ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦   作:ボルメテウスさん

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野生の咆哮

邪悪ゴジュウティラノが、獣のような咆哮を上げて、竜儀に襲いかかった。奴の拳は、本物のゴジュウティラノと同じく重量級の打撃。一発一発が空気を震わせ、床のタイルを粉々に砕く。竜儀は、ハンマーを奪われた状態で、必死にその攻撃をかわし続けていた。

 

「くっ…!」

 

竜儀の肩に、邪悪ゴジュウティラノの爪がかする。装甲が裂け、火花が散った。武器を持たぬ竜儀では、自分の力のコピーと戦うのは分が悪い。

 

「どうした、ゴジュウティラノ。己の力に押し潰される気分は」

 

サウザーが、サウザンドジャッカーを手に、戦いを見守りながら嘲笑う。奴はまだ、自分から動く気はないらしい。自分の手駒が、俺たちを嬲り殺すのを楽しんでいるのだ。

 

だが、その時だった。

 

「…掴んだ」

 

凛空の声が、静かに響いた。見ると、彼女は両手を広げ、指先をサウザーの方へ向けている。その周囲に、蔓や花びらを思わせる白い霊が、ゆらゆらと揺れていた。

 

「青木さん…?」

 

芹亜が、驚いたように彼女を見る。

 

「さっきから、ずっと試してたのよ。あの怨霊の支配を、少しでも私の方に引き寄せられないかって」

 

凛空の額には、うっすらと汗が浮かんでいる。相当な集中力を要しているのだろう。だが、彼女の指先から伸びた植物状の霊が、店内に満ちる怨霊の靄の一部に絡みつき、その動きを鈍らせていた。

 

「完全には奪えない。でも、少しだけ、あの怨霊の注意を逸らすことはできる」

 

彼女は、邪悪ゴジュウティラノの背後で揺らめく黒い靄に向かって、霊の蔓を伸ばした。すると、怨霊の一部が、サウザーの制御から外れ、ふらふらと凛空の方へ引き寄せられていく。

 

「なに…?」

 

サウザーが、初めて動揺の声を上げた。邪悪ゴジュウティラノの動きが、一瞬だけ鈍る。怨霊の支配が緩んだのだ。

 

その隙を、俺は見逃さなかった。

 

「竜儀!」

 

俺は、地面を蹴って駆け出していた。邪悪ゴジュウティラノの横をすり抜け、竜儀の前に立つ。そのまま、サウザーに向かって一直線に走り込む。

 

「小癪な…!」

 

サウザーが、サウザンドジャッカーを構え直した。だが、もう遅い。俺は、奴の槍が振り下ろされるよりも早く、その懐に潛り込んでいた。

 

「借りは、返す!」

 

俺の右脚が、サウザーの胸部装甲を捉えた。クローズの変身はしていない。ただの生身の蹴りだ。だが、それでも十分だった。奴の巨体が、店の壁を突き破り、外の道路へと吹き飛んでいく。

 

「ぐあっ…!」

 

瓦礫と土煙が舞う中、俺は竜儀を振り返った。

 

「大丈夫か、竜儀」

 

「…すまない、遠野」

 

竜儀は、肩の傷を押さえながらも、その目はまだ戦意を失っていなかった。

 

「だが、これで終わりではない。あれは、まだ…」

 

俺たちの前で、邪悪ゴジュウティラノが、再びゆっくりと首を回す。凛空の霊が、その動きを束縛しているが、いつまでも持つとは思えない。そして、壁の穴の向こうからは、サウザーが立ち上がる気配がする。

 

「わかってる」

 

俺は、テガソードを抜き放った。

 

その時だった。

 

俺の手の中に、ずしりとした重みが突然現れた。見覚えのある、いや、見覚えがありすぎる武器。シャチをモチーフにした大型銃――オルカブースター5050。元の世界で俺が使っていた、あの相棒が、何の前触れもなく、この異世界の俺の手に舞い戻ってきたのだ。

 

「お前…」

 

俺は思わず、その銃を見つめたまま固まった。赤と金を基調としたボディ。シャチの口が銃口となり、尾がグリップとなっている。左右にヒレ状のパーツを持ち、中央には半透明な金色のリング部分。間違いない。俺のオルカブースターだ。

 

「久しぶりだな」

 

俺の口元が、自然と緩んでいく。元の世界で、どれだけこいつに助けられたかわからねえ。遠吠えのルーティンで気合を入れて、こいつをぶっ放すたびに、どんな強敵も倒してきた。その相棒が、今、俺の手にある。これだけで、胸の奥が熱くなった。

 

「遠野、それは…」

 

竜儀が、俺の手にある武器を見つめながら、静かに言った。こいつは俺の過去を知っている。以前、ワイルドゴジュウウルフの力を見せた時も、驚きはしなかった。だが、他の面々は違う。

 

「吠さん、それ…どうしたんですか?」

 

芹亜が、目を丸くしている。その瞳の奥で、金色の光が好奇心に揺れている。

「あれが…遠野の本当の武器か」

 

凛空が、植物状の霊を操りながらも、ちらりと俺の方を見た。彼女の目にも、驚きと興味が入り混じっている。

 

俺は、オルカブースター5050を肩に担ぎ、もう一つの手でセンタイリングを取り出した。ワイルドゴジュウウルフのリング。狼の顔と牙が刻まれた、俺の強化アイテムだ。

 

「説明は後だ」

 

俺は、リングを起動させた。左右の金色パーツが展開し、狼の顔が露出する。それを、金色のテガソードへと装填した。

 

「今は、あいつらをぶっ飛ばす!」

 

『ワイルドパワーアップ!』

 

テガソードが音声を発し、俺の全身を赤いエネルギーが包み込む。ゴジュウウルフの装甲が一度ほどけ、より鋭く、より獰猛な形へと再構築されていく。黄金の頭部装甲。狼の耳や逆立った毛を思わせる大型の金色装甲。胸部中央には、満月を思わせる大きな金色の円形装甲。肩から胸にかけて、狼の毛並みや牙を思わせる鋭い金色装甲が放射状に伸びる。

 

俺は、オルカブースター5050を構えながら、名乗りを上げた。赤と金の装甲が、店内の照明を受けて獰猛に輝く。

 

「なんか、輝いている」

 

芹亜が、感嘆の声を漏らした。

 

「金ぴかねぇ」

 

凛空が、口元に笑みを浮かべる。それは、驚きと同時に、納得の表情だった。俺が何かを隠していることを、こいつは薄々感づいていたのかもしれない。

 

「さあ、第二ラウンドといこうぜ」

 

俺は、オルカブースター5050の銃口を、壁の穴の向こうにいるサウザーへと向けた。そして、ちらりと邪悪ゴジュウティラノを見据える。

 

「竜儀、俺はサウザーをやる。てめぇはてめぇのを片付けろ」

 

「言われなくても」

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