンは前衛、アニスは後方から援護射撃を頼む。」
『了解!』
「シオリ、君は―――」
「問題ない。あいつらは何度か襲ってきたから仕留めたことがある。」
「―――分かった。君も後方から援護を頼む。グレネードランチャーを構えているあの子の周辺に陣取ってもらえるか?」
「了解した。」
指揮官の指示に従い、アニスがいる後方へと移動する。
アニスは既に弾倉の確認、銃の動作チェックを完了し、ラプチャーを迎え撃つ準備が完了していた。
「貴女が今回の来訪者ね。私はアニス、擲弾を扱うわ。よろしくね。」
「シオリ・ペニーウォート。今回はスナイパーを使っている。」
必要最低限の挨拶を済ませ、戦闘配置につく。
指揮官はアニスとシオリの後衛組のやや後方で全体を俯瞰するように待機してカウンターズに指示を出す。
「アニス、シオリ、初手は君たちの銃撃で数を減らして、取りこぼしを前衛のラピとネオンが処理する。」
「指揮官様!大型のラプチャーが出たらどうするの!?」
「その時は全員集合して迎え撃つ!」
『了解!』
指示が終わり、迎え撃つ準備が完了する。
ラプチャーの群れは土煙を上げながらこちらへ向かってきている。距離にしておよそ1.5キロ。
(土煙の高さから大型ラプチャーがいる可能性は低いが、横幅が広く廃墟エリア内になだれ込まれると奇襲のリスクがある。なるべくエリアに入られる前に片付けたい。)
「アニス!できるだけ数を減らしたいが、行けるか?」
「もう少し密集してたら問題なかったけど、あの幅的に漏れが多くなるかも!」
「分かった!シオリ、改めて見ると君のその神機というのは狙撃が得意そうに見受ける。土煙の端側を進むラプチャーを狙撃で数を減らせるか?」
指揮官の状況確認に任務で鍛えられた観察眼。それらを併せて今できるベストな作戦行動を随時更新していく。
彼女の神機を目にしたとき、暗がりではっきりと見えなかったが屋外である今ならはっきりとわかる。
余りにも大きい銃だ。ラプラスが所持している銃よりも大きい。だが、銃身は細い。おそらく狙撃銃なのだろう。報告にあった超長距離狙撃はおそらくこれで行ったのだろう。
「……ええ。可能よ。口ぶりからしてこのエリアに入られる前に決着をつけたいという認識でいい?」
「ああ。今いるこのエリアに小型種のラプチャーが入ってきたらいつ奇襲されるかわらないからな。」
「わかった。狙撃を開始する。でも、私一人で全て片付けてしまったらごめんなさい。」
「一人で?それは一体―――。」
ガアァンッ!
銃声というにはあまりにも鈍すぎる銃声が鳴り響いた。銃の反動で金髪がなびく。
想定以上の爆音に一瞬驚いた。
しかしそれ以上に、銃声と同時にラプチャーの集団で爆発が起きたことに驚いた。
「……脆い。」
ガァンガアァンッ!
続けて2発の銃声が聞こえ、それと同時にラプチャーの集団で二つの爆発が起きる。
「な……なによそれ。桁違いにもほどがあるでしょ!?」
傍らで見ていたアニスは驚愕した表情でテンパっていた。
指揮官も受け取った情報以上の火力に度肝を抜かれていた。
〈……指揮官。前方に確認されたラプチャー群、全滅しました。合流いたします。〉
「あ、あぁ。そうしてくれ。」
呆気に取られて見落としていたが、シオリの両手についていた拘束具が外れて両手が自由な状態になってることに気が付いた。
「その拘束具は君の意志で分離や結合ができるのか?」
「……わからない。前は基本的に外れていたが、こちらに来たときは繋がった状態だった。今みたいに戦闘行動に移ると外れるみたい。」
「……そうか。」
分からないことが多すぎる。だが、目的の来訪者と接触することはできた。あとは、アークに同行してもらえればよいのだが……。
「ラプチャーの襲来で有耶無耶になってしまったが、改めて自己紹介を。私はカウンターズの指揮官だ。よければだが、私たちの拠点であるアークに来ていただけないだろうか?」
「そこはここより安全?」
「それは保証する。」
「……分かった。でも、神機には触れないようにしてね。」
「わかった。」
指揮官が右手を差し出す。それに応えるようにシオリも右とを差し出し、握手を交わした。
「よろしく頼む。」
「こちらこそ、よろしく。」
安堵の雰囲気が漂う中、アニスはシオリの武器の火力に困惑し、ラピと一緒に戻ってきたネオンは火力の高さに大興奮していた。
ラピはアニスやネオンを見てため息をつき、指揮官とシオリが良い雰囲気を出している(ように見えた)ので少しムッとしていた。
色々回収できなかったことは後々回収するつもりです。
射撃時の立ち絵も存在しますが見ますか?
-
見たい
-
いらない