ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦   作:ボルメテウスさん

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野生の信仰心

俺がオルカブースター5050を構え、サウザーと邪悪ゴジュウティラノを睨みつけていると、竜儀が静かに口を開いた。

 

「遠野、すまないが、あの偽物は私にやらせてくれ」

 

「ああ、わかってる」

 

俺は頷いた。自分の力のコピーにケリをつけるのは、本人の役目だ。だが、武器を奪われた竜儀が、あの怪物に勝てるのか――。

 

いや、こいつはそんなにヤワじゃない。俺は、竜儀という男の底知れなさを、これまでに何度も目の当たりにしてきた。テガソードへの信仰心が、時に俺の獣じみた本能よりも遥かに強い力を発揮することを、俺は知っている。

 

「エンゲージ」

 

竜儀が、テガソードに新たなリングを装填した。それは、俺たちがこの世界で手に入れたライダーリングの一つ。表面に刻まれているのは、野生の爪と牙を思わせる、赤と緑の紋章。仮面ライダーアマゾンの力が宿る指輪だ。

 

『ライダーリング! アマゾン!』

 

テガソードが音声を発した瞬間、竜儀の全身が赤いエネルギーに包まれた。ゴジュウティラノの重厚な装甲が一度ほどけ、より野性的な形状へと再構築されていく。腕部と脚部には鋭い爪のような装甲が追加され、頭部には、まるでピラニアのようなギザギザの牙を思わせる意匠が浮かび上がる。

 

「仮面ライダーアマゾン…!」

 

邪悪ゴジュウティラノが、赤く発光する目を竜儀に向けた。奴には理性がない。ただ、目の前の敵を破壊するという本能だけが、その巨体を動かしている。

 

邪悪ゴジュウティラノが、先に動いた。右腕の巨大な爪が、竜儀の頭部めがけて振り下ろされる。風を切り裂く音が、店内に響いた。

 

だが、竜儀はそれを、素手で受け止めた。

 

「なに…!」

 

サウザーが、驚愕の声を上げる。邪悪ゴジュウティラノの爪と、竜儀の手がぶつかり合い、衝撃波が周囲に広がった。床の瓦礫が吹き飛び、壁に亀裂が走る。普通なら、腕ごと粉砕されていてもおかしくない一撃。それを、竜儀はアマゾンの力を纏った素手で、真正面から受け止めていた。

 

「テガソード様から授かった力を、偽物ごときに負けるわけにはいかない」

 

竜儀は、邪悪ゴジュウティラノの爪を掴んだまま、その巨体を押し返し始めた。アマゾンの野生の力が、彼の筋力を倍増させているのだ。

 

「これが…私の信仰だ!」

 

竜儀が咆哮を上げ、邪悪ゴジュウティラノを壁に向かって投げ飛ばした。怪物の巨体が、中華料理店の壁を突き破り、厨房へと吹き飛んでいく。

 

厨房の瓦礫の中から、邪悪ゴジュウティラノが立ち上がる。その赤い発光眼は、まだ闘争本能を失っていない。むしろ、傷ついたことでより凶暴性を増したように、全身の装甲から黒い怨念の靄を噴き出させていた。

 

「グルルルル…!」

 

獣のような唸り声を上げ、邪悪ゴジュウティラノが再び竜儀に襲いかかる。両腕の巨大な爪が、交互に振り下ろされる。一撃、また一撃。そのすべてが、竜儀の急所を正確に狙っていた。

 

だが、竜儀はそれらすべてを、アマゾンの爪で受け止め、弾き返していく。

 

ガキンッ! ガキンッ!

 

金属同士がぶつかり合う甲高い音が、破壊された店内にこだまする。邪悪ゴジュウティラノの爪と、アマゾンの爪。二つの野性的な武器が、火花を散らしながら交錯する。

 

「なぜだ…!」

 

サウザーが、壁の穴の向こうから信じられないものを見るような声を上げた。

 

「なぜ、コピーであるはずのあれが、本物に押されている…!」

 

その問いに答えるように、竜儀は邪悪ゴジュウティラノの爪を弾き飛ばし、その胸に深く爪を突き立てた。

 

「簡単なことだ」

 

竜儀の声は、戦いの中にあっても静かだった。

 

「お前の怨霊は、私の力の形だけをコピーした。だが、その力の源まではコピーできなかった」

 

「源…?」

 

「信仰だ」

 

竜儀は、邪悪ゴジュウティラノの胸から爪を引き抜き、さらに追撃の蹴りを叩き込んだ。怪物の巨体が、よろめきながら後退する。

 

「私の力は、テガソード様への信仰から生まれている。武器の形や戦い方だけを真似ても、その心までは真似られない。お前のコピーは、中身のない空っぽの殻だ」

 

俺は、その言葉を聞きながら、妙に納得していた。竜儀という男は、俺とは違う。俺は願いを持たず、信じるものも持たず、ただ借りを返すために戦っている。だが、こいつには確固たる信仰がある。テガソードという存在に全身全霊を捧げる、その揺るぎない心が、アマゾンの力をここまで引き上げているのだ。

 

邪悪ゴジュウティラノが、苦し紛れに最後の爪を振り下ろす。竜儀はそれを、片手で受け止めた。アマゾンの装甲が、怨念の爪を受け止め、ミシミシと音を立てる。だが、それ以上は押されない。

 

「終わりだ、偽物」

 

竜儀は、邪悪ゴジュウティラノの爪を掴んだまま、その腕を捻り上げた。そして、空いた方の手で、アマゾンの必殺の爪を――。

 

『フィニッシュフィンガー! アマゾン!』

 

テガソードが、必殺技の音声を響かせる。竜儀の爪が、赤いエネルギーを纏い、邪悪ゴジュウティラノの胸部装甲を深く抉った。

 

「大切断!」

 

竜儀の咆哮と共に、赤い爪の軌跡が邪悪ゴジュウティラノの巨体を貫く。怨念の塊は、断末魔の叫びを上げる間もなく、黒い靄となって霧散した。残されたのは、元の姿に戻ったティラノハンマー50だけだ。

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