勝利の女神:NIKKE 時空を超えた鬼神は何を成す 作:イオハ
その割にちょっと短いです……。
ここで捕捉を一つ
神機使いの生存に必須な偏食因子ですが、
P73-c偏食因子は本来では腕輪から静脈注射されているものです。
なので、通常の神機使い達同様に定期的に因子の補給をしないといけない(と思われる)。
ですが、おおもとのP73偏食因子が体内で偏食因子を生成できるようになるので、
その設定を踏襲しようと思います。
それと、前哨基地はアーク同様エターナルスカイが実装されているものとしております。
「つかぬことをお伺いしますが、先ほどのあれはいったい何なのでしょうか!」
アークに移動中、シオリにはアークがどのような場所なのかを説明していた。
地下にあること、人がたくさん住んでいること、その場所が人類最後の砦でもあること。
それと並行して大まかにだが、ここがシオリがいた世界とは別の世界だということも説明した。
一通りの説明を聞いて思案するシオリに、ネオンが(良くも悪くも)空気を読まずに自分の欲求に従って質問していた。
「さっきのあれ?もしかして神機で撃った場所が爆発したこと?あれは……ええっと……ネオンでいいのよね?」
「ああ、これは失礼しました。私はネオンといいます。火力を愛し、火力に愛され、火力を探求する者です!」
「……よろしくネオン。」
「はい。よろしくお願いします。それで先ほどの質問なのですが……。」
「あれは……なんて言えばいいかな。大まかにはAPHE(徹甲榴弾)なんだけど、そういう規格の弾丸があるわけじゃなくて自分で作ったの。」
ネオンの好奇心旺盛な視線に戸惑いつつも知っていことを話す。
シオリの隣でその話を聞いていた指揮官も自分で作ったという言葉に興味が出てくる。
「あの爆発する狙撃は君が作ったのか?」
「ええ。制約こそあれど、ある程度いろんな挙動をする弾丸を作れるよ。」
「てっきりあの弾丸は君の必殺技のようなものかと思ったよ。」
「撃てる回数に限りはあるけど、あの弾は燃費がいいほうだからよっぽどのことがない限り撃ち尽くすことはないかな。」
「……口ぶりからして他にもいろんな弾を持っているみたいだな。」
「そのあたりは落ち着いた場所で説明するよ。ここでするような話でもないし。」
そうか。と、会話を締めくくる指揮官。シオリを挟んで隣にいるネオンは散弾銃で徹甲榴弾を再現しようと興奮気味に諸々のアイデアを記録に残している。
その様子をラピとアニスは後方から眺めていた。
「ラピ。あのシオリって子の武器なんだけど、どう思う?」
「大きさに目が行くけれども、よく見るとところどころ破損個所が目立つわね。」
「うん。それとなんだけど……機械部品とは別に蠢いている部分が見える気がするのは気のせいかしら?」
「……そうね。もしかしたら生体部品を利用した武装なのかもしれない。」
「ラピもそう見える?正直な話、シオリを観察している限りだと悪い人には見えないわ。でも、持っている武器がどうしても気になるの。」
「直接聞いてみればいいんじゃない?」
「それができたら苦労しないわ。もしかしたら、とんでもない『何か』かもしれないわよ?」
「……彼女はどういう世界を生きていたのかしら。武器もそうだけど、服もボロボロだわ。」
ラピとアニスはシオリの武装や出で立ちから、彼女の世界のことが気になるようだ。
それらのことも含めてアークで互いに話し合うことになるだろう。
様々な思惑の中、カウンターズとシオリはアークに到着した。
――――――
「ようこそアークへ。私はアーク中央政府副指令のアンダーソンだ。よろしく。」
「……シオリです。よろしくお願いします。」
アークに到着した途端、シフティーから連絡があり簡易的な身体検査が終わるとすぐに副指令室にカウンターズとともに案内された。
ちなみに武器の持ち込みはできない為、身体検査の時に迎賓館の方へ輸送されている。無論、生体武装で状態が特殊なので直接触れないように伝えている。
「早速だが、ここが君の住んでいた世界とは異なる世界だという説明は必要かな?」
「それは彼から大まかに聞いたので大丈夫です。」
