ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
竜儀が邪悪ゴジュウティラノを倒したのを視界の端で確認し、俺はサウザーに向き直った。
「さあ、後はてめえだけだ」
サウザーは、壁の穴の向こうで、まだ余裕の表情を浮かべていた。いや、仮面の下の顔は見えないが、その立ち姿から漂う雰囲気が、まだ諦めていないことを物語っている。
「面白い。では、これならどうだ」
サウザーが、サウザンドジャッカーを再び地面に突き立てた。瞬間、黒い怨霊の靄が噴き出し、破壊された店内の瓦礫という瓦礫が、一斉に浮き上がる。テーブルの破片、椅子の残骸、割れた皿、厨房から飛び出した包丁や中華鍋。それらすべてが、俺目がけて殺到した。
「さっきと同じ手が通用すると思うなよ」
俺は、オルカブースター5050を正面に構えた。トリガーを引く。金色の銃口から、蒼いエネルギー弾が放たれ、迫り来る瓦礫の群れを次々と粉砕していく。一発、また一発。シャチの咆哮のような発射音が、店内にこだまする。
「オルカブースト!」
俺は、オルカブースター5050の出力を高める。長押し操作で武器内部のエネルギーが活性化し、通常射撃の威力と速度が格段に跳ね上がった。蒼いビームが、瓦礫の雨をまとめて蒸発させる。
「なに…!?」
サウザーが、動揺の声を上げた。奴の支配下にある物体が、俺の射撃で次々と無力化されていく。このオルカブースター5050は、ただの銃じゃねえ。歴代戦隊や仲間の力を射撃に加えられる、俺の切り札だ。
「次はこっちから行くぜ」
俺は、地面を蹴ってサウザーに急接近した。奴はとっさにサウザンドジャッカーを構え、俺を迎え撃とうとする。槍の穂先が、鋭く突き出された。
だが、俺はそれをオルカブースター5050で弾き飛ばした。銃を盾代わりに使い、槍の連続突きをすべて受け流す。そして、奴の懐に潛り込むと、オルカブースター5050の銃口を至近距離でサウザンドジャッカーに押し当てた。
「その武器、封じさせてもらうぜ!」
トリガーを引く。ゼロ距離からの蒼いエネルギー弾が、サウザンドジャッカーの穂先を粉砕した。槍の先端が爆発し、怨霊の靄が散り散りに霧散する。
「ぐっ…!」
サウザーが、武器を失って後退した。これで、奴の周囲の物を操る能力も、槍による攻撃も封じた。残るは、奴自身だけだ。
俺は、サウザーから距離を取り、オルカブースター5050を大きく振りかぶった。トリガーを操作し、撃鉄を起こす。
『オルカブーステッドノヴァ!』
オルカブースター5050が、必殺技の音声を響かせる。瞬間、俺の周囲に蒼い水が溢れ出した。それは、シャチの力が生み出す幻の海。水は渦を巻き、サウザーを中心に巨大な渦潮を発生させる。
「な、なんだこれは…!」
サウザーが、もがきながら叫ぶ。だが、渦潮は奴の巨体を雁字搦めに拘束し、身動き一つ取れなくしていた。
「これで終わりだ」
俺は、オルカブースター5050をサウザーに向けて構え、最後のトリガーを引いた。
砲身から、出航音を思わせる轟音と共に、蒼い超高出力の砲撃が放たれる。それは、シャチの形をした巨大なエネルギー弾となり、渦潮ごとサウザーを飲み込んだ。
「ぐあああっ!」
サウザーの断末魔の叫びが、店内にこだまする。蒼い光が炸裂し、奴の装甲が粉々に砕け散った。変身が解除され、元の男の姿に戻った彼は、床に倒れ込む。
「はあ…はあ…」
俺は、オルカブースター5050を下ろし、荒い息を整えた。渦潮の水は消え、店内には静寂が戻っている。
「終わったか…」
だが、その時だった。倒れた男の身体から、黒い靄が立ち昇り始めたのだ。それは、サウザーに取り憑いていた怨霊。ライドウォッチの力ではなく、もっと別の、もっと古い、もっと邪悪な何か。
靄は、ゆっくりと人の形を取り始めた。中華風の衣装を纏った、長い髭を蓄えた謎の男の姿。その目は、赤く発光し、俺たちをじっと見つめている。
「これは…!」
芹亜が、息を呑んだ。彼女の瞳の奥で、金色の光が警戒するように輝いている。
「あの怨霊、まだ生きてたのか…!」
俺は、再びオルカブースター5050を構えた。だが、中華風の怨霊は、俺たちに向かって不気味に笑いかけると、そのまま霧のように消え去った。後に残されたのは、気を失った男と、砕け散ったサウザンドジャッカーの残骸だけだ。