「そうか。では君が元の世界に戻るために必要なことも聞き及んでいるかね?」
「大まかには。ゲートキーパーというラプチャーを目覚めさせる必要があると。」
「その通り。だが残念なことに、現状ゲートキーパーは確認されていない。」
その言葉にシオリだけでなく、カウンター図の面々も驚きを隠せないでいた。
「順を追って説明しよう。」
そういってアンダーソンは現在の状況について説明を始める。
まず第一に転移してきたタイミングでの周囲のデータを見た限り、今回のD-WAVEの値は他にも何度か来た来訪者たちの時に比べて異常に低かった。
それでも気付けたのは、シオリがニケ小隊を助けてくれたことに起因する。
無事に帰還した彼らの報告書から周辺データを確認するに至り、カウンターズを派遣しシオリを発見したというわけだ。
「君たちがシオリ君を探しに行っている間に、こちらではおおもとの原因となるゲートキーパーを探していた。」
「けど、見つからなかった?」
「シオリ君の言う通りゲートキーパーは発見されなかった。引き続き捜索は続けるが、今のところ影も形も見当たらない。」
「……」
元の世界に戻れる保証がないと知り、言葉に詰まるシオリ。
視点が定まらない。思考が上手くいかない。動揺が収まらない。
その時、頭の中でスイッチが入る。
ニケの小隊を助けようとした時と同じ感覚。ごちゃごちゃしていた頭の中が整理されたかのように、思考が冴えわたる。
「大丈夫か?無理もない。元の世界に帰ることができないと言われたようなものだからな。」
「いえ、大丈夫です。……私に仕事をいただけませんか?」
カウンターズはシオリが突然そのようなことを言ったことに疑念を浮かべた。
指揮官が彼女の様子を伺うと、先ほどまでのパニック寸前だった様子が嘘のように冷静な――いや、感情が抜け落ちたかのような表情をしていた。
「突然だな。理由を聞かせてもらおうか。」
「一つは先ほど仰っていたいつ戻れるかわからないということ。賓客待遇を一人だけとはいえ数日ならともかく、数週間数か月となると無視しにくいコストになると思う。」
「中央政府はそこまで懐が狭い組織ではないが……コストマネジメントという意味では一理あるな。他には?」
「もう一つは私が戦力になるということです。」
アンダーソンの言葉や一緒に戦闘して驚いていたアニスの言動から、私の戦闘力は個人で所有する戦力という意味ではかなり上位の者になると考えた。
そんな規格外の戦闘力も持つ存在を来賓として招くだけでは勿体無い。少なくとも私はそう考える。
「私は戦うこと以外できない。戦うことに関しては自信がある。」
「しかし……君はこの世界の人間ではない。そんな君をこちらの世界の事情に巻き込むわけには――」
「無茶を言っているのは十分理解してます。ですがどうか、どうかお願いします。」
「……」
シオリはアンダーソンに頭を下げる。これに対してアンダーソンも困り顔である。
アンダーソン自身もシオリの戦闘力を報告書通りとするならば、遊ばせておくのは勿体ないという考えが全くのゼロというわけではない。
しかも今回は元の世界にいつ戻るのかもわからない。
先ほどはああ言ったが数日ならともかく、数週間または数か月、はたまた年単位の長期間になると一人とはいえコストも馬鹿にならない。
悩みに悩んだ末、アンダーソンはため息をつく。
「ふぅ……。わかった。君の意思を尊重しよう。先ほどはああいったが正直な話、君の力は我々にとっては魅力的なのは間違いない。」
「ありがとうございます。」
「……シオリ君は私の直下で臨時部隊を設立してそちらで動いてもらう。」
アンダーソンは机に置かれていたタブレットを操作し始めた。部隊申請を行っているのだろう。
「参考までに、シオリ君は元々の世界ではどういう部隊に所属していたのか聞いてもいいかい?」
「灰域踏破船クリサンセマムのハウンド部隊所属、コールサインはハウンド1で活動していた。」
「猟犬(ハウンド)か……わかった。こちらでもその部隊名で登録しておこう。」
「分かりました。……あっ、すいません。一つ希望を言っても?」
「聞くだけ聞こう。」
操作するタブレットから目を離さず答えるアンダーソン。
さらりと言ったが、部隊創設の手続きはやはり時間がかかるものなのだろう。
「コードネームをください。」
「コードネーム?……そうだな。猟犬部隊にちなんで君のコードネームはバーゲストでどうだ?」
「了解。バーゲストの名を拝命いたします。」
「詳細は後程連絡させよう。シオリ君はひとまず迎賓館に行ってくれたまえ。カウンターズはそのまま待機。シオリ君の案内は別の者にさせる。」
シオリはお辞儀をして副指令室を後にする。
指揮官は彼女の去り際の表情を確認したが、先ほどまでの感情が抜け落ちたような表情ではなくアークに向かっている時と同じような柔らかい表情に戻っていた。
「さて、カウンターズの面々に残ってもらったのは予定の変更を伝えるためだ。」
「予定の変更と言いますと……休暇日数の短縮でしょうか?」
「そうだ。すまないがあと10日ほどある休暇を半分の5日にしてもらう。代わりと言っては何だが、前哨基地の環境改善に寄与するニケを派遣しよう。」
「了解しました。」
「詳細はシフティー君から聞いてくれ。以上だ。」
――――――
量産型ニケに迎賓館の一室へ案内されたシオリ。
部屋に到着すると同時に小型端末とインカムを渡された。連絡や伝達事項はこれでやりとりするのだろう。
備え付けのソファーに腰掛ける。
この世界に転移してきてまだ1日も経っていないが、いろんなことが目まぐるしく起きてやっと一息付けた。
部屋の片隅に、突貫で作られたであろうスタンドに立てかけられている神機を呆然と眺める。
(銃形態での運用はできたが、盾と剣は壊れてしまっている……修理できないだろうか。)
部隊編成の手続き諸々が終わったら相談してみるかと考えていた。
そんな時、渡された端末から音が鳴る。
おそらくアンダーソンが言っていた詳細についてだろう。端末を起動する。
「はい。シオリです。」
『あなたがシオリさんですね!私は中央政府情報局所属オペレーターのシフティーと申します。本日からアンダーソン副指令からの任務や伝達事項は私を経由してシオリさんにお伝えします。』
「わかった。よろしくねシフティー。」
『こちらこそよろしくお願いします!早速ですが、シオリさんが所属することになるハウンド部隊に専属のニケが配属されます。』
「私の監視役?」
『いえいえ!シオリさんのサポートを担当するニケになります。任務などには同行せず、装備などのメンテナンスが主な業務ですね。』
「そう……。わかった。」
『明日のお昼ごろにそちらへ挨拶に行きますので、部屋で待機していてください。』
了承して通信を切る。
ここは地下のはずだが、地上と同じように空がある。窓から外を眺めると空が茜色に染まっており、もうすぐ夜になるのがわかる。
(神機のことも気になるけど、私は生きて元の世界に戻れるかな……。)
明日のこともある。日中に仮眠をとっていたとはいえ、戦闘やアークまでの移動に加えて普段やらないような交渉。
肉体的より精神的な疲労が大きいようで、日没までまだ時間はあったが備え付けられていたベッドに横たわり、シオリは眠りについた。
――――――
「なぁ、さっき受け取った武器の資料に目を通してみた?すごい職人魂が疼くよ!早く実物を拝みたいなぁ……」
「資料の方には目を通したけど……生体部品を使ってるんやろ?個人的には設計図に起こせる気がしねーから興味がそこまで湧かんかなぁ。」
アークのとあるガレージにて2人のニケが飲み物を酌み交わしながら会話する。
手元には報告書から抜粋されたシオリの武装の資料が置かれている。
「明日が待ち遠しいよ!友好の印に何か武器を持って行った方がいいかな!?」
「やめとけって……。資料を見る限りだと武器サイズはかなり大きいから、もう一個武器を持つ余裕なんてないやろ。」
興奮気味のニケと落ち着いているが訛りのある話し方をするニケ。
二人の夜はまだ続く。
その場の勢いで執筆しているので投稿にムラが出て申し訳ない…。
今回はお昼の投稿ですが、普段は20時~21時の投稿を予定としています。
いつも閲覧していただきありがとうございます…。
すべて読んでもらってお察しかもしれませんが、オリジナルニケを2体登場させます